株価
ニッタとは

ニッタ株式会社は、1885年創業の老舗企業で、伝動用ベルトの草分け的存在として日本の産業発展を支えてきたゴム製品メーカーである。本社は大阪市浪速区桜川に置き、長年にわたり産業用ベルトを中核事業として成長してきた。現在はベルトとホースを二本柱とする事業構成を持ち、安定性の高い工業用部材メーカーとして位置づけられる。
主力の産業用ベルト分野では、伝動用ベルトやコンベヤベルト、コンベヤユニットなどを展開し、製造業、物流、食品工場など幅広い業務用途で高いシェアを持つ。耐久性や信頼性が重視される業務用分野を中心に実績を積み上げており、長期取引を前提とした堅実な需要に支えられている。ホース・チューブ事業では、高圧樹脂ホースや各種加工チューブを手がけ、産業機械や設備用途向けに安定した収益を確保している。
一方で、従来型のゴム製品にとどまらず、免震材や橋梁・建築用製品、ゴム成型品といった社会インフラ関連分野にも事業を広げている。また、クリーンルーム用フィルターやエアクリーン製品、半導体関連消耗品といったクリーン・半導体分野にも注力しており、特に半導体向け消耗品は景気変動の影響を受けにくい収益源として存在感を高めている。
さらに、空気中の微粒子を測定するパーティクルカウンターや、有毒ガス検知器などのモニタリング・計測機器、各種センサー製品、RFIDタグなども手がけており、製品領域は多岐にわたる。こうした分野は高い技術力と品質管理が求められるため、同社の素材技術や加工技術が差別化要因となっている。
関連会社の貢献も同社の特徴である。自動車用タイミングベルトで国内トップクラスの地位を持つゲイツ・ユニッタ・アジアをはじめとする合弁会社は、自動車用ベルト分野で安定した利益を生み出しており、半導体消耗品と並んで持分法適用会社の収益貢献が大きい。これにより、単体事業だけに依存しない収益構造が形成されている。
経営面では、健康経営にも積極的に取り組んでおり、健康経営優良法人やホワイト500に複数年連続で認定されている点も特徴である。全体としてニッタは、伝動用ベルトとホースという成熟した安定事業を基盤に、自動車用ベルトの合弁事業や半導体・クリーン関連分野を組み合わせた堅実型の産業資材メーカーであり、派手さはないものの中長期的に安定した事業運営を行う企業といえる。
ニッタ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期(連結) | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS(円) |
一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 78,697 | 2,861 | 5,910 | 4,723 | 164.6 | 70 |
| 22.3 | 83,734 | 5,337 | 13,193 | 10,489 | 370.5 | 100 |
| 23.3 | 88,000 | 4,989 | 12,900 | 10,853 | 387.3 | 110 |
| 24.3 | 88,609 | 4,421 | 12,007 | 9,857 | 353.8 | 122 |
| 25.3 | 90,276 | 5,155 | 14,601 | 12,131 | 436.7 | 140 |
| 26.3予 | 92,000 | 5,300 | 14,000 | 11,500 | 420.6 | 145 |
| 27.3予 | 94,000 | 5,450 | 14,500 | 11,900 | 435.2 | 145〜155 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(連結) | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 11,995 | -3,044 | -4,968 |
| 24.3 | 8,922 | -1,660 | -3,700 |
| 25.3 | 7,007 | -6,930 | -5,217 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期(連結) | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 5.6% | 6.8% | 8.4% | – | – |
| 24.3 | 4.9% | 5.8% | 6.9% | – | – |
| 25.3 | 5.7% | 6.7% | 7.9% | 9.7倍/7.5倍 | 0.75倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の大枠を見ると、売上高は24.3期で886億円、25.3期で902億円、26.3期予想で920億円と、年率で見ると緩やかながら着実に増えている。急成長ではないが、減収局面でもなく、事業基盤は安定していると言える。営業利益も24.3期44億円から25.3期51億円へ増加し、26.3期も53億円と過去最高圏を維持する計画になっている。一方で経常利益と純利益は25.3期がピークで、26.3期はやや減る想定だが、水準自体は依然として高く、大きな悪化を織り込んでいるわけではない。
収益性を見ると、営業利益率は23年5.6%、24年4.9%、25年5.7%と、一度落ち込んだ後に回復している。5%台という数字は製造業としては標準的で、特別高収益ではないが、安定して稼げている水準ではある。ROEは23年8.4%、24年6.9%、25年7.9%で、こちらも高成長企業のような二桁には届かないが、資本をある程度効率よく使えているレベルにある。ROAも6%台で推移しており、資産効率が極端に低い企業ではない。
評価指標に目を向けると、25.3期のPERは高値平均9.7倍、安値平均7.5倍と1桁台で、PBRは0.7倍にとどまっている。ROEが7〜8%出ていて、しかも業績が安定している企業としては、市場評価はかなり控えめで、割安側に寄っていると感じる。利益が急減するような数字ではないにもかかわらず、この評価水準にある点は、成長性の低さが強く意識されている結果だろう。
これらを総合すると、ニッタは売上も利益も緩やかに伸び、利益率やROE、ROAも中位で安定している一方、PERやPBRは低く抑えられている銘柄だと言える。数字だけを見る限り、業績悪化を強く警戒しなければならない状況ではなく、むしろ成長しない代わりに安定して稼ぐ企業として、評価が低めに放置されている印象がある。
したがって投資判断としては、短期間で株価が何倍にもなるようなタイプではないが、業績が大きく崩れない前提であれば、PER1桁台・PBR0.7倍という水準は下値リスクが比較的限定的で、中長期ではじわじわとした見直しや配当込みのリターンが期待できる。高成長株を狙う投資には向かないが、数値だけで判断するなら、割安で堅実な運用向きの銘柄、という評価になる。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りは26.3期が3.44%、27.3期も3.44%と、2年続けてほぼ同水準が見込まれている。日本株全体で見ると3%台半ばというのは明確に高配当とまでは言えないものの、低配当でもなく、十分に「配当を取りに行く水準」には入っている数字だと感じる。
これを業績面と合わせて見ると、売上高は緩やかに増加し営業利益も50億円前後で安定している。26.3期は純利益がやや減る計画とはいえ、100億円超の利益水準は維持しており、配当を維持できないほど業績が悪化している印象はない。EPSも400円超の水準が続いており、1株配当が140円台という前提なら配当性向は3割前後に収まる。無理に背伸びした配当ではなく、利益の範囲内で出している堅実な配当水準と言える。
財務効率の面ではROEが7〜8%台、ROAが6%台と派手さはないが安定している。高成長企業のように利益を内部留保して再投資に回す局面というよりは、一定の利益を株主に還元しながら事業を維持していくタイプの企業に見える。その意味で、配当方針と企業の性格は噛み合っている。
評価面も考慮すると、PERは7〜9倍、PBRは0.7倍と低く株価が高値圏にあって配当利回りが削られている状態ではない。株価が大きく上がらない限り、3%台の利回りは比較的安定して享受できる可能性がある。逆に言えば、株価上昇によるキャピタルゲインは大きく期待しにくいが、その分利回りは維持されやすい構造とも言える。
以上をまとめると、ニッタは配当利回り3.4%前後を安定的に取りに行くという目的には比較的向いている銘柄だと判断できる。高配当株のように4〜5%を狙うタイプではないが、業績の安定感、無理のない配当水準、低めの株価評価を考えると長期で保有しながら配当を受け取る運用には相性が良い。一方で、配当の大幅増や株価の急上昇を期待するタイプの投資ではなく、あくまで「堅実に配当を積み上げる目的向き」という位置づけになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
ニッタ株式会社について現在値4,215.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像としてニッタは伝動用ベルトやホースを主力とする産業資材メーカーであり、高成長株というよりは安定収益型の中堅企業に位置づけられる。売上は年率で緩やかな増加にとどまる一方、営業利益率は5%台で安定しておりROEも7〜8%台と堅実な水準にある。株価評価の軸は成長期待よりも業績の安定性と配当を含めた総合利回りに置かれており、PER・PBRはいずれも低位で市場は慎重かつ保守的な評価を与えている状態である。
良い場合のシナリオでは、連26.3予以降も営業利益率5%台を維持し、営業利益・純利益が大きく崩れずに推移する。ROEは7〜8%台で定着し、配当も140円台を中心に安定的に継続される。この場合、市場はニッタを「業績が安定した高配当寄りの産業資材メーカー」として再評価し、PBRは0.9倍〜1.0倍程度まで切り上がる可能性がある。PERも10〜11倍程度が許容されるようになれば、EPS水準を前提に株価は5,000円〜5,800円程度までの上昇余地が出てくる。配当利回りは3%前後まで低下するが、株価上昇と配当の両立によるトータルリターンが期待できる展開となる。
中間のシナリオでは、業績は概ね計画通りに推移するもののこれ以上の利益率改善は進まず、売上900億円台前半、営業利益50億円前後で横ばいが続く。営業利益率は5%前後、ROEは7%前後で安定するが市場評価に大きな変化は生じない。この場合、PERは7〜9倍、PBRは0.7〜0.8倍程度にとどまり、株価は3,800円〜4,600円程度のレンジで推移しやすい。5年間で見れば値上がり益は限定的だが3%台半ばの配当を積み上げることで、トータルでは比較的安定した保有成果が得られるシナリオである。
悪い場合のシナリオでは、設備投資の減速やコスト上昇の影響で営業利益率が4%台まで低下し、純利益も100億円前後まで縮小する。ROEが6%前後まで落ち込むと、市場は収益力の頭打ちを意識し評価はさらに慎重になる。この場合、PERは6倍台、PBRは0.6倍台まで下がる可能性があり、株価は3,000円〜3,500円程度まで調整するリスクがある。ただし、配当は一定水準が維持される前提では利回りは4〜5%台まで上昇し、下値は配当に支えられやすい展開になりやすい。
総合するとニッタの5年間の値動きは、大きな成長で株価が倍増するタイプではなく業績の安定度合いと配当水準に応じて緩やかに評価が上下する展開が想定される。良い場合で5,500円前後、中間では4,000〜4,600円、悪い場合でも3,000円台前半までの調整にとどまるイメージである。現在値4,215円はすでに安定性と配当を相応に織り込んだ水準であり、今後5年間は値上がり益を狙うというより配当を受け取りながらじっくり付き合う銘柄としての性格が強いと考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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