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ノエビアホールディングス(4928)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

ノエビアホールディングスとは

ノエビアホールディングスは化粧品メーカーのノエビアと、医薬品・健康食品メーカーの常盤薬品工業を中核に据えた持株会社であり兵庫県神戸市に本社を置く一方、東京都中央区にも東京本社を構えている。高級基礎化粧品の対面販売と一般小売向けのセルフ化粧品、さらに医薬・食品分野までをカバーする多角的な事業構成が特徴である。

グループの原点であり中核事業であるノエビアは訪問販売やサロンを中心としたカウンセリング型の対面販売に強みを持つ。機能性の高い高級基礎化粧品を主力とし、美容アドバイザーが顧客一人ひとりの肌状態や悩みに応じて提案するスタイルを長年培ってきた。価格競争に陥りにくい販売モデルであり、継続利用を前提とした顧客関係を築きやすい点がこの事業の安定性を支えている。加えて、通信販売も活用し、対面と非対面を組み合わせた販売体制を整えている。

一方で、セルフ化粧品分野にも注力しており、「なめらか本舗」「エクセル」「ノブ」などのブランドを通じて、一般小売店やドラッグストア、通信販売で商品を展開している。高級ラインとは異なり、比較的手頃な価格帯でありながら機能性や安全性を訴求することで幅広い顧客層を取り込んでいる。高級対面販売とセルフ市場を両立させている点は化粧品業界の中でも特徴的なポジションと言える。また、グループの研究開発力と製造ノウハウを活かし、化粧品や医薬部外品のOEM受託製造も行っており外部向けの事業機会も取り込んでいる。

2011年には市場環境や消費者ニーズの変化に対応するため、ノエビアからの単独株式移転により持株会社体制へ移行した。これにより、事業会社による現場運営と持株会社によるグループ戦略・ガバナンス機能を明確に分離し、経営資源の最適配分と意思決定の迅速化を図っている。設立後の組織再編を通じて、常盤薬品工業やボナンザ、ノエビアアビエーションなどを直接の子会社としグループ経営の一体感を高めている。

医薬・食品事業では、常盤薬品工業が中心的な役割を担っている。風邪薬、のど飴、栄養ドリンク、医薬部外品など、生活に密着した商品群をドラッグストアを中心に展開しており、配置薬やコンビニエンスストア向け商品も扱っている。「南天のど飴」や「眠眠打破」シリーズといった知名度の高い商品を抱えており、化粧品事業とは異なる収益特性を持つ安定的な事業としてグループを支えている。化粧品市場の変動を補完する役割を果たしている点は、ノエビアホールディングスの事業構造上の強みである。

そのほか、アパレルやボディファッションを扱う事業、空港でのハンドリング事業、航空機操縦訓練などの航空関連事業も展開しており、事業領域は比較的広い。ただし、これらはあくまで補完的な位置付けであり、グループ全体としては化粧品と医薬・食品が収益の中核を担っている。

総合すると、ノエビアホールディングスは、高級基礎化粧品の対面販売という独自性の高いモデルを軸に、セルフ化粧品や医薬・食品事業を組み合わせたポートフォリオを構築している企業である。持株会社体制のもとで安定収益を生む事業と付加価値型事業をバランス良く配置し、市場環境の変化に耐えうる経営構造を志向している点がこのグループの本質的な特徴と言える。

ノエビアホールディングス 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
EPS(円)
一株当り配当
DPS(円)
連21.9 51,272 8,557 8,972 6,383 186.9 210
連22.9 61,143 10,115 10,406 7,589 222.2 215
連23.9 62,552 11,024 11,295 7,673 224.7 220
連24.9 63,823 11,423 11,594 7,970 233.3 225
連25.9 64,724 11,075 11,774 8,030 235.1 230
連26.9予 65,000 11,400 11,800 8,200 240.1 230〜235
連27.9予 66,000 11,700 12,100 8,350 244.5 235〜240

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2023.9 7,624 -3,544 -7,493
2024.9 9,123 1,525 -7,712
2025.9 7,928 -2,417 -7,924

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率
(%)
ROE
(%)
ROA
(%)
PER
(倍)
PBR
(倍)
2023.9 17.6 14.5 9.9
2024.9 17.8 14.9 10.4
2025.9 17.1 14.9 10.4 24.6(高)
20.3(安)
2.90

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず売上規模を見ると、2024年9月期で638億円、2025年9月期で647億円、2026年9月期予想で650億円と、600億円台後半で安定した推移が続いている。急成長企業ではないが、成熟企業としては十分に安定したトップラインを維持しており、事業基盤の強さが数字からうかがえる。

利益面がこの会社の最大の特徴である。営業利益は110億円前後を安定して確保しており、売上が大きく伸びなくても確実に利益を残せる構造になっている。営業利益率は2023年から2025年にかけて17%台を維持しており、化粧品業界の中でもかなり高い水準にある。価格競争に陥りにくい対面販売型の高級基礎化粧品と、ブランド力のある医薬・食品事業を併せ持つことが、この高収益体質を支えていると考えられる。

資本効率を示す指標も非常に優秀で、ROEは14%台後半、ROAは10%前後を維持している。これは株主資本や総資産を効率良く使って利益を生み出せていることを意味しており、経営の質が高いことを示す数字である。少なくとも収益性や効率性の面で大きな弱点は見当たらない。

一方で、評価面を見ると、2025年時点のPERは安値平均でも20倍台前半、高値平均では24倍台と、決して割安とは言えない水準にある。PBRも2.9倍と高く、市場はすでにこの企業の高収益体質と安定性を織り込んでいる状態である。言い換えれば、業績が良いこと自体は株価に十分反映されており、ここから評価だけで株価が大きく切り上がる余地は限定的と考えられる。

これらを総合すると、ノエビアホールディングスは、売上成長は緩やかだが、営業利益率、ROE、ROAはいずれも高水準で、事業の質と安定性は非常に高い企業である。一方で、株価評価はすでに高く、割安さを狙って買う局面ではない。結論としては、短期的な値上がりを狙う銘柄というより、高収益・高効率・安定した事業基盤を評価して中長期で保有するタイプの銘柄であり、価格よりも「質」を重視する投資家向けの優良株、という位置付けになる。

配当目的とかどうなの?

ノエビアホールディングスを配当目的という観点で見ると結論としては「配当目的にはかなり向いている銘柄」と評価できる。予想配当利回りは2026年9月期で5.02%、2027年9月期で5.13%と、国内株の中でも明確に高配当の水準にある。5%超という利回りは、単なる安定配当ではなく、高配当株として意識されるレンジでありインカムゲインを重視する投資家にとっては非常に魅力的な数字である。

配当の裏付けとなる業績を見ると、営業利益率は17%台、ROEは14%台後半、ROAは10%前後と収益性・資本効率ともに非常に高い。営業キャッシュフローも安定して黒字を確保しており、配当原資という点では余裕がある構造になっている。高配当でありながら、無理に配当を出している印象はなく「稼いだ利益をきちんと還元している」タイプの配当である。

また、売上や利益は大きく伸びてはいないものの600億円台後半の売上と110億円前後の営業利益を安定して維持しており、業績のブレが小さい点も配当目的では重要な評価ポイントになる。景気や市場環境の影響を受けにくい高級基礎化粧品と医薬・食品事業を併せ持つ事業構造が、配当の安定性を支えている。

一方で注意点としてはすでに配当利回りが5%台に達しているため、今後の増配余地は限定的になりやすい点が挙げられる。実際、配当は230円前後から緩やかに引き上げる形で推移しており、急激な増配を期待するタイプの銘柄ではない。どちらかといえば、「高水準の配当を長く維持する」ことに価値がある企業である。

評価面ではPERは20倍前後、PBRは約3倍と決して割安ではないが、ROE約15%という高い資本効率を考えれば過度な割高感はない。配当目的で見た場合、株価が大きく上がらなくても配当収入そのものがリターンの中心になるため、評価倍率の高さは相対的に許容しやすい。

総合すると、ノエビアホールディングスは利回り5%超、強いキャッシュ創出力、高い収益性を兼ね備えた配当目的に非常に適した銘柄である。値上がり益を狙うよりも安定した高配当を長期で受け取りたい投資家にとって有力なインカムゲイン銘柄として位置付けられる。

今後の値動き予想!!(5年間)

ノエビアホールディングスの現在値は4,580.0円である。同社は高級基礎化粧品の対面販売を中核にセルフ化粧品、さらに常盤薬品工業を中心とした医薬・食品事業を併せ持つ、国内でも珍しい高収益・高配当型の化粧品グループである。営業利益率は17%台、ROEは14%台後半、ROAも10%前後と非常に高く、成熟企業でありながら事業の質が高い点が最大の特徴となっている。また配当利回りは5%を超えており、株価は成長期待よりも「高収益と安定配当」を評価して形成されている水準にある。こうした前提を踏まえ、現在値4,580円を起点に今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。

良い場合のシナリオでは、高付加価値基礎化粧品への需要が国内で底堅く推移し、ノエビアの対面販売モデルが改めて評価される展開を想定する。価格競争に巻き込まれにくい高級ラインが安定的に売れ、セルフ化粧品事業もブランド力を背景に堅調に推移する。加えて、常盤薬品工業の医薬・食品事業が安定収益源として機能し、グループ全体の利益水準が維持・微増する。この場合、営業利益率やROEといった高水準の指標が崩れず、市場からは「高配当かつ高収益の優良株」として再評価されやすい。PERは20倍台前半から中盤を維持したまま、利益の積み上がりが株価に反映され5年後の株価は6,200円〜7,000円程度まで上昇する可能性がある。このシナリオでは、配当を受け取りながら緩やかな株価上昇も享受でき、トータルリターンは非常に良好となる。

中間のシナリオでは、国内化粧品市場は成熟した状態が続き、売上・利益ともに大きな成長は見込めないものの現状水準を概ね維持する展開を想定する。ノエビアの対面販売は一定の固定客に支えられ、セルフ化粧品や医薬・食品事業も安定推移するため営業利益率は17%前後、ROEも14%台を維持する。一方で、成長性の乏しさから市場評価は大きく切り上がらず、PERは20倍前後で落ち着きやすい。この場合、株価は4,000円〜5,200円程度のレンジで推移し、値上がり益は限定的となる。ただし、毎年5%前後の高配当を受け取れるため、インカムゲインを重視する投資家にとっては満足度の高いシナリオとなる。

悪い場合のシナリオでは、消費者の節約志向が強まり、高価格帯の基礎化粧品が想定以上に伸び悩む展開を想定する。対面販売モデルがコスト面で重荷となり、売上・利益ともにじわじわと圧迫される可能性がある。医薬・食品事業が下支えするものの、グループ全体の成長性への評価は低下し営業利益率やROEも緩やかに低下する。この場合、市場はこれまでの高収益体質に対する信頼を一部修正し、PERは18倍前後まで切り下がる可能性がある。結果として、株価は3,200円〜3,800円程度まで下落し、配当利回りはさらに高まるものの、含み損を抱えやすい展開となる。

総合すると、現在値4,580円は、ノエビアホールディングスの「高収益・高配当・安定事業」という特性をすでにある程度織り込んだ水準にある。大きな成長が実現すれば6,000円台後半への上昇余地はあるが、構造的に急成長する企業ではないため株価は配当と利益水準に沿って緩やかに動きやすい。一方で、配当利回り5%超という強い下支えがあるため、長期的には大きく崩れにくい銘柄とも言える。今後5年間の値動きは、現在の高収益体質をどこまで維持できるか、そして市場がその安定性にどの程度の評価倍率を与え続けるかが最大の分岐点となる。

この記事の最終更新日:2025年12月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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