株価
日本特殊陶業とは

日本特殊陶業は、森村グループに属する世界有数のセラミックスメーカーであり、自動車用スパークプラグと排気系センサーで世界トップクラスのシェアを持つ企業である。本社は愛知県名古屋市東区に置かれ、事業はグローバルに展開されており、海外売上比率は8割を超える。現在は企業グループ名をNiterraとし、環境・エネルギー・先端技術分野を意識した事業展開を進めている。
同社のルーツは日本碍子の事業部門にあり、スパークプラグ事業の立ち上がりに合わせて、森村グループの一業一社の思想のもと独立した。現在もスパークプラグ分野では「NGKスパークプラグ」というブランドを使用しており、このブランドは世界中の自動車メーカーに広く浸透している。スパークプラグの世界シェアは約31%、車載用酸素センサーは約36%と、いずれも世界首位級であり、ほぼすべての主要自動車メーカーに製品を供給している。F1をはじめとするモータースポーツ分野での採用実績も多く、技術力と信頼性の高さを象徴している。
事業の中心は自動車関連事業であり、スパークプラグ、グロープラグ、排気系センサーが中核製品となっている。スパークプラグは一般品から白金、イリジウムといった高性能品、多極プラグや沿面プラグまで幅広く展開され、内燃機関の高効率化、長寿命化、排ガス規制対応を支えてきた。ディーゼル向けのグロープラグやセラミックグロープラグも手がけており、寒冷地や高効率エンジン用途で強みを持つ。排気系センサーでは酸素センサー、排気温度センサー、ノックセンサーなどを展開し、エンジン制御や排ガス浄化の高度化に不可欠な存在となっている。
一方で、内燃機関への依存度を徐々に下げるため、テクニカルセラミックス関連事業にも力を入れている。半導体分野では、水晶デバイスやSAWフィルタ用パッケージ、オーガニックICパッケージ、カメラモジュール用パッケージなどを展開しており、MPU向けオーガニックパッケージでは世界第3位のシェアを持つ。セラミック切削工具や各種機械工具は、自動車や機械加工分野で安定した需要を持つ事業であり、超音波振動子、静電チャック、誘電体共振器、セラミックヒーターなどは電子・産業用途向けの高付加価値製品として位置づけられている。
さらに、医療・環境・エネルギー分野にも事業を広げている。医療用酸素濃縮器やバイオセラミックスは医療・ヘルスケア分野での応用が進められており、燃料電池関連部材やエネルギー分野向けセラミック製品は、中長期的な成長領域として位置づけられている。空間除菌脱臭機など、環境・生活関連分野への展開も進めており、事業ポートフォリオの多角化が進行している。
グループ全体では、国内外に多数の子会社・関連会社を擁し、材料開発から製造、加工、物流までを幅広く内製化している点が大きな特徴である。セラミックス材料、センサー、半導体パッケージ、工具といった各分野で専門会社を持つことで、高い品質管理力と供給安定性を実現し、世界シェアトップ級の地位を長期にわたり維持してきた。
全体として日本特殊陶業は、自動車用スパークプラグ・排気系センサーという圧倒的な強みを基盤に、成熟した収益力を持つ企業である一方、テクニカルセラミックス、半導体、医療、エネルギーといった分野へ事業を広げ、内燃機関依存からの構造転換を進めている段階にある。高い参入障壁とグローバル供給力を背景に、安定収益を確保しつつ、次の成長軸を模索するグローバル素材・部品メーカーと位置づけられる。
日本特殊陶業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 427,546 | 47,389 | 52,001 | 38,367 | 188.6 | 60 |
| 22.3 | 491,733 | 75,512 | 83,642 | 60,200 | 296.0 | 102 |
| 23.3 | 562,559 | 89,219 | 93,384 | 66,293 | 326.1 | 166 |
| 24.3 | 614,486 | 107,591 | 117,184 | 82,646 | 409.5 | 164 |
| 25.3 | 652,993 | 129,660 | 133,313 | 92,625 | 466.3 | 178 |
| 26.3予 | 700,000 | 133,000 | 132,000 | 92,000 | 463.0 | 186 |
| 27.3予 | 730,000 | 138,000 | 137,000 | 95,000 | 478.1 | 186〜194 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 69,305 | -37,375 | -1,772 |
| 2024 | 118,179 | -92,157 | -57,450 |
| 2025 | 132,921 | -34,246 | -70,995 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER 高値平均/安値平均 |
PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 15.8% | 11.7% | 7.3% | – | – |
| 2024 | 17.5% | 12.9% | 8.4% | – | – |
| 2025 | 19.8% | 13.7% | 9.3% | 11.1倍/6.3倍 | 1.89倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず売上高は、24.3期で約6,144億円、25.3期で約6,529億円、26.3期予で約7,000億円と、3年連続で明確な増収基調にある。年率で見ると高い成長率ではないが、規模の大きな素材メーカーとしては十分に力強い伸びであり、需要環境が追い風となっていることが分かる。
営業利益は24.3期で約1,075億円、25.3期で約1,296億円、26.3期予で約1,330億円と、増益基調が続いている。営業利益率は2023年15.8%、2024年17.5%、2025年19.8%と3年連続で改善しており、収益性は明らかに上昇局面にある。素材メーカーとしては非常に高い水準で、付加価値の高い製品構成と価格決定力が業績に反映されている。
経常利益は24.3期で約1,171億円、25.3期で約1,333億円、26.3期予で約1,320億円と高水準を維持している。営業利益とほぼ同水準で推移しており、収益の質も良好である。純利益は24.3期で約826億円、25.3期で約926億円、26.3期予で約920億円と、ピークアウト気味ではあるものの、極めて高い利益水準にある。
資本効率を見ると、ROEは11.7%、12.9%、13.7%と着実に改善しており、ROAも7.3%、8.4%、9.3%と高水準まで上昇している。単に利益が増えているだけでなく、資産と資本を効率的に使えている状態であり、企業体質としては非常に良好である。
一方でバリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均11.1倍、安値平均6.3倍、PBRは1.9倍となっている。ROEが13.7%まで上昇していることを考えると、PBR1.9倍は理論的には説明できる水準だが、もはや割安とは言いにくい。PERも安値水準では割安感があるものの、高値水準では成長や高収益の持続をかなり織り込む評価になっている。
以上を踏まえた投資判断として、日本カーボンは営業利益率・ROE・ROAのすべてが明確な改善トレンドにあり、収益性と資本効率の両面で非常に優れた状態にある企業である。一方で、PBRはすでに2倍近く、PERもレンジ上限では高収益期を前提とした評価に入っている。したがって、業績そのものは極めて強いが、株価の評価面では「割安修正を狙う段階」はすでに通過しつつある。
結論としては、業績の強さを背景に中長期で保有する価値は高いが、新規投資としては株価水準と評価倍率を慎重に見る必要がある銘柄である。高収益体質が維持される限り下値は堅い一方、評価の切り上がり余地は限定的で、投資判断は「強気だが過熱には注意」という位置づけになる。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点で見ると、日本カーボンは「高配当株」ではないが、「高収益を背景にした安定配当株」としては十分に検討対象になる銘柄と言える。まず予想配当利回りは、26.3期・27.3期ともに2.69%と、利回り水準は2%台後半に位置している。インカム狙いとして突出して高い水準ではないが、素材メーカーとしては平均以上であり、極端に低い利回りでもない。
配当の裏付けとなる利益水準を見ると、純利益は直近で900億円超と非常に高く、営業利益率も19.8%と高収益体質にある。一株益は460円台と厚みがあり、配当は利益の中から十分に賄えている。無理に配当を出している印象はなく、減配リスクは相対的に低い。
また、営業CFが拡大し、投資CFを差し引いてもフリーCFを安定的に確保できている点は、配当の持続性を支える重要な要素である。財務CFが大きくマイナスになっていることからも、稼いだキャッシュを配当や株主還元に積極的に回していることが読み取れる。一方で、ROEが13%台、PBRが1.9倍と、すでに評価水準は高めにあるため、配当利回りが今後大きく上昇していく余地は限定的である。将来的に利回り4%台を狙うような銘柄ではなく、配当額は業績に応じて緩やかに増えるか、横ばいで推移する可能性が高い。
以上を踏まえると、日本カーボンは「配当だけを最大化したい人向け」の銘柄ではないが、「高収益企業の安定配当を受け取りながら、中長期で保有したい」投資家には向いている。値上がり益を主目的とせず、業績の強さと配当の持続性を重視する配当目的としては、無難かつ質の高い選択肢と評価できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本カーボンについて、現在値6,891円を起点に、今後5年間の株価の値動きを良い場合・中間・悪い場合の3つのシナリオで整理する。前提として、日本カーボンは等方性黒鉛を中心とする高機能炭素材料メーカーであり、営業利益率15〜20%、ROE10%超という高収益体質を持つ。一方で、半導体や先端分野の設備投資動向に業績が左右されやすく、株価も循環的に振れやすい性格を持つ。
良い場合のシナリオでは、半導体・電池・エネルギー関連向けの需要が想定以上に堅調に推移し、高付加価値製品の比率が維持される。営業利益率は20%前後、ROEも13%台を保ち、市場からは「構造的に高収益な素材メーカー」として評価されやすくなる。この場合、PERは11倍超が許容され、株価は8,500円から10,000円程度まで上昇する余地がある。配当利回りは低下するが、値上がり益を含めたトータルリターンが大きくなる展開となる。
中間のシナリオでは、業績は高水準を維持するものの、成長の加速は見られず、利益は横ばいから緩やかな増減にとどまる。営業利益率は17〜19%、ROEは12〜13%前後で安定し、市場評価も大きく変化しない。この場合、PERは8〜10倍、PBRは2倍前後に落ち着き、株価は6,500円から8,000円程度のレンジで推移する可能性が高い。値上がり益は限定的だが、配当を積み上げながらの中長期保有となる。
悪い場合のシナリオでは、半導体投資の停滞や設備投資の先送りが続き、高収益期からの調整が進む。営業利益率は15%前後まで低下し、ROEも10%台前半にとどまる。この場合、市場は成長期待を後退させ、PERは6倍前後、PBRも1.5倍程度まで低下する可能性がある。株価は5,000円から6,000円程度まで下落・調整するリスクがあるが、事業基盤が強いため長期的な急落が続く可能性は高くない。
総合すると、日本カーボンの今後5年間の株価は、良い場合で8,500〜10,000円、中間では6,500〜8,000円、悪い場合でも5,000〜6,000円程度というレンジ感が想定される。現在値6,891円は、すでに高収益体質をある程度織り込んだ水準であり、今後は「大きな成長を追う銘柄」というよりも、業績の持続性と配当を受け取りながら評価の振れを許容して付き合う銘柄と考えられる。
この記事の最終更新日:2026年1月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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