株価
エイチワンとは

エイチワンは、車体骨格部品メーカーであるヒラタと本郷が合併して誕生した自動車部品メーカーで、現在は埼玉県さいたま市大宮区に本社を構える。本田技研工業の関連会社という位置付けにあり、売上の9割弱をホンダ向けが占めるなど、ホンダとの結びつきが極めて強い企業である。事業の中核は自動車のアンダーボディを中心とした車体骨格部品で、クルマの安全性、剛性、軽量化をボディの内側から支える役割を担っている。
主な事業内容は、自動車部品および二輪部品など各種金属部品のプレス加工と溶接加工であり、加えて金型や溶接設備の製造も行っている。単なる下請け的な部品加工ではなく、自動車メーカーの設計部門と開発初期段階から共同で車体フレームの研究・開発を行う点が同社のビジネスモデルの大きな特徴である。車両コンセプトや衝突安全要件を踏まえた構造設計に関与し、その設計データを基に高精度な金型製作や溶接ライン構築までを一貫して手がけている。
開発領域では、長年にわたって蓄積してきたプレス加工・溶接加工のノウハウに加え、CAEなどの高度なシミュレーション技術を活用し、衝突安全性と車体軽量化を高いレベルで両立させるフレーム開発を行っている。超高張力鋼板など成形難易度の高い材料にも対応できる技術力を持ち、世界的に厳しくなる安全規制や燃費・電費規制に応える製品を量産品質で提供できる点が競争力となっている。
生産面では、前橋製作所、太田工場、郡山工場といった国内拠点を中心に、安定した量産体制を構築している。設備の稼働率を高く維持しながら、成形の難しい骨格部品を高品質で量産することが求められる分野であり、同社は独自の生産管理システムを用いて工程管理、在庫管理、出荷管理の効率化を進めている。これにより、完成車メーカーの厳しい品質要求と納期要求に対応している。
取引先はホンダが中心であるものの、ダイハツ、日野自動車、三菱自動車、トヨタ、日産など国内大手自動車メーカーとも取引実績があり、車体骨格分野における技術力は業界内で一定の評価を受けている。ただし、実際の売上構成を見るとホンダ依存度は非常に高く、ホンダの生産計画や車種戦略の影響を強く受ける事業構造である点は、同社の特徴であると同時にリスク要因でもある。
近年は、自動車業界全体で電動化や軽量化が加速しており、エンジンの有無に関わらず車体骨格の重要性はむしろ高まっている。エイチワンにとっても、EVやハイブリッド車向けの新たな車体構造への対応力が今後の成長と安定性を左右するテーマとなる。車体骨格は設計段階からの関与が不可欠な分野であるため、一度採用されればモデルライフを通じて安定した受注が見込める反面、新型車の立ち上げが減速すると業績に影響が出やすいという性質も併せ持つ。
総合すると、エイチワンは自動車の安全性と軽量化を支える車体骨格という基幹分野に特化し、完成車メーカーと一体となった開発力と量産対応力を強みとする企業である。ホンダ依存度の高さから事業の安定性と集中リスクが同居しており、成長性というよりは、自動車生産動向に連動した堅実な事業を展開する専門メーカーという位置付けになる。自動車業界の構造変化の中で、車体フレーム分野でどこまで付加価値を高められるかが、今後の評価を左右するといえる。
エイチワン 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 163,927 | 3,732 | 3,423 | 2,838 | 101.1 | 26 |
| 22.3 | 170,588 | -4,046 | -3,714 | -1,390 | -49.5 | 24 |
| 23.3 | 225,511 | -9,270 | -9,742 | -6,993 | -249.3 | 20 |
| 24.3 | 232,730 | -18,826 | -19,354 | -21,656 | -774.6 | 20 |
| 25.3 | 228,145 | 11,860 | 10,827 | 10,728 | 382.8 | 50 |
| 26.3予 | 220,000 | 13,500 | 12,500 | 10,000 | 355.3 | 64 |
| 27.3予 | 235,000 | 14,800 | 13,800 | 11,000 | 390.8 | 64〜66 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | 21,962 | -15,193 | -3,508 |
| 2024年3月期 | 19,494 | -13,258 | 1,279 |
| 2025年3月期 | 21,079 | -13,149 | -7,338 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年3月期 | -4.2 | -10.2 | -3.8 | – | – |
| 2024年3月期 | -8.1 | -39.3 | -12.0 | – | – |
| 2025年3月期 | 5.1 | 16.7 | 6.0 |
高値平均3.2 安値平均1.7 |
0.61 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の流れを見ると、エイチワンはここ数年で非常に大きな振れ幅を経験している。2024年3月期は売上高2,327億円を確保していたものの、営業利益は-188億円、経常利益は-193億円、純利益は-216億円と深刻な赤字決算だった。営業利益率は-8.1%、ROEは-39.3%、ROAも-12.0%と、収益性・資本効率ともに事業が正常に機能していない水準まで悪化していたことが分かる。
しかし2025年3月期になると状況は一変する。売上高は2,281億円とほぼ横ばいであるにもかかわらず、営業利益は118億円、経常利益は108億円、純利益は107億円と大幅な黒字に転換した。営業利益率は5.1%まで回復し、ROEは16.7%、ROAも6.0%と、自動車部品メーカーとして十分に評価できる水準に戻っている。売上を大きく伸ばさずとも利益を出せる体質に一気に切り替わった点は、数字上かなりインパクトが大きい。
2026年3月期予想では、売上高は2,200億円とやや減少するものの、営業利益135億円、経常利益125億円、純利益100億円と、黒字を維持する計画になっている。利益水準は2025年からやや低下するが、-200億円規模の赤字を出していた時期と比べれば、全く別次元の収益力であり、会社側は回復が一時的ではないという前提に立っていることが読み取れる。
株価指標を見ると、2025年の実績PERは高値平均3.2倍、安値平均1.7倍と極端に低い。これは単純な割安というより、過去の巨額赤字の印象が強く、現在の利益水準がどこまで持続するのか市場がまだ信用し切れていないことの表れと考えられる。PBRも0.6倍台にとどまり、資産価値に対しても慎重な評価が続いている。
これらを総合すると、エイチワンは典型的な業績急回復局面の銘柄である。2024年までの数字だけを見れば危険な赤字企業だが、2025年以降の数字だけを見れば、高い収益性と資本効率を一気に取り戻した企業にも見える。評価が極端に低いのは、回復が構造的なものなのか、それとも一時的な要因によるものなのかを市場がまだ判断し切れていない段階だからだといえる。
提示された数値だけで判断するなら、現在のエイチワンは「不安と期待が同時に織り込まれている反転局面の銘柄」である。安定性や安心感を重視する投資対象ではないが、26.3期予想どおりに利益を維持できれば、現在のPERやPBRは明らかに低く、評価が一段切り上がる余地は大きい。一方で、再び利益が崩れれば、-188億円、-216億円といった過去の赤字の記憶が再燃し、評価が急落するリスクも併せ持つ。業績回復の持続性をどこまで信じられるかが、この銘柄を判断する上で最大のポイントになる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは26.3期、27.3期ともに4.29%とされており、水準としては高配当株に分類できる。東証全体で見ても4%超の利回りは十分に魅力があり、インカム目的の投資家にとっては数字だけを見ると関心を持ちやすい水準である。
配当の裏付けとなる利益水準を見ると、24.3期は純利益が-216億円と大赤字であり、配当の安全性という観点では極めて不安定な状態だった。一方で25.3期は純利益107億円と一気に黒字転換しており、26.3期予想でも純利益100億円が見込まれている。この水準であれば、1株当たり配当64円前後は数字上は十分に賄える範囲にある。
ただし、注意点としては業績の振れ幅が非常に大きい企業であることが挙げられる。直近3年だけを見ても、-216億円の赤字から100億円超の黒字へと急激に変化しており、利益の安定性という意味ではまだ信頼し切れる段階とは言いにくい。営業利益率やROEも25.3期に急回復しているものの、それ以前は-8.1%、ROE-39.3%と壊滅的な水準を経験しているため、好調期がどこまで続くかは不透明さが残る。
キャッシュフローを見ると、赤字期を含めても営業CFは毎年2,000億円規模と非常に大きく、本業で現金を生み出す力は強い。設備投資負担は重いものの、現時点では配当を支払うキャッシュ余力は十分にある構造といえる。この点は、会計上の利益変動が大きい割に、配当が維持されやすい理由の一つである。
以上を総合すると、エイチワンは配当目的として「業績回復が続くことを前提にすれば魅力がある銘柄」といえる。一方で、「長期にわたって安定的に配当を積み上げていく安心型の高配当株」とは性格が異なる。過去に大幅な赤字を経験している以上、景気や自動車生産の変動次第では、再び配当水準が見直されるリスクも否定できない。
結論として、提示された数値だけで判断するなら、エイチワンは高配当利回りを享受できる可能性がある一方で、配当の安定性には一定の覚悟が必要な銘柄である。配当を主目的にする場合でも、業績の持続性を定期的に確認しながら保有する、やや中期寄り・リスク許容型のインカム投資に向く銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
エイチワンは車体骨格部品を主力とする自動車部品メーカーで、売上の9割弱をホンダ向けが占める典型的なホンダ依存型企業である。22.3期〜24.3期にかけては原材料高や生産調整の影響を強く受け、営業赤字・最終赤字が続いたが、25.3期に一転して大幅な黒字回復を果たしている。足元はV字回復直後の局面にあり、市場では「回復が本物かどうか」を見極めている段階にある。エイチワンの現在値1,490.0円を基準に、今後5年間の値動きを考えます。
良い場合は、ホンダの生産が安定的に推移し、車体骨格部品の数量が計画どおりに回復するシナリオである。加えて、コスト削減や価格転嫁が定着し、営業利益率が5%前後で安定する。ROEも10%超を維持できれば、24.3期までの赤字企業というイメージは薄れ、「高収益に戻ったホンダ系部品メーカー」として評価が見直される。この場合、現在は1倍未満にとどまるPBRが0.8〜1.0倍程度まで切り上がり、PERも5〜8倍程度が許容される可能性がある。業績回復と評価修正が同時に進めば、5年後の株価は2,200円〜2,800円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、業績は黒字を維持するものの、利益率はやや低下し、回復の勢いが鈍るケースである。営業利益率は3〜4%程度に落ち着き、ROEも一桁台後半にとどまる。ホンダ依存度の高さが意識され、市場評価は慎重なままとなる。この場合、PERは3〜5倍、PBRは0.6〜0.8倍程度で推移し、配当利回りが下値を支える構造になる。株価は大きなトレンドを描きにくく、5年後の水準は1,400円〜1,800円程度と、現在値近辺を中心としたレンジ相場になるイメージである。
悪い場合は、ホンダの生産調整や自動車需要の減速が再び強まり、車体骨格部品の数量が落ち込むシナリオである。固定費負担の重い事業構造のため、営業利益率は再び2%を下回り、場合によっては赤字に転落する可能性もある。24.3期までの巨額赤字の記憶が再燃すると、市場の評価は急速に冷え込み、PBRは0.4〜0.5倍程度まで低下することも考えられる。この場合、配当維持への警戒感も強まり、5年後の株価は800円〜1,100円程度まで調整するリスクがある。
総合すると、エイチワンは急成長を狙う銘柄ではなく、「業績回復が定着するかどうか」を見極める反転局面の銘柄である。5年間では中間シナリオが最も現実的で、配当を受け取りながら業績の安定化を確認する投資スタイルに向く。一方で、回復が本物であれば上振れ余地は大きく、逆に再び業績が崩れれば大きく下押しされるリスクも併せ持つ、値動きの振れ幅が大きい銘柄といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月11日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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