株価
いよぎんホールディングスとは

いよぎんホールディングス株式会社は、愛媛県松山市に本社を置き、伊予銀行を中核会社としていよぎんグループ全体を統括する金融持株会社である。2022年10月に発足し、それまで伊予銀行単体を中心としていた経営体制を、持株会社方式へと転換した。これは、地方銀行を取り巻く環境が厳しさを増す中で、経営の柔軟性を高め、銀行業務にとどまらない事業領域の拡大を進めることを目的としたものである。
いよぎんホールディングス自身は、銀行業務を直接行うわけではなく、銀行法に基づく銀行持株会社として、グループ各社の経営管理およびそれに付帯する業務を担っている。具体的には、グループ戦略の策定、経営資源の最適配分、リスク管理やガバナンスの高度化などを通じて、グループ全体の企業価値向上を図る役割を持つ。本店所在地は愛媛県松山市南堀端町で、四国を代表する金融グループの中枢機能を担っている。
グループの中核である伊予銀行は、愛媛県を中心とした四国地域を主要な営業基盤とし、預金、融資、為替といった伝統的な銀行業務を幅広く展開している。個人向けには住宅ローンや各種ローン、資産運用商品などを提供し、法人向けには運転資金や設備投資資金の融資、事業承継やM&A支援など、地域企業の経営を支える役割を果たしている。地域密着型金融を強みとし、地元経済との結びつきが非常に強い点が特徴である。
伊予銀行以外のグループ会社としては、いよぎんビジネスサービス、いよぎんChallenge&Smile、いよぎんキャピタル、いよぎん地域経済研究センターなどがある。これらは保証業務、カード・決済関連、ベンチャー投資や企業支援、調査・コンサルティングといった機能を担っており、銀行単体では対応しにくい分野を補完している。持株会社体制に移行したことで、こうした非金利分野の事業を横断的に育成しやすくなり、収益源の多様化が進められている。
近年の地方銀行は、人口減少や低金利環境の長期化により、従来型の融資ビジネスだけでは成長が見込みにくい状況にある。その中で、いよぎんホールディングスは、地域企業の課題解決型支援、スタートアップや成長企業への投資、コンサルティング機能の強化などを通じて、金融+αの価値提供を志向している。単なる資金の貸し手にとどまらず、地域経済の持続的発展を支えるパートナーとしての役割を強めている点が特徴である。
全体として、いよぎんホールディングスは、伊予銀行という安定した地域金融基盤を土台にしつつ、持株会社化によって経営の自由度を高め、保証、カード、投資、調査・コンサルティングといった周辺分野へ事業領域を広げている金融グループである。堅実な地方銀行グループという性格を保ちながら、環境変化に対応した成長戦略を模索している企業といえる。
いよぎんホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 172,954 | 39,777 | 42,415 | 27,899 | 89.1 | 9 |
| 連24.3 | 192,758 | 56,555 | 58,579 | 39,464 | 128.9 | 30 |
| 連25.3 | 231,888 | 59,294 | 75,027 | 53,321 | 178.1 | 45 |
| 連26.3予 | 242,000 | 75,000 | 88,500 | 66,000 | 225.3 | 60 |
| 連27.3予 | 250,000 | 76,000 | 90,000 | 63,000 | 215.0 | 60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | -368,753 | 234,070 | -12,804 |
| 2024 | 296,372 | -481,437 | -11,089 |
| 2025 | -160,043 | 134,864 | -23,976 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | ― | 0.3 | 3.6 | ― | ― |
| 2024 | ― | 0.4 | 4.6 | ― | ― |
| 2025 | ― | 0.5 | 6.6 | 9.9(高値平均) 6.3(安値平均) |
0.91 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益の大きさを見ると、地方銀行グループとしてはかなり大きな規模で安定している。連24.3では営業利益565億、経常利益585億、純利益394億と、すでに十分な利益水準にある。連25.3になると営業利益592億、経常利益750億、純利益533億まで伸びており、特に経常利益と純利益の増加が目立つ。連26.3予では営業利益750億、経常利益885億、純利益660億と、さらに一段の増益が見込まれており、利益成長の流れ自体は非常に明確である。規模、安定性、増益基調という点では、地方銀行株の中でも上位クラスといえる。
一方で、収益性や資本効率に目を向けると印象は変わる。ROEは3.6%、4.6%、6.6%と年々改善してはいるものの、水準としてはまだ低い。株主資本を使って高い利益を生み出しているとは言いにくく、評価が伸びにくい要因になっている。ROAも0.3%、0.4%、0.5%と極めて低く、これは銀行業の構造的特徴ではあるが、資産規模に対して利益率が薄い状態が続いていることを示している。営業利益率については銀行業では一般的な指標ではなく、製造業のような形での比較はあまり意味を持たない。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均9.9倍、安値平均6.3倍と低めで、利益成長を考えると割高感はない。PBRも0.9倍と1倍を下回っており、純資産価値に対して株価は控えめに評価されている。これは、業績が良くてもROEが低い銀行株には市場が慎重になりやすい、という典型的な評価構造を反映している。
これらを総合すると、いよぎんホールディングスは、利益の絶対額と安定性、そして足元の増益トレンドという点では非常に強い。一方で、ROE・ROAが低いため、高成長株や高評価株として市場から高い倍率を与えられる段階には至っていない。PERやPBRが低いのは割安とも言えるが、それは同時に資本効率の低さが織り込まれている結果でもある。
結論として、数値だけで判断すれば、5830はいわゆる成長株ではなく、「安定した利益を出し続ける大型地方銀行グループ」であり、評価軸は成長期待よりも安定性と割安さにある銘柄である。ROEが今後さらに改善し、7〜8%台が視野に入ってくれば評価見直し余地は大きいが、現時点では大きな値上がりを狙うより、業績の安定と配当を含めた中長期保有向けの銘柄、という位置づけになる。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りを見ると、連26.3で2.25%、連27.3でも2.25%と、地方銀行株としては中間的な水準にある。高配当銘柄と呼ばれる3%超には届かないものの、1%台にとどまる成長株よりは明確に配当を意識した水準であり、配当目的として完全に不適という数字ではない。
利益面を見ると、営業利益・経常利益・純利益はいずれも億単位で安定して拡大しており、連26.3予では純利益660億と、配当の原資となる利益規模は非常に大きい。この点は配当の継続性という意味では強みであり、短期的に配当が不安定になるリスクは低いと考えられる。実際に一株配当も段階的に引き上げられてきており、極端に還元を渋る姿勢ではない。
一方で、ROEは6.6%とまだ低く、PBRも0.9倍にとどまっている。これは、利益は出ているが資本効率が高いとは言えず、会社としても積極的な高配当政策を打ち出しにくい構造にあることを示している。現状の2%台前半という利回りは、安定性を重視した結果であり、急激な増配を期待する局面ではない。
このため、いよぎんホールディングスは、インカムゲインを最優先にして高利回りを狙う投資家にはやや物足りない。一方で、業績が安定しており、減配リスクが比較的小さい中で、そこそこの配当を受け取りたい投資家にとっては、一定の安心感のある銘柄といえる。値上がり益よりも、安定した利益基盤と配当の継続性を重視するタイプ向きである。
結論として、いよぎんホールディングスは「高配当株」ではないが、「安定配当株」としては検討余地がある銘柄である。配当だけで大きなリターンを狙うよりも、安定した業績と配当を背景に中長期で保有し、評価改善や緩やかな増配があれば上乗せを期待する、という位置づけが現実的と言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
いよぎんホールディングス株式会社の現在値2,662.0円を基準に今後5年間の値動きを考えると、同社は伊予銀行を中核とする地方銀行グループの持株会社であり、四国を中心とした安定した地域金融基盤を持つ一方、低金利環境や人口減少といった構造的制約の中で、収益力と資本効率の改善が課題となっている企業である。足元では利益水準が大きく拡大しており、業績面は明確な回復・成長局面にあるが、ROE・ROAは依然として低く、市場評価は慎重な水準にとどまりやすい銘柄といえる。
良い場合は、国内金利環境の正常化が進み、預貸金利差の改善や運用収益の拡大が持続するケースである。これに加えて、保証、カード、コンサルティングなど非金利収益が着実に積み上がり、グループ全体の収益構造が改善していく状況が想定される。この場合、純利益は安定的に高水準を維持し、ROEは6%台からさらに上昇して7〜8%水準が視野に入る。資本効率の改善が進めば、PBRは1倍超まで見直され、PERも10倍前後が許容される可能性がある。配当も安定して2%台を維持または緩やかに増配されると、市場評価が徐々に引き上がり、5年後の株価は3,500円〜4,500円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、金利環境は大きく改善も悪化もせず、地域経済も緩やかな成長にとどまるケースである。利益水準は高止まりするものの、ROE・ROAの改善は限定的で、銀行株特有の低評価構造から大きく脱するには至らない。PERは7〜9倍、PBRは0.9倍前後で推移し、配当利回り2%台前半の安定配当株として評価される。この場合、株価は大きな上昇は見込めないものの、下値も限定的となり、5年後の水準は2,700円〜3,300円程度に落ち着くイメージとなる。値上がり益よりも安定性と配当を重視する投資家向けの推移である。
悪い場合は、国内外の景気減速や金利低下により、利ざや改善が進まず、非金利収益の拡大も想定ほど進まないケースである。地域経済の停滞が長引けば、貸出成長も鈍化し、利益の伸びが止まる可能性がある。この場合、ROE・ROAは低水準にとどまり、PBRは1倍割れが定着する。市場評価がさらに慎重になると、株価は調整局面に入り、5年後には2,000円〜2,400円程度で低迷し、環境次第では1,800円台まで下押しされるリスクも考えられる。
総合すると、いよぎんホールディングスは急成長株ではなく、安定した利益基盤を持つ地方銀行グループであり、株価は金利環境と資本効率改善の度合いに大きく左右される銘柄である。5年間では中間シナリオを基本としつつ、ROE改善と非金利収益拡大が進めば3,500円超への上振れ余地がある一方、環境悪化時には2,000円前後までの下押しリスクも併せ持つ。現時点では、高配当や急成長を狙う銘柄というより、業績の安定性と緩やかな改善を見極めながら保有を検討するタイプの銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す