株価
エンビプロ・ホールディングスとは

エンビプロ・ホールディングスは、静岡県富士宮市に本社を置く資源リサイクル事業を中核とした持株会社であり、建築廃材や廃車などを回収・分別・加工し、鉄スクラップを中心とした再生資源として販売する事業を主軸としている。加工された鉄くずや金属資源は、国内のみならず韓国などの海外向け販売比率が高く、国際市況の影響を受けやすい一方で、輸出を通じた収益機会を持つ点が特徴である。また、中古車の回収・輸出事業も手掛けており、資源リサイクルと国際流通を組み合わせたビジネスモデルを構築している。
同社グループは、建築廃材、解体スクラップ、廃車などを回収し、鉄・非鉄金属・プラスチックなどに分別加工するリサイクル産業を基盤としている。これらの再生資源は、鉄鋼メーカーや素材産業向けの原料として供給され、資源循環の一翼を担っている。グループ会社には、日東化工、エコネコル、NEWSCON、3WM、クロダリサイクルなどがあり、地域密着型の回収・処理機能と、加工・販売機能を組み合わせた事業体制を取っている。
事業内容としては、純粋持株会社として傘下事業会社の経営管理を行うとともに、資源循環に関わる戦略立案や事業支援を担っている。単なるスクラップ回収業にとどまらず、「サーキュラーエコノミーをリードする」を戦略コンセプトに掲げ、資源を使い捨てにせず、価値を保ったまま循環させる社会の実現を目指している。
同社が掲げる取り組みは大きく二つに分かれる。一つは「モノづくりを支えるサーキュラーエコノミー」であり、工場から発生する工程廃材や市中から回収される使用済み製品を回収・再生し、グリーンマテリアルとして製造業の調達・生産プロセスへ戻す仕組みづくりである。これにより、製品や素材を高い価値の状態のまま循環させ続けるサーキュラーサプライチェーンの構築を進めている。
もう一つは「地域を支えるサーキュラーエコノミー」であり、地域で発生する廃棄物や使用済み資源を地域内で回収・処理・再生し、環境負荷の低減と地域経済への貢献を両立させる取り組みである。加えて、製造業や販売事業者に対して、企業間をつなぐCEコーディネート、コンサルティング、研究開発、再生技術の提供などを行い、企業のビジネスモデルを循環型へ転換する支援も行っている。
総じてエンビプロ・ホールディングスは、建築廃材や廃車の回収・リサイクルを基盤としつつ、海外向けスクラップ販売や中古車輸出を組み合わせ、資源循環を軸とした事業を展開する企業である。脱炭素や資源制約が強まる中で、サーキュラーエコノミーの実装を事業として進める点が同社の特徴となっている。
エンビプロ・ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
EPS (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 23.6 | 49,189 | 1,542 | 1,901 | 1,236 | 41.6 | 14 |
| 24.6 | 52,214 | 1,409 | 1,782 | 537 | 17.9 | 6 |
| 25.6 | 49,090 | 972 | 1,216 | 1,175 | 39.2 | 15 |
| 26.6予 | 43,000 | 1,300 | 1,700 | 1,300 | 45.8 | 15 |
| 27.6予 | 46,000 | 1,500 | 1,900 | 1,430 | 50.4 | 15〜17 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.6 | 2,332 | -3,838 | -92 |
| 24.6 | 2,940 | -1,560 | -1,931 |
| 25.6 | 3,469 | -1,328 | -2,075 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | 実績PER (高値/安値平均) |
実績PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.6 | 3.1% | 7.5% | 3.6% | – | – |
| 24.6 | 2.6% | 3.2% | 1.5% | – | – |
| 25.6 | 1.9% | 6.9% | 3.7% | 26.1倍/16.2倍 | 1.10倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績を見ると、2024年6月期は売上高522億円に対して営業利益14億円、経常利益17億円、純利益5億円という水準で、営業利益率は2.6%にとどまっている。売上規模の割に利益が薄く、リサイクル・スクラップ事業という市況性の強いビジネスモデルがそのまま数字に表れている年だといえる。ROEは3.2%、ROAは1.5%と資本効率も低く、事業の稼ぐ力が弱い局面だった。
2025年6月期になると、売上高は490億円に減少したものの、純利益は11億円まで回復している。営業利益は9億円とむしろ低下しており、営業利益率も1.9%まで落ちているが、経常利益や最終利益は改善している点が特徴的である。市況や為替、スクラップ価格などの影響を強く受ける事業であり、条件が整えば利益が出やすい一方、安定性には欠ける構造であることが分かる。この年のROEは6.9%、ROAは3.7%と改善しているが、営業利益率の低下を見る限り、構造的な収益力が高まったとは言いにくい。
2026年6月期予想では、売上高430億円とさらに縮小する一方で、営業利益13億円、経常利益17億円、純利益13億円と増益を見込んでいる。市況が好転すれば利益が戻る体質ではあるが、売上の減少と低い営業利益率を考えると、業績の先行きは引き続き外部環境に大きく左右されると見るのが自然である。
収益性指標を3年間で見ると、営業利益率は3.1%、2.6%、1.9%と一貫して低下しており、本業の収益力はむしろ弱まっている。一方でROEやROAは年ごとの振れが大きく、安定した利益創出モデルというより、市況循環型の色合いが強い企業であることがはっきりしている。
ここでバリュエーションを見ると、2025年実績PERは高値平均26.1倍、安値平均でも16.2倍、PBRは1.1倍となっている。営業利益率が2%前後、ROEも7%前後という水準を考えると、株価は決して割安とは言えず、むしろ将来の業績改善や環境関連ビジネスとしての成長期待をある程度織り込んだ評価水準にあると感じられる。
以上を総合すると、エンビプロ・ホールディングスは、売上規模は大きいものの利益率が低く、業績は市況や資源価格に強く左右される企業である。その割にPBRはすでに1倍を超え、PERも高めで、数字だけを見る限り「割安で放置されている銘柄」とは言いにくい。業績がはっきり改善し、営業利益率が上向く局面であれば評価が正当化される余地はあるが、現状の数値だけで判断すると、安定成長や割安さを重視する投資には向きにくく、市況回復や資源価格上昇といった明確な追い風を前提にしたタイミング投資向きの銘柄、という位置付けになる。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると、26.6期、27.6期ともに2.30%とされており、水準としては正直に言って低めである。高配当株を意識する投資家が期待する3%台後半から4%前後には届いておらず、インカムゲインを主目的にするには物足りない数字である。
配当の裏付けとなる利益を見ると、25.6期は純利益11億円、26.6期予想でも13億円と、配当を出せないほど悪い状況ではない。ただし、営業利益率は2%前後と低く、利益の源泉は安定した高収益事業というより、市況やスクラップ価格、為替などの外部環境に左右されやすい構造になっている。実際、年によって営業利益や純利益の振れが大きく、長期にわたって安定的に増配していく企業像は描きにくい。
また、PBRはすでに1.1倍と1倍を超えており、株価水準は「高配当だから許されている」状態ではない。配当利回りが2%台前半しかないにもかかわらず、この評価水準にあるという点は、配当目的の投資家にとっては割高感につながりやすい。仮に業績が悪化すれば、配当利回りが低い分、株価の下支え要因も弱くなる。
キャッシュフローを見ると営業CFは出ているものの、投資CFは継続的にマイナスであり、事業維持や成長投資に一定の資金を回す必要がある体質である。そのため、今後配当を大きく引き上げていく余力が十分にあるかという点でも、強い安心感は持ちにくい。
これらを総合すると、エンビプロ・ホールディングスは、配当目的で積極的に選ぶ銘柄ではない。配当が極端に不安定というわけではないが、利回りは低く、業績は市況依存でブレやすく、長期にわたって安定したインカムを得たい投資家にとっての魅力は限定的である。
したがって、同社は配当を主目的に保有する銘柄というよりも、資源価格や市況の回復、環境・サーキュラーエコノミー関連への評価が高まる局面での値動きを狙うタイプの銘柄であり、インカム狙いの優先順位は低い、という位置付けになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
エンビプロ・ホールディングスの現在値650.0円を基準に今後5年間の値動きを考えると、同社は鉄スクラップや建築廃材、廃車のリサイクルを主軸とする資源循環型企業であり、鉄鋼市況やスクラップ価格、為替、海外需要の影響を強く受ける銘柄である。環境・サーキュラーエコノミーという中長期テーマを持つ一方で、営業利益率は2%前後と低く、業績は市況次第で振れやすい。PBRは1倍前後とすでに割安感は薄く、ROEやROAも安定性に欠けるため、強気・中立・弱気のシナリオによって株価水準の差が出やすい構造になっている。
良い場合は、世界的な鉄鋼需要の回復とスクラップ価格の上昇、加えて韓国など海外向け輸出が順調に拡大するケースである。リサイクル需要の高まりや脱炭素の流れが追い風となり、取扱量とマージンの両面が改善する。営業利益率が3%台後半まで戻り、ROEも7%前後で安定すれば、市況依存型ながらも収益改善が評価されやすくなる。この場合、環境関連銘柄としての期待も加わり、PBRは1.2〜1.3倍程度まで見直される可能性がある。配当利回りは2%台にとどまるものの、業績回復を背景に評価修正が進めば、5年後の株価は900〜1,100円程度まで上昇するイメージで、市況がかなり良好な局面では1,200円近辺まで伸びる余地もある。
中間の場合は、鉄鋼市況やスクラップ価格が大きく改善も悪化もせず、業績が横ばい圏で推移するケースである。売上高は450〜500億円前後、営業利益率は2%前後にとどまり、ROEも5%前後で上下する。環境テーマへの評価は一定程度残るが、利益率の低さから積極的に買われる展開にはなりにくい。この場合、株価は450〜750円程度のレンジで上下し、5年後は600円前後に落ち着く可能性が高い。配当利回りも2%台と低いため、値上がり益も配当も控えめな横ばい保有が前提になる。
悪い場合は、世界的な景気減速や鉄鋼需要の低迷が長引き、スクラップ価格が下落するケースである。加えて為替の逆風や輸出環境の悪化が重なると、取扱量と採算の両方が圧迫される。営業利益率が2%を割り込み、ROEも低下すると、環境テーマへの期待よりも業績不安が強く意識される。この場合、PBRは0.8倍前後まで売り込まれ、5年後の株価は350〜500円程度まで下落する可能性がある。配当利回りが低い分、下値を支える力も弱くなりやすい。
総合すると、エンビプロ・ホールディングスは明確な成長株や高配当株ではなく、市況と環境テーマの評価を軸に株価が動く典型的なリサイクル・素材関連株である。良い場合は市況回復と環境評価による上振れ余地がある一方、中間では横ばい推移、悪い場合は市況悪化に連動して下値を探りやすい。長期では中間シナリオを基本に、資源価格や鉄鋼市況の改善局面での上振れを狙う銘柄であり、安定成長や高配当を期待して買うタイプではない。
この記事の最終更新日:2026年1月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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