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新日本製薬(4931)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

新日本製薬とは

新日本製薬は福岡県福岡市中央区に本社を置く化粧品・健康食品・医薬品の企画および販売を行う企業である。最大の特徴はオールインワン化粧品を主力とするファブレスメーカーであり、製造は外部委託としつつ商品企画、マーケティング、販売に経営資源を集中させた事業モデルを構築している点にある。主要な販路は通信販売でテレビCMやデジタル広告を活用したダイレクトマーケティングを通じて顧客を獲得し、定期購入による継続収益を重視している。

同社の中核ブランドは「パーフェクトワン」であり、スキンケアの手間を大幅に省けるオールインワンジェルとして高い知名度を持つ。モイスチャージェル、スーパーモイスチャージェル、薬用ホワイトニングジェル、リフティングジェルなど複数のラインアップを展開し年齢や肌悩みに応じた細かな商品設計を行っている。さらに、クレンジングリキッドやCCクリームなど基礎化粧品からベースメイクまでをカバーすることで、ブランド内でのクロスセルを図っている。オールインワン市場においてはトップクラスの存在感を持ち、特に中高年層を中心に固定ファンを獲得している。

販売チャネルは通販が中心だが全国の直営店や一部流通チャネルでの販売も行っており、顧客とのリアルな接点も確保している。直営店では商品体験やカウンセリングを通じてブランド理解を深める役割を担い、通販への送客やリピートにつなげる補完的な位置付けとなっている。物流面では福岡市内に物流センターを構え、通販事業に不可欠な迅速な配送体制を整えている。

健康食品分野では、機能性表示食品を含む商品群を展開している。「朝イチスッキリ!青汁サラダプラス」や「ロコアタックEX」「ルティンアイベリー」など、美容や健康、エイジングケアを意識した商品が中心で化粧品と併せた提案による顧客単価の向上を狙っている。これにより美容と健康を一体で捉える顧客ニーズに対応し、ライフタイムバリューの最大化を目指している。

医薬品分野では「ヨクイニン錠SH」や「システィーホワイトプラス+」「芍薬甘草湯エキス細粒SH」などを取り扱っており、一般用医薬品を通じて健康面からのアプローチも行っている。医薬品は売上規模としては化粧品ほど大きくないものの、ブランドの信頼性向上や事業の裾野拡大という点で一定の役割を果たしている。

国内拠点としては福岡本社のほかに東京都千代田区の東京オフィス、福岡市内の物流センターや吉塚オフィスがあり、商品企画、マーケティング、物流を一体的に管理する体制を構築している。ファブレスであるがゆえに固定資産負担は比較的軽く、広告投資や商品開発に柔軟に資金を振り向けられる点も事業上の特徴である。

総合すると新日本製薬は、オールインワン化粧品「パーフェクトワン」を核に通販主体のダイレクトマーケティングで成長してきた企業であり、化粧品、健康食品、医薬品を横断する美容・健康ビジネスを展開している。定期購入モデルによる安定収益とファブレスによる高い資本効率を背景に、成熟市場の中でも独自のポジションを築いている点がこの企業の本質的な強みと言える。

新日本製薬 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
EPS(円)
一株当り配当
DPS(円)
連21.9 33,899 3,424 3,414 2,317 107.5 32.5
連22.9 36,107 3,522 3,487 2,357 109.9 33
連23.9 37,653 3,754 3,721 2,394 111.4 33
連24.9 40,043 4,176 4,103 2,795 129.7 45
連25.9 41,140 4,782 4,887 2,554 120.5 52
連26.9予 45,000 5,000 5,020 3,400 160.8 57
連27.9予 49,000 5,600 5,600 3,700 175.0 57

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2023.9 3,468 -208 -2,101
2024.9 2,097 -382 -902
2025.9 4,690 -1,794 -2,098

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率
(%)
ROE
(%)
ROA
(%)
PER
(倍)
PBR
(倍)
2023.9 9.9 12.2 9.3
2024.9 10.4 12.8 10.2
2025.9 11.6 11.1 9.0 16.9(高)
12.2(安)
1.87

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず業績規模を見ると売上高は2024年9月期で約400億円、2025年9月期で約411億円、2026年9月期予想で約450億円と着実な増収基調が続いている。国内化粧品市場は成熟しているが、その中で毎期トップラインを伸ばしている点は評価でき通販主体・オールインワン化粧品という明確なポジションが機能していることが数字に表れている。

利益面では営業利益が2024年の約41億円から2025年に約47億円、2026年予想で約50億円と拡大しており、売上成長以上に利益が伸びている構図になっている。営業利益率は9.9%から10.4%、さらに11.6%へと一貫して改善しており、広告投資を行いながらも利益率を高めている点はビジネスモデルの効率性が高いことを示している。通販モデル特有の固定費レバレッジが効き始めている段階とも言える。

資本効率の面ではROEが12%前後、ROAが9〜10%台といずれも良好な水準を維持している。ファブレスモデルで設備負担が軽く、利益がそのまま資本効率に反映されやすい体質であることがこれらの指標から明確に読み取れる。化粧品銘柄の中でも、効率性はかなり高い部類に入る。

一方で評価面を見ると2025年の実績PERは安値平均で12倍台、高値平均でも16倍台と成長性と収益性を考慮すると比較的落ち着いた水準にある。PBRも約1.9倍で、ROE12%前後の企業としては過度な割高感はなく、市場は一定の成長を織り込みつつも過剰な期待までは付与していない状態といえる。

これらを総合すると、新日本製薬は売上・利益ともに安定した成長を続け、営業利益率は改善基調、ROE・ROAも高水準で事業の効率性と収益力のバランスが非常に良い企業である。一方で株価評価は控えめで、数字だけを見る限り成長企業でありながら過度に割高ではない位置にある。

結論としては、短期的な急騰を狙うタイプの銘柄ではないが業績成長、収益性、資本効率が着実に積み上がっていく構造にあり、中期的に企業価値の拡大が期待できる銘柄である。提示された数値だけで判断する限り、新日本製薬は安定成長型の優良通販・化粧品企業として成長と配当の両立を狙う投資家に向いた銘柄、という評価になる。

配当目的とかどうなの?

新日本製薬を配当目的という観点で見ると結論としては「配当目的としては可もなく不可もなく、どちらかといえば成長重視寄りの銘柄」という評価になる。予想配当利回りは2026年9月期、2027年9月期ともに2.81%とされており、日本株全体で見れば平均よりやや高い水準ではあるものの高配当株と呼べるほどではない。インカムゲインを主目的とする投資家にとっては、やや物足りなさを感じる利回り水準である。

業績とのバランスを見ると売上・営業利益ともに増加基調にあり、営業利益率は11%台まで改善している。ROEは11〜12%、ROAも9%前後と収益性や資本効率は良好で、配当の原資となる利益や営業キャッシュフローには十分な余力がある。実際、配当は45円から52円、さらに57円へと増配が続いており、株主還元姿勢自体は前向きである。

ただし、現状の配当利回りは3%を下回っており、配当水準そのものは「高配当」とは言い難い。配当性向を考えると、今後も緩やかな増配は期待できるものの急激に利回りが高まる局面は想定しにくい。会社としては、配当を最優先するというより、成長投資と株主還元をバランスさせるスタンスに近い。

また、評価面を見るとPERは10倍台後半、PBRは2倍弱と成長企業としては比較的落ち着いた水準にある。このため、配当利回りよりも今後の利益成長や株価上昇によるキャピタルゲインの比重が大きくなりやすい銘柄である。

総合すると、新日本製薬は安定した配当を受け取りつつ成長も期待できる「バランス型」の銘柄であり、純粋な配当目的で保有する銘柄というよりは成長と配当の両立を狙う投資家向けの位置付けになる。インカム重視で高利回りを求める投資家にはやや物足りない一方で、業績拡大と緩やかな増配を中長期で享受したい投資家には適した銘柄と言える。

今後の値動き予想!!(5年間)

新日本製薬の現在値は2,027.0円である。同社はオールインワン化粧品を中心としたファブレス・通販主体の化粧品メーカーで営業利益率・ROE・ROAなど収益性・効率性は高く、安定した利益成長が続いている。配当利回りは約2.8%と際立つ水準ではないものの、増配傾向が見られる。こうした前提を踏まえ、現在値2,027円を起点とした今後5年間の値動きの予想を、良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。

良い場合のシナリオでは、主力のオールインワン化粧品「パーフェクトワン」が市場で引き続き高い支持を受け定期購入モデルがさらに強化されることで、売上と利益が計画以上に伸びる展開を想定する。健康食品や機能性表示食品のポートフォリオが拡充し、既存顧客の購買単価と継続率が向上する。一貫して高い営業利益率(10%超)とROE(10%超)を維持しつつ、PERは市場全体の水準回復や美容・健康株への評価上昇を背景に15倍台前後まで上昇する。この場合、5年後の株価は2,800円〜3,400円程度まで上昇する可能性がある。配当2.8%前後に加えて株価上昇が見込めるため、トータルリターンは十分に魅力的になる。

中間のシナリオでは、日本国内の化粧品市場が成熟した状態で緩やかな成長にとどまり、同社の主力製品の売上・利益も安定的だが急伸しない想定となる。営業利益率は10%前後、ROE・ROAも現状維持〜微減の範囲内で推移し市場評価はPER12〜13倍程度に落ち着く。この場合、株価は1,800円〜2,300円程度のレンジで推移しやすい。値上がり益は限定的だが、堅実な事業基盤と安定した利益を背に、下値は比較的堅く、配当を受け取りながら保有する長期投資向けの展開となる。

悪い場合のシナリオでは、化粧品・健康食品市場の競争激化や消費者の支出抑制により、高付加価値商品・定期購入モデルの成長が鈍化する展開を想定する。営業利益率やROEが低下し、PERは10倍を下回るゾーンまで評価が低下する可能性がある。こうした場合、5年後の株価は1,300円〜1,700円程度まで下落するリスクがある。配当利回り自体は相対的に上昇するが、株価下落がトータルリターンを圧迫する可能性がある。

総合すると、現在値2,027円は、新日本製薬の安定成長性・収益性を一定程度織り込んだ水準である。良い場合は3,000円台前後までの上昇余地があり、中間シナリオでは現状近辺での推移が中心、悪い場合には1,300円台〜1,700円台への下押しリスクが意識される。今後5年間の値動きは、主力製品の支持継続と通販・定期購入モデルの成長度合い、そして市場全体が美容・健康株をどう評価するかが最大の分岐点となる銘柄である。

この記事の最終更新日:2025年12月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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