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大阪チタニウムテクノロジーズとは

大阪チタニウムテクノロジーズ株式会社は、高品質な金属チタンを主力とする日本の非鉄金属メーカーであり、スポンジチタン分野では世界トップクラスの地位を持つ企業である。日本製鉄および神戸製鋼所系の企業として位置付けられ、チタン事業では東邦チタニウムと並び世界市場を二分する存在となっている。本社は兵庫県尼崎市に所在し、尼崎工場を中核拠点として生産を行っている。
同社の前身である大阪チタニウム製造株式会社は、1952年に日本で初めてスポンジチタンの工業化に成功した、チタン産業のパイオニア企業である。以来、独自技術の開発と製造ノウハウの蓄積を進め、現在では品質・供給能力の両面で世界有数のチタンメーカーとして高い評価を得ている。特に航空機向けの高品質スポンジチタンでは世界首位級のシェアを持ち、厳しい品質基準が求められる航空宇宙分野を支える重要な素材供給企業となっている。
主力事業は金属チタン事業であり、スポンジチタンおよびチタンインゴットの製造・販売を行っている。スポンジチタンはチタン金属の基礎原料であり、航空機部品をはじめ、化学プラント、発電設備、医療分野など幅広い用途で使用されている。同社のスポンジチタンは高純度・高品質であることが特徴で、航空機向け需要の比率が高い点が事業構造上の大きな特徴となっている。
チタンインゴットについても、スポンジチタンを主原料として製造しており、大型サイズで表面状態や内部品質に優れる点が強みである。航空機や先端産業向け材料として安定した評価を得ており、チタン素材の上流から中間工程までを一貫して手掛ける体制を構築している。
用途面では、航空宇宙産業が最大の需要先であるが、近年は航空機以外にも用途が広がっている。軽量化・高強度が求められる自動車分野、低炭素エネルギー関連としてのLNGプラント、世界的に需要が高まる海水淡水化プラント、さらに半導体やエレクトロニクス産業など、社会インフラから先端産業まで幅広い分野でチタン素材の需要が拡大している。加えて、スポーツ用品やレジャー分野など、身近な製品にもチタンが浸透しつつある。
一方で、同社はかつて多結晶シリコン(ポリシリコン)事業も展開していたが、市況変動や事業環境を踏まえ、この分野からは撤退している。現在は経営資源をチタンおよび高機能材料分野に集中させる戦略を取っている。また、日本国内初の一酸化ケイ素製造メーカーとしての実績を持ち、近年は高機能材料の生産・開発にも注力している。チタンの特性を活かした高付加価値材料を通じて、航空宇宙・エレクトロニクス分野など成長領域への対応を進めている。
総じて大阪チタニウムテクノロジーズは、チタンという高付加価値素材に特化し、世界トップクラスの品質と技術力を武器に事業を展開する素材メーカーである。航空機需要の動向に業績が左右されやすい循環性はあるものの、参入障壁の高いスポンジチタン分野で確固たる地位を築いており、先端産業とインフラを支える基盤素材メーカーとして重要な役割を担っている。
大阪チタニウムテクノロジーズ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 単21.3 | 17,053 | -3,425 | -2,843 | -5,083 | -138.2 | 0 |
| 単22.3 | 28,549 | -1,914 | -1,719 | -3,112 | -84.6 | 0 |
| 単23.3 | 43,074 | 4,780 | 4,723 | 4,388 | 119.3 | 35 |
| 単24.3 | 55,322 | 8,288 | 9,360 | 9,689 | 263.3 | 70 |
| 単25.3 | 51,914 | 10,088 | 9,076 | 7,090 | 192.7 | 50 |
| 単26.3予 | 49,000 | 5,000 | 4,800 | 2,200 | 59.8 | 15 |
| 単27.3予 | 52,000 | 7,000 | 7,000 | 4,500 | 122.3 | 15〜40 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 741 | -2,693 | -369 |
| 2024 | 2,098 | -3,016 | -524 |
| 2025 | 2,859 | -3,475 | -694 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 11.0% | 14.3% | 5.3% | – | – |
| 2024 | 14.9% | 25.1% | 10.4% | – | – |
| 2025 | 19.4% | 16.5% | 7.0% |
28.4倍(高値) 9.1倍(安値) |
1.88倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の水準を見ると、2024年3月期の売上高は553億円、営業利益は82億円、経常利益は93億円、純利益は96億円である。営業利益率は11.0%と、素材メーカーとしては高い水準にあり、収益構造が非常に良い状態にあったことが分かる。
2025年3月期は売上高519億円とやや減収となったが、営業利益は100億円まで拡大しており、営業利益率は14.9%へと大きく改善している。一方で、経常利益は90億円、純利益は70億円と、2024年からは減少している。これは利益のピークアウトを示唆する数字であり、収益の天井感が出始めた局面と捉えられる。
2026年3月期予想では、売上高490億円、営業利益50億円、経常利益48億円、純利益22億円と、利益面での大幅な減少が見込まれている。営業利益は2025年の半分水準まで落ちる予想であり、業績が明確な調整局面に入る想定となっている。
収益性と資本効率を見ると、営業利益率は2023年11.0%、2024年14.9%、2025年19.4%と急上昇しており、2025年は非常に高い水準に達している。ROEは2023年14.3%、2024年25.1%、2025年16.5%で、2024年に極めて高い水準となり、2025年は低下したものの依然として2桁を維持している。ROAも2023年5.3%、2024年10.4%、2025年7.0%と高水準で推移しており、資産効率はかなり良い。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均28.4倍、安値平均9.1倍と非常に振れ幅が大きい。業績が好調な局面では成長株として高い評価を受ける一方、先行き不安が強まると一気に低PERまで売り込まれる性格の銘柄であることが分かる。PBRは1.88倍で、資本効率の高さをある程度織り込んだ水準にある。
これらを総合すると、大阪チタニウムテクノロジーズは、2024年から2025年にかけては極めて高い収益性と資本効率を示したが、2026年予想では利益が急減する見通しとなっており、業績は明確な循環型である。営業利益率やROE、ROAの水準自体は非常に優秀だが、それが持続する前提には立ちにくい。
上記数値だけで判断するなら、この銘柄は安定成長株ではなく、市況と需要回復局面で評価が急拡大する循環株である。業績ピーク時にはPERが大きく切り上がる一方、減益局面ではPER1桁まで評価が縮むリスクが高い。したがって、長期で業績の安定成長を期待する投資よりも、業績サイクルを意識したタイミング投資向きであり、現時点ではやや慎重寄り、もしくは中立的な評価が妥当といえる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは2026年3月期が0.65%、2027年3月期も0.65%と、2年連続で同水準にとどまっている。この利回り水準は日本株全体の中でもかなり低く、配当収入を主目的とする投資には明確に不向きである。一般的に配当目的で選ばれる銘柄は利回り3%前後以上が目安となることが多く、それと比べるとインカム面の魅力はほとんどない。
業績面では、2024年から2025年にかけて営業利益率やROE、ROAが大きく改善し、高収益局面にあったが、2026年予想では営業利益、純利益ともに大幅な減少が見込まれている。こうした業績の振れ幅の大きさを踏まえると、会社が高い配当性向を継続するのは難しく、配当を抑制している判断は数字上も自然である。
また、同社は航空機需要に大きく左右される循環型の素材メーカーであり、好況期と不況期の差が大きい。そのため、配当を安定的に積み上げていくタイプの企業ではなく、利益が出ている局面でも将来の調整局面に備えて内部留保を優先する姿勢が強いと考えられる。結果として、配当利回りは低位で固定されやすい構造になっている。
PERは好況期には高く評価され、不況入りを意識すると急低下する傾向があり、PBRも2倍近辺まで評価された後に調整を受けやすい。こうした値動きの特性からも、この銘柄は配当を積み上げながら長期保有するより、業績サイクルに合わせた株価変動を狙う投資に向いている。
以上を踏まえると、大阪チタニウムテクノロジーズは配当目的にはほぼ適さない銘柄である。配当は事実上おまけ程度であり、インカム重視の投資には不向きである一方、航空機需要の回復局面で業績と評価が一気に改善するタイミングを狙う値上がり目的の銘柄として位置付けるのが妥当といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
大阪チタニウムテクノロジーズの現在値2,273.0円を基準に今後5年間の値動きを考えると、同社は高品質スポンジチタンで世界トップクラスの地位を持ち、航空機向け需要への依存度が高い循環型の素材メーカーである。直近数年は航空機需要回復を背景に高収益を実現したが、2026年予想では大幅な減益が見込まれており、業績の振れ幅が大きい点が株価にも強く反映されやすい銘柄である。
良い場合は、世界的な航空機需要が想定以上に拡大し、民間航空機の増産が長期的に続くケースである。これによりスポンジチタンの需給が再び引き締まり、高水準の稼働率と価格環境が維持される。営業利益率は15%前後以上で安定し、ROEも15%超を維持する局面が続けば、市場からは成長素材メーカーとして再評価される可能性が高い。この場合、PERは再び20倍前後まで許容され、PBRも2倍近辺で定着する展開が想定される。こうした評価が定着すれば、5年後の株価は3,500円〜4,500円程度まで上昇する展開が考えられる。航空機需要に加え、防衛や先端分野への用途拡大が評価されれば、5,000円近辺までの上振れも視野に入る。
中間の場合は、航空機需要は回復基調を維持するものの、増産ペースは緩やかで、市況は大きくは改善しないケースである。業績は2026年の調整後に持ち直すが、過去最高益水準には届かず、営業利益率は10%前後に落ち着く。ROEも10%前後で推移し、収益性は良好だが突出した水準ではない。この場合、市場評価はPER10倍前後、PBR1.3〜1.6倍程度に収まり、株価は業績に沿って緩やかに推移する。5年後の株価水準は2,200円〜3,000円程度で、現在値近辺からやや上方向を意識する程度の展開が現実的と考えられる。
悪い場合は、航空機需要の回復が想定より遅れ、世界経済の減速や機体メーカーの生産調整が長期化するケースである。スポンジチタンの需給が緩み、稼働率低下と価格圧迫が続くことで、営業利益率は一桁台まで低下する可能性がある。ROEやROAも大きく低下し、業績回復への確信が持てない状況では、市場評価は急速に冷え込む。この場合、PERは再び一桁台前半まで低下し、PBRも1倍前後まで調整される展開となる。株価は1,500円〜2,000円のレンジで低迷し、景気悪化が長引けば1,200円台まで下押しされるリスクも否定できない。
総合すると、大阪チタニウムテクノロジーズは高い技術力と参入障壁を持つ一方で、航空機市況に大きく左右される循環色の強い銘柄である。5年間では中間シナリオを基本としつつ、航空機需要が再び力強く立ち上がる局面では大きな上振れ余地がある反面、市況悪化時の下振れリスクも大きい。安定配当や安定成長を期待するより、業績サイクルを見極めながら向き合う値動きの大きい銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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