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I-ne(4933)の株価は割安?決算推移・配当・今後5年の株価予想

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株価

I-neとは

I-neは大阪市中央区に本社を置く、ヘアケア製品、美容家電、化粧品、健康食品関連商品の企画・開発・販売を行う企業で、東証プライム市場に上場している。もともとはファブレス型のメーカーとして、商品企画やブランディング、マーケティングに強みを持ち、製造は外部委託とする軽量な事業構造を特徴としている。

事業の中核を担っているのはヘアケアと美容家電である。ヘアケア分野では「BOTANIST」「YOLU」が主力ブランドとなっており、BOTANISTは植物由来成分を前面に打ち出したナチュラル志向のヘアケアとして高い認知度を持つ。一方、YOLUは夜のヘアケアや睡眠時間の美容価値に着目したコンセプトで支持を拡大しており、比較的新しいブランドながら存在感を高めている。これらに加えて「DROAS」など複数のヘアケアブランドを展開し、価格帯や機能、世界観の異なる商品群で市場を広くカバーしている。

美容家電分野では「SALONIA」が収益の大きな柱となっている。ストレートアイロンやドライヤーなどの定番商品を中心に、手頃な価格帯とシンプルなデザイン性を武器にヒット商品を生み出してきた。ヘアケア製品と美容家電を同時に展開している点は同社の大きな特徴で、両分野の相乗効果によってブランド力と売場での存在感を高めている。

販売チャネルはドラッグストアや量販店などの実店舗に加え、ECを活用したオンライン販売も重視しており、オフラインとオンラインを組み合わせた展開を行っている。2023年には、ドラッグストアにおけるシャンプー・リンスカテゴリーで単月のメーカー別販売金額シェア1位を獲得するなど、店頭での競争力も実証されている。

近年は、次の成長の柱として化粧品事業の育成に力を入れている。スキンケアブランド「WrinkFade」などを展開し、これまでヘアケアや美容家電で獲得してきた顧客基盤を活かしながら、美容領域全体での事業拡大を狙っている。2023年に発表された中期経営計画でも、既存の主力事業の安定成長に加え、化粧品分野を中長期的な成長ドライバーとして位置付けている点が特徴である。

拠点としては、大阪本社を中心に、東京支店、福岡営業所を構え、全国規模で営業・マーケティング活動を行っている。国内市場を主戦場としつつ、将来的な海外展開も視野に入れたブランドづくりを進めている。

総合すると、I-neはヘアケア「BOTANIST」「YOLU」と美容家電「SALONIA」を収益の両輪としながら、化粧品を次の柱として育成中の成長企業である。強い商品企画力とブランディング力、ドラッグストアとECの両面を活かした販売戦略によって、競争の激しい美容市場の中でも独自のポジションを築いている企業と言える。

I-ne 公式サイトはこちら

直近の業績・指標

決算期 売上高
(百万円)
営業利益
(百万円)
経常利益
(百万円)
純利益
(百万円)
一株益
EPS(円)
一株当り配当
DPS(円)
連22.12 35,269 3,235 3,469 1,927 110.2 0
連23.12 41,643 4,379 4,337 3,954 224.4 13
連24.12 45,006 4,583 4,621 2,938 167.0 13
連25.12予 50,000 3,940 3,900 2,700 154.3 15
連26.12予 54,000 4,320 4,320 2,700 154.3 15

出典元:四季報オンライン

キャッシュフロー

決算期 営業CF
(百万円)
投資CF
(百万円)
財務CF
(百万円)
2022.12 1,235 -1,973 -666
2023.12 1,236 2,483 -156
2024.12 38 -10,360 9,234

出典元:四季報オンライン

バリュエーション

年度 営業利益率
(%)
ROE
(%)
ROA
(%)
PER
(倍)
PBR
(倍)
2023.12 10.5 27.6 17.2
2024.12 10.1 17.8 8.3 20.5(高)
9.5(安)
1.33
2025.12 7.8 16.4 7.6 8.74(予)

出典元:四季報オンライン

投資判断

まず事業規模を見ると、売上高は2023年12月期で約416億円、2024年で約450億円、2025年予想では約500億円と拡大が続いている。トップラインの成長は明確で、ヘアケアや美容家電を中心とした主力事業が引き続き市場で支持されていることが数字に表れている。一方で、売上の伸びに対して利益の動きはやや不安定になっている。

営業利益は2023年の約43億円から2024年には約45億円へ増加したものの、2025年予想では約39億円へ減少する見通しとなっている。純利益も2023年の約39億円から2024年は約29億円、2025年予想では約27億円と減少しており、成長投資やコスト増を優先した局面に入っていることが読み取れる。営業利益率も10.5%から10.1%、さらに7.8%へと低下しており、短期的には収益性が調整フェーズにある。

資本効率の面では、2023年のROE27.6%、ROA17.2%は非常に高水準で、ビジネスモデルの効率性が際立っていた。その後、2024年はROE17.8%、ROA8.3%、2025年予想ではROE16.4%、ROA7.6%と低下しているが、それでも市場平均と比べれば依然として高い水準にある。2023年がやや出来過ぎで、足元はより現実的な水準へと落ち着いてきていると見ることもできる。

評価面を見ると、2024年実績PERは高値平均で20倍台、安値平均では10倍を下回る水準まで売られており、株価の振れ幅が大きかったことが分かる。2025年予想PERは8倍台とされており、成長企業としてはかなり低い評価が付けられている。PBRも1.3倍程度で、ROE水準を考えると市場は利益成長の鈍化を強く織り込んでいる状態といえる。

これらを総合すると、I-neは売上成長力は依然として高いものの、短期的には利益率低下と利益減少が避けられず、成長の踊り場にある企業である。数字だけを見る限り、現在の株価評価は業績の先行きに対してかなり慎重で、強気な期待はほとんど織り込まれていない。

結論としては、短期的な安定性や右肩上がりの利益成長を求める投資には向きにくい一方で、利益率の底打ちや新たな成長ドライバーが見えてくれば、大きな評価修正が起こり得る局面にある銘柄といえる。数字だけで判断するなら、I-neはリスクはあるが、その分リターン余地も残された成長株という位置付けになる。

配当目的とかどうなの?

I-neを配当目的という観点で見ると結論としては「配当目的には向かず、完全に成長株寄りの銘柄」という評価になる。予想配当利回りは2025年12月期、2026年12月期ともに1.12%と低く、日本株全体の平均配当利回りと比べても明確に見劣りする水準である。インカムゲインを重視する投資家にとっては、実質的に配当の魅力はほとんどないと言ってよい。

業績とのバランスを見ても、同社は売上規模を拡大する一方で足元では営業利益率や純利益が低下する局面にあり、配当を積極的に増やすフェーズではないことが数字から読み取れる。実際、配当額もまだ小さく、株主還元よりも成長投資やブランド育成を優先している企業姿勢がはっきりしている。

また、キャッシュフローを見ると年によっては大きな投資や財務キャッシュフローの変動があり、安定配当を継続するというより成長に応じて柔軟に資金を使う企業であることが分かる。配当を「もらい続ける前提」で保有するタイプの銘柄ではない。

総合すると、I-neは配当目的で買う銘柄ではなく、配当はあくまでおまけ程度の位置付けである。投資の主眼はヘアケアや美容家電、将来の化粧品事業の成長による株価上昇、つまりキャピタルゲインに置くべき銘柄だと言える。高配当や安定配当を狙う投資家には不向きだが、成長ストーリーに賭ける投資家にとっては配当よりも株価の伸びが本命となるタイプの企業である。

今後の値動き予想!!(5年間)

I-neの現在値は1,328.0円である。同社はヘアケアブランド「BOTANIST」「YOLU」や美容家電「SALONIA」を主力に、通信販売と店舗販売を組み合わせたビューティ事業を展開している。売上は成長基調にある一方、営業利益率やROE・ROAは2025年頃にやや低下する見通しとなっており短期的には利益水準が調整局面にある。配当利回りは1%台にとどまり、成長株としての評価が中心の銘柄である。この前提を踏まえ、現在値1,328円を起点に今後5年間の株価の値動き予想(良い場合・中間・悪い場合)を整理する。

良い場合のシナリオでは、主力ブランドのヘアケア製品や美容家電が引き続き市場で支持を拡大し、特にBOTANISTやYOLUが新たな顧客層を取り込むまたは海外市場での販売が成功する展開を想定する。化粧品など次の成長エンジンの売上寄与が進み、営業利益率も再び改善に向かうと投資家評価が戻りPERが過去平均レンジまで上昇しやすくなる。この場合、成長期待が高まり、5年後の株価は2,000円~2,600円程度まで上昇する可能性がある。利益改善とブランド評価の向上が株価上昇を支える好シナリオである。

中間のシナリオでは、既存事業は安定的に推移するものの、利益率改善や成長加速は限定的な展開となる。通販主体の販売は堅調でも、利益率低下が一時的に収まる程度で大きな改善材料は出てこない。市場評価はPER10倍前後で安定し、株価は1,200円~1,500円程度のレンジで推移すると予想される。収益力はあるものの市場評価が大きく変わらないため、株価の変動は緩やかで推移しやすい。

悪い場合のシナリオでは、競合激化やマーケティング費用増、主要ブランドの失速などが重なり、営業利益率の低下が続いたり純利益が想定を下回る展開を想定する。その結果、ROE・ROAの低下が鮮明となり、評価倍率(PER)がさらに縮小して市場評価が冷え込む可能性がある。この場合、株価は800円~1,100円程度まで下落し、配当利回りは相対的に改善してもトータルリターンでは低調な値動きとなるリスクがある。

総合すると、I-neは主力事業のブランド力と成長性を評価する一方、利益率の変動や評価倍率の低下リスクも内包する銘柄である。良い場合は国内外でのブランド成長が株価を大きく押し上げる可能性があり、中間シナリオでは現状レンジでの堅調推移、悪い場合は利益鈍化に伴う評価低下で株価が下押しされる展開となる。今後5年間の株価は、収益改善の度合いと市場評価の変化が最大の分岐点となる銘柄である。

この記事の最終更新日:2025年12月30日

※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。


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