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UACJとは

株式会社UACJは、2013年に古河スカイ株式会社と住友軽金属工業株式会社が経営統合して誕生した、日本を代表するアルミニウム総合メーカーである。本社は東京都港区に所在し、東京証券取引所プライム市場に上場している。社名はUnited Aluminum Company of Japanに由来し、日本のアルミ産業を統合する中核企業として位置付けられている。
アルミニウム圧延品の生産能力は年間約120万トンと国内最大規模を誇り、世界的にも米国ノベリス社、アーコニック社に次ぐ世界第3位の規模を持つ。特に飲料缶・食缶向けのアルミ缶材に強みを持ち、缶材分野では世界有数の供給力を有している。
沿革をたどると、2003年に古河電気工業が軽金属カンパニーを分社化しスカイアルミニウム株式会社を設立、のちに古河スカイ株式会社へ商号変更した。一方、住友軽金属工業は住友グループの非鉄金属事業の中核企業として発展してきた。両社が2013年10月に経営統合したことでUACJが発足し、古河系と住友系という二大アルミ事業の統合体が誕生した。
UACJの事業は、アルミニウム圧延を中心に、押出・加工品、箔、鋳鍛、銅管など多岐にわたる。UACJ本体はグループ統括機能と板事業、自動車部品事業、押出・加工品事業、鋳鍛事業を担い、箔事業は主に子会社のUACJ製箔が担っている。
主力のアルミニウム圧延事業では、飲料缶・食缶向け素材のほか、半導体・液晶製造装置向けアルミ厚板、LNGタンカーのアルミタンク向け厚板などを製造している。特にLNGタンカー用タンク厚板では国内シェア100%を誇り、高い技術力を持つ分野である。板製品全体としても国内最大の生産能力とシェアを有している。
押出製品では、自動車部品や航空機部品向けのアルミニウム管材・棒材、複写機用ドラム材などを手掛けている。箔製品では、食品・医薬品包装材や家庭用ホイルに加え、リチウムイオン電池、電解コンデンサ向けなど先端分野向けの高品質アルミ箔を提供している。
鋳物製品では、ターボチャージャー向けアルミニウム羽根車で世界シェア1位を持つなど、高付加価値分野に強みがある。鍛造製品では、エアコン用コンプレッサー部品、航空機向け部品、産業用途向け素材を展開している。さらに、銅管製品や各種加工製品、道路標識や放熱部品といった周辺分野にも事業を広げている。
国内には名古屋、福井、深谷などに板事業の主要製造拠点を持ち、押出・加工、箔、鋳鍛、加工品分野でも全国に多数の製造・研究拠点を展開している。これにより、多品種・大量生産と高付加価値製品の両立を可能としている。
総じてUACJは、アルミ圧延能力で世界トップクラス、特に缶材分野に圧倒的な強みを持つ一方、自動車、航空宇宙、エネルギー、電子分野まで幅広い用途をカバーする総合アルミメーカーである。軽量化やリサイクルといった世界的な潮流を背景に、グローバルで事業を展開する日本アルミ産業の中核企業といえる。
UACJ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当 DPS(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 569,756 | 11,144 | 5,958 | -3,269 | -16.9 | 0 |
| 連22.3 | 782,911 | 59,520 | 52,286 | 32,054 | 166.2 | 21.3 |
| 連23.3 | 962,885 | 17,207 | 8,732 | 4,703 | 24.4 | 21.3 |
| 連24.3 | 892,781 | 31,378 | 21,969 | 13,858 | 71.8 | 22.5 |
| 連25.3 | 998,781 | 57,361 | 43,028 | 27,979 | 146.5 | 37.5 |
| 連26.3予 | 1,100,000 | 55,000 | 41,000 | 23,000 | 127.0 | 42 |
| 連27.3予 | 1,120,000 | 60,000 | 46,000 | 26,000 | 143.6 | 44〜48 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | 52,587 | -26,928 | -19,089 |
| 2024 | 94,918 | -36,196 | -43,994 |
| 2025 | 9,119 | -36,873 | 12,485 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 1.7% | 1.8% | 0.5% | – | – |
| 2024 | 3.5% | 5.0% | 1.5% | – | – |
| 2025 | 5.7% | 9.6% | 2.8% |
18.1倍(高値) 11.6倍(安値) |
1.37倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
UACJの営業利益率は、2023年が1.7%、2024年が3.5%、2025年が5.7%と、3年連続で明確な改善が続いている。低収益体質だったアルミ圧延事業が、価格転嫁や市況回復を背景に徐々に利益を出せる構造へ変わってきていることが、この数字から読み取れる。
業績を見ると、2024年3月期は売上高8,927億円、営業利益313億円、経常利益219億円、純利益138億円だった。営業利益率は3.5%と、依然として高収益とは言えないが、赤字・低利益期を脱した段階にある。ROEは5.0%、ROAは1.5%で、資本効率・資産効率もまだ低いが、底打ち後の回復局面に入った水準である。
2025年3月期は売上高9,987億円、営業利益573億円、経常利益430億円、純利益279億円と、利益が大きく伸びている。営業利益率は5.7%まで上昇し、ROEは9.6%、ROAは2.8%と、アルミ圧延大手としてはようやく「稼げる企業」に近づいた数字になっている。特に営業利益と純利益の伸びは大きく、構造改善の成果が出始めた年といえる。
2026年3月期予想では、売上高1兆1,000億円、営業利益550億円、経常利益410億円、純利益230億円と、売上は伸びる一方で利益はやや減少する見通しになっている。ただし、営業利益率は5.7%水準を維持する前提であり、急激な悪化を想定しているわけではない。成長というよりは、一段上の利益水準での踊り場に入る想定と読める。
資本効率を見ると、ROEは1.8%から5.0%、9.6%へと改善しており、ROAも0.5%から1.5%、2.8%へと着実に上がっている。ただし、まだ2桁ROEが安定する段階ではなく、優良素材メーカーと呼べる水準には達していない。
バリュエーション面では、2025年の実績PERは高値平均18.1倍、安値平均11.6倍、PBRは1.3倍である。利益改善が進んでいることを考えると極端な割高感はなく、かといって明確な割安でもない、改善トレンドを織り込んだ妥当な評価水準といえる。
以上を正しい数字で総合すると、UACJは低収益期を脱し、営業利益率・ROE・ROAがはっきり改善している回復途上の循環株である。すでに赤字修復段階は終わり、次は収益性をどこまで安定的に高められるかという局面に入っている。ただし、現時点では高成長株でも高収益株でもなく、業績改善を確認しながら付き合う銘柄であり、強気一辺倒でも悲観でもない、中立からやや前向き寄りの評価が妥当、という結論になる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは2026年3月期が1.86%、2027年3月期が1.94%と、2年続けて2%に届かない水準である。この数字を見る限り、配当収入を主目的に投資する銘柄としては魅力は弱い。一般的に配当目的で選ばれる企業は、安定的に3%前後、場合によっては4%以上の利回りが期待されることが多く、それと比べるとインカム面での訴求力ははっきり低い。
業績は改善傾向にあり、営業利益率、ROE、ROAはいずれも上向いているが、まだ高水準といえる段階ではなく、会社としても配当を大きく引き上げるより、事業の安定化や設備投資、財務体質の改善を優先していると考えるのが自然である。その結果として、配当は増配方向ではあるものの、利回りは1%台後半にとどまっている。
また、UACJはアルミ市況やエネルギーコストの影響を強く受ける循環型の素材メーカーであり、業績の振れ幅が大きい。こうした企業は、配当を高水準で固定すると不況期に減配リスクが高まるため、もともと配当水準を控えめに設定する傾向がある。この点から見ても、安定的に高配当を出し続けるタイプの企業ではない。
PERやPBRを見ると、利益改善を織り込んだ妥当な評価水準にあり、配当利回りの低さを株価上昇で補う設計になっているとも言える。つまり、配当よりも業績回復や市況改善に伴う株価の値動きが主な投資リターンとなる銘柄である。以上を踏まえると、UACJは配当目的には向いていない。配当はあくまでおまけ程度で、インカム狙いの長期保有には不適であり、業績回復や市況改善を背景とした値上がりを狙う投資向きの銘柄と考えるのが妥当、という結論になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
UACJの現在値2,258.0円を基準に今後5年間の値動きを考えると、同社はアルミ圧延能力で世界上位に位置し、特に飲料缶材に強みを持つ一方、アルミ市況やエネルギーコスト、為替の影響を強く受ける循環型の素材メーカーである。直近数年は営業利益率、ROE、ROAが低水準から着実に改善しており、業績は底打ち後の回復局面にあるが、高収益が安定的に続く段階にはまだ至っていない。
良い場合は、世界的な飲料缶需要の増加や自動車向け軽量化需要が堅調に推移し、アルミ価格の安定とコスト転嫁が順調に進むケースである。営業利益率は6〜7%程度で安定し、ROEも10%前後を維持できれば、市場からは収益体質が一段改善した企業として評価される。この場合、PERは18倍前後まで許容され、PBRも1.5倍程度が定着する可能性がある。こうした評価が続けば、5年後の株価は3,000円〜3,600円程度まで上昇する展開が想定される。北米やアジアでの缶材需要拡大が想定以上に進めば、4,000円近辺まで上振れする余地もある。
中間の場合は、アルミ需要は底堅いものの大きな拡大には至らず、原材料やエネルギーコストの変動も続くケースである。営業利益率は5%前後で推移し、ROEも一桁後半にとどまる。収益改善は続くが、投資家が強く評価するほどではなく、PERは14〜16倍、PBRは1.2〜1.4倍程度に落ち着く。この場合、株価は業績に沿った緩やかな推移となり、5年後の水準は2,200円〜2,800円程度、現在値近辺からやや上方向を意識するレンジに収まる可能性が高い。
悪い場合は、世界景気の減速やアルミ市況の悪化、エネルギーコスト上昇が重なり、利益率が再び圧迫されるケースである。営業利益率は3%台まで低下し、ROE・ROAも再び低水準に戻る。この場合、市場評価は慎重になり、PERは10〜12倍、PBRは1倍前後まで切り下げられる可能性がある。株価は1,600円〜2,000円のレンジで低迷し、状況次第では1,400円台まで下押しされるリスクも否定できない。
総合すると、UACJは低収益期を脱して回復途上にある循環株であり、5年間では中間シナリオを基本に見るのが現実的である。市況とコスト環境が追い風になれば3,000円超への上振れ余地はある一方、外部環境悪化時の下振れリスクも大きい。安定配当やディフェンシブ性を期待する銘柄ではなく、業績改善と市況の流れを見極めながら向き合う必要のある銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月8日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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