株価
アルインコとは

アルインコ株式会社は、大阪府大阪市中央区高麗橋に本社を置く、建設用仮設機材を主力とするメーカーである。足場や軽量仮設機材の分野では業界大手の一角を占め、建設現場向けの安全性・作業効率を重視した製品群を強みとしている。脚立や梯子などのアルミ製建設機材に加え、住宅機器、フィットネス機器、電子機器といった非建設分野にも事業を広げ、多角化によって事業基盤の安定化を図っている企業である。
同社の中核は仮設機材事業であり、建築用仮設足場や軽量仮設機材の開発・製造・販売に加え、足場やオクトシステムなどの総合レンタルサービスも展開している。製造だけでなくレンタルまで手掛けることで、建設会社や施工業者の多様なニーズに対応できる体制を構築している点が特徴である。国内だけでなく、タイ、インドネシア、中国などアジア地域にも生産・レンタル拠点を持ち、海外展開も進めている。
住宅機器分野では、脚立やDIY関連製品、アルミ型材加工品などを手掛け、ホームセンター向けの流通を中心に販売している。かつて展開していたテレビショッピング事業からは撤退し、現在は販売店経由の安定した流通に軸足を移している。アルミ加工技術を活かした実用性重視の製品が多く、一般消費者向け市場でも一定の存在感を持つ。
フィットネス事業では、家庭用および業務用のフィットネスマシンを開発・販売しており、自社フィットネス事業部が運営する公式オンラインショップ「ありんこ屋」でも直接販売を行っている。建設機材とは異なる分野ではあるが、金属加工や製造ノウハウを活かした製品展開によって、事業の裾野を広げている。
電子機器事業では、業務用無線機やトランシーバーなどの通信機器を開発・製造・販売している。官公庁、企業、工事現場、イベント運営など、特定用途向けの需要を中心に安定した販売を行っており、ニッチながら収益の下支えとなる事業である。また、医療機器や介護用品といった分野にも取り組んでおり、用途特化型製品の開発を進めている。
生産拠点は兵庫県丹波市を中心に複数の工場を構え、国内外の関係会社と連携した生産体制を築いている。建設機材関連、住宅機器関連、レンタル関連、電子機器関連と事業ごとに子会社を持ち、事業特性に応じた運営を行っている点も特徴である。経営面では、安定した配当を重視する姿勢を示しており、配当性向40%を目標として掲げている。建設市況の影響を受けやすい事業構造である一方、レンタル事業や非建設分野を組み合わせることで、業績変動の平準化を図る戦略を取っている。
全体としてアルインコは、建設用仮設機材という明確な強みを軸にしながら、住宅機器、フィットネス、電子機器といった分野へ事業を広げることで、安定性と多角化を両立させようとする企業である。建設需要の動向に左右されやすい側面はあるものの、製品・事業の幅広さと配当重視の姿勢が特徴的な企業といえる。
アルインコ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(円) | 一株当り配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021.3 | 53,341 | 2,554 | 2,874 | 1,664 | 85.3 | 38 |
| 2022.3 | 55,255 | 1,119 | 1,126 | 451 | 23.3 | 40 |
| 2023.3 | 60,717 | 2,420 | 3,568 | 1,546 | 79.2 | 40 |
| 2024.3 | 57,876 | 1,781 | 2,879 | 1,988 | 101.1 | 41 |
| 2025.3 | 61,601 | 2,196 | 2,678 | 1,959 | 98.9 | 43 |
| 2026.3(予) | 63,500 | 3,100 | 3,300 | 2,180 | 109.1 | 44 |
| 2027.3(予) | 65,500 | 4,300 | 4,500 | 3,000 | 150.2 | 60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー (百万円) |
投資キャッシュフロー (百万円) |
財務キャッシュフロー (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 2,688 | -3,723 | 2,537 |
| 2024.3 | 1,685 | -5,332 | 3,652 |
| 2025.3 | 5,424 | -5,560 | -103 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 3.9% | 5.4% | 2.4% | – | – |
| 2024.3 | 3.0% | 6.5% | 2.9% | – | – |
| 2025.3 | 3.5% | 6.1% | 2.7% | 9.6〜12.4倍 | 0.70倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
アルインコの直近業績を見ると、2024.3は売上高578億、営業利益17億、経常利益28億、純利益19億である。2025.3は売上高616億、営業利益21億、経常利益26億、純利益19億と、売上は増加し、利益水準も概ね横ばいで推移している。2026.3予想では売上高635億、営業利益31億、経常利益33億、純利益21億と、利益面での明確な増加が見込まれている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年3.9%、2024年3.0%、2025年3.5%と3%台で推移しており、急激な改善はないものの、安定した水準を維持している。高収益企業とは言えないが、建設機材系としては過度に低い水準でもなく、一定の採算性は確保されている。
資本効率の面では、ROEが5.4%、6.5%、6.1%と6%前後で安定しており、ROAも2.4%、2.9%、2.7%と大きなブレはない。資本・資産を使った利益創出力は高くはないが、着実で崩れていない数値である。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは9.6倍〜12.4倍と1桁後半から10倍台前半であり、利益水準に対して過度な割高感はない。実績PBRは0.7倍と1倍を下回っており、純資産に対しては割安な評価にとどまっている。
以上を総合すると、アルインコは売上600億規模で、営業利益率3%台、ROE6%前後という「派手さはないが安定した収益構造」を持つ企業である。PBRは1倍割れ、PERも低めで、数値面では割高感は見られない。一方で、収益性や資本効率が大きく改善しているわけではなく、急成長や大幅な評価見直しを前提とした投資には向かない。
数値だけで判断する限り、アルインコは「高成長株」ではなく、「堅実だが地味な中小型株」に分類される。利益の安定性と割安水準を評価し、中長期で落ち着いて保有するスタンスであれば検討余地がある一方、短期的な値上がり益を強く狙う投資対象としては優先度は高くない、という判断になる。
配当目的とかどうなの?
アルインコを配当目的で考えると、全体としては「数字は魅力的だが、前提条件をよく理解して持つ必要がある銘柄」という印象になる。まず予想配当利回りを見ると、2026.3で3.87%、2027.3では5.28%と、特に2027年はかなり高い水準にある。一般的な高配当株の目安である4%を超えており、インカム狙いの投資家にとっては十分に目を引く数字である。表面的な利回りだけを見れば、配当目的としては魅力が大きい。
配当の裏付けとなる利益水準を見ると、直近では純利益はおおむね19億前後で推移しており、2026.3予想では21億とやや増加する計画になっている。営業利益率は3%台、ROEは6%前後と高水準ではないものの、赤字に陥っているわけではなく、安定的に利益を出している点は評価できる。大きく稼ぐ企業ではないが、配当を出し続けるだけの基礎的な収益力は維持できている状態といえる。
キャッシュフローの面でも、営業キャッシュフローは3年連続でプラスとなっており、本業から現金を生み出す力は比較的安定している。2025.3には営業キャッシュフローで投資キャッシュフローの大部分を賄えており、借入などに大きく依存せずに事業を回せている点は、配当継続の安心材料になる。
一方で注意すべき点もはっきりしている。営業利益率やROEが高いわけではなく、事業の収益力そのものは中低位にとどまっている。そのため、2027.3に予想されている5%超の高配当は、利益が大きく伸びるというよりも、配当性向を高めることで実現している可能性が高い。景気悪化や建設需要の減速が起きた場合には、配当水準の見直しが行われるリスクは常にある。
また、企業規模が中小型であることから、外部環境の影響を受けやすく、配当の安定性という点では大型の高配当株よりも不確実性は高い。長期にわたって毎年安定した配当を積み上げていくタイプの銘柄というよりは、業績が大きく崩れないことを前提に、比較的高い利回りを享受するタイプの配当株と考えるのが現実的である。
総合すると、アルインコは配当目的として十分に検討できる銘柄ではあるが、「絶対に安心な高配当株」ではない。利回りの高さを評価しつつ、業績や市況の変化による減配リスクを受け入れられる投資家向けの銘柄といえる。分散投資の一部として、配当を受け取りながら様子を見るスタンスであれば相性は良いが、配当の安定性だけを最優先する投資先としては、過度な期待はしない方が無難だと思われる。
今後の値動き予想!!(5年間)
アルインコ株式会社の現在値1,135.0円を基準に、今後5年間の値動きを考える。同社は建設用仮設足場や脚立などの建設機材を中核に、住宅機器、フィットネス機器、無線機器といった複数分野を展開する企業である。主力の仮設機材事業は建設投資の影響を受けやすい一方、インフラ更新需要や修繕需要に支えられ、急減速しにくい性格を持つ。収益性は営業利益率3%台、ROE6%前後と高くはないが、安定して黒字を確保しており、株主還元では配当性向40%目標を掲げるなど、配当重視の姿勢が特徴である。PBRは0.7倍前後と低く、市場では成長力よりも安定性と配当を評価される局面にある。
良い場合は、建設投資が底堅く推移し、仮設機材やレンタル関連の需要が安定的に拡大するシナリオである。加えて、フィットネス機器や電子機器分野が着実に利益貢献し、全体の収益バランスが改善することで営業利益率が4%前後まで上昇する可能性がある。この場合、ROEも7%前後まで改善し、株式市場では「高配当かつ安定成長銘柄」としての評価が進む。PBRは0.9倍前後、PERは12倍程度まで許容され、配当利回りの高さも相まって中長期資金が流入する展開となる。5年後の株価は1,500円〜1,800円程度まで上昇する可能性がある。
中間の場合は、建設需要は大きく伸びないものの大きく落ち込むこともなく、業績は横ばいから緩やかな成長にとどまるケースである。営業利益率は3%台、ROEは6%前後で安定し、配当も現行水準を維持する。市場評価は現在と大きく変わらず、PBRは0.7〜0.8倍、PERは9〜11倍程度で推移する。この場合、株価は配当利回りを意識したレンジ相場となり、上下に振れながらも、5年後の水準は1,100円〜1,300円程度に落ち着くイメージとなる。値上がり益よりも、配当を受け取りながら保有する投資家向けの推移である。
悪い場合は、建設投資の減速や景気後退の影響で仮設機材の需要が落ち込み、利益水準が低下するシナリオである。非建設分野の成長も補完役にとどまり、営業利益率が3%を下回る状態が続くと、収益力の低さが強く意識される。市場の評価は慎重になり、PBRは0.6倍前後、PERも8倍程度まで低下する可能性がある。配当は維持される可能性が高いものの、株価は冴えず、5年後には800円〜950円程度で低迷し、環境次第では700円台まで調整するリスクも考えられる。
総合すると、アルインコは急成長を狙う銘柄ではなく、配当を重視した安定運用向けの企業である。5年間では中間シナリオが最も現実的で、配当を受け取りながら緩やかな値動きを許容できる投資スタイルに向く。一方で、建設需要の回復や非建設分野の伸長が進めば上振れ余地もあり、逆に景気悪化時には株価の下押しリスクも併せ持つ銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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