株価
SWCCとは

SWCC株式会社は、電線・ケーブルを中核とする総合電線メーカーであり、日本の社会インフラを長年にわたり支えてきた企業である。前身は昭和電線電纜株式会社で、社名のSWCCは英文社名であるShowa Electric Wire & Cable Co., LTD.に由来している。電線業界では、住友電工、古河電工、フジクラと並ぶ大手4社の一角を占め、電力・通信・産業用途まで幅広い分野で事業を展開している。JPX日経インデックス400およびJPX日経中小型株指数の構成銘柄でもあり、一定の企業規模と市場評価を有する。
事業の根幹は電力インフラ向け製品であり、送配電用の電線・ケーブルをはじめ、発電所や変電所、ビルの受変電設備などで使用される電力関連製品を数多く手掛けている。特に高電圧電力ケーブル用コネクタであるSICONEXは同社の主力製品の一つで、施工性や信頼性の高さからインフラ分野で高い評価を得ている。電力設備は更新周期が長く、景気変動の影響を受けにくいため、同社の事業は比較的安定した需要に支えられている点が特徴である。
素材・加工技術面でも独自性があり、国内で唯一、ディップフォーミング方式による無酸素銅線材MiDIPを製造している。高品質な銅線材は電線・電子部品の性能を左右する重要な要素であり、同社は上流素材から加工・製品化までを一貫して手掛けることで競争力を確保している。このような技術基盤は、価格競争に陥りやすい電線業界において差別化要因となっている。
事業セグメントは大きくエネルギー・インフラ事業と通信・コンポーネンツ事業に分かれる。エネルギー・インフラ事業では、電力ケーブル、アルミ線、機器電材、免震装置などを展開し、電力会社向け需要や再生可能エネルギー関連設備、老朽インフラ更新需要を取り込んでいる。通信・コンポーネンツ事業では、光ファイバケーブルや光加工品、通信ケーブル、機器用電線に加え、制振・制音デバイス、精密デバイス、ワイヤーハーネス、巻線、裸線、銅合金などを手掛け、電機・電子・情報機器市場を幅広く支えている。
近年は、従来の電力インフラ中心の事業構造に加え、車載関連分野の育成にも注力している。自動車の電動化や電子化が進む中で、車載用ワイヤーハーネスや関連部材の需要拡大が見込まれており、同社はこれを中長期的な成長分野と位置づけている。また、国内市場が成熟する一方で、アジア地域を中心とした海外展開も加速させており、インフラ整備需要や産業成長を背景に事業拡大を図っている。
拠点面では、本社を神奈川県川崎市に置き、相模原事業所、仙台事業所、三重事業所などの製造拠点を持つ。これらの拠点で電線・ケーブルから各種部材までを生産し、国内外の顧客に供給している。全体としてSWCCは、電力インフラという安定分野を軸に、通信、車載、海外展開といった成長要素を積み重ねることで、堅実さと成長性の両立を目指す企業である。
SWCC 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 161,697 | 7,590 | 7,765 | 4,966 | 166.5 | 20 |
| 連22.3 | 199,194 | 10,039 | 9,882 | 9,353 | 313.4 | 50 |
| 連23.3 | 209,111 | 10,474 | 10,393 | 9,410 | 315.0 | 60 |
| 連24.3 | 213,904 | 12,824 | 12,213 | 8,838 | 297.1 | 90 |
| 連25.3 | 237,862 | 20,935 | 11,272 | 11,400 | 385.7 | 136 |
| 連26.3予 | 270,000 | 26,000 | 25,000 | 16,000 | 540.4 | 200 |
| 連27.3予 | 286,000 | 28,000 | 27,000 | 19,000 | 641.7 | 200〜250 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(単位:百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 4,163 | -3,547 | -85 |
| 2024 | 17,740 | 1,021 | -15,626 |
| 2025 | 13,112 | 71 | -1,451 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.0 | 6.0 | 13.9 | – | – |
| 2024 | 5.9 | 5.4 | 11.6 | – | – |
| 2025 | 8.8 | 5.7 | 13.6 | 9.8(高値平均) 5.2(安値平均) |
3.75 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益の規模と伸びを見る。連24.3では営業利益128億、経常利益122億、純利益88億で、インフラ系企業としては堅実だが突出した水準ではない。連25.3になると営業利益は209億まで一気に伸び、事業の採算が大きく改善していることが分かる。一方で経常利益は112億とやや落ち込み、純利益は114億に増加しており、利益構造に一時的な歪みはあるものの、稼ぐ力自体は明確に強まっている。連26.3予では営業利益260億、経常利益250億、純利益160億と、すべてが過去最高水準になる見通しで、利益成長トレンドはかなり強い。
収益性を見ると、営業利益率は2023年5.0%、2024年5.9%、2025年8.8%と右肩上がりで改善している。電線・電力インフラという成熟分野でこの改善幅は大きく、価格転嫁や高付加価値製品の比率上昇が効いていると読み取れる。ROEは13.9%、11.6%、13.6%と2桁を安定して維持しており、株主資本を使った利益創出力は十分に高い。ROAも6.0%、5.4%、5.7%と安定しており、資産を使った稼ぐ力もインフラ系企業としては良好な水準にある。
バリュエーション面では、2025年の実績PERは高値平均9.8倍、安値平均5.2倍となっており、利益成長を考えると全体として割高感は小さい。むしろ業績の伸びに対して評価はまだ抑えめとも言える。一方でPBRは3.7倍と高く、これは純資産の積み上がり以上に、将来の収益力改善を市場が評価している状態を示している。
これらを総合すると、SWCCは営業利益・純利益が億単位で大きく伸び、営業利益率、ROE、ROAも改善・安定していることから、事業の質が明確に向上している局面にあると判断できる。PERは成長性に対して割安〜妥当な水準だが、PBRは高めで、株価にはすでに一定の期待が織り込まれている。数値面だけで見れば、中長期では評価できる成長局面の企業であり、短期的には過熱時よりも調整局面での投資妙味が高まるタイプの銘柄といえる。
配当目的とかどうなの?
まず数字だけを見ると、予想配当利回りは連26.3で1.78%、連27.3でも1.78%と、ほぼ横ばいで2%に届かない水準である。一般的に配当目的で選ばれやすい銘柄は利回り3%前後、あるいはそれ以上が一つの目安になるため、この水準は配当重視の投資家にとっては物足りない。
一方で、同社は利益成長がかなり強く、営業利益・純利益ともに大きく伸びている局面にある。実際に一株配当は過去数年で大きく引き上げられており、配当性向よりも成長投資と利益拡大を優先しつつ、余力が出た分を段階的に還元している印象が強い。その結果、配当額そのものは増えているが、株価上昇も伴っているため、利回りとしては低めに見えている。
このため、今の1.78%という利回りは、安定した高配当を毎年受け取りたいという目的には向きにくい。一方で、業績拡大に伴って将来的に配当額がさらに増えていく可能性を期待する、いわゆる配当成長型としては一定の魅力がある。現時点ではインカムゲインよりもキャピタルゲインや配当増額余地を評価する局面と言える。
結論として、SWCCは純粋な配当目的で保有する銘柄ではなく、業績成長を軸に中長期で株価上昇と将来の増配を狙うタイプの銘柄である。配当を主目的にするなら他に選択肢は多く、成長と還元のバランスを評価する投資家向け、という位置づけになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
SWCC株式会社の現在値11,200.0円を基準に今後5年間の値動きを考えると、同社は電力インフラ向け電線・ケーブルを中核とする安定事業を基盤に持ちつつ、近年は収益性が大きく改善している企業である。電線業界は成熟産業ではあるものの、SWCCは高電圧ケーブル関連製品や独自技術を背景に利益率を引き上げており、直近では営業利益・純利益ともに過去最高水準を更新する局面にある。インフラ更新需要、再生可能エネルギー関連、車載分野の育成などが重なり、業績は拡大フェーズに入っている一方で、株価にはすでに一定の期待も織り込まれている状態といえる。
良い場合は、国内の電力インフラ更新や再エネ関連投資が想定以上に進み、高付加価値ケーブルやコネクタ製品の比率がさらに高まるケースである。加えて、車載関連やアジアを中心とした海外事業が順調に拡大し、営業利益率が10%近辺まで定着する状況が想定される。この場合、ROEは安定して10%台半ばを維持し、純利益も持続的に拡大することで、成熟産業の中でも「稼げるインフラ企業」として再評価される可能性がある。PERは現在の低水準から10倍前後まで許容され、成長期待が強まればPBRの高さも正当化される。このシナリオでは、5年後の株価は18,000円〜23,000円程度まで上昇する展開が考えられ、インフラ関連の中では比較的高いパフォーマンスとなる可能性がある。
中間の場合は、インフラ需要は堅調に推移するものの、大きな上振れはなく、業績は会社計画どおりに着実に伸びていくケースである。営業利益率は8%前後で安定し、ROE・ROAも現在の水準を大きく上回ることはないが、悪化もしない。成熟産業として評価は抑制され、PERは7〜9倍程度、PBRもやや高めの水準で落ち着く。この場合、株価は緩やかな右肩上がりとなり、5年後の水準は13,000円〜16,000円程度が一つの目安となる。配当は増配傾向が続くものの、利回りは2%前後にとどまり、値上がり益と配当を合わせたバランス型の投資対象という位置づけになる。
悪い場合は、国内インフラ投資の先送りや海外事業の伸び悩み、原材料価格や人件費の上昇によって利益率が再び低下するケースである。営業利益率が5〜6%台まで後退し、ROE・ROAも低下すると、現在織り込まれている成長期待が剥落する可能性がある。この場合、PERは再び低下し、PBRの高さが重荷となって株価調整が進む展開が想定される。5年後の株価は9,000円〜11,000円程度にとどまり、最悪の場合は8,000円近辺まで下押しされるリスクも否定できない。
総合すると、SWCCは再建途上の企業ではなく、収益性が改善し成長軌道に乗りつつあるインフラ系メーカーである。5年間では中間シナリオを基本としつつ、利益率のさらなる改善や成長分野の拡大が進めば1万8,000円超への上振れ余地もある。一方で、成熟産業ゆえに成長鈍化が見えた場合は評価調整が入りやすく、下値リスクも意識される。現時点では、高配当狙いよりも業績成長を軸にした中長期投資向きの銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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