株価
AREホールディングスとは

AREホールディングス株式会社は、貴金属リサイクル事業を中核に、貴金属の精錬・製造・販売事業、さらに産業廃棄物処理分野における環境保全事業を展開する企業グループを統括する純粋持株会社である。旧社名はアサヒホールディングスであり、長年にわたり貴金属リサイクル分野で国内トップクラスの地位を築いてきた企業である。
同社グループは、AREホールディングスを中心に、アサヒプリテック株式会社、アサヒメタルファイン株式会社、ウェイストシステムジャパン株式会社などを主要子会社とし、その他複数の連結子会社および持分法適用会社で構成されている。グループ全体として、貴金属事業と環境保全事業を両輪とした事業運営を行っており、資源循環型社会の構築を事業の根幹に据えている。
貴金属事業では、エレクトロニクス、自動車、半導体、歯科、宝飾、化学、医療など、幅広い産業分野から発生する貴金属含有スクラップを回収し、リサイクル・精錬を行っている。回収対象は、製造工程で発生するスクラップから使用済み製品まで多岐にわたり、都市鉱山と呼ばれる使用済み電子部品や工業廃材を重要な資源として活用している。金、銀、プラチナ、パラジウムといった貴金属を高純度で再生し、再び産業用途や材料用途として供給することで、限りある天然資源への依存を低減し、産業の持続的発展に貢献している。
同社の強みの一つは、回収物に含まれる貴金属量を正確に把握する分析力である。高精度な分析技術により、顧客に対して透明性の高い取引を提供できる体制を整えている。また、全国に配置された約200名規模の営業体制により、顧客密着型のサービスを展開しており、ITを活用した管理システムによって、回収から精錬、販売までのプロセスを効率的に管理している。さらに、人権や環境に配慮した原材料調達を重視し、加工・流通過程におけるトレーサビリティ管理を徹底することで、ESGやサステナビリティへの対応力を高めている。
環境保全事業では、産業廃棄物処理業界が抱える構造的な課題に対して、デジタル技術を用いたソリューションを提供している。産業廃棄物処理業界は、担い手の高齢化や慢性的な人材不足、紙ベースの業務による非効率性といった問題を抱えており、こうした課題が業界全体の生産性向上を妨げてきた。同社グループが展開するDXEの「DXE Station」は、マニフェスト管理、委託契約書管理、行政報告、電子契約など、産業廃棄物処理に関わる一連の業務を電子化・効率化するプラットフォームである。これにより、紙業務や手作業を削減し、業務負担の軽減と法令対応の精度向上を同時に実現している。
また、「DXE Station」を通じて、廃棄物の排出事業者、収集運搬業者、処理業者といった静脈産業の各プレイヤーをデジタルでつなぐことで、無駄のない業務連携を可能にしている点も特徴である。これにより、産業廃棄物処理の透明性向上と効率化が進み、循環型社会の実現に向けた基盤づくりに貢献している。
総合すると、AREホールディングスは、貴金属の回収・精錬・再生という静脈産業の中核事業に加え、環境保全分野でのDXサービスを組み合わせた独自の事業構造を持つ企業グループである。貴金属価格の変動や景気動向の影響を受けやすい側面はあるものの、資源循環、脱炭素、サステナビリティといった中長期的な社会要請を追い風に、安定した需要が見込まれる事業基盤を有しており、循環型社会を支える重要な役割を担う企業といえる。
AREホールディングス 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
1株益 (円) |
1株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3* | 164,776 | 25,126 | 26,136 | 25,725 | 326.9 | 85 |
| 22.3 | 192,442 | 26,446 | 26,372 | 18,735 | 238.1 | 90 |
| 23.3 | 292,449 | 19,263 | 16,052 | 10,929 | 141.2 | 90 |
| 24.3 | 322,253 | 12,367 | 12,426 | 24,490 | 319.5 | 90 |
| 25.3 | 506,211 | 19,984 | 20,483 | 14,319 | 187.1 | 80 |
| 26.3予 | 517,000 | 30,000 | 29,100 | 21,600 | 281.9 | 120 |
| 27.3予 | 530,000 | 33,000 | 32,000 | 24,000 | 313.2 | 125 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 36,754 | -3,935 | -23,818 |
| 2024.3 | 12,621 | -28,707 | 7,050 |
| 2025.3 | 14,685 | 250 | -6,207 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 6.5 | 10.2 | 3.8 | ― | ― |
| 2024.3 | 3.8 | 19.3 | 7.7 | ― | ― |
| 2025.3 | 3.9 | 11.3 | 2.9 | 10.8〜14.0 | 1.92 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績を億円単位で整理すると、2024年3月期は売上高3,222億円、営業利益123億円、税前利益124億円、純利益244億円と高水準の利益を計上している。2025年3月期は売上高が5,062億円と大きく拡大した一方、営業利益199億円、税前利益204億円、純利益143億円と、利益水準は前年より低下している。これは貴金属価格や取扱量の変動による影響が大きいと考えられる。2026年3月期予想では、売上高5,170億円、営業利益300億円、税前利益291億円、純利益216億円と再び利益の拡大が見込まれており、収益力の回復が想定されている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年3月期6.5%、2024年3月期3.8%、2025年3月期3.9%と、前年差はあるものの3〜6%台を維持しており、資源リサイクル事業としては比較的高い水準にある。ROEは10.2%、19.3%、11.3%と一貫して10%を超えており、資本効率は良好である。ROAも3.8%、7.7%、2.9%と総じて高く、資産を活用して安定的に利益を生み出していることが分かる。
評価面では、2025年時点の実績PERは10.8倍から14.0倍のレンジ、PBRは1.9倍であり、すでに割安株という位置づけではない。これは同社が高い資本効率と安定したキャッシュ創出力を持つ循環型ビジネスとして、市場から一定の評価を受けていることを示している。一方で、貴金属価格や市況の影響を受けやすい事業特性から、利益の振れ幅は比較的大きく、安定成長株ほどの評価にはなりにくい。
以上を踏まえると、AREホールディングスは売上規模・利益規模ともに大きく、ROE・ROAが高水準で、事業としての稼ぐ力は明確に強い企業である。すでにPBRは2倍近くまで評価されており、今後は急激な評価拡大よりも、業績の安定性と成長持続性が株価を左右する局面にあるといえる。提示された数値だけで判断すれば、同社は低リスク・高成長の銘柄ではないが、資本効率の高い優良企業として、中期的な安定成長と株主還元を期待する投資に適した銘柄と評価できる。
配当目的とかどうなの?
提示されている予想配当利回りは、2026年3月期が3.58%、2027年3月期が3.73%と、東証プライム上場企業の中でも比較的高めの水準にある。利回りだけを見れば、十分に配当目的として検討対象に入る水準である。
業績面を見ると、同社は営業利益率が3〜4%台、ROEが10%超、ROAも3%前後と、資本効率と収益性は安定して高い。営業CFも安定して黒字で推移しており、事業自体がキャッシュを生み出す力を持っている。この点は、配当の原資という観点でプラス材料である。実際に過去も80円〜90円前後の配当を継続しており、一定の配当実績がある企業といえる。
一方で、事業特性として貴金属価格や取扱量の変動に業績が左右されやすく、純利益には年ごとの振れが見られる。売上規模が拡大しても利益が必ずしも比例して増えない年があり、配当も業績連動色が比較的強い。そのため、通信株や電力株のような「業績に左右されにくい超安定配当株」と比べると、配当の安定性は一段劣る。
評価面ではPBRが約1.9倍とすでに市場から高めに評価されており、「配当利回りが高いから割安」というタイプの銘柄ではない。今後は株価の上昇余地よりも、業績の波を受けながらも一定水準の配当を継続できるかどうかが重要になる。
結論として、AREホールディングスは、配当利回り3%台後半と収益力の高さを背景に、配当目的として一定の魅力はある。ただし、完全な安定配当株ではなく、貴金属市況の影響を受ける「業績変動型の配当銘柄」である。したがって、配当を主目的に据える場合でも、ポートフォリオの一部として位置づけ、業績動向を定期的に確認しながら保有するタイプの銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
AREホールディングス株式会社の現在値3,350.0円を基準に今後5年間の値動きを考えると、同社は貴金属リサイクル・精錬を中核とし、環境保全事業も併せ持つ資源循環型ビジネスを展開する企業グループである。金・銀・プラチナ・パラジウムなどの貴金属を幅広い産業分野から回収し再資源化する事業構造は、脱炭素やサステナビリティの流れに合致しており、中長期的な需要基盤は比較的安定している。
一方で、業績は貴金属価格や取扱量の変動に左右されやすく、利益水準には年ごとの振れが出やすい特徴がある。それでもROEは10%超、ROAも高水準を維持しており、資本効率の高さから市場では一定の評価を受けている銘柄といえる。
良い場合は、貴金属価格が安定もしくは緩やかに上昇し、リサイクル取扱量も堅調に推移するケースである。貴金属事業の利益率が安定し、環境保全事業のDXプラットフォームも着実に拡大することで、グループ全体の収益構造がより強固になる。この場合、営業利益率は3〜4%台を維持し、ROEは10%台前半から中盤で安定する。資本効率の高さが評価され、PERは13〜15倍、PBRは2倍前後が許容される可能性がある。配当も3%台後半を維持または緩やかに増配されると、市場評価が持続的に高まり、5年後の株価は4,500円〜6,000円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、貴金属価格は大きく上昇も下落もせず、市況に応じて業績が上下しながらも、全体としては安定的に推移するケースである。売上規模は大きいものの、利益率は横ばい圏にとどまり、ROEは10%前後、ROAは3%前後で推移する。PERは10〜12倍、PBRは1.5〜1.8倍程度で評価され、配当利回り3%台後半のインカム株として認識されやすい。この場合、株価は大きく上昇することはないが下値も限定的となり、5年後の水準は3,500円〜4,200円程度に落ち着くイメージとなる。値上がり益よりも、配当と安定性を重視する投資家向けの推移である。
悪い場合は、貴金属価格の下落や取扱量の減少が長期化し、利益水準が低下するケースである。市況悪化により営業利益率が低下し、ROE・ROAも徐々に悪化すると、市場は収益の不安定さを強く意識するようになる。この場合、PERは8倍前後、PBRは1倍近辺まで評価が切り下がり、配当も据え置きまたは減配懸念が意識される。株価は調整局面に入り、5年後には2,200円〜2,800円程度で低迷し、環境次第では2,000円台前半まで下押しされるリスクも考えられる。
総合すると、AREホールディングスは急成長株というよりも、高い資本効率と安定したキャッシュ創出力を背景に評価される循環型ビジネスの代表的企業である。株価は貴金属市況の影響を強く受けるものの、ROEの高さと配当水準から、中長期では一定の評価を維持しやすい。5年間では中間シナリオを基本としつつ、市況が追い風となれば4,500円超への上振れ余地があり、一方で市況悪化時には2,000円台までの下押しリスクも併せ持つ。現時点では、高成長を狙う銘柄というより、業績の変動を許容しつつ配当と資本効率を評価して保有を検討するタイプの銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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