株価
日本軽金属ホールディングスとは

日本軽金属ホールディングス株式会社は、アルミニウムを中核とする国内有数の非鉄金属グループを統括する持株会社であり、圧延、押出、加工、化成品まで幅広い領域をカバーするアルミ総合メーカーである。アルミ素材から最終製品に近い分野までを手がける事業ポートフォリオを持ち、建材、自動車、輸送機器、包装、電子材料など多様な産業分野と関わっている点が特徴である。
同社は2012年に日本軽金属が単独株式移転を行う形で設立された持株会社であり、設立と同時にグループ再編を実施した。現在の主要子会社は、アルミ素材・加工の中核を担う日本軽金属、押出関連事業を統括する日軽金加工開発ホールディングス、箔・粉末製品を手がける東洋アルミニウム、トレーラや自動車車体など輸送機器分野を担う日本フルハーフで構成されている。この体制により、素材系から完成品に近い分野まで、用途別に専門性を高めた事業運営を行っている。
事業領域は非常に広く、上流ではアルミナや水酸化アルミニウム、各種化学品、炭素製品、アルミニウム合金の製造・販売を行い、中流ではアルミ板、アルミ押出製品、電子材料といった加工素材を展開し、下流では輸送関連製品、冷凍・冷蔵庫用パネル、景観関連製品、包装材、箔、粉末製品などの加工・完成品事業を行っている。このため、景気や市況の影響を受けやすい一方で、特定分野への依存度が過度に高くならない構造になっている。
かつては国内でアルミニウム製錬も行っていたが、電力コストの高さや国際競争力の低下を背景に、2014年に国内最後となる製錬工場を閉鎖した。これにより、現在は製錬を行わない体制となり、原料調達は海外に依存する形となっている。一方で、製錬から撤退したことで固定費負担は軽減され、経営資源を加工・高付加価値分野へ集中させる方向へと舵を切った。
近年は、自動車の軽量化ニーズ、環境規制の強化、脱炭素社会への移行を追い風に、アルミ需要の中長期的な拡大が期待されており、同社も車載向けアルミ材や高機能材料、環境対応型製品の開発に注力している。また、国内市場が成熟する中で、アジアを中心とした海外展開を積極化しており、生産・販売拠点の拡充によって成長機会を取り込みにいく戦略をとっている。
一方で、アルミ価格や原材料価格、為替、エネルギーコストの変動に業績が左右されやすい点は構造的な課題であり、特に市況悪化局面では利益の振れ幅が大きくなりやすい。また、素材系事業の比率が高いため、収益性は安定成長型というよりも循環型の性格が強い企業といえる。
総じて、日本軽金属ホールディングスは、アルミニウムという基礎素材を軸に、化成品から加工・完成品までを網羅する総合力を持つ一方、景気循環や市況変動の影響を強く受ける企業グループであり、今後は高付加価値化と海外展開の進捗が中長期的な評価を左右する存在である。
日本軽金属ホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 432,568 | 24,194 | 24,030 | 3,366 | 54.4 | 65 |
| 連22.3 | 486,579 | 22,198 | 22,928 | 16,759 | 270.8 | 85 |
| 連23.3 | 516,954 | 7,539 | 8,859 | 7,203 | 116.3 | 50 |
| 連24.3 | 523,715 | 18,189 | 19,033 | 9,037 | 145.9 | 50 |
| 連25.3 | 550,180 | 21,744 | 19,785 | 12,375 | 200.0 | 70 |
| 連26.3予 | 590,000 | 23,000 | 21,000 | 15,000 | 243.5 | 80 |
| 連27.3予 | 605,000 | 25,000 | 23,000 | 16,000 | 259.8 | 85〜90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 695 | -15,123 | 85 |
| 連24.3 | 38,041 | -23,931 | -11,049 |
| 連25.3 | 12,059 | -19,107 | 6,243 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 1.4 | 1.3 | 3.5 | – | – |
| 連24.3 | 3.4 | 1.6 | 4.0 | – | – |
| 連25.3 | 3.9 | 2.2 | 5.3 | 12.6(高値)/9.4(安値) | 0.68 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
日本軽金属ホールディングスの直近実績と予想を見ると、売上高は連24.3で5,237億、連25.3で5,501億、連26.3予で5,900億と、年々着実に拡大している。トップラインは市況型企業としては比較的安定して増加しており、数量回復と価格転嫁が一定程度進んでいることが読み取れる。
営業利益は連24.3で181億、連25.3で217億、連26.3予で230億と回復基調にあり、営業利益率も2023年の1.4%から2024年3.4%、2025年3.9%へと改善している。ただし、3%台後半という水準は素材メーカーとしてはまだ低く、高収益企業とは言いにくい。収益構造は改善途上だが、依然として市況やコスト変動の影響を強く受けやすい段階にある。
経常利益は連24.3で190億、連25.3で197億、連26.3予で210億と営業利益と同様に増加しており、財務面での大きな歪みは見られない。純利益も連24.3で90億、連25.3で123億、連26.3予で150億と伸びており、利益の質は改善傾向にある。
一方で資本効率を見ると、ROEは2023年3.5%、2024年4.0%、2025年5.3%と上昇しているものの、依然として5%台前半にとどまっている。ROAも1.3%から2.2%まで改善しているが、こちらも高水準とは言えない。資産規模が大きい割に利益創出力はまだ弱く、資本効率の低さが株価評価を抑える要因になっている。
2025年の実績PERは高値平均12.6倍、安値平均9.4倍と、成長株としては低め、典型的な市況・資産株水準に位置している。PBRは0.68倍と明確な1倍割れであり、資産価値に対して市場評価はかなり慎重であることが分かる。これは収益性とROEの低さをそのまま反映した水準といえる。
以上を踏まえると、日本軽金属ホールディングスは高成長株でも高収益株でもなく、業績回復途上にある資産株・循環株という位置付けになる。利益率とROEが低いため大きな株価評価の切り上がりは期待しにくいが、PBR0.6倍台という割安さと、利益が回復基調にある点を考えると、下値は比較的堅い。一方で、投資判断としては、値上がり益狙いよりも、業績改善が続くかを見極めながらの中長期保有、もしくは割安修正を狙ったタイミング投資向きの銘柄といえる。
配当目的とかどうなの?
日本軽金属ホールディングスを配当目的で見ると、絶対的な安定配当株というより、業績回復局面で配当を取りにいくタイプの銘柄といえる。まず予想配当利回りは連26.3で3.03%、連27.3で3.22%と、国内株式全体の中では平均よりやや高い水準にある。高配当株と呼べるほどではないが、インカム目的として最低限の利回りは確保できている。短期的に見れば、利回り面だけで敬遠される銘柄ではない。
利益の動きを見ると、純利益は連24.3で90億、連25.3で123億、連26.3予で150億と回復傾向にあり、一株益も145円から200円、243円へと増加している。この水準から考えると、配当70円から80円への引き上げは利益に対して過度ではなく、足元の業績環境が続く限り、配当の維持や小幅な増配は十分可能な範囲にある。
一方で、営業利益率は直近でも3.9%、ROEは5.3%、ROAは2.2%と、収益性と資本効率は依然として低い。これは業績が安定している局面では配当を出せるが、市況が悪化すると利益が急減し、配当方針も見直されやすい体質であることを示している。素材・市況株である以上、配当の安定性は景気や原材料価格の影響を強く受ける。
株価指標を見ると、PBRは0.68倍と1倍を大きく下回っており、資産価値に対して株価は慎重に評価されている。この水準は、株価の下値が比較的限定されやすい点では配当投資家にとって安心材料になるが、同時に市場が同社を高い収益性や安定配当銘柄として評価していないことの裏返しでもある。
総合すると、日本軽金属ホールディングスは、利回り3%台前半を確保しつつ、業績回復期には配当を受け取りやすい一方で、景気後退局面では減配リスクを常に意識する必要がある銘柄である。配当を最優先して長期保有する中核銘柄にはなりにくいが、割安水準で仕込んでインカムを得つつ、環境変化に応じて柔軟に対応するサブ的な配当投資先としては現実的な選択肢といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本軽金属ホールディングスの現在値2,634.0円を基準に今後5年間の値動きを考えると、同社はアルミニウムを中心とする素材系企業であり、市況や原材料価格、エネルギーコストの影響を受けやすい一方、圧延・加工・化成品までを手がける総合力を持つ点が特徴である。急成長株ではないが、業績回復局面では評価が見直されやすく、シナリオによって株価レンジが比較的大きく分かれるタイプの銘柄といえる。
良い場合は、アルミ市況が安定的に推移し、自動車軽量化需要やアジア展開が順調に進むことで、利益回復が定着するケースである。営業利益率が4%台後半まで改善し、ROEも6%台後半から7%程度まで上昇すれば、市場の見方は明らかに変わってくる。PBRは0.8倍前後まで切り上がり、PERも12倍から14倍程度が許容される可能性がある。この場合、EPS240円前後を前提にすると、5年後の株価は3,300〜3,800円程度を目指す展開が想定され、環境が良ければ4,000円近辺まで上振れする余地も出てくる。
中間の場合は、業績は回復基調を維持するものの、市況の波を受けながら大きな成長には至らないケースである。営業利益率は3%台後半で頭打ちとなり、ROEも5%台前半で安定する。この水準では市場評価は大きく変わらず、PBRは0.6〜0.7倍、PERは10〜12倍程度にとどまると考えられる。この場合、株価は2,400〜3,000円程度のレンジで推移し、5年後は2,700円前後に落ち着くイメージで、配当利回り3%前後を受け取りながらの横ばいから緩やかな上昇となる可能性が高い。
悪い場合は、アルミ価格の下落やエネルギーコストの上昇、世界景気の減速によって利益が再び圧迫されるケースである。営業利益率が2%台まで低下し、ROEも4%前後にとどまると、市場評価は一段と慎重になる。PBRは0.6倍を割り込み、PERも8〜9倍程度まで切り下げられる可能性がある。この場合、EPSは200円前後まで低下し、株価は1,800〜2,200円程度まで調整するリスクがある。業績悪化局面では配当も抑制されやすく、株価は長期停滞局面に入る可能性がある。
総合すると、日本軽金属ホールディングスは大きな成長を狙う銘柄ではないが、業績回復局面では評価が戻りやすく、割安水準では下値も比較的限定されやすい循環株といえる。5年間では中間シナリオを基本に考え、配当を受け取りつつ、収益性改善が進めば3,000円台への評価修正を期待する、というスタンスが現実的な見方になる。
この記事の最終更新日:2026年1月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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