株価
アキレスとは

アキレスはゴム・プラスチック・ウレタンといった高分子素材の加工技術を基盤に、消費者向け製品と産業向け資材の両分野で事業を展開する多角型メーカーである。運動靴メーカーとしての知名度が高い一方で、実態としては素材・部材メーカーとしての色合いが強く履物事業と産業資材事業のバランスによって事業の安定性を確保している企業である。
消費財分野では学童靴「瞬足」が象徴的な存在となっている。左右非対称ソールという独自の発想で運動会や校庭での走行を意識した機能性を前面に出し、子ども向け運動靴市場で圧倒的な認知度を獲得した。単なる一過性のヒットにとどまらずブランドとして長期間定着しており、文房具などへのライセンス展開やゲーム化まで行われた点からもアキレスのブランド構築力を示す事例と言える。瞬足以外にも履き心地や歩行時の負担軽減を重視したACHILLES SORBO、作業現場向けのワークマスター、各種キャラクターシューズなどを展開しており、履物事業は価格帯や用途の幅が広い。
ただし、アキレスはシューズ専業企業ではなく、履物事業は全体の一部に過ぎない。産業資材分野では自動車内装材、合成皮革、プラスチックフィルム、農業用被覆資材、新建材など、多岐にわたる製品群を持つ。特に車両内装材や合成皮革分野では耐久性や加工性、軽量性といった機能面が評価され自動車関連分野の部材供給を通じて安定した需要を確保している。景気循環の影響は受けるものの、完成車メーカーとの長期取引や仕様対応力が事業の下支えとなっている。
プラスチックフィルムや農業用資材の分野では農業用ビニールや被覆材、ポリオレフィンフィルムなどを展開しており、農業現場の省力化や生産性向上に寄与している。これらは派手な成長分野ではないが、安定需要が見込める分野であり履物事業の季節変動や流行リスクを補完する役割を果たしている。さらに、新建材や建築関連資材、断熱・緩衝用途の素材なども扱っており住宅・建築分野との接点も持つ。
アキレスの強みは単一製品の競争力というよりも、ゴム・ウレタン・樹脂といった素材を用途ごとに最適化する加工・配合技術にある。消費財向けでは履き心地や軽量性、産業用途では耐久性や安全性といった異なる要求に対応できる点が、多角展開を可能にしている。関連会社を通じて、発泡素材、フィルム加工、地域別生産体制を整えている点も柔軟な供給体制につながっている。
企業の性格としては高成長や急拡大を狙うタイプではなく、既存市場でのシェア維持と用途拡張を通じて安定収益を積み重ねていくスタイルに近い。瞬足のようなヒット商品を持ちながらも、それに依存し過ぎず産業資材という地味だが継続性の高い事業を併せ持っている点がアキレスの事業構造の特徴である。
総合すると、アキレスは運動靴メーカーとしてのイメージが先行しがちだが、実際には素材加工技術を核に消費財と産業資材を両立させた中堅メーカーである。学童靴や作業靴といった生活に身近な製品から、自動車内装材や農業資材まで幅広く関わっており派手さはないものの用途分散による安定性と長期的な事業継続力を重視する企業と言える。
アキレス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 73,617 | 1,569 | 2,080 | 3,215 | 204.7 | 50特 |
| 連22.3 | 75,953 | 855 | 1,595 | 1,525 | 97.1 | 40 |
| 連23.3 | 82,917 | -713 | -117 | -1,204 | -78.2 | 40 |
| 連24.3 | 78,607 | -958 | -171 | -8,210 | -560.3 | 20 |
| 連25.3 | 79,093 | -436 | -220 | 427 | 30.7 | 20 |
| 連26.3予 | 81,000 | 2,000 | 1,950 | 1,550 | 113.4 | 30 |
| 連27.3予 | 84,000 | 2,200 | 2,150 | 1,650 | 120.7 | 30〜32 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | -1,072 | -4,484 | 4,547 |
| 2024 | 1,878 | -3,793 | 1,758 |
| 2025 | 2,686 | -1,918 | -1,246 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | -0.9 | -2.7 | -1.4 | — | — |
| 2024 | -1.3 | -20.8 | -10.0 | — | — |
| 2025 | -0.6 | 1.0 | 0.5 | — | 0.49 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の推移を見る。連24.3は売上高786.0億円、営業利益-9.6億円、経常利益-1.7億円、純利益-82.1億円と大幅な最終赤字に陥っている。売上規模は維持されているものの、本業赤字に加えて一過性要因も含めた損失計上により、企業体力を大きく消耗した年だったことが分かる。連25.3は売上高790.9億円、営業利益-4.4億円、経常利益-2.2億円と依然として本業は赤字だが、純利益は4.3億円と黒字に転じている。最悪期は脱したものの、利益構造そのものが改善したというより、損失の反動減や要因剥落による回復色が強い。連26.3予では売上高810.0億円、営業利益20.0億円、経常利益19.5億円、純利益15.5億円が見込まれており、ここで初めて本業ベースでの黒字定着が想定されている。
収益性を見ると、営業利益率は23年-0.9%、24年-1.3%、25年-0.6%と3期連続でマイナス圏にあり、本業の稼ぐ力は明確に弱い。ROEは-2.7%、-20.8%、1.0%、ROAは-1.4%、-10.0%、0.5%と、24年の資本効率悪化が極端で、25年にかけてようやく底打ちした水準にすぎない。26年予で利益が出たとしても、ROE・ROAが投資対象として十分な水準に回復するかは未知数である。
バリュエーション面では、25年は利益水準が安定していないためPERは算出されておらず、利益基準での評価はできない。一方でPBRは0.49倍と、解散価値に近い水準まで売られている。市場は、過去の赤字と低い資本効率を重く見ており、回復をほとんど織り込んでいない状態と考えられる。
以上を総合すると、アキレスは売上規模800億円前後を維持しつつも、23〜24年に深刻な赤字局面を経験し、25年で底打ち、26年以降に本業黒字への回復を目指す段階にある。現時点の営業利益率・ROE・ROAはいずれも低水準で、安定収益企業として評価できる状態ではない。一方でPBR0.5倍という評価は、業績回復が前提となるなら大きな割安感を内包している。
投資判断としては、この銘柄は高配当や安定性を期待して保有するタイプではなく、26.3予で示されている黒字回復が実現・定着するかどうかに賭ける回復期待型の投資対象である。提示された数値だけで判断すれば、リスクは高いが、回復が進めば評価修正余地も大きい。一方、回復が遅れれば低PBRのまま長期停滞する可能性もあり、慎重な見極めが必要な局面と結論づけられる。
配当目的とかどうなの?
まず前提となる配当水準を見ると、連26.3・連27.3ともに予想配当利回りは2.07%とされている。水準としては一般的な高配当株と呼ばれる3~4%以上には届かず、インカム狙いとしてはやや物足りない水準である。
これまでの業績推移を踏まえると23~24年は営業赤字が続き、24年には最終赤字が大きく拡大した。25年に最終黒字へ転じ、26年予でようやく営業・経常・純利益が揃って黒字化する見通しとなっているが、営業利益率は依然として低くROEも1%前後と配当を安定的に増やせるだけの収益力には達していない。
配当利回り2.07%という数字は利益回復を優先しつつ最低限の株主還元を行う「再建途上型」の水準と考えられる。過去の赤字局面を考えれば無配や大幅減配にならないだけ評価できる面はあるが、配当の持続性・成長性という観点では不確実性が大きい。PBRが0.5倍前後と低いことから資産価値に対して配当余力が大きく見えるように感じられるものの、実際には利益創出力が伴っていないため配当を積極的に引き上げられる段階ではない。
以上を踏まえた結論として、アキレスは配当目的の銘柄としては適合度が低い。利回りは平均以下で業績の安定性もまだ十分ではなく、増配期待を前提に長期保有するタイプではない。一方で、業績回復が進めば将来的に配当余力が高まる可能性はあるため、配当はあくまで「おまけ」と割り切り回復局面への投資を主目的とする場合に限って検討余地がある、という位置づけになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
アキレスについて現在値1,446.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像としてアキレスは高成長株ではなく、シューズや産業資材を中心とした成熟企業である一方、直近数年は業績悪化によって評価を大きく落とした回復途上の企業である。売上規模自体は大きく崩れていないが、営業赤字が続いたことで収益性と資本効率が低下し市場ではPBR0.5倍という極めて慎重な評価が付いている。株価評価の軸は成長期待ではなく、業績が本当に立ち直るかどうかという一点に集約されている。
良い場合のシナリオでは、連26.3予で示されている営業利益20億円、純利益15億円規模の黒字化が計画通り実現し、その後も黒字が定着する。営業利益率は1%台ながらもプラス圏で安定し、ROEも2〜3%程度まで徐々に改善する。この段階になると市場は最悪期を完全に脱したと判断し、極端なディスカウント評価が修正される。PBRは0.8倍から1.0倍程度まで切り上がりPERも10倍前後が意識されるようになる。この場合、EPS水準を前提に株価は2,000円前後、状況が良ければ2,200円程度まで評価される可能性がある。配当利回りは2%前後と高くはないが黒字と配当維持が確認されることで下値不安が後退し、回復局面らしい緩やかな上昇が続く展開となる。
中間のシナリオでは、業績は赤字から脱するものの利益水準は小幅にとどまり、営業利益率は1%未満、ROEも1%前後で伸び悩む。売上高は800億円前後で横ばい推移となり、事業構造の大きな改善は見られない。この場合、市場評価も慎重なままで、PBRは0.5〜0.7倍、PERは算出可能になっても低位に抑えられる。株価は1,200円から1,700円程度のレンジで推移しやすく、5年間で見れば値上がり益は限定的になる。配当利回り2%前後が下値を支えるが、強い上昇トレンドにはなりにくい。
悪い場合のシナリオでは、黒字化が一時的に終わる、あるいは再び赤字に戻るなど回復が不安定な状態が続く。営業利益率は再びマイナス圏に沈み、ROE・ROAも低迷する。この場合、市場の信頼は回復せず、PBRは0.4倍前後まで低下する可能性がある。収益改善が見えないままではPERによる評価も難しく株価は1,000円前後、地合い次第では900円台まで下落するリスクがある。配当利回りは見かけ上上昇するが業績次第では減配懸念も意識され下値の支えとしては弱くなる。
総合するとアキレスの5年間の値動きはオカモトのような安定成熟企業というより、業績回復が実現するかどうかで評価が大きく分かれる回復初期型の展開が想定される。良い場合で2,000円から2,200円程度、中間では1,200〜1,700円、悪い場合には900円前後までの調整もあり得るイメージである。現在値1,446円はすでに相当程度の悲観を織り込んだ水準であり、今後5年間は安定配当を期待して保有する銘柄というよりも黒字定着を見極めながら付き合う回復期待型の銘柄としての性格が強いと考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す