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インフロニア・ホールディングスとは

インフロニア・ホールディングス株式会社は前田建設工業、前田道路、前田製作所の三社が共同で設立した持株会社であり、建設業を起点としながらインフラの企画、建設、運営、維持管理までを一体で手掛ける総合インフラサービス企業である。本社は東京都千代田区に置き、日経平均株価およびJPX日経インデックス400の構成銘柄にも採用されている。
同社の成り立ちは前田建設工業を中核とする前田グループの再編と統合の流れの中にある。前田建設工業は従来から前田製作所を連結子会社としていたが、2020年3月に関連会社であった前田道路を株式公開買付けにより連結子会社化した。その後、建設業界を取り巻く環境が大きく変化する中で単独企業の枠を超えた経営体制の必要性が高まり、2021年2月に前田建設工業、前田道路、前田製作所の三社が共同株式移転による経営統合で基本合意に至った。2021年10月1日に株式移転が実施され、インフロニア・ホールディングスが設立されている。
社名であるインフロニアはインフラ、革新、先駆者、技術者、開拓者といった意味を持つ言葉を組み合わせた造語であり従来型の建設会社から脱却し、インフラ分野における新たな価値創造を担う存在を目指す姿勢が込められている。実際に、同社は単なる建設請負を主とする企業ではなく、インフラのライフサイクル全体に関与することを基本的な事業思想としている。
グループ構成としては前田建設工業株式会社、前田道路株式会社、株式会社前田製作所に加え、再生可能エネルギー分野で実績を持つ日本風力開発株式会社、準大手ゼネコンの一角である三井住友建設株式会社を傘下に持つ。これにより、土木・建築、道路舗装、建設機械、インフラ運営、再生可能エネルギーといった分野を幅広くカバーする体制を構築している点が大きな特徴となっている。
事業内容はインフラの企画提案、設計、建設、運営・維持管理までを一気通貫で提供する総合インフラサービスを中核としている。前田建設工業や三井住友建設が担う土木・建築工事、前田道路による舗装事業、前田製作所による建設機械の製造・販売といった従来型の建設関連事業に加え、官民連携によるインフラ運営事業や再生可能エネルギー事業にも注力している。特にPPPやPFIといった官民連携スキームを活用しインフラ完成後の運営や維持管理まで関与することで、単発の工事収益に依存しないストック型収益の拡大を図っている。
背景には少子高齢化の進行に伴う自治体の財源不足や担い手不足、全国的に進むインフラ老朽化といった構造的な社会課題がある。従来のように「つくる」「たてる」だけでは、持続的なインフラ維持が困難になる中でインフロニアグループはインフラの事業企画段階から関与し、維持管理や運営まで責任を持つ体制を強みとしている。これにより、社会インフラの安全性や利便性を長期にわたって支える役割を担うことを目指している。
また、日本風力開発を傘下に持つことで再生可能エネルギー分野にも本格的に関与しており、風力発電を中心としたエネルギー事業を通じて脱炭素社会への対応も進めている。建設、運営、エネルギーという複数の事業領域を組み合わせることで、公共性の高いインフラ分野において安定性と成長性の両立を図る事業モデルを構築している点がインフロニア・ホールディングスの特徴と言える。
総じてインフロニア・ホールディングスは前田グループを起点とした建設会社の枠を超え、インフラの企画から運営までを包括的に担う総合インフラサービス企業として位置づけられている。成熟した国内建設市場の中で長期的なインフラ需要と社会課題の解決を事業機会と捉え、安定的な収益基盤の構築を目指す企業グループである。
インフロニア・ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.3 | 682,912 | 37,489 | 38,036 | 26,689 | 94.7 | 40 |
| 連23.3 | 709,641 | 40,495 | 41,768 | 35,870 | 138.4 | 55 |
| ◇24.3 | 793,264 | 51,060 | 49,439 | 32,571 | 130.5 | 60 |
| ◇25.3 | 847,548 | 47,148 | 49,756 | 32,416 | 124.2 | 60 |
| ◇26.3予 | 1,133,000 | 71,500 | 82,400 | 55,400 | 203.2 | 85 |
| ◇27.3予 | 1,353,000 | 74,200 | 75,200 | 50,500 | 185.3 | 85 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 70,954 | -5,293 | -56,384 |
| 2024 | 38,916 | -279,254 | 261,316 |
| 2025 | 39,604 | -27,500 | -4,882 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER 実績レンジ (倍) |
PBR 実績 (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.7 | 10.1 | 3.8 | — | — |
| 2024 | 6.4 | 8.1 | 2.3 | — | — |
| 2025 | 5.5 | 6.2 | 2.2 | 7.7〜10.9 | 1.21 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模と推移を見ると連24.3は売上高7,932億円、営業利益510億円、経常利益494億円、純利益325億円と国内の建設・インフラ関連企業としては非常に大きな事業規模を持つ。連25.3は売上高8,475億円と増収している一方、営業利益は471億円とやや減少し、純利益も324億円とほぼ横ばいで利益成長はいったん足踏みしている。連26.3予では売上高1.13兆円、営業利益715億円、経常利益824億円、純利益554億円とされており売上規模が明確に1兆円を超え、規模拡大と利益成長が同時に進む計画となっている。
次に収益性を見ると営業利益率は2023年5.7%、2024年6.4%、2025年5.5%と、6%前後で安定している。高収益体質とは言えないもののインフラ・建設業としては無理のない水準であり、急激な悪化も見られない。一方で、明確な改善トレンドがあるわけではなく、利益率の上昇を材料に株価が大きく評価されるタイプではない。
資本効率を見るとROEは10.1%から8.1%、6.2%へと低下傾向にあり、ROAも3.8%から2.3%、2.2%へと下がっている。事業規模の拡大や資産増加に対して、利益の伸びがやや追いついていない状態である。ただし、ROE6%台はインフラ関連企業としては許容範囲であり、致命的に低い水準ではない。
バリュエーションを見ると2025年の実績PERは7.7倍から10.9倍のレンジと低位にあり、市場はこの銘柄を高成長株ではなく成熟した安定収益型企業として評価していることが分かる。PBRは1.2倍で、ROE6.2%との組み合わせを考えると、割高感も割安感も強くない妥当な評価水準にある。
以上を総合するとインフロニア・ホールディングスは売上・利益規模が非常に大きく、営業利益率も安定しており連26.3予では売上高1兆円超という大きな節目を迎える一方、ROE・ROAは低下傾向にあり、資本効率の面で強い成長ストーリーを描ける状況ではない。そのためPERは低位に抑えられ、PBRも1倍台にとどまっている。
投資判断としては、この銘柄は高成長を狙うタイプではなくインフラ需要を背景にした安定成長・大型株としての位置づけが妥当である。連26.3予の増益が計画通り進めば現在のPER水準には一定の割安感が出る可能性はあるが、ROEが再び上向かない限り評価倍率が大きく切り上がる展開は想定しにくい。結論として、インフロニア・ホールディングスは数字上下振れしにくい堅実型の銘柄であり、大きな値上がりを狙うよりも安定性を重視する中長期向けの投資対象と判断する。
配当目的とかどうなの?
まず水準を見ると予想配当利回りは連26.3で3.97%、連27.3でも3.97%と4%近い水準にあり、配当目的としては十分に合格ラインにある。建設・インフラ系の大型株としては比較的高めの利回りであり、インカム狙いの投資家にとっては目に留まりやすい水準と言える。
次に配当の裏付けとなる利益規模を見ると連26.3予では純利益が554億円と大きく、配当原資に余裕がある。これまでの実績でも一株配当は40円、55円、60円と段階的に引き上げられており、直近予想では85円と高水準が示されている。利益規模と照らし合わせる限り、無理に配当を出している印象はなく一定の持続性は期待できる。
収益性の面では営業利益率は5%台で安定しており、景気循環の影響を受けやすい業種ではあるものの極端に利益が崩れやすい体質ではない。ROEは低下傾向とはいえ6%台を維持しており、配当を継続する最低限の資本効率は確保されている。この点からも、配当が短期的に維持不能になるリスクは高くない。
一方で注意点もある。ROEやROAが低下傾向にあることから配当を大きく増やしていく余地は限定的であり、今後は「増配を楽しむ銘柄」というより「高水準配当を維持する銘柄」という位置づけになりやすい。また、建設・インフラ事業は景気や公共投資の影響を受けるため、業績が大きく悪化した局面では減配リスクがゼロとは言えない。
総合すると、インフロニア・ホールディングスは配当目的には比較的向いている銘柄と判断できる。利回りは約4%と十分で、利益規模にも裏付けがあり、短期的な配当維持の安心感は高い。一方で、将来的な大幅増配や配当成長を期待するタイプではなく、「高すぎないリスクで安定した配当を受け取りたい」という投資スタンスに適した銘柄と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
インフロニア・ホールディングスについて現在値2,138.0円を起点に今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。前提として、これまでに確認してきた売上・利益規模、営業利益率5%台、ROE6%台、PER7.7〜10.9倍、PBR1.2倍前後、配当利回り約4%という数値だけを基に考える。
まず全体像として、インフロニア・ホールディングスは高成長株というより、インフラ需要を背景にした大型・安定収益株であり株価評価の軸は成長期待よりも業績の安定性と配当利回りに置かれている。PERが1桁台から10倍前後にとどまっている点やPBRが1倍台にある点からも、市場はすでに成熟企業として冷静に評価している状況にある。そのため、株価の大きな上昇には利益水準の切り上がりや資本効率の改善が必要になる一方、配当利回りの高さが下値を支える構造になっている。
良い場合のシナリオでは、連26.3予で示されている売上高1.13兆円規模への拡大と営業利益715億円、純利益554億円といった大幅増益が計画通りに実現し、その後も高水準の利益を維持できる。営業利益率は5%台後半から6%台で安定しROEも6%台で下げ止まり、資本効率の悪化懸念が後退する。この場合、市場は同社を安定配当を出せる大型インフラ株として再評価し、PERは現在の下限水準から一段切り上がる可能性がある。PER10〜12倍程度が許容されるようになれば、EPS水準を前提に株価は2,500円台、状況次第では3,000円前後まで評価される余地が出てくる。配当利回りは3%台後半から4%程度を維持しながら株価が上昇するため、インカムとキャピタルの両面で満足度の高い5年間になる可能性がある。
中間のシナリオでは、連26.3予の増益は実現するものの、その後は業績が横ばいに近い推移となる。営業利益率は5%台前半で安定しROEも6%前後で推移するが、明確な改善トレンドは出ない。市場評価も大きく変わらず、PERは7〜10倍程度、PBRも1倍前後から1.2倍程度にとどまる。この場合、株価は配当利回り約4%を意識した水準で推移しやすく、2,000円前後から2,400円程度のレンジ相場になりやすい。5年間で見れば株価の大幅な上昇は期待しにくいが、配当を積み上げることでトータルリターンを確保する、保守的な保有スタイルに適した展開となる。
悪い場合のシナリオでは、連26.3予の業績が計画未達となる、あるいはその後に公共投資の鈍化やコスト上昇などで利益が縮小する。営業利益率が5%を割り込みROEも5%未満まで低下すると、市場からは資本効率の低い成熟企業として一段と厳しい評価を受けやすくなる。この場合、PERは安値レンジである7倍前後、あるいはそれ以下に固定されPBRも1倍近辺まで低下する可能性がある。EPSが伸び悩めば株価は1,600円から1,800円程度まで下落するリスクがあり、地合いが悪い局面では一時的に1,500円台を付ける可能性も否定できない。ただし、配当利回りは5%前後まで上昇するため、完全な下落トレンドというよりは高配当を理由に下値が固まりやすい展開になると考えられる。
総合すると、インフロニア・ホールディングスの5年間の値動きは成長株のように何倍にもなるタイプではなく、業績と配当の安定度合いに応じて評価が上下する大型インフラ株らしい動きになる可能性が高い。良い場合で2,500円から3,000円程度、中間では2,000円前後から2,400円程度のレンジ、悪い場合でも1,600円前後までの調整にとどまるイメージである。現在値2,138円はすでに一定の配当価値を織り込んだ水準であり、今後5年間は大きな夢を見る銘柄というより配当を受け取りながら安定的に付き合う銘柄としての性格が強いと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月2日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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