株価
バンドー化学とは

バンドー化学株式会社は、Vベルトの国産化を先駆けて実現した日本有数の工業用ベルトメーカーであり、兵庫県神戸市中央区に本社を置く老舗企業である。もともとは産業用ゴムベルトを祖業として発展してきたが、現在では自動車、産業機械、OA機器、電子材料、医療関連まで幅広い分野に事業を広げている点が特徴である。
事業の中核は自動車部品事業と産業資材事業である。自動車分野では、補機駆動用の伝動ベルトや伝動システム製品を主力とし、自動車メーカー向けに高いシェアと信頼性を持つ。スクーターなど二輪車向けの変速ベルトも展開しており、耐久性や静粛性といった性能面で評価が高い。産業資材分野では、産業機械用のVベルトや歯付ベルト、プーリ、コンベヤベルトなどを幅広く扱い、工場設備や物流現場、農業分野など多様な用途に供給している。もみすりロールなど、農業関連製品もこの分野に含まれる。
これらに加えて、高機能エラストマー製品事業が重要な柱となっている。OA機器や精密機器向けのクリーニングブレード、高機能ローラ、精密ベルト、ポリウレタン機能部品などを手がけ、プリンターや複写機、半導体製造装置などに採用されている。また、精密研磨剤や樹脂フィルム、樹脂シートといった化成品も展開しており、建築資材用、医療用、装飾表示用、工業用など用途は多岐にわたる。単なるゴム製品メーカーにとどまらず、材料技術を活かした機能性部材メーカーとしての性格が強い。
近年は、医療関連や電子資材分野にも注力している。医療機器やフレキシブル基板、ロボット関連デバイスなどを手がけ、成長分野への事業拡張を進めている点が特徴である。ベルト事業で培った精密加工技術や品質管理ノウハウを、新しい分野へ横展開することで、事業構造の多角化を図っている。
国内には神戸の本社事業所をはじめ、東京、名古屋、大阪にオフィスを構え、南海工場、和歌山工場、加古川工場、足利工場など複数の生産拠点を持つ。さらに、販売・加工、製造、サービス分野に関係会社を多数抱え、グループとして研究開発から製造、販売、アフターサービスまでを一貫して担う体制を構築している。
全体としてバンドー化学は、伝動用ベルトという成熟した分野で安定した収益基盤を築きつつ、OA機器、電子材料、医療関連といった高付加価値分野を育成してきた堅実なメーカーである。急成長を狙う企業というよりも、技術力と信頼性を武器に長期的に事業を積み上げていくタイプの企業であり、日本のものづくりを支える中核的な存在の一つと言える。
バンドー化学 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS(円) |
一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 81,371 | 5,377 | 5,618 | 3,943 | 86.6 | 26 |
| 22.3 | 93,744 | 2,665 | 3,414 | 1,211 | 26.9 | 40 |
| 23.3 | 103,608 | 8,259 | 8,542 | 5,722 | 130.0 | 52 |
| 24.3 | 108,278 | 7,772 | 8,676 | 6,180 | 142.6 | 72 |
| 25.3 | 115,593 | 3,480 | 3,472 | 1,496 | 35.3 | 76 |
| 26.3予 | 117,000 | 11,000 | 11,000 | 7,900 | 192.8 | 80〜85 |
| 27.3予 | 120,000 | 10,000 | 10,000 | 7,000 | 170.8 | 80〜85 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 7,712 | -3,981 | -6,429 |
| 24.3 | 14,060 | -4,736 | -8,960 |
| 25.3 | 10,762 | -4,186 | -6,908 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 7.9% | 4.8% | 7.3% | – | – |
| 24.3 | 7.1% | 4.9% | 7.2% | – | – |
| 25.3 | 3.0% | 1.2% | 1.8% | 26.7倍/18.3倍 | 0.98倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず事業規模を見ると売上高は24.3期で1082億円、25.3期で1155億円、26.3期予で1170億円と1000億円超の水準を安定して維持している。急成長企業ではないものの、自動車用伝動ベルトや産業用ベルトを中核とした事業基盤はしっかりしておりトップライン自体は比較的安定している印象を受ける。
一方で利益の推移を見ると24.3期は営業利益77億円、純利益61億円と堅調だったが、25.3期には営業利益34億円、純利益14億円まで大きく落ち込んでいる。26.3期予では営業利益110億円、純利益79億円と急回復する計画になっており、直近2年で利益の振れがかなり大きい。業績が外部環境やコスト要因の影響を受けやすく、利益の再現性という点ではやや不安が残る。
収益性を見ると営業利益率は2023年7.9%、2024年7.1%と製造業としては悪くない水準だったが、2025年には3.0%まで低下している。ROEも7%台から1.8%へ、ROAも4%台から1.2%へと大きく落ち込んでおり直近では資本効率・資産効率ともに弱さが目立つ。数値からは、足元で稼ぐ力が一時的に大きく低下していることがはっきり読み取れる。
評価面では2025年の実績PERは安値平均で18.3倍、高値平均で26.7倍と製造業としてはやや高めの水準にある。これは利益水準が落ち込んだことによる影響が大きく、現時点の利益を基準にすると割安感はない。一方でPBRは0.9倍と1倍を下回っており、純資産ベースではやや割安に見える。ただし、ROEが2%弱に落ち込んでいる状況を考えると、このPBR水準は「資産はあるが十分に活かしきれていない企業」として市場が慎重に評価している結果とも言える。
これらを総合するとバンドー化学は売上規模が大きく、事業基盤は安定しているものの利益の振れが大きく、直近では収益性と資本効率が大きく低下している企業だと位置づけられる。PBR0.9倍は一見すると割安に映るが、ROEの低さを考えると現状では妥当水準とも受け取れる。
投資判断としては数値だけを見る限り、現時点で積極的に割安と評価できる局面ではない。一方で、26.3期予想どおりに営業利益110億円、純利益79億円が実現し、営業利益率が再び6〜7%台、ROEが7%前後まで戻るならPBR1倍超への評価見直し余地は十分にある。その意味では、現状は強気で買いに行く段階というより、業績回復の確度を見極めながら判断する局面であり、投資スタンスとしては中立から様子見が妥当な銘柄だと考えられる。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると26.3期・27.3期ともに3.90%とされており、日本株全体の中では比較的高めで明確に「配当を意識できる水準」にある。この時点で、相模ゴム工業のような1%台の低配当銘柄とは性格が大きく異なりインカム目的の投資対象として一定の魅力があると言える。
業績との関係を見ると25.3期は営業利益・純利益が大きく落ち込み、利益水準は弱かったがそれでも配当は76円まで引き上げられている。26.3期予では純利益79億円と大幅な回復が計画されており、配当80〜85円は利益規模から見て無理のある水準ではない。営業CFも安定して黒字で推移しており、配当原資をキャッシュで賄える構造がある点は配当目的として安心材料になる。
一方で注意点もある。直近では営業利益率が3.0%、ROEが1.8%まで低下しており、収益性・資本効率はかなり弱い。配当利回りは高いものの、それが「高収益ゆえの高配当」ではなく「株価が伸び悩んでいる中で配当水準が高く見えている」側面がある点は意識しておく必要がある。業績回復が想定どおり進かなければ、将来的な増配余地は限定的で場合によっては減配リスクもゼロではない。
評価面を見るとPBRは0.9倍と1倍を下回っており、純資産を考えれば下値は比較的堅い。一方でPERは18〜26倍とやや高めで、株価が配当利回りだけで大きく切り上がる余地は大きくない。つまり、値上がり益を狙う配当株というより、「3〜4%の配当を受け取りながら、株価は横ばい〜緩やかな回復を期待する」タイプの銘柄である。
総合するとバンドー化学は配当目的として一定に評価できる銘柄である。利回り3.9%は十分魅力があり、営業CFの安定性を考えると短期的に配当が崩れる可能性は高くない。ただし、ROEや営業利益率の低下が続く限り、積極的な増配や大きな株価上昇は期待しにくい。したがって、成長や値上がり益を狙う配当株ではなく、「業績回復を見守りながら、配当を受け取ってじっくり保有する」インカム寄りの中立的な配当銘柄、という位置づけになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
バンドー化学株式会社について現在値2,048.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像としてバンドー化学は高成長株というより、伝動用ベルトを中核とした安定収益型の中堅製造業である。Vベルトをはじめとする自動車用・産業用ベルトで長い実績と技術力を持ち、OA機器向け精密部品や化成品、医療関連分野へも事業を広げている。売上規模は1,000億円超と大きくトップラインは比較的安定している一方、利益は市況やコスト要因の影響を受けやすく年による振れが出やすい。株価評価の軸は成長期待よりも、業績の安定性、利益回復の確度、そして約4%の配当利回りに置かれている。PBRは0.9倍と1倍を下回り、市場は「資産はあるが直近の収益力には慎重」という評価をしている状態である。
良い場合のシナリオでは、26.3期予以降に業績回復が定着し、営業利益率が再び6〜7%台に戻る。営業利益・純利益が安定的に積み上がり、ROEも7%前後で定着する。この場合、市場はバンドー化学を「高配当かつ安定収益の工業用部材メーカー」として再評価し、PBRは1.0倍〜1.1倍程度まで切り上がる可能性がある。PERも15〜18倍程度が許容されるようになれば、EPS水準を前提に株価は2,400円から2,800円程度まで上昇する余地がある。配当利回りは3%台前半まで低下するが、株価上昇と配当の両面でトータルリターンが得られる展開となる。
中間のシナリオでは、業績は回復と停滞を繰り返しながらも大きく崩れず、売上1,100億円前後、営業利益70〜90億円規模で推移する。営業利益率は5%前後、ROEは5〜6%程度にとどまり市場評価に大きな変化は起きにくい。この場合、PERは12〜16倍、PBRは0.8〜0.9倍程度で落ち着き、株価は1,900円から2,300円程度のレンジで推移しやすい。5年間で見れば値上がり益は限定的だが、3.5〜4%前後の配当を積み上げることでトータルではそこそこの満足度が得られる保有になる。
悪い場合のシナリオでは、自動車・産業機械向け需要の減速や原材料コスト上昇の影響で収益性が再び悪化し、営業利益率が3〜4%台にとどまる。ROEも3〜4%程度まで低下すると、市場は収益力の頭打ちを意識し評価は一段と慎重になる。この場合、PERは10倍前後、PBRは0.6〜0.7倍台まで下がる可能性があり、株価は1,400円から1,800円程度まで調整するリスクがある。ただし、配当利回りは5%前後まで上昇するため、完全な下落トレンドというよりは高配当を意識した下値の堅い展開になりやすい。
総合すると、バンドー化学の5年間の値動きは成長期待で株価が大きく跳ねるタイプではなく、業績回復度合いと配当水準に応じて緩やかに評価が上下する展開が想定される。良い場合で2,600円前後、中間では1,900〜2,300円、悪い場合でも1,500円前後までの調整にとどまるイメージである。現在値2,048円は業績の不安定さと配当利回りの高さを同時に織り込んだ水準であり、今後5年間は大きな値上がり益を狙うというより配当を受け取りながら業績回復を見極めて付き合う銘柄としての性格が強いと考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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