株価
相模ゴム工業とは

相模ゴム工業株式会社は1934年創業の老舗メーカーで、神奈川県厚木市に本社を置くコンドーム大手である。日本で最初にラテックス製コンドームを製造した企業として知られ、その後も業界に先駆けてポリウレタン製コンドームを手がけるなど、素材・薄膜加工技術に強みを持ってきた。現在はオカモト、不二ラテックスに次ぐ業界3位のポジションにあり、「サガミ」ブランドとして一定の認知度を確立している。
事業の中心はヘルスケア製品事業であり、主力はコンドームである。天然ゴムラテックス製とポリウレタン製の両方を展開しており、特にポリウレタン製の「サガミオリジナル」シリーズは同社を代表するブランドとなっている。厚さ20ミクロン台のサガミオリジナル002や10ミクロン台のサガミオリジナル001など薄さや装着感を重視した商品が特徴で差別化を図っている。また、第一三共ヘルスケア向けに「サンシー」ブランドのコンドームを製造するなど、OEM供給も行っている。
生産体制としてはマレーシアに主要な製造拠点を持ち、コスト競争力を確保している点が大きな特徴である。製品は日本国内にとどまらず中国や東南アジアを中心に輸出されており、海外売上比率が比較的高い。販売チャネルはドラッグストアが中心だが自社ECサイト「サガミショップ」やアマゾンなどのネット通販にも力を入れており、コンビニ販売はデイリーヤマザキに限定されている。
コンドーム以外にも潤滑ゼリーなどのアダルト雑貨を展開している。成分の99%が水の潤滑ゼリーや妊活対応の「ポジティブサポート」など、肌へのやさしさや機能性を打ち出した商品が多く、単なる避妊具メーカーにとどまらない商品展開を進めている。さらに、ヒトフェロモン入りの室内用フレグランスなど周辺分野への拡張も行っている。
近年の特徴として妊活関連商品の強化が挙げられる。2019年以降、妊活対応潤滑ローション、セルフシリンジ法キット「Timing Aid」、前進運動精子セルフチェッカー「Swim Count」などを投入し、EDや性交障害、妊娠に悩む層を支援する商品ラインアップを整えてきた。これらは主にネット通販で販売されており、従来の避妊用途中心のビジネスから「妊娠をサポートする」領域へと事業の幅を広げている。
ヘルスケア分野以外ではプラスチック事業も展開している。事務用フィルムや食品包装用フィルム、シュリンクフィルム、水冷ポリエチレン、バイオプループバックなどの業務用製品を手がけており、規模は大きくないものの事業の分散という意味では一定の役割を果たしている。また、介護福祉サービス事業も行っており、製造業以外の分野にも足場を持つ構造になっている。
全体として相模ゴム工業は、コンドームを核としたヘルスケア分野に強い専門メーカーであり、海外生産と輸出を組み合わせた事業モデルを持つ企業である。市場規模の制約や競争の激しさから高成長を続けるタイプではないが、独自技術とブランド力を背景にニッチで比較的安定した需要を取り込む企業としての性格が強いといえる。
相模ゴム工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期(連結) | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 EPS(円) |
一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 5,586 | 1,171 | 1,025 | 598 | 55.1 | 10 |
| 22.3 | 5,414 | 1,088 | 1,466 | 1,097 | 101.1 | 10 |
| 23.3 | 5,984 | 661 | 1,055 | 673 | 62.0 | 10 |
| 24.3 | 6,112 | 436 | 389 | 40 | 3.8 | 10 |
| 25.3 | 5,687 | -33 | 522 | 392 | 36.2 | 10 |
| 26.3予 | 6,300 | 380 | 100 | 40 | 3.7 | 10 |
| 27.3予 | 6,500 | 500 | 500 | 300 | 27.6 | 10 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(連結) | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 898 | -184 | -422 |
| 24.3 | 373 | -133 | -906 |
| 25.3 | 790 | 438 | -503 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期(連結) | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(高値平均/安値平均) | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 11.0% | 3.7% | 6.9% | – | – |
| 24.3 | 7.1% | 0.2% | 0.4% | – | – |
| 25.3 | -0.6% | 2.1% | 3.6% | 106.5倍/76.2倍 | 0.75倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず事業規模を見ると売上高はおおむね60億円前後で推移しており、企業規模としてはかなり小さい部類に入る。24.3期は売上61.1億円、25.3期は56.8億円と減少し、26.3期は63.0億円と回復予想にはなっているものの長期的な成長トレンドが明確に見えるわけではない。売上自体は横ばい圏で事業の拡大力は限定的だと感じる。
利益面に目を向けると24.3期は営業利益4.3億円を確保していたが、25.3期には営業赤字に転落している。26.3期は再び営業黒字に戻る計画ではあるものの、営業利益は3.8億円にとどまり安定的に利益を積み上げられる体質とは言い難い。経常利益や純利益も年によって大きく振れており、営業利益が赤字でも経常・純利益は黒字になるなど収益構造が分かりにくく再現性の低さが目立つ。
収益性を見ると営業利益率は2023年に11.0%と高かったものの2024年には7.1%まで低下し2025年には-0.6%と赤字水準に落ち込んでいる。短期間でここまで大きく悪化している点はかなり気になる。ROEも6.9%から0.4%、3.6%と低迷しており、株主資本を使って十分な利益を生み出せていない。ROAも同様に3.7%から0.2%、2.1%と低水準で資産効率は弱い。数値からは、事業の稼ぐ力が安定していないことがはっきり読み取れる。
評価面では2025年の実績PERが安値平均でも76.2倍、高値平均では106.5倍と極端に高い水準になっている。これは株価が高いというより利益水準が極めて低いことを示しており、利益を基準にした評価ではとても割安とは言えない。一方でPBRは0.8倍と1倍を下回っているが、ROEが3%台にとどまる現状を考えるとこのPBR水準は妥当であり「放置された割安株」と評価するのは難しい。
これらを総合すると相模ゴム工業は売上規模が小さく利益の振れが大きく、営業利益率・ROE・ROAが低下している企業だと言える。過去には高い利益率を出した年もあるが、その水準が継続していない点が最大の問題で収益構造が安定しているとは言い難い。
投資判断としては数値だけを見る限り、安定収益型でも回復基調がはっきりした企業でもない。PBRの低さだけに注目すると割安に見えるがROEや営業利益率の低さを考えると、その評価は正当化されている可能性が高い。営業利益率が再びプラスで安定しROEが6〜8%程度まで回復してくる兆しが見えない限り、積極的に評価を引き上げる理由は乏しい。現時点では業績の不安定さが強く、数値面から見た投資妙味は小さい、慎重に距離を取るべき銘柄という印象になる。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると26.3期、27.3期ともに1.36%とされており、日本株の中では明確に低配当の部類に入る。この水準では配当収入を主目的に保有する銘柄としての魅力はかなり弱いと言わざるを得ない。定期的なインカムを期待する投資家にとっては、他に選択肢が多くあえて相模ゴム工業を選ぶ理由は見出しにくい。
業績面と照らして見ると営業利益は赤字と黒字を行き来しており、営業利益率は直近でマイナスに落ち込んでいる。ROEやROAも低水準で、事業の稼ぐ力が安定しているとは言い難い。こうした状況では配当を積極的に増やす余力は乏しく、会社としても株主還元より財務の安定や事業の立て直しを優先せざるを得ない段階にあると考えられる。
実際、1株当たり配当は10円で据え置かれており、業績の回復に応じて増配していく姿勢は数値からは読み取れない。配当水準は最低限維持しているものの、株主還元を重視するフェーズには入っていない。配当が下支えとなって株価が守られる構造でもなく、配当利回りの低さから下落局面ではインカム目的の買いも入りにくい。
評価面でもPERは極端に高く、PBRは低いという歪な状態にあり、配当を基準にした評価が株価形成の軸になっているとは言えない。市場も相模ゴム工業を高配当銘柄として見ておらず、配当利回りを理由に長期保有されるタイプの銘柄ではないことが数字から明確である。
以上を総合すると、相模ゴム工業は配当目的には向かない銘柄である。利回り1.36%という水準は配当収入を期待するには低すぎ、業績の不安定さを考えると将来的な増配期待も持ちにくい。現時点では、配当を取りに行く投資ではなくもし検討するとすれば事業再建や業績回復による株価変化を狙うタイプの銘柄でありインカム目的で保有する価値は低い、という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
相模ゴム工業株式会社について現在値734.0円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。まず全体像として相模ゴム工業は高成長株ではなくコンドームを中心としたヘルスケア製品を主軸に、プラスチックフィルムなども手がける小型のニッチメーカーである。売上規模は60億円前後と小さく、業績は年ごとの振れが大きい。営業利益率は直近でマイナスに落ち込んでおり、ROE・ROAも低水準にとどまっている。配当利回りは1%台と低く、株価評価の軸は配当よりも業績の回復度合いと将来の安定性に置かれている。PERは利益水準の低さを反映して極端に高く、PBRは0.7倍台と低いが低収益体質を考えると市場は慎重な評価を続けている状態である。
良い場合のシナリオでは、26.3期以降に営業赤字から脱却し、営業利益が安定的に黒字で推移する。営業利益率は3〜5%程度まで回復し、ROEも5〜7%水準に戻る。利益の再現性が確認されることで、市場は「小型だが安定収益に近づいたヘルスケア企業」として評価を見直す。この場合、PBRは0.9倍〜1.0倍程度まで切り上がり、PERも極端な高水準から正常化する。EPS改善を前提に株価は900円から1,200円程度まで上昇する余地がある。配当利回りは1%前後まで低下するが、株価上昇によるリターンが中心となる展開になる。
中間のシナリオでは、業績は回復と停滞を繰り返しながらも大崩れせず売上60億円前後、営業利益は小幅な黒字と赤字を行き来する状態が続く。営業利益率は0〜2%程度、ROEは3%前後にとどまり、市場評価に大きな変化は起きにくい。この場合、PBRは0.6〜0.8倍、PERは依然として高止まりしやすく、株価は600円から800円程度のレンジで推移する可能性が高い。5年間で見れば値上がり益は限定的で、配当利回りも低いためトータルリターンはあまり期待できない。
悪い場合のシナリオでは、収益改善が進まず、営業赤字が断続的に発生する。営業利益率は再びマイナス圏に沈み、ROEも2〜3%以下に低迷する。利益の不安定さが意識されると市場は一段と慎重になり、PBRは0.5〜0.6倍台まで低下する可能性がある。この場合、株価は400円から600円程度まで調整するリスクがある。配当利回りは一時的に上昇するが、もともと配当水準が低いため下値を強く支える材料にはなりにくい。
総合すると、相模ゴム工業の5年間の値動きは大きな成長で株価が大幅に上昇するタイプではなく、業績回復の有無によって評価が上下する展開が想定される。良い場合で1,000円前後から1,200円、中間では600〜800円、悪い場合には500円前後までの下振れもあり得るイメージである。現在値734円は低収益体質と小型株リスクをかなり織り込んだ水準とも言えるが、今後5年間は配当を取りながら安定保有する銘柄ではなく、業績改善が見えるかどうかを見極めながら付き合う性格の強い銘柄だと考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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