株価
LIXILとは

LIXILは、住宅設備機器および建築材料分野における国内最大手企業であり、トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ、東洋エクステリアといった主要住宅関連メーカー5社の統合によって誕生した総合住宅設備グループである。本社は東京都品川区に置かれ、東京証券取引所プライム市場に上場している。
社名のLIXILは、「住(LIVING)」と「生活(LIFE)」を組み合わせた造語であり、住まいと暮らし全体を支える企業であることを理念としている。2010年に初代LIXILが設立され、2011年にトステムを存続会社として主要事業会社を吸収合併する形で事業会社LIXILが発足した。その後も再編を重ね、2020年には持株会社だったLIXILグループを吸収合併し、現在の事業会社体制に移行している。
事業の中核は、キッチン、浴室、トイレ、洗面といった水回り製品を扱う住宅設備機器分野と、窓・サッシ・玄関ドア・エクステリアなどを手がける建材分野である。INAXブランドによるトイレ・衛生陶器、TOSTEMブランドによるサッシ・建材は国内で高いシェアを持ち、新築住宅だけでなくリフォーム需要にも強い。
また、LIXILは海外事業にも力を入れており、欧州や北米を中心に有力ブランドを展開している。海外M&Aを通じて事業規模を拡大してきた経緯があり、現在も海外事業の収益改善と構造改革が重要な経営テーマとなっている。国内市場が成熟する中で、海外事業は成長ドライバーとして位置づけられている。
販売面では、全国にLIXILショールームを展開し、キッチンや浴室、トイレ、建材などを一体的に体感できる場を提供している。従来はブランド別に分かれていたショールームを統合し、LIXILブランドとしての訴求力を高めてきた。また、リフォーム分野ではLIXILリフォームショップやLIXILリフォームネットなどのフランチャイズ・ボランタリーチェーンを構築し、工務店や販売店とのネットワークを強化している。
取扱製品は非常に幅広く、システムキッチン、バスルーム、トイレ、洗面化粧台といった住宅設備のほか、窓、玄関ドア、内装建材、外装建材、エクステリア、屋根・外壁材、さらにはビルや公共施設向けの建材・トイレ設備まで網羅している。住宅から商業施設、公共インフラまで対応できる総合力が強みである。
総合すると、LIXILは国内住宅設備・建材分野で圧倒的な存在感を持つ一方、成熟市場ゆえに成長力は限定的であり、近年は海外事業の立て直しや収益性改善が課題となっている企業である。生活必需性の高い分野を基盤とした安定性と、グローバル展開による成長余地の両面を併せ持つ、日本を代表する住宅設備メーカーといえる。
LIXIL 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021.3 | 1,378,255 | 35,842 | 33,804 | 33,048 | 113.9 | 75 |
| 2022.3 | 1,428,578 | 69,471 | 67,262 | 48,603 | 167.2 | 85 |
| 2023.3 | 1,495,987 | 24,903 | 19,759 | 15,991 | 55.5 | 90 |
| 2024.3 | 1,483,224 | 16,351 | 6,664 | -13,908 | -48.4 | 90 |
| 2025.3 | 1,504,697 | 29,687 | 20,150 | 2,001 | 7.0 | 90 |
| 2026.3予 | 1,510,000 | 32,000 | 23,000 | 15,000 | 52.2 | 90 |
| 2027.3予 | 1,540,000 | 34,000 | 25,000 | 9,500 | 33.0 | 90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 15,005 | -29,319 | 19,839 |
| 2024.3 | 47,990 | -29,876 | -3,673 |
| 2025.3 | 100,002 | -28,127 | -72,470 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023.3 | 1.6 | 2.5 | 0.8 | – | – |
| 2024.3 | 1.1 | -2.2 | -0.8 | – | – |
| 2025.3 | 1.9 | 0.3 | 0.1 | 128.2~159.8 | 0.85 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の規模感を見ると、2024.3は売上高1兆4,832億、営業利益163億、経常利益66億、純利益は-139億と最終赤字である。2025.3は売上高1兆5,046億、営業利益296億、経常利益201億、純利益20億と黒字転換している。2026.3予想では売上高1兆5,100億、営業利益320億、経常利益230億、純利益150億と、利益回復が進む計画になっている。
一方で収益性を見ると、営業利益率は2023年1.6%、2024年1.1%、2025年1.9%と、依然として2%未満の低水準にとどまっている。売上規模は巨大だが、利益率は非常に薄く、少しの環境変化で最終損益が大きく振れやすい構造であることが数値から分かる。
資本効率の面では、ROEは2.5%、-2.2%、0.3%、ROAは0.8%、-0.8%、0.1%と、ほぼゼロ近辺で推移している。2024年は赤字によりマイナス、2025年は黒字回復しても依然として極めて低い水準であり、株主資本や総資産を使って十分な利益を生み出せているとは言い難い。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは128.2倍〜159.8倍と極端に高い。これは利益額が非常に小さいことを反映した数値であり、成長株として評価されているわけではなく、「利益が出ていないために倍率が跳ね上がっている」状態である。一方、実績PBRは0.8倍と1倍を下回っており、資産面では割安と見ることもできる。
以上を数値だけで総合すると、LIXILは売上規模は1兆円超と圧倒的だが、営業利益率1%台、ROE・ROAほぼゼロという「低収益・低資本効率」の状態にある。2025年に黒字転換し、2026年は利益拡大予想となっている点は改善材料だが、現時点では利益水準が小さく、PERは実用的な指標として機能していない。
投資判断としては、LIXILは「業績回復途中の大型低収益企業」という位置づけになる。PBR0.8倍という数字からは下値余地が限定的に見える一方で、収益性と資本効率が明確に改善しない限り、市場から高く評価される局面は想定しにくい。数値だけで判断するなら、成長期待で買う銘柄ではなく、業績回復が本物かどうかを見極めるための様子見、もしくは資産価値と配当を意識した慎重な投資対象という評価になる。
配当目的とかどうなの?
LIXILを配当目的で見ると、表面利回りは魅力的だが、前提条件付きで評価すべき銘柄という位置づけになる。まず数字だけを見ると、予想配当利回りは2026.3・2027.3ともに4.72%と、高配当株の水準に入っている。4%台後半はインカム目的として十分に目を引く水準であり、配当額自体も継続前提で示されている点はプラス材料である。
一方で、配当の裏付けとなる収益力を見ると注意が必要になる。直近の営業利益率は1%台にとどまり、ROEは0%近辺、ROAもほぼゼロ水準で推移している。2024年には最終赤字、2025年は黒字回復しているものの、純利益はまだ小さく、利益水準には余裕があるとは言い難い。つまり、現在の配当は「高収益だから無理なく出せている」という状態ではなく、事業の安定性と財務余力を前提に維持されている配当である。
キャッシュフローを見ると、営業CFは2023から2025にかけて大きく改善しており、本業からの現金創出力は回復してきている。2025年は営業CFで投資CFを十分に賄い、財務CFが大きくマイナスになっていることから、借入返済など財務健全化を進めながら配当を維持している構図が読み取れる。この点は、短期的な配当継続性という観点では安心材料になる。
ただし、根本的な問題として、利益率と資本効率が低い状態が続いている以上、景気悪化や住宅・建設需要の減速が起きた場合、配当が最優先で守られるとは限らない。配当性向を上げ続ける余地は限定的であり、将来的な増配期待は高くない。一方で、減配リスクも業績次第では現実的に存在する。
総合すると、LIXILは配当目的として「数字上は成立するが、安心して放置できる高配当株ではない」。4.7%台の利回りを評価しつつ、業績回復が継続することを前提に保有するタイプの銘柄であり、配当の安定性を最優先する投資家にとってはやや不安が残る。一方で、業績が計画どおり回復し、営業利益率が2%台以上に定着してくれば、配当を取りながらの中長期保有は十分に検討余地がある、という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
LIXILの現在値1,904.0円を基準に、今後5年間の値動きを考える。LIXILはトイレ、キッチン、浴室、窓・サッシといった住宅設備・建材で国内最大手の企業であり、住宅・建築という生活に不可欠な分野を事業基盤としている。そのため需要の急変は起こりにくい一方、国内市場は成熟しており、売上規模に対して利益率が低い点が長年の課題となっている。直近では赤字決算を経て黒字に回復したものの、営業利益率は1%台、ROE・ROAもほぼゼロ近辺にとどまり、株式市場では「規模は大きいが収益力と資本効率が低い企業」という評価を受けやすい状況にある。
良い場合は、国内のリフォーム需要が底堅く推移し、加えて海外事業の立て直しが進むことで、収益構造が徐々に改善するシナリオである。価格改定やコスト削減が進み、営業利益率が2%台後半から3%程度まで回復すれば、利益の安定感が市場に評価されやすくなる。この場合、ROEも2〜3%台まで改善し、PBRは1倍前後、PERは10倍台前半まで許容される可能性がある。高めの配当利回りも支えとなり、インカム目的の資金が流入することで、5年後の株価は2,400円〜2,800円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、業績は回復基調を維持するものの、利益率や資本効率の改善は限定的にとどまるケースである。国内事業は安定する一方、海外事業は大きな成長エンジンにはならず、市場評価も現状の延長線上となる。営業利益率は1%台後半から2%弱、ROEは1%前後で推移し、PBRは0.8〜0.9倍、PERは利益水準の小ささを反映して高めに見えやすい状態が続く。この場合、株価は配当利回りを意識したレンジ相場となり、上下に振れながらも、5年後の水準は1,800円〜2,100円程度に落ち着くイメージとなる。値上がり益よりも、配当を受け取りながらの安定保有を重視する投資家向けの推移である。
悪い場合は、国内外の住宅・建設需要が想定以上に減速し、収益改善が再び頓挫するシナリオである。価格転嫁が進まず、営業利益率が1%台前半にとどまる、もしくは再び赤字に近づくような局面では、低いROE・ROAが強く意識される。市場の評価は一段と慎重になり、PBRは0.7倍程度まで低下する可能性がある。配当は維持される公算が大きいものの、株価は上値を抑えられ、5年後には1,300円〜1,600円程度で低迷し、環境次第では1,200円台まで下押しするリスクも考えられる。
総合すると、LIXILは急成長を期待する銘柄ではなく、住宅・建材という生活必需分野に支えられた安定性と比較的高い配当利回りを評価する企業である。5年間では中間シナリオが最も現実的で、配当を受け取りながら緩やかな値動きを許容する投資スタイルに向く。一方で、利益率改善や海外事業の収益化が進めば上振れ余地もあり、逆に外部環境が悪化した場合には下値リスクも併せ持つ銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月10日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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