株価
GMOインターネットとは

GMOインターネットは、GMOインターネットグループの中核企業として、ネット広告・デジタルマーケティング事業を基盤にしつつ、インターネットインフラ領域まで事業範囲を広げる総合インターネット企業である。もともとはGMOアドパートナーズとしてネット広告代理業を主軸に展開してきたが、2025年の大規模なグループ再編を経て、事業内容と企業としての位置づけが大きく変化した点が最大の特徴となっている。
2025年1月1日付で、親会社であるGMOインターネットグループのインターネット関連事業を吸収分割によって承継し、同時に子会社であったGMOソリューションパートナーを吸収合併した。これにより、従来の広告代理・マーケティング支援に加え、ネット基盤事業を含む幅広いインターネット関連事業を担う体制へと移行した。また、商号をGMOアドパートナーズから2代目GMOインターネット株式会社へ変更し、東証プライム市場へ移行することで、グループの中核会社としての役割が明確化されている。親会社の出資比率も約97%まで引き上げられており、事実上、GMOグループ戦略を実行するための中心的な事業会社といえる。
同社の事業は、大きくデジタルマーケティング事業、ネット広告・メディア事業、インターネットインフラ関連事業に分けられる。デジタルマーケティング分野では、GMO NIKKOを中核に、検索連動型広告、SNS広告、動画広告、アフィリエイト広告など、成果報酬型・運用型広告を中心とした総合的なマーケティング支援を行っている。広告主の集客や認知拡大、コンバージョン最大化を目的に、広告運用力とデータ分析を組み合わせた提案を強みとしており、EC事業者やIT企業を中心に幅広い顧客基盤を持つ。
ネット広告・メディア分野では、自社メディアの運営を通じて広告収益を獲得している。働く女性向けの生活情報メディア「michill byGMO」など、特定のターゲット層に特化したメディアを展開し、広告とコンテンツを組み合わせたモデルを構築している。これにより、単なる代理店モデルにとどまらず、自社メディアを活用した付加価値の高い広告展開が可能となっている。
さらに、コーポレート機能としては、特例子会社であるGMOドリームウェーブを通じて、広告事業のバックオフィス支援や管理部門業務の効率化を担っており、グループ全体の生産性向上にも寄与している。障害者雇用を含めた社会的な取り組みを行っている点も特徴の一つである。
2025年3月には、海外インターネットインフラ事業の統括業務を新たに承継し、海外子会社11社の株式を含む管理機能を引き受けた。これにより、国内広告・マーケティング事業に加え、グローバルでのインターネットインフラ事業を統括する役割も担うようになった。海外では「Z.com」という統一ブランドのもと、ドメイン取得、ホスティング、ネットワーク関連サービス、暗号資産交換事業などを展開しており、特にタイを中心とした東南アジア地域に強みを持つ。
このように、GMOインターネットは、従来のネット広告代理業を基盤としながら、グループ再編を通じてインターネットインフラや海外事業の統括まで担う企業へと進化している。広告・マーケティングによる集客力と、インターネット基盤サービスというストック性のある事業を組み合わせることで、収益源の多様化と安定化を図る戦略が読み取れる。今後は、グループ内シナジーを活かしながら、広告・インフラ・海外事業を横断した総合的なインターネットサービス企業としての成長が期待される存在である。
GMOインターネット 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 22.12期 | 16,629 | 710 | 746 | 395 | 25.0 | 12.5 |
| 23.12期 | 14,903 | -25 | 180 | 40 | 2.5 | 1.3 |
| 24.12期 | 12,997 | 139 | 151 | -4 | -0.3 | 6.9 |
| 25.12期予 | 75,000 | 8,000 | 7,800 | 5,000 | 18.2 | 18.2 |
| 26.12期予 | 82,000 | 8,500 | 8,300 | 5,300 | 19.3 | 19.3 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 22.12期 | 881 | -197 | -55 |
| 23.12期 | -912 | -68 | -177 |
| 24.12期 | 6 | -144 | -22 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 (%) |
ROA (%) |
ROE (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.12期 | -0.2 | 0.3 | 0.7 | — | — |
| 2024.12期 | 1.0 | -0.1 | -0.1 | 75.0~103.3 | 21.96 |
| 2025.12期(予) | 10.6 | 48.2 | 96.5 | 60.1 | — |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益規模の推移を見る。23.12期の営業利益は-0.2億円と赤字であり、24.12期は1.3億円と黒字化したものの、純利益は実質トントンの水準にとどまっている。これに対し、25.12期予想では営業利益80.0億円、純利益50.0億円、26.12期予想でも営業利益85.0億円、純利益53.0億円と、利益水準が一気に桁違いに拡大する計画となっている。売上規模も約130億円台から750億円規模へ急拡大する前提であり、事業再編による構造変化が強く反映された数値であることが分かる。
次に収益性を見る。営業利益率は23.12期-0.2%、24.12期1.0%と低水準だったが、25.12期予想では10.6%まで急改善する想定となっている。ROEは23.12期0.7%、24.12期-0.1%とほぼ利益を生めていない状態から、25.12期予想では96.5%と極端に高い水準に跳ね上がっている。ROAも同様に、0.3%→-0.1%から48.2%へ急上昇する計画であり、通常の事業成長というより、利益規模の急拡大と資本構成の影響が強く出た数値と読み取れる。
一方、市場評価を見ると、24.12期の実績PERは75.0倍〜103.3倍と極めて高く、実績PBRは22.0倍と異例の水準にある。25.12期予想PERは60.2倍まで低下する見込みだが、これは利益急増を前提としたものであり、依然として成長を強く織り込んだ評価である。営業利益率やROEの改善を考慮しても、バリュエーションは非常に強気な水準にある。
以上を総合すると、4784は23〜24年までは低収益・不安定な状態にあり、数値面だけを見れば投資対象として魅力は乏しかった。一方で、25.12期以降はグループ再編を前提に、利益規模・収益性・資本効率が一変する計画となっており、数値上は別会社レベルの急変が想定されている。ただし、PER60倍超、PBR20倍超という評価は、この再編効果と高成長が確実に実現することを前提としたものと言える。
投資判断としては、これは安定成長株や割安株ではなく、再編後の収益構造転換が成功するかどうかに賭けるハイリスク・ハイリターン型の銘柄である。計画どおりに利益が定着すれば評価は正当化される余地があるが、想定を下回った場合の下方修正余地も大きい。現時点では、確度の高い安定投資というより、事業再編の成果を強く信じて臨む成長・テーマ投資向けの判断が妥当である。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると、25.12期で1.6%、26.12期で1.7%程度と、明確に低水準である。一般的な高配当株やインカムゲイン重視の投資対象と比べると見劣りし、配当そのものを主目的に保有する銘柄ではないことははっきりしている。
一方で、配当の原資という観点では、25.12期以降の予想では営業利益・純利益が大きく拡大する前提となっており、数字上は配当を維持・増配できる余力は十分にある。ただし、同社の数値はグループ再編による急激な事業規模拡大を前提としており、利益の安定性や継続性はこれから実績として確認されていく段階にある。
また、ROEやROAが25.12期予想で極端に高い水準となっていることからも分かるように、同社は配当で株主還元を強めるフェーズというより、再編後の事業基盤を固め、成長投資や内部留保を優先すべき段階にある企業といえる。その結果として、配当性向は抑えられ、利回りも低位にとどまっている構造である。
総合すると、GMOインターネットは配当目的には基本的に向かない銘柄である。インカム収入を安定的に得たい投資家にとっての魅力は小さく、配当はあくまで付随的なものに過ぎない。一方で、再編後の事業拡大と利益成長が実現すれば株価上昇余地は大きく、その過程で配当が徐々に増えていく可能性はある。現時点では、配当狙いではなく、事業再編と成長ストーリーに賭ける投資向けの銘柄と位置づけるのが妥当である。
今後の値動き予想!!(5年間)
GMOインターネットについて現在値1,095円を起点にこれまで提示されている業績数値、収益性指標、バリュエーション、配当利回りを前提として、5年間の株価推移をより情報量を増やして整理する。
まず前提として、この銘柄は23〜24年までと25年以降で数字上はほぼ別企業といえるほど事業規模と利益水準が変化する想定になっている。23.12期は営業利益-0.2億円、24.12期でも1.3億円と低収益であり、ROEやROAもほぼゼロ水準だった。一方、25.12期以降は売上が700億円台へ急拡大し、営業利益80億円、純利益50億円規模へ一気に跳ね上がる計画となっており、営業利益率10%超、ROE90%超、ROA40%超という極端に高い数値が前提となっている。このため、株価は通常の景気循環や緩やかな成長ではなく、再編後の収益構造がどこまで実体として定着するかに大きく左右される。
良い場合のシナリオでは、グループ再編による売上・利益の移管が計画どおり進み25.12期・26.12期の高い利益水準が一過性ではなく、安定的なベースとして市場に認識される展開を想定する。営業利益率が10%前後で定着しROEやROAも高水準ながら徐々に正常化していくことで、事業の持続性に対する評価が高まる。この場合、現在の予想PER約60倍は高いものの、成長企業として40〜50倍程度の評価を維持できる可能性がある。利益水準が50億円規模で安定すると仮定すれば、株価は中長期で評価され直し5年後には2,500円〜3,500円程度まで上昇する余地がある。値動きはボラティリティが高いものの、成長期待が続く限り押し目を作りながら上昇トレンドを描く展開になる。
中間のシナリオでは、再編効果は一定程度発現するものの市場が想定するほどの高収益体質が定着せず、営業利益率は一桁後半から10%弱、ROE・ROAも低下していくケースを想定する。この場合、PERは成長期待の後退とともに30倍台〜40倍台へと切り下がり、株価は利益成長と評価低下が相殺される形になる。現在値1,095円から大きく崩れることはないが、急騰も限定的となり5年後の株価は1,500円〜2,000円程度に収れんする可能性が高い。値動きとしては、業績進捗ごとに上下を繰り返しながら、緩やかな上昇にとどまる展開となる。
悪い場合のシナリオでは、再編後の売上・利益が計画を下回り、25.12期以降の高収益予想が修正される展開を想定する。もともと24.12期までの実績は低収益であり、実績PERは75〜103倍、PBRは22倍と、利益水準に対して極めて割高な状態だった。再編効果が十分に確認できない場合、市場は一気に評価を引き下げPERは20倍台前後まで低下する可能性がある。この場合、株価は期待剥落の調整局面に入り、5年後には700円〜900円程度まで下落するリスクがある。ただし、ネット広告・インフラという事業基盤自体が消えるわけではないため、極端な暴落よりは期待と現実のギャップを調整する下落にとどまる可能性が高い。
総合すると、GMOインターネットは安定収益や配当を目的とした銘柄ではなく、再編後の利益構造が本物かどうかを見極めながら投資する成長テーマ型の銘柄である。良い場合には2,500円〜3,500円、中間では1,500円〜2,000円、悪い場合でも700円〜900円程度という上下の振れ幅が非常に大きいレンジが想定される。配当利回りは1%台と低いためリターンの中心は株価成長であり、事業再編の進捗と利益の定着度合いを継続的に確認できる投資家向けの銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2025年12月28日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す