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EMシステムズ(4820)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

EMシステムズとは

イーエムシステムズは、大阪府大阪市淀川区に本社を置く医療IT企業で、調剤薬局向けシステムを主力としつつ、医科システム、介護・福祉システムへと事業領域を拡大している。調剤薬局向けシステムでは国内シェア3割超を握るトップ企業であり、同分野では事実上の業界リーダーとしての地位を確立している。

創業者は國光浩三。自動車販売業に勤務する中で、コンピュータ導入による業務効率化の効果を実体験し、IT化が大きく遅れていた医療分野に事業機会を見出したことが出発点となっている。創業当初はセイコーエプソンの医療用パソコン部門の関西地区代理店として事業を開始したが、1987年にセイコーエプソンが医療用パソコン事業から撤退を決めた際、逆に同部門を全面的に事業継承した。この経緯から、社名の「EM」は「エプソンメディカル」に由来している。

調剤薬局向けシステム事業は、全国に約5万店あるとされる薬局のIT化需要を的確に捉え、全国規模での直販体制、リース方式による導入、メンテナンス無料といった販売・サポートモデルを採用したことで急成長した。販売代理店を介さないモデルは、コスト面・サポート面の両立に優れ、結果として国内シェア約3割を占めるまでに拡大している。この調剤薬局向けシステムが、同社の収益と顧客基盤の中核を成している。

上場の歩みとしては、2000年12月にナスダックJに店頭公開し、その後2003年に東証二部、2012年には東証一部へ上場するなど、事業拡大とともに市場区分を引き上げてきた実績を持つ。

医科システム分野では、2009年に診療所向け医事会計システムを投入し、2010年には検査会社ビー・エム・エルと共同でメデファクトを設立。無床診療所向け電子カルテとレセプトコンピュータを一体化したシステムを展開し、調剤薬局で培ったノウハウを医科分野へ横展開している。調剤薬局ほどの圧倒的シェアには至っていないものの、着実に顧客数を積み上げている領域である。

介護・福祉システム事業は育成段階にあるが、高齢化の進展を背景に中長期的な成長分野と位置づけられている。医療と介護をつなぐ情報連携や業務効率化へのニーズを取り込み、医療機関・薬局と介護事業者を横断するIT基盤の構築を目指している。また、2019年にはクラウド型の新ブランド「MAPsシリーズ」を投入し、従来のオンプレミス型中心のビジネスから、クラウド・月額課金型モデルへの転換を進めている。診療報酬改定や制度変更への対応力を強みとしつつ、安定したストック収益の積み上げを志向する戦略である。

事業内容としては、調剤薬局・医科・介護分野向けの業務システムの開発・販売・保守を中心に、ASPを活用したネットワークシステム、関連ハードウェア販売、医療機関向け各種帳票類やOA・サプライ品の提供など、現場密着型のサービスを幅広く手がけている。営業拠点は大阪の本社と東京本社を軸に全国展開している。

総合すると、イーエムシステムズは調剤薬局向けシステムで圧倒的なシェアを持つ安定基盤企業であり、その収益力を土台に医科システム、介護・福祉分野、クラウドサービスへと事業を広げている。医療制度や高齢化という構造的テーマと強く結びついた事業内容で、成長スピードは緩やかだが、長期的な需要の確実性が高い医療IT企業と位置づけられる。

EMシステムズ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 経常利益(百万円) 純利益(百万円) 一株益 EPS(円) 一株当り配当(円)
22.12 16,919 2,395 2,791 1,893 26.8 12
23.12 20,355 2,330 2,869 1,962 27.8 14
24.12 24,837 4,464 5,184 2,425 34.5 35
25.12予 23,500 3,600 4,400 2,700 39.0 39
26.12予 22,800 3,300 4,100 2,400 34.7 35〜39

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
22.12 2,472 -577 -1,319
23.12 1,584 -2,038 993
24.12 5,756 194 -3,567

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

決算期 営業利益率(%) ROA(%) ROE(%) PER(倍) PBR(倍)
23.12 11.4 6.6 9.5
24.12 17.9 7.6 11.8 高値平均 33.5
安値平均 20.3
2.79
25.12予 15.3 8.5 13.1 21.1

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績水準を見る。23.12期の売上高は203億円、営業利益は23億円、経常利益は28億円、純利益は19億円で、安定した黒字を確保している。24.12期になると売上高は248億円へ拡大し営業利益44億円、経常利益51億円、純利益24億円と利益が大きく伸びており、事業拡大と収益性改善が同時に進んだ年といえる。

25.12期予想では売上高235億円とやや減収を見込むものの営業利益36億円、経常利益44億円、純利益27億円と高水準の利益を維持する計画である。26.12期予想でも売上高228億円、営業利益33億円、経常利益41億円、純利益24億円と売上は横ばいから微減ながら利益水準は大きく崩れない前提になっている。

次に収益性と効率性を見る。営業利益率は2023年11.4%、2024年17.9%、2025年15.3%と高い水準で推移しており24.12期をピークにやや低下するものの、依然として医療IT企業としては十分に高収益である。ROEは2023年9.5%、2024年11.8%、2025年13.1%と着実に改善しており、自己資本を使って利益を生み出す力が年々高まっている。ROAも2023年6.6%、2024年7.6%、2025年8.5%と右肩上がりで、資産効率の改善が明確である。

評価指標を見ると24.12期の実績PERは高値平均33.5倍、安値平均20.3倍とレンジは広いが成長期待を強く織り込んだ水準で評価されている。PBRは2.7倍で、資産価値から見れば割安ではないが、ROEが2桁に近づきつつある点を考えると極端な割高感とも言い切れない。25.12期予想PERは21.1倍とされており、利益成長によってPERが一段と低下する想定になっている点は評価の重さを和らげている。

以上を総合すると、イーエムシステムズは売上規模こそ200億円台と中堅クラスだが、営業利益率15%前後、ROE・ROAが年々改善するなど、非常に安定感のある収益構造を持つ企業である。調剤薬局向けシステムで高いシェアを持つストック型ビジネスが基盤にあり、業績のブレが小さいことが数字からも読み取れる。

一方で、PER・PBRはすでに一定の成長を織り込んだ水準にあり、爆発的な株価上昇を狙うタイプの銘柄ではない。数値だけで判断するなら、イーエムシステムズは「高成長期待株」ではなく、「安定成長・高収益型のディフェンシブ寄りIT銘柄」と位置づけられる。大きな下振れリスクは小さい一方、リターンは緩やかで長期保有や配当と組み合わせた安定運用向きの銘柄という評価になる。

配当目的とかどうなの?

イーエムシステムズを配当目的という観点で見ると、結論はかなり前向きになる。予想配当利回りは25.12期で4.80%、26.12期で4.31%と医療IT・ソフトウェア系の中では明確に高水準である。一般的に同業は配当利回り2%前後が多い中で、4%台はインカム目的として十分に成立する水準といえる。

これを業績面から見ると営業利益率は15%前後、ROEは10%超、ROAも8%台まで改善しており、本業の収益力と資産効率は安定している。営業CFも継続的にプラスで24.12期にはキャッシュ創出力が大きく伸びており、配当原資は実体として裏付けられている。赤字期を挟むような不安定な企業とは異なり、利益・キャッシュフローともに配当を継続できる体力がある。

また、事業内容が調剤薬局向けシステムを中心としたストック型で診療報酬改定など制度対応は必要なものの、需要そのものが景気に左右されにくい点も配当向きである。売上は横ばい〜微減の見通しだが、利益水準は高く維持されており、無理な増配ではなく利益水準に見合った還元という印象が強い。

注意点としては、PERが20倍前後、PBRが2倍台と株価水準自体は「超割安」ではないことと、成長余地が急拡大するタイプではない点である。そのため、株価上昇によるキャピタルゲインを大きく狙うよりも、配当を受け取りながら安定的に保有するスタンスが向いている。

総合すると、イーエムシステムズは配当目的としては十分に魅力がある銘柄である。高配当でありながら業績とキャッシュフローの裏付けがあり、減配リスクも相対的に低い。配当を軸に長期保有する投資、インカムゲイン重視のポートフォリオには相性が良い銘柄と評価できる。

今後の値動き予想!!(5年間)

イーエムシステムズの現在値は811円である。調剤薬局向けシステムで国内シェア3割超を握る業界首位企業であり、ストック型のシステム利用料を中心とした安定収益モデルを持つ。近年は医科システムや介護・福祉分野の育成にも注力しており、売上規模は200億円台で安定推移している。

営業利益率は15%前後と医療IT企業としては高水準で、ROE・ROAも年々改善している。一方で急成長型ではなく、株価評価は成長期待よりも安定性と配当水準を重視したレンジで形成されやすい。この状況を踏まえ5年間の株価について良い場合・中間・悪い場合のシナリオを想定する。

良い場合のシナリオでは、調剤薬局向けシステムの高シェアが維持されるとともに、医科システムや介護・福祉システムが着実に拡大する展開を想定する。医療DXや電子処方箋など制度対応需要を取り込み、売上は緩やかに増加、営業利益率も15%前後で安定するケースである。高配当政策が継続され配当利回り4%前後が長期で維持されれば、インカム重視の資金流入が続く可能性がある。この場合、PERは20倍前後を維持しつつ利益成長を織り込み株価は中長期で切り上がり、5年後の株価は1,200円〜1,500円程度まで上昇する余地があると考えられる。

中間のシナリオでは、調剤薬局向けシステムは安定するものの、医科・介護分野の成長は緩やかにとどまり売上・利益ともに横ばいから微増にとどまる展開を想定する。営業利益率やROEは現在の水準を維持するが、大きな改善は見られない。この場合、市場評価は安定成長株として落ち着き、PERは18〜22倍程度で推移しやすい。株価は配当を支えに緩やかに推移し、5年後の株価は900円〜1,100円前後になる可能性が高い。値動きは大きくなく、配当込みでのリターンを重視する展開となる。

悪い場合のシナリオでは、調剤薬局の再編や価格競争の激化によりシステム更新需要が鈍化し、医科・介護分野の育成も想定どおり進まない展開を想定する。利益成長が止まり、営業利益率が低下すると市場評価は切り下がりやすくなる。この場合、PERは15倍前後まで低下し、株価は調整局面に入る可能性がある。5年後の株価は600円〜750円程度まで下落するリスクがある。ただし、事業の安定性と高配当利回りが下値を支えるため、急落や長期低迷に陥る可能性は相対的に低い。

総合すると、イーエムシステムズは5年間の中長期で見れば高い成長性よりも安定した収益基盤と高配当を軸に評価される銘柄である。良い場合には1,200円超〜1,500円レベル、中間シナリオでは900円〜1,100円前後、悪い場合でも600円台後半〜700円台程度までのレンジで推移する可能性が高い。配当利回りが4%前後と高めであるため、リターンの中心は配当と緩やかな価格成長の組み合わせとなり、インカムゲイン重視の長期投資と相性の良い銘柄と位置づけられる。

この記事の最終更新日:2025年12月28日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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