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三協立山とは
三協立山株式会社は、富山県高岡市に本社を置くアルミ建材大手であり、住宅用サッシ分野では国内シェア第3位のポジションを持つ企業である。アルミ建材を中核に、建材事業、マテリアル事業、商業施設事業という3つの事業を展開しており、住宅・非住宅の建築分野から店舗什器、産業部材まで幅広い領域をカバーしている。東京証券取引所プライム市場に上場しており、地方発の製造業としては規模・事業領域ともに大きな企業グループである。
同社の成り立ちは、三協アルミニウム工業と立山アルミニウム工業という、いずれも富山県高岡市に本社を置いたアルミ建材メーカーにさかのぼる。三協アルミは住宅や大型施設向け建材に強みを持ち、立山アルミは商業施設向け建材や什器、サインといった法人向け分野に力を入れていた。両社の創業者は実の兄弟であり、地理的にも事業的にも近い関係にあったことから、弱点の相互補完と事業基盤強化を目的に2003年に経営統合が行われた。その後、製造・営業機能の統合を段階的に進め、2012年に現在の三協立山株式会社へと再編されている。
現在の三協立山は社内カンパニー制を採用しており、建材事業を担う三協アルミ社、マテリアル事業を担う三協マテリアル社、商業施設事業を担うタテヤマアドバンス社という形で事業を分けて運営している。これにより、それぞれの市場特性に応じた製品開発や営業戦略を取りやすい体制を整えている。
建材事業は同社の中核であり、住宅建材、ビル建材、エクステリア製品を幅広く手掛けている。住宅向けでは窓サッシ、玄関ドア、引き戸、出窓、インテリア建材などを展開し、新築需要だけでなくリフォーム需要も取り込んでいる。非住宅向けでは、ビル用サッシ、カーテンウォール、手摺、断熱素材、内外装建材などを提供しており、公共施設や大型商業施設、オフィスビルなどでも採用実績がある。エクステリア分野では、フェンス、カーポート、テラス、バルコニー、ウッドデッキなど、住宅の外構全体をカバーする商品群を揃えている。
マテリアル事業では、アルミ形材の押出・加工技術を活かし、自動車部品、精密機器部品、電子機器筐体などを製造している。特に近年はEV向け部品への注力を進め、成長分野として期待されてきたが、実際には自動車市況の悪化やEV需要の減速の影響を受け、想定していたほどの成長にはつながらなかった。この分野は将来性を持つ一方で、市況変動の影響を強く受けやすいという課題を抱えている。
商業施設事業では、店舗建材、什器、ショーケース、陳列台、ゴンドラ、スライドネット、サイン、看板などを手掛けており、小売業や流通業向けの内装・什器分野で一定の存在感を持つ。立山アルミ時代から蓄積してきた法人向けノウハウが基盤となっており、建材事業とは異なる顧客層を持つことで事業ポートフォリオの分散にも寄与している。
グループ会社には、アルミ建材や関連製品の製造・加工、物流を担う企業があり、国内を中心に安定した生産・供給体制を構築している。地方に製造拠点を持つことでコスト競争力を確保しつつ、全国規模で営業・施工網を展開している点も特徴である。
全体として三協立山は、住宅建材という比較的安定した需要を土台にしながら、商業施設向け什器やマテリアル事業といった成長・変動要素を併せ持つ企業である。一方で、住宅着工数の動向や建設投資、自動車関連市況といった外部環境の影響を受けやすく、業績には波が出やすい側面もある。安定事業と成長事業のバランスをどう取り、EV部品などの新分野をどこまで収益化できるかが、今後の評価を左右するポイントとなる企業といえる。
三協立山 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(円) | 一株当り配当 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023.5 | 370,385 | 2,669 | 3,419 | 1,630 | 52.0 | 20 |
| 2024.5 | 353,027 | 3,807 | 3,880 | -1,019 | -32.5 | 20 |
| 2025.5 | 359,424 | 1,545 | 944 | -2,336 | -74.5 | 25 |
| 2026.5(予) | 370,000 | 4,000 | 2,000 | 300 | 9.6 | 25 |
| 2027.5(予) | 372,000 | 4,500 | 2,500 | 700 | 22.3 | 25 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業キャッシュフロー (百万円) |
投資キャッシュフロー (百万円) |
財務キャッシュフロー (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.5 | -171 | -7,269 | 10,554 |
| 2024.5 | 17,196 | -8,620 | -6,769 |
| 2025.5 | 3,216 | -14,334 | 7,470 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.5 | 0.7% | 1.8% | 0.5% | – | – |
| 2024.5 | 1.0% | -1.1% | -0.4% | – | – |
| 2025.5 | 0.4% | -2.6% | -0.8% | 9.8〜15.0倍 | 0.21倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
三協立山の直近業績を見ると、2024.5は売上高3530億、営業利益38億、経常利益38億である一方、純利益は-10億と最終赤字である。2025.5は売上高3594億と微増したものの、営業利益15億、経常利益9億、純利益-23億と収益性がさらに悪化している。2026.5予想では売上高3700億、営業利益40億、経常利益20億、純利益3億と黒字回復を見込んでいるが、利益水準は依然として低い。
収益性を見ると、営業利益率は2023年0.7%、2024年1.0%、2025年0.4%と、3年を通じて1%未満にとどまっている。これは事業構造としてほとんど利益が残らない状態であり、安定した収益力が確立されているとは言い難い水準である。
資本効率の面では、ROEが1.8%から-1.1%、-2.6%へと悪化し、ROAも0.5%から-0.4%、-0.8%へ低下している。自己資本・総資産ともに利益を生み出せておらず、数値上は明確に資本効率が崩れている局面である。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは9.8倍から15.0倍と幅があるが、そもそも最終赤字であるため、PERの評価自体が不安定である。一方、実績PBRは0.2倍と極めて低く、純資産に対して市場評価が大きく割り引かれている状態にある。
以上を総合すると、三協立山は売上規模こそ3500億超と大きいものの、営業利益率は1%未満、ROE・ROAはマイナスと、収益性・資本効率の両面で明確に弱い。PBRは0.2倍と数字上は強烈な割安感があるが、それは市場が「資産を十分に活かせていない企業」と評価している結果ともいえる。
2026年に黒字回復予想が出ている点は一定の下支え材料ではあるが、利益水準は依然として薄く、安定的な回復が確認できない限り、評価の大幅な見直しは起きにくい。数値だけで判断するなら、この銘柄は「割安に見えるが、業績悪化リスクが高い再建途上株」に分類される。
結論として、三協立山は資産割安を狙うリスク許容度の高い投資家向けの銘柄であり、安定成長や配当を重視する投資対象としては適さない。黒字回復が一過性に終わらず、営業利益率・ROEが明確に改善する兆しが出るまでは、慎重姿勢が妥当という判断になる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは2026.5、2027.5ともに3.92%と、数字だけを見れば十分に高く、配当目的として一見魅力的に映る水準である。市場全体と比べても見劣りしない利回りであり、配当狙いの投資家が関心を持つのは自然だと思われる。
ただし、その配当を支える収益構造を見ると、安心して配当目的で長期保有できる状態とは言いにくい。直近では2024.5、2025.5と連続して最終赤字であり、ROEはマイナス、ROAもマイナス圏に沈んでいる。営業利益率も3年連続で1%未満と非常に低く、事業としての稼ぐ力はかなり弱い状態が続いている。
2026.5予想では黒字回復を見込んでいるものの、売上高3700億に対して純利益はわずか3億という計画であり、利益余力は極めて薄い。数字だけを見る限り、配当は「十分な利益から自然に出てくるもの」というより、「業績が厳しい中でも何とか維持しているもの」という印象が強い。
キャッシュフローも安定しているとは言い難く、営業CFは年度ごとの振れが大きく、投資CFは継続的にマイナスである。今後も設備投資や事業構造の立て直しが必要な状況を考えると、配当に回せる余裕が恒常的に確保されているとは言えない。
その一方で、PBRが0.2倍台と極端に低い水準にあることから、市場はすでに業績不振や配当の不安定さをかなり織り込んでいるとも言える。業績が想定以上に改善すれば、減配せずに配当を受け取りながら株価の見直しを期待できる余地はある。
総合すると、三協立山は配当目的として「安定インカムを狙う銘柄」ではなく、「業績回復を前提に高めの利回りを享受するリスク型の配当銘柄」に近い。減配や無配のリスクを理解した上で、限定的に保有するのであれば選択肢になるが、配当の安定性を最優先する投資スタイルには向かない、という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
三協立山株式会社の現在値637.0円を基準に、今後5年間の値動きを考えます。同社はアルミ建材大手で、住宅用サッシでは国内3位のポジションを持ち、建材事業を中核に、マテリアル事業や商業施設向け什器・サイン事業などを展開する企業である。売上規模は大きい一方で、近年は収益性が大きく低下し、営業利益率は1%未満、最終赤字が続くなど、事業の稼ぐ力に課題を抱えている。株式市場では「資産規模は大きいが、利益を生み出せていない企業」という評価を受けやすく、PBRは0.2倍台と極端に低い水準にある。
良い場合は、2026.5以降の黒字回復が一過性に終わらず、営業利益率が1%台後半から2%程度まで改善するシナリオである。住宅・非住宅建材の採算改善や、マテリアル事業の立て直しが進み、赤字体質から脱却できれば、市場の見方は大きく変わる可能性がある。この場合、ROEもプラス圏に戻り、資本効率改善への期待が高まる。評価面ではPBRが0.4〜0.6倍程度まで切り上がり、配当利回り約4%の魅力も相まって中長期資金が流入する。5年後の株価は900円〜1,100円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、黒字転換は達成するものの、利益水準は薄く、構造的な収益力改善には至らないケースである。営業利益率は1%前後にとどまり、ROEも低水準で推移するため、市場評価は現状の延長線上となる。PBRは0.3〜0.4倍程度、PERも低位に抑えられ、株価は配当利回りを意識した水準で推移する。この場合、株価は大きな上昇トレンドを描きにくく、上下しながらも、5年後の水準は600円〜750円程度に落ち着くイメージとなる。値上がり益よりも、高めの配当利回りを受け取りながら保有する投資家向けの推移である。
悪い場合は、黒字回復が定着せず、営業利益率が再び1%未満に低迷するシナリオである。建材市況の悪化やコスト上昇が続き、ROE・ROAがマイナス圏にとどまると、市場は再建の難しさを強く意識する。評価は一段と慎重になり、PBRは0.2倍台に張り付いたままとなる可能性がある。配当は維持される可能性があるものの、株価は上値を抑えられ、5年後には450円〜550円程度で低迷し、環境次第では400円台まで下押しされるリスクも考えられる。
総合すると、三協立山は急成長を狙う銘柄ではなく、現状では「業績回復待ちの再建色が強い企業」である。5年間では中間シナリオが最も現実的で、配当を受け取りながら回復を待つ投資スタイルに向く。一方で、収益構造の改善が明確になれば上振れ余地は大きく、逆に回復が頓挫すれば株価の低迷が長期化する可能性も併せ持つ銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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