株価
三ツ星ベルトとは

三ツ星ベルト株式会社は1919年創業の老舗メーカーであり、Vベルトをはじめとする伝動ベルト分野の大手企業として長い歴史を持つ。本社は兵庫県神戸市長田区に置き、戦前から続く企業として国内の伝動ベルトメーカーでは大手三社の一角を占めてきた。みどり会の会員企業であり、三和グループに属する点も同社の特徴である。
事業の中核はVベルトや歯付ベルトなどの伝動ベルトである。自動車用を中心に産業機械用、農業機械用、OA機器向けなど幅広い用途に製品を供給しており、エンジン補機駆動用ベルトやタイミングベルトなどで多くの採用実績を持つ。オートバイの後輪駆動用ベルトに採用された例もあり、単なる産業用途にとどまらず耐久性や静粛性が求められる分野でも存在感を示している。
搬送分野ではコンベヤベルトおよび関連システムを手がけ、製造業や物流、鉱山、港湾設備などの現場を支えている。重量物搬送や長距離搬送といった用途では、信頼性や保守性が重視されるため同社の長年培った材料技術や設計ノウハウが強みとなっている。
近年の特徴としてゴム製品専業にとどまらず、エンジニアリングプラスチックや発泡射出成形品といった樹脂分野にも事業を拡大している点が挙げられる。さらに、自動車向けでは発電機用ダンパプーリなど、ゴムと金属を組み合わせた部品の開発・製造にも進出しており、材料技術を横断的に活かした製品展開を進めている。
建材・インフラ分野も同社の重要な事業領域である。建築用防水材や土木用遮水材を手がけ、建設・土木現場向けに製品を供給しているほか電子材料、塗料、金属ナノ粒子関連製品など、比較的ニッチだが付加価値の高い分野にも取り組んでいる。こうした多角化は伝動ベルトという成熟市場への依存度を下げ、事業ポートフォリオの安定化に寄与している。
本社の立地と地域との関係も同社の特徴の一つである。かつて本社機能を神戸市中央区のハーバーランドに移転したものの阪神大震災後に地域住民の強い要望を受け、創業地である長田区へ本社を戻した経緯がある。地域活性化や雇用の維持、社内コミュニケーションの活性化を目的とした判断であり、地域社会との共生を重視する企業姿勢がうかがえる。
国内拠点としては神戸本社のほか、東京本社、名古屋工場、四国工場、滋賀工場などを持ち、開発・生産・販売を全国的に展開している。海外にも生産・販売拠点を持ちグローバル市場への対応も進めているが、事業の性格としては急成長を狙うよりも安定供給と品質重視を軸とした堅実な展開が基本となっている。
全体として三ツ星ベルトは伝動ベルトという成熟分野を事業の軸に据えつつ、自動車、産業機械、OA機器、建材、材料分野へと裾野を広げた安定型メーカーである。高成長で株価が急拡大するタイプの企業ではないが、長年培った技術力、顧客基盤、そして分散された事業構造を背景に景気変動の影響を受けながらも比較的安定した事業運営を続ける性格の企業だといえる。
三ツ星ベルト 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期(連結) | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS(円) |
一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 64,862 | 4,968 | 5,759 | 4,066 | 139.8 | 57 |
| 22.3 | 74,870 | 7,640 | 8,552 | 6,380 | 220.3 | 143 |
| 23.3 | 82,911 | 9,030 | 10,471 | 7,071 | 249.1 | 250 |
| 24.3 | 84,014 | 7,759 | 9,605 | 7,102 | 250.4 | 250 |
| 25.3 | 90,510 | 8,928 | 9,154 | 9,060 | 320.3 | 186 |
| 26.3予 | 92,000 | 9,000 | 9,000 | 7,200 | 255.6 | 186〜190 |
| 27.3予 | 94,000 | 9,200 | 9,200 | 7,400 | 262.7 | 190〜194 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(連結) | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 8,783 | -6,439 | -3,741 |
| 24.3 | 11,926 | -2,665 | -9,469 |
| 25.3 | 7,751 | -3,622 | -8,242 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期(連結) | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 10.8% | 5.8% | 8.0% | – | – |
| 24.3 | 9.2% | 5.2% | 7.2% | – | – |
| 25.3 | 9.8% | 7.0% | 9.4% | 17.3倍/11.3倍 | 1.12倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の流れを見ると売上高は24.3期で840億円、25.3期で905億円、26.3期予想で920億円と年率で見ると緩やかではあるが着実に増えている。成熟産業に属する企業としては需要が大きく縮んでいない点は評価でき、事業基盤は安定していると感じる。急成長ではないが、右肩下がりでもなく地に足のついた成長パターンである。
利益面を見ると営業利益は24.3期77億円から25.3期89億円へ増加し、26.3期も90億円とほぼ横ばいで高水準を維持する計画になっている。経常利益と純利益は25.3期にピークを付け26.3期はやや減る予想だが、それでも24.3期と同程度の水準は確保しており利益が急減するような前提にはなっていない。全体として、利益の山谷はあるものの、稼ぐ力そのものが落ちている印象はない。
収益性に目を向けると、営業利益率は2023年10.8%、2024年9.2%、2025年9.8%と3年を通じて9〜10%台を維持している。製造業としてはかなり高い水準で価格競争力やコスト管理力がしっかりしていることがうかがえる。ROEは8.0%、7.2%、9.4%、ROAは5.8%、5.2%、7.0%とやや上下はあるものの、資本効率・資産効率ともに安定しており事業の質は高い部類に入る。
一方で評価面を見ると、2025年の実績PERは安値平均で11.3倍、高値平均で17.3倍とレンジが広い。営業利益率が高く利益が安定している企業としては、PER11倍前後であれば割安感が意識される水準だが17倍近辺まで買われると成長性を考えた場合にはやや評価先行にも見える。PBRは1.1倍でROEが1桁後半から9%台であることを踏まえると、解散価値割れではないが、割安放置されているというほどでもない、比較的妥当な評価水準にある。
これらを総合すると三ツ星ベルトは売上・利益ともに安定し、営業利益率の高さが際立つ優良な体質を持つ企業だと言える。一方で、すでに一定の評価は市場に織り込まれており、業績が急拡大しない限り株価が大きく上に跳ねる余地は限定的になりやすい。
投資判断としては割安株を探すというよりも、事業の質と安定性を評価して中長期で保有するかどうかを考える銘柄になる。PERが安値圏に近い局面であれば妙味は出てくるが、高値圏では「良い会社だが高すぎないか」という視点も必要になる。数値だけで判断すれば、三ツ星ベルトは高成長は期待しにくいが利益率が高く安定した企業であり、評価はおおむね中立からやや慎重、という位置づけになる。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると26.3期が4.73%、27.3期が4.84%といずれも4%後半の水準にある。日本株全体で見てもこの水準は明確に高配当株の部類に入り、配当目的としてはかなり魅力的な数字だと感じる。しかも一時的な特別配当ではなく、26.3期、27.3期と連続して同程度の利回りが見込まれている点は評価しやすい。
業績面を合わせて見ると売上は緩やかに拡大し、営業利益は90億円前後、営業利益率は9〜10%台と製造業としては非常に高い水準を維持している。ROEも9%前後、ROAも7%前後まで改善しており、稼ぐ力そのものは安定している。こうした利益水準を前提にすると、1株当たり180円台後半から190円台の配当は無理をして出している印象はなく、利益の範囲内で十分に賄える水準にある。
過去を見ると配当額はやや上下しているものの全体としては高水準を維持しており、利益が大きく崩れない限り配当を急に削る必要性は低いと考えられる。設備投資や成長投資を大きく増やしている局面でもなく事業自体も成熟産業に属しているため、利益を内部留保に回して急拡大を狙うフェーズというよりは株主に還元していく段階に入っている企業と見える。
評価面でも、PERは安値平均で11倍台、高値平均で17倍台、PBRは1.1倍程度と配当利回り4%後半を前提にすると極端な割高感はない。株価が急騰して利回りが急低下するリスクも相対的に小さく、配当水準は比較的安定して享受しやすい構造にある。
以上を総合すると、三ツ星ベルトは配当目的との相性がかなり良い銘柄だと言える。高成長で株価が大きく跳ねるタイプではないが営業利益率の高い安定した事業を背景に、4%後半の配当利回りを中長期で受け取りたい投資家には向いている。値上がり益を狙うよりも配当を積み上げながらじっくり保有するというスタンスに適した銘柄、という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
三ツ星ベルト株式会社について現在値3,925.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像として、三ツ星ベルトは高成長株ではなく、Vベルトを中心とした伝動ベルトを主力とする安定収益型の老舗メーカーである。自動車用、産業機械用、OA機器向けなど用途は分散しており、売上は緩やかに伸びる程度だが営業利益率は9〜10%台と製造業の中では非常に高い水準を維持している。株価評価の軸は成長期待よりも事業の質の高さ、利益の安定性、そして4%台後半の高い配当利回りに置かれている。PER・PBRは極端な割安ではないが優良企業としては過度に高い評価でもなく、すでに「安定+高配当」をある程度織り込んだ水準にある。
良い場合のシナリオでは、連26.3予以降も営業利益率9〜10%前後を維持し、営業利益・純利益が大きく崩れずに推移する。ROEは9%前後、ROAも7%前後で定着し、収益力の高い体質が長期にわたって続くと市場に認識される。この場合、三ツ星ベルトは「高収益かつ高配当の安定企業」として再評価され、PBRは1.3倍前後まで切り上がる可能性がある。PERも15倍前後が許容されるようになれば、EPS水準を前提に株価は5,000円から6,000円程度まで上昇する余地がある。配当利回りは4%をやや下回る水準まで低下するが、株価上昇と配当の両面でトータルリターンが得られる展開となる。
中間のシナリオでは、業績は概ね計画通りに推移するもののこれ以上の収益性改善は進まず、売上900億円台、営業利益90億円前後で横ばいが続く。営業利益率は9%前後、ROEは8〜9%で安定するが、市場評価に大きな変化は起きにくい。この場合、PERは11〜14倍、PBRは1.0〜1.2倍程度にとどまり、株価は3,800円から4,500円程度のレンジで推移しやすい。5年間で見れば大きな値上がり益は期待しにくいが、4%台後半の配当を積み上げることでトータルでは比較的満足度の高い保有になる。
悪い場合のシナリオでは、自動車市場や設備投資の減速、原材料コスト上昇の影響で利益率が低下し営業利益率が8%台まで下がる。ROEも7%前後に低下すると市場は収益力のピークアウトを意識し、評価はやや慎重になる。この場合、PERは10倍前後、PBRは0.9倍程度まで下がる可能性があり、株価は2,800円から3,400円程度まで調整するリスクがある。ただし、配当水準が維持される前提では利回りは5%前後まで上昇しやすく、完全な下落トレンドというよりは高配当を意識した下値の堅い展開になりやすい。
総合すると、三ツ星ベルトの5年間の値動きは成長期待で株価が倍増するタイプではなく、事業の質と配当水準に応じて評価が緩やかに上下する展開が想定される。良い場合で5,500円前後、中間では3,800〜4,500円、悪い場合でも3,000円前後までの調整にとどまるイメージである。現在値3,925円はすでに高収益・高配当という特徴をかなり織り込んだ水準であり、今後5年間は値上がり益を狙うよりも配当を受け取りながら安定的に保有する銘柄としての性格が強いと考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す