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CIJ(4826)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

CIJとは

株式会社CIJは、神奈川県横浜市西区高島に本社を置く、独立系のシステム開発会社である。1976年の設立以来、国産大型コンピュータの基盤システムや国家規模の大規模システム開発に携わってきた実績を持ち、長年にわたり着実に技術力と信頼を積み上げてきた企業である。事業形態としては独立系の2次請けシステム開発を中心とし、主要顧客は日立製作所およびNTTデータ向けが全体の4割弱を占めている。

CIJの最大の特徴は、ITシステムの中核となるOS、コンパイラ、ミドルウェアといった基盤技術に強みを持つ点にある。設立当初からシステムの「コア」を担う技術領域を事業の軸としてきたことで、基盤系システムに関する深い知見とノウハウを蓄積してきた。これまでのプロジェクトで得られた情報や経験は社内に体系的に蓄積され、社員へフィードバックされることで、品質の高いシステム開発につながっている。

同社は、情報システム開発に必要な技術を「基盤系」と「業務系」の両面で保有している点も強みである。OSやミドルウェアなどの基盤系技術に加え、各種業務システムの開発経験も豊富であり、システム全体を俯瞰した開発対応が可能である。特に大型プロジェクトの実績が多く、長期・高難度案件に強みを発揮している。

近年はDX推進事業にも注力しており、単なるソフトウェアという「モノ」の提供にとどまらず、新たな価値を生み出す「コト」づくりを通じて、顧客の新規ビジネス創出やビジネスモデル変革を支援している。IoT、AI、ロボティクス、ビッグデータといった先端デジタル技術の活用を進め、研究開発にも積極的に取り組んでいる。

AI分野では、特に生成系AIの活用支援に力を入れており、導入時の課題整理や運用面での注意点を踏まえた実践的な支援を行っている。技術ありきではなく、実務で使える形に落とし込む点を重視していることが特徴である。

自社ソリューションとしては、社会福祉法人向け総合システム「SWING」を展開している。これは社会福祉法人会計に特化したシステムで、財務会計を中心に経営分析や給与計算などの機能を提供し、老人福祉施設、障がい者支援施設、保育所、社会福祉協議会などで多数の導入実績を持つ。また、データベース関連ソリューション「DBMaster」では、アプリケーションの可能性を最大限に引き出す支援を行っている。

さらに、開発支援ソリューションとして、マニュアル制作、デザイン制作、システム開発支援なども手がけており、IT知識と実務経験を持つディレクター、ライター、デザイナーが連携することで、使いやすさや分かりやすさを重視した支援を提供している。

総合すると、CIJは派手な成長を狙う企業ではなく、基盤技術を核とした高い技術力と長年の実績を武器に、安定的にシステム開発を積み上げてきた企業である。日立製作所やNTTデータといった大手向け案件を中心に、基盤系から業務系、DX・先端技術まで対応できる技術幅を持ち、堅実かつ技術志向の強いシステム開発会社として位置づけられる。

CIJ 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高(単位百万) 営業利益 経常利益 純利益 一株益(円) 一株配当
連23.6 22,859 1,829 1,839 1,142 19.5 9.33
連24.6 25,733 1,964 1,993 948 16.4 11
連25.6 26,899 2,170 2,204 1,495 26.1 15
連26.6予 28,500 2,250 2,280 1,500 26.4 16〜20
連27.6予 30,000 2,400 2,430 1,600 28.1 16〜20

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

営業CF(百万円) 投資CF(百万円) 財務CF(百万円)
2023 1,939 1,730 -537
2024 1,177 -511 -893
2025 1,782 -885 -1,639

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

営業利益率(%) ROE(%) ROA(%) PER(倍) PBR(倍)
2023 8.0 8.0 6.4
2024 7.6 6.5 5.1
2025 8.0 10.2 8.0 高値平均 35.6
安値平均 15.3
2.08

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績規模を見る。23.6期の売上高は228億円、営業利益18億円、経常利益18億円、純利益11億円である。24.6期は売上高257億円に拡大した一方、純利益は9億円に低下しており、利益面では一時的な伸び悩みが見られる。25.6期になると売上高268億円、営業利益21億円、経常利益22億円、純利益14億円と回復しており、収益力が持ち直している。26.6期予想では売上高285億円、営業利益22億円、経常利益22億円、純利益15億円、27.6期予想では売上高300億円、営業利益24億円、経常利益24億円、純利益16億円と、売上・利益ともに緩やかな増加が続く前提となっている。

次に収益性と効率性を見る。営業利益率は2023年8.0%、2024年7.6%、2025年8.0%で推移しており、大きなブレはなく安定しているが、SI業界としては標準的な水準にとどまる。ROEは8.0%、6.5%、10.2%と2024年に低下した後、2025年にかけて改善しており、自己資本効率は回復基調にある。ROAも6.4%、5.1%、8.0%と同様に改善しており、資産効率は悪くない。

評価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均35.6倍、安値平均15.3倍とレンジが非常に広く、株価評価の振れが大きい銘柄であることが分かる。PBRは2.0倍で、ROEが10%前後であることを踏まえると、やや割高感が出やすい水準である。

以上を総合すると、CIJは売上300億円規模へ着実に拡大する安定成長型のシステム開発会社であり、利益も緩やかに積み上がる構造にある。一方で営業利益率は1桁台後半にとどまり、突出した高収益企業ではない。ROE・ROAは改善しているものの、まだ評価を大きく正当化できるほどの水準とは言い切れない。

数値だけで判断するなら、CIJは業績の安定性と緩やかな成長を評価する銘柄であり、高成長や高収益を期待するタイプではない。PERが高い局面では割高に見えやすく、評価が落ち着いた水準での中長期保有が前提となる。したがって、ディフェンシブ寄りのITサービス株として、安定性重視で見る投資には向くが、積極的なリターンを狙う投資対象としてはやや物足りない、という判断になる。

配当目的とかどうなの?

CIJを配当目的という観点で見ると、結論は「主目的としてはやや弱く、補助的には可」という評価になる。予想配当利回りは26.6期、27.6期ともに2.99%で、東証全体で見れば平均よりやや高めだが、高配当株と呼べる水準ではない。配当目的で一般的に重視される3.5%以上にはわずかに届かず、配当そのものを最大のリターン源とする投資には少し物足りない。

一方で、配当の安定性という点では評価できる。営業利益は20億円前後で安定しており、営業利益率も8%前後を維持している。営業キャッシュフローは毎期プラスで、本業からの資金創出力は堅調である。無理に配当を出している印象はなく、利益水準に見合った配当が継続されている。

また、事業内容が日立製作所やNTTデータ向けを中心としたシステム開発であり、受注は比較的安定している。急激な景気後退局面でも業績が大きく崩れにくい構造であるため、減配リスクは相対的に低いと考えられる。この点は配当投資においてプラス材料である。

ただし、ROEは10%前後、営業利益率も1桁台後半にとどまり、企業として高い成長力や強い収益拡大力を持つわけではない。そのため、将来的に配当利回りが大きく上昇していく期待は限定的である。増配はあっても緩やかなペースにとどまる可能性が高い。

総合すると、CIJは高配当株ではないが、業績とキャッシュフローに裏付けられた安定配当が期待できる銘柄である。配当を主目的に据える投資にはやや不足だが、安定した事業基盤を背景に、値動きの大きさを抑えつつ配当も受け取りたい中長期投資には適した銘柄と評価できる。

今後の値動き予想!!(5年間)

CIJの現在値は535円である。独立系のシステム開発会社として、OS・ミドルウェアなど基盤系に強みを持ち、日立製作所およびNTTデータ向けを中心とした安定した受注基盤を有している。売上・利益は急成長型ではないものの年々着実に積み上がる傾向にあり、営業利益率も7〜8%台で安定して推移している。一方で、高収益ソフトウェア企業のような高い営業利益率やROEを持つわけではなく、市場からは安定型SI企業として比較的落ち着いたバリュエーションで評価されている。この状況を踏まえ、今後5年間の株価について、良い場合・中間・悪い場合のそれぞれのレンジを以下に想定する。

良い場合のシナリオでは、基盤系システムでの強みを生かしつつ、DX、AI、業務系システム分野での案件獲得が着実に進む展開を想定する。主要顧客向けの安定受注に加え新規分野での売上比率が高まり、売上は年率5%前後で成長、営業利益率も8%台を安定的に維持する。ROEが10%前後で定着することで市場からの評価が徐々に改善し、PERは20倍前後まで許容される可能性がある。この場合、利益成長と評価改善が同時に進み、5年後の株価は800円〜1,000円程度まで上昇する余地があると考えられる。

中間のシナリオでは、日立製作所・NTTデータ向けを中心とした既存取引が安定的に継続し、売上・利益は緩やかに増加するものの大きな成長ドライバーは現れない状況を想定する。営業利益率は7〜8%で横ばい、ROEも8〜10%程度にとどまり、市場評価は現状水準を維持する。この場合、PERは15倍前後に収れんし株価は業績の伸びに合わせて緩やかに上昇する展開となる。5年後の株価は600円〜750円前後が中心レンジになる可能性が高い。

悪い場合のシナリオでは、主要顧客のIT投資抑制や価格競争の激化により売上成長が鈍化し、営業利益率が7%を下回る局面を想定する。ROEも8%前後まで低下し、成長期待が後退することで評価倍率が圧縮される。この場合、PERは10〜12倍程度まで低下し、株価は調整局面に入る可能性がある。業績が急激に悪化するリスクは小さいものの、5年後の株価は400円〜500円程度にとどまる展開も考えられる。

総合すると、CIJは高成長・高収益を狙う銘柄ではなく、安定した事業基盤と着実な利益積み上げを評価するタイプの企業である。5年間の中長期で見れば、良い場合には1,000円近辺までの上昇余地がある一方、中間シナリオでは緩やかな上昇、悪い場合でも大幅な下落にはなりにくいと考えられる。配当も含め、価格成長と安定性をバランス良く狙う中長期保有向けの銘柄という位置づけになる。

この記事の最終更新日:2025年12月28日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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