株価
日本コンクリート工業とは

日本コンクリート工業株式会社は、電力・通信・建設インフラを足元で支えるコンクリート製品メーカーであり、日本の社会基盤に深く組み込まれた企業である。本社は東京都港区に置き、日本製鉄を筆頭株主とする資本関係を背景に、みどり会に属する三和グループの一角を担っている。事業の大半は公共性が高く、景気循環の影響を受けにくい安定型のビジネスモデルを特徴としている。
同社の最大の強みは、電力会社およびNTT向けの電柱・架線柱などのポール製品である。送電線、通信網という社会インフラに不可欠な分野で長年の実績を持ち、国内では圧倒的なシェアを確保している。電柱は一度設置されると長期間使用されるが、耐用年数の到来や災害対策、設備更新に伴う需要が継続的に発生するため、新設需要が減少しても更新需要が底堅い。特定顧客との長期的な取引関係が構築されている点も、同社の収益安定性を高めている要因である。
もう一つの事業の柱がパイル製品、すなわち建設基礎杭事業である。同社はパイル分野でも大手3社の一角を占めており、高支持力杭工法などの技術開発を積極的に進めている。都市再開発や高層建築、物流施設などでは、地盤条件の厳しさや工期短縮の要請が強く、高性能な基礎杭が求められる。同社はこうしたニーズに対応するため、単なる製品供給にとどまらず、施工性や支持力を含めた技術提案型の事業を展開している。
製品構成としては、電柱・架線柱などのポール製品、基礎杭であるパイル製品に加え、擁壁や護岸といった壁体系製品、セグメント製品、各種土木用コンクリート製品など多岐にわたる。これらは道路、橋梁、河川、港湾、建築基礎など幅広い用途で使用され、公共工事との結びつきが極めて強い。近年はインフラ老朽化対策や防災・減災分野への対応も重要なテーマとなっており、耐震性や耐久性を高めた製品開発にも力を入れている。
生産体制は全国に分散されており、NC東日本コンクリート工業、NC中日本コンクリート工業、NC西日本パイル製造、NC九州などの地域別子会社を通じて製造を行っている。コンクリート製品は重量があり輸送コストの影響を受けやすいため、地域密着型の製造拠点を持つことは大きな競争優位となる。また、セグメント製品やプレキャスト製品を専門に扱う子会社を持つことで、用途ごとの専門性を高めている。
事業環境としては、新設インフラ需要の拡大は見込みにくい一方、電柱や基礎杭、橋梁関連などの更新・補修需要は中長期的に継続すると考えられる。特に電力・通信インフラは社会機能維持の観点から投資が先送りされにくく、同社にとっては構造的な下支え要因となっている。また、災害対策や国土強靭化政策も追い風となりやすい分野である。
全体として、日本コンクリート工業は高成長で株価が急騰するタイプの企業ではないが、日本のインフラを物理的に支える中核企業として、極めて安定した事業基盤を持つ。電柱という圧倒的シェア分野と、技術進化の余地がある基礎杭分野を併せ持ち、更新需要と技術力を軸に、今後も堅実な事業運営が続く企業と位置付けられる。
日本コンクリート工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 48,877 | 2,745 | 3,181 | 1,869 | 33.3 | 9 |
| 22.3 | 47,376 | 1,228 | 1,553 | 874 | 15.6 | 9 |
| 23.3 | 52,986 | -228 | 97 | -439 | -8.1 | 0 |
| 24.3 | 53,650 | 1,807 | 2,242 | 614 | 11.3 | 13 |
| 25.3 | 52,652 | 990 | 1,452 | -209 | -3.9 | 13 |
| 26.3予 | 53,000 | 1,000 | 1,500 | 1,000 | 18.4 | 8 |
| 27.3予 | 54,000 | 1,200 | 1,700 | 900 | 16.6 | 8 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 432 | -1,434 | -447 |
| 24.3 | 5,835 | -1,351 | -511 |
| 25.3 | -297 | -2,656 | -1,133 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(高値/安値・倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | -0.5 | -1.3 | -0.6 | – | – |
| 24.3 | 3.3 | 1.6 | 0.7 | – | – |
| 25.3 | 1.8 | -0.6 | -0.3 | 45.1/21.3 | 0.45 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の水準感を億円ベースで見ると、連24.3は売上約536億円に対して営業利益約18億円、経常利益約22億円、純利益約6億円と一応の黒字を確保している。一方、連25.3は売上約526億円に対して営業利益約9億円、経常利益約14億円と利益水準が大きく低下し、純利益は約-2億円と赤字に転落している。連26.3予では売上約530億円、営業利益約10億円、経常利益約15億円、純利益約10億円と黒字回復が見込まれているが、利益規模は依然として小さい。
収益性指標を見ると、営業利益率は23.3が-0.5%、24.3が3.3%、25.3が1.8%と低水準で不安定である。建設・インフラ関連としては利益率がかなり薄く、コスト変動や需要の波を受けやすい構造が読み取れる。ROEも-1.3%、1.6%、-0.6%と資本効率はほぼゼロ近辺で推移しており、株主資本を十分に活かせている状態とは言い難い。ROAも-0.6%、0.7%、-0.3%と同様に低く、総資産に対する収益力は弱い。
バリュエーション面では、2025年実績PERが高値平均45.1倍、安値平均21.3倍と振れ幅が非常に大きい。利益水準が小さく不安定なため、PERが跳ねやすい典型的なパターンであり、PERそのものはあまり参考になりにくい。一方でPBRは0.45倍と明確な低位にあり、資産価値に対して株価はかなり割安な水準に置かれている。
以上を総合すると、日本コンクリート工業は高成長や高収益を期待して投資する銘柄ではなく、業績の振れが大きい低収益型のインフラ関連企業という位置づけになる。PBR0.5倍未満という点だけを見ると割安感は強いが、ROE・ROAが低迷しているため、その割安さがすぐに是正される根拠は乏しい。連26.3予で黒字回復が見込まれている点は評価できるものの、営業利益率2%前後、ROEが1%未満にとどまるようであれば、市場評価が大きく切り上がる可能性は低い。
投資判断としては、資産バリューや業績回復期待を前提にした割安株・ターンアラウンド狙い向きであり、安定成長や高い資本効率を重視する投資スタイルには向かない。業績が底打ちし、営業利益率が3〜4%以上、ROEが5%前後まで改善する兆しが見えるかどうかが、今後の評価転換の分岐点になると考えられる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは連26.3、連27.3ともに2.40%と、水準としては市場平均並みかやや低めで、高配当株と呼べる水準ではない。これだけを見ると、配当を主目的に長期保有する魅力は限定的である。
さらに重要なのは配当の安定性で、直近数年の業績を見ると純利益は赤字と黒字を行き来しており、利益水準も小さい。ROEやROAが低く、収益力が安定していない中での配当は、余裕のある利益還元というよりも「最低限の株主還元」に近い性格と考えられる。実際、過去には減配や無配の実績もあり、業績次第で配当が変動しやすい点は配当投資家にとってマイナス要素である。
一方で、PBR0.5倍前後という低評価水準にあり、業績が底打ちして黒字が定着すれば、配当利回りが3%台に乗る、あるいは増配が意識される可能性はある。ただしそれは「業績回復が前提」の話であり、現時点で配当の確実性を期待するのは難しい。
結論として、日本コンクリート工業は配当目的の中核銘柄には向かない。2.4%という利回りは補助的な収入と割り切る水準であり、主眼はPBRの低さを背景にした業績回復・評価修正期待に置く銘柄である。配当重視であれば、より利回りが高く、利益と配当が安定しているインフラ・素材銘柄の方が適していると言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本コンクリート工業について、現在値333.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像として、日本コンクリート工業は高成長株ではなく、電力・通信向け電柱や基礎杭といった社会インフラ向けコンクリート製品を主力とする典型的な内需・設備投資連動型の企業である。市場規模は安定している一方で成長性は限定的で、株価評価の軸は成長期待よりも業績の底打ち感とPBRの低さに置かれている。現在はPBR0.5倍前後と極めて低水準で、市場は収益力の弱さを強く織り込んだ状態にある。
良い場合のシナリオでは、電力・通信インフラ更新需要や防災・国土強靱化関連工事が追い風となり、営業利益率が2〜3%台まで安定的に回復する。赤字と黒字を行き来していた純利益が黒字基調で定着し、ROEも3〜4%程度まで改善する。この場合、市場は「最悪期は脱した」と評価し、PBRは0.7〜0.8倍程度まで切り上がる可能性がある。利益水準は大きく伸びなくても、低評価修正が進めば株価は450円から550円程度まで上昇する余地がある。値幅は大きくないが、低位株の見直し局面としては比較的素直な上昇シナリオである。
中間のシナリオでは、売上は横ばい圏で推移し、利益も小幅黒字と小幅赤字を行き来する状態が続く。営業利益率は1〜2%程度にとどまり、ROEも1%前後と低水準のままとなる。この場合、PBRは0.4〜0.5倍程度で固定されやすく、市場評価に大きな変化は起きにくい。株価は250円から380円程度のレンジでの往来が中心となり、5年間で見ても大きな値上がり益は期待しづらい。一方で、極端な下落もしにくく、低位株特有の横ばい推移が続く展開となる。
悪い場合のシナリオでは、公共投資の減速やコスト上昇の影響で利益が再び不安定化し、営業赤字に近い水準が続く。純利益も赤字が常態化し、ROE・ROAはマイナス圏に沈む。この場合、市場は事業構造そのものに悲観的になり、PBRは0.3倍台まで低下する可能性がある。株価は200円から250円程度まで下落し、低位株としての下値模索が続くリスクがある。ただし、資産価値やインフラ需要を背景に、100円台まで崩れるような展開は想定しにくい。
総合すると、日本コンクリート工業の5年間の値動きは、成長で大きく株価が跳ねるタイプではなく、業績の底打ちと評価修正の有無によって緩やかに上下する銘柄といえる。良い場合で500円前後、中間では250〜380円、悪い場合でも200円台前半までの調整にとどまるイメージである。現在値333円はすでに低評価を強く織り込んだ水準であり、今後5年間は大きな値上がりを狙うというより、業績回復が進むかどうかを見極めながら付き合う低位・修復型銘柄という位置づけになる。
この記事の最終更新日:2026年1月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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