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アジアパイルホールディングスとは

ジャパンパイルホールディングス株式会社は、東京都中央区日本橋箱崎町に本社を置く、基礎工事分野に特化した持株会社である。グループの中核事業会社であるジャパンパイル株式会社を中心に、建築・土木分野における杭基礎工事を主軸とした事業を展開しており、コンクリートパイルの製造・施工においては国内トップクラス、実質的には業界を代表する存在といえる。
同社グループの最大の特徴は、杭基礎に関する対応範囲の広さと一貫体制にある。建築基礎で用いられる杭には、既製コンクリート杭、場所打ち杭、鋼管杭という大きく三つの工法が存在するが、ジャパンパイルはこれらすべてを自社グループ内で扱うことができる数少ない総合基礎建設会社である。特定の工法に依存せず、地盤条件や建物用途、コストや工期を総合的に勘案した最適な基礎設計を提案できる点は、設計事務所やゼネコンからの信頼が厚い理由の一つとなっている。
また、単なる杭メーカーにとどまらず、設計段階から製造、施工、品質管理までを一貫して請け負う体制を構築している点も大きな強みである。日本の地盤は地域差が大きく、軟弱地盤や複雑な地層構造を抱える場所も多いが、同社は長年の施工実績を通じて蓄積してきた地盤データや解析ノウハウを活かし、基礎設計の初期段階からプロジェクトに関与することができる。この総合力が、施工トラブルの抑制や工期短縮、品質の安定につながっている。
ジャパンパイルグループの歴史は約1世紀に及び、日本の都市化や社会インフラ整備とともに成長してきた。住宅、オフィスビル、商業施設、物流施設、工場、発電所、公共インフラなど、施工実績は幅広く、景気循環や建設需要の変動を受けつつも、基礎工事という必須工程を担う事業特性から、一定の安定性を持つ事業構造となっている。
近年では、建設業界全体が直面している人手不足や高齢化への対応として、施工の省力化や効率化にも力を入れている。プレキャスト化の推進や施工機械の高度化、設計段階での最適化による現場負担の軽減など、基礎工事の生産性向上に向けた取り組みを進めている点も特徴である。また、安全性や品質管理への要求が年々高まる中で、長年培った技術基準や管理体制が競争力の源泉となっている。
持株会社体制に移行して以降は、ジャパンパイルホールディングスがグループ全体の経営戦略や資本政策、人材育成を統括し、事業会社は現場力と技術力の強化に集中する体制を取っている。これにより、環境変化への対応力や意思決定のスピードを高め、長期的な事業基盤の強化を図っている。
総合的に見ると、ジャパンパイルホールディングスは、派手な成長ストーリーを描く企業ではないものの、日本の建設・インフラを根底から支える基礎工事分野において、技術力、実績、対応力のいずれも高水準にある専門性の高い企業グループである。設計から施工までを一貫して担える総合力と、約100年にわたる歴史に裏付けられた信頼性を背景に、今後も安定的に社会インフラを支える存在であり続ける性格の強い企業といえる。
アジアパイルホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 87,192 | 3,340 | 3,081 | 2,437 | 64.0 | 20 |
| 22.3 | 93,176 | 2,184 | 2,169 | 1,494 | 39.2 | 20 |
| 23.3 | 110,245 | 6,283 | 5,844 | 4,130 | 108.4 | 30記 |
| 24.3 | 103,151 | 7,016 | 6,247 | 3,821 | 100.3 | 40 |
| 25.3 | 100,803 | 4,333 | 3,872 | 2,346 | 61.6 | 45 |
| 26.3予 | 115,000 | 10,000 | 10,000 | 6,300 | 165.4 | 50 |
| 27.3予 | 115,000 | 10,500 | 10,500 | 6,200 | 162.8 | 50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 7,549 | -4,895 | 2,948 |
| 24.3 | 4,241 | -3,948 | -3,960 |
| 25.3 | 4,671 | -2,405 | 1,110 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 5.6 | 10.0 | 4.1 | ― | ― |
| 24.3 | 6.8 | 8.4 | 4.0 | ― | ― |
| 25.3 | 4.2 | 5.1 | 2.4 | 7.3〜11.0 | 1.09 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の水準感を見ると、連24.3は売上高約1,031億円、営業利益約70億円、経常利益約62億円、純利益約38億円という規模で、営業利益率は6.8%と比較的良好な水準にあった。ROEは8.4%、ROAは4.0%で、資本効率・資産効率ともに中堅インフラ関連企業としては標準以上と言える。
一方、連25.3は売上高約1,008億円とやや減収となり、営業利益は約43億円、経常利益約38億円、純利益約23億円まで低下している。営業利益率は4.2%に落ち込み、ROEも5.1%、ROAも2.4%まで低下しており、収益力・効率性の両面で一段階トーンダウンした年だったことが分かる。この水準では高収益企業とは言えず、やや守りの局面に入った印象が強い。
ただし、連26.3予想では売上高約1,150億円、営業利益・経常利益ともに約100億円、純利益約63億円と、明確な回復シナリオが示されている。これが実現すれば、営業利益率は再び8%台に戻る可能性があり、ROE・ROAも再上昇が期待できる。業績の振れ幅はあるものの、景気や投資環境に応じて利益が戻る体質は確認できる。
バリュエーション面では、2025年時点の実績PERは7.3倍〜11.0倍のレンジ、PBRは1.09倍である。PERは明らかに割高感はなく、PBRもほぼ1倍水準で、資産価値から見て過度に買われている状況ではない。収益が回復局面に入る前提であれば、評価は妥当からやや割安寄りと見ることもできる。
総合すると、アジアパイルホールディングスは高成長株というよりも、業績の循環性を持つインフラ・建設関連タイプの企業である。ROEは過去に10%前後を出しており、構造的に稼げない企業ではない一方、直近では利益率と資本効率が低下しているため、安定して高収益を出し続ける銘柄とも言い切れない。現状のPER・PBR水準を踏まえると、業績回復を前提に中期での戻りを狙う投資には向くが、安定成長・高効率を重視する投資家にはやや物足りない面もある。結論としては、現時点では割高感はなく、業績回復が数字通りに進むなら評価余地はあるが、収益のブレを許容できるかどうかが投資判断の分かれ目になる銘柄といえる。
配当目的とかどうなの?
まず利回り水準だけを見ると、3.5%台(2026年・2027年)は建設・インフラ関連株としては悪くない数字で、銀行預金や低配当株と比べれば明確に配当妙味はある。一方で、いわゆる高配当株と呼ばれる4.5%〜6%クラスと比べると、突出して高いわけではなく「中配当ゾーン」に位置付けられる。
次に配当の安定性を見ると、直近は40円→45円→50円と段階的に増配しており、会社としては配当を軽視していない。連26.3、連27.3ともに利回りが3.54%で横並びという点からも、急激な増配を狙うというよりは、一定水準の配当を維持する姿勢が読み取れる。ただし、業績は景気や建設投資の影響を受けやすく、営業利益率やROEが年によって振れるため、将来にわたって右肩上がりの増配を続けるタイプではない。
バリュエーション面ではPER7.3〜11.0倍、PBR1.09倍と割高感はなく、株価水準自体が配当を受け取るうえでのリスクをある程度抑えている。この点は配当目的にとってプラスで、業績が多少ぶれても株価が大きく崩れにくい位置にある可能性が高い。
総合すると、アジアパイルホールディングスは「配当だけを最大化したい人向け」の銘柄ではないが、「3.5%前後の配当をもらいながら、業績回復や市況改善による株価の戻りも狙う」タイプの配当向き銘柄といえる。配当を主目的にする場合でも、あくまで中配当・循環型として位置付け、業績悪化時の配当据え置きや微減の可能性を許容できるかが判断ポイントになる。結論として、純粋な高配当株投資にはやや物足りないが、現水準の利回り3.54%は十分実用的で、値動きと配当をバランスよく取りにいく中期保有向けの配当銘柄、という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
アジアパイルホールディングスについて、現在値1,410.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像として、アジアパイルホールディングスはコンクリートパイルを中心とした基礎工事関連の中核企業であり、高成長株というよりも、建設投資の循環と業績回復局面を取り込むタイプの企業である。利益率やROEは年によって振れがあるものの、PER7〜11倍、PBR1倍前後という現在の評価水準は、市場が成長を過度に織り込んでいない状態と言える。株価の方向性は、業績回復の持続性と建設需要の環境次第で緩やかに上下する展開が想定される。
良い場合のシナリオでは、連26.3予以降の業績回復が一過性に終わらず、営業利益率が6〜8%程度で安定する。純利益も60億円前後の水準を維持し、ROEは8〜10%台に戻る。この場合、市場は同社を「安定収益を出せる基礎インフラ関連株」として再評価し、PERは10〜12倍、PBRは1.2倍前後まで許容される可能性がある。EPS水準を前提にすると、株価は2,000円〜2,300円程度まで緩やかに切り上がる展開が考えられる。配当利回りは3%前後まで低下するが、値上がり益と配当を合わせたトータルリターンは良好になる。
中間のシナリオでは、業績は回復するものの波があり、売上・利益ともに計画水準を上下しながら横ばい気味に推移する。営業利益率は5%前後、ROEは5〜7%程度にとどまり、市場評価に大きな変化は起きにくい。この場合、PERは8〜10倍、PBRは1倍前後で落ち着き、株価は1,300円〜1,700円程度のレンジ内で推移しやすい。5年間で大きな値上がりは期待しにくいが、3%台半ばの配当を受け取りながら保有することで、堅実なインカム+小幅な値動きを狙う形になる。
悪い場合のシナリオでは、建設投資の減速やコスト上昇の影響で利益率が再び低下し、営業利益率が4%を下回る水準にとどまる。ROEも5%未満で低迷すると、市場は成長性・収益力の限界を意識し、評価は一段と慎重になる。この場合、PERは6〜7倍、PBRは0.8〜0.9倍程度まで低下する可能性があり、株価は1,000円〜1,200円程度まで調整するリスクがある。ただし、事業の性質上、業績が急崩れする可能性は低く、配当利回りは4%超まで上昇しやすいため、下値は比較的堅くなりやすい。
総合すると、アジアパイルホールディングスの今後5年間の値動きは、急成長で株価が倍増するタイプではなく、業績回復と配当を軸に評価が上下する循環型の展開が想定される。良い場合で2,000円台前半、中間では1,300〜1,700円、悪い場合でも1,000円前後までの調整にとどまるイメージである。現在値1,410円は、配当利回りと業績回復期待をある程度織り込んだ水準であり、今後は値上がり益を狙うというより、配当を受け取りつつ市況改善を待つ中期保有向きの性格が強い銘柄と考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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