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ネツレンとは

ネツレンは、電気による鋼材焼き入れ、すなわち誘導加熱加工を中核技術とする国内大手の金属熱処理メーカーである。1946年に日本で初めて誘導加熱技術の事業化に成功した企業であり、この分野では草分け的存在として長い歴史と技術的蓄積を持つ。通称はネツレンで、現在は東証プライム市場に上場する独立系の技術企業として位置付けられている。
ネツレンの最大の特徴は、誘導加熱という専門性の高い技術を軸に、複数の事業を組み合わせた事業構造を築いている点にある。主力事業は、加工受託、鋼材製品、加熱設備販売の三本柱であり、単なる加工業にとどまらず、素材・設備・技術開発までを自社で手掛ける体制を整えている。
加工受託事業では、自動車部品や建設機械部品、産業機械部品などに対して高周波焼入れを施し、部品の耐摩耗性や疲労強度、寿命を大きく向上させている。誘導加熱は必要な部分だけを短時間で加熱できるため、省エネルギー性に優れ、歪みが少ないという特徴がある。ネツレンはこの技術を活かし、顧客の設計段階から関与して、最適な焼入れ条件や形状提案まで行うことができる点を強みとしている。単なる外注加工先ではなく、技術パートナーとしての立ち位置を確立していることが、長年の取引関係につながっている。
鋼材製品分野では、高周波熱処理を施したPC鋼棒、ばね鋼線、プレハードン線などを製造・販売している。これらは自動車部品や建設機械、インフラ関連分野で使用される基礎材料であり、高い強度と信頼性が求められる用途が中心である。ネツレンの誘導加熱技術は、品質のばらつきを抑えつつ大量生産を可能にする点で評価が高く、加工受託事業と素材供給事業が相互に技術面で補完し合う構造になっている。
加熱設備販売事業では、誘導加熱装置や高周波焼入設備そのものを製造・販売している。自社で長年培ってきた誘導加熱ノウハウを設備として外販することで、国内外の製造現場の省エネルギー化や生産性向上に貢献している。この設備販売は、景気変動の影響を受けやすい加工受託とは異なる収益源となり、事業全体の安定性を高める役割を果たしている。
技術面では、新商品開発や新工法の研究を担う技術部門を持ち、誘導加熱技術の高度化や新用途開拓にも継続的に取り組んでいる。自動車産業の電動化や軽量化が進む中でも、耐久性や安全性が求められる部品は依然として多く、誘導加熱技術の応用余地は広い。ネツレンはこうした変化を見据え、次世代向けの加工技術や材料開発にも注力している。
また、本業を補完する形で、動産・不動産の賃貸を行う賃貸部門も有しており、景気変動時の収益安定に一定の役割を果たしている。製造業としては珍しく、複数の収益源を組み合わせることで、経営のブレを抑える構造を意識している点も特徴である。
国内には、いわき工場、茨城工場、平塚工場などの主要生産拠点を持ち、研究開発本部や製品技術本部、湘南事業所と連携しながら、開発から生産、営業までを一体的に運営している。これにより、顧客ニーズへの迅速な対応と品質の安定を両立させている。
総合するとネツレンは、誘導加熱というニッチだが不可欠な基盤技術を武器に、日本の自動車産業や建設機械、産業機械分野を下支えしてきた技術系メーカーである。派手な成長企業ではないものの、長年培った技術力と多角化された事業構造によって、安定性と専門性を兼ね備えた存在であり、日本のものづくりを縁の下で支える企業と言える。
ネツレン 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021.3 | 42,567 | 920 | 1,475 | 268 | 6.6 | 14 |
| 2022.3 | 53,004 | 3,704 | 4,418 | 2,690 | 67.5 | 30 |
| 2023.3 | 57,524 | 2,396 | 3,088 | 381 | 9.9 | 30 |
| 2024.3 | 57,205 | 1,632 | 2,511 | 1,542 | 41.9 | 49 |
| 2025.3 | 57,563 | 1,617 | 2,321 | 1,815 | 51.6 | 51 |
| 2026.3予 | 58,000 | 1,600 | 2,100 | 1,300 | 39.7 | 67 |
| 2027.3予 | 59,000 | 1,730 | 2,230 | 1,360 | 41.6 | 67〜68 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023.3 | 3,888 | -1,203 | -4,286 |
| 2024.3 | 4,193 | -1,647 | -5,080 |
| 2025.3 | 4,107 | -3,404 | 1,713 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 4.1 | 0.6 | 0.4 | – | – |
| 2024 | 2.8 | 2.5 | 1.9 | – | – |
| 2025 | 2.8 | 3.0 | 2.1 | 29.5~41.6倍 | 0.75倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
2024年3月期は、売上高572億円、営業利益16億円、経常利益25億円、純利益15億円という水準である。営業利益率は2.8%、ROEは2.5%、ROAは1.9%と、収益性・資本効率はいずれも低水準にとどまっている。高周波焼入れという専門技術を持つ一方で、利益率という点ではまだ力強さに欠ける状態である。
2025年3月期は、売上高575億円、営業利益16億円、経常利益23億円、純利益18億円となっており、売上・営業利益はほぼ横ばいだが、純利益はやや増加している。ただし、営業利益率は2.8%と前年から改善せず、ROEは3.0%、ROAは2.1%と小幅な回復にとどまる。収益構造が大きく改善したというより、底打ち後に緩やかに持ち直している段階と見るのが妥当である。
2026年3月期予想では、売上高580億円、営業利益16億円、経常利益21億円、純利益13億円と、利益水準は再びやや低下する見通しとなっている。ここからは、成長フェーズというよりも、安定維持を前提とした慎重な計画であることが読み取れる。
指標面を見ると、営業利益率は2023年の4.1%から2024年以降は2.8%で横ばい、ROEは0.6%から3.0%へ、ROAは0.4%から2.1%へと改善はしているものの、依然として低い水準にある。一方で、2025年の実績PERは29.5倍〜41.6倍と非常に高く、実績PBRも0.7倍台である。つまり、収益性や効率性は低いにもかかわらず、株価は回復期待をかなり強く織り込んだ評価となっている。
以上を踏まえると、ネツレンは利益規模こそ安定しているものの、営業利益率3%未満、ROE3%前後という数値が示すとおり、現時点では高収益企業とは言えない。それにもかかわらず、PERが30〜40倍台という評価水準は、足元の実力値に対してかなり先行している印象が強い。
結論として、ネツレンは、業績が急回復・高成長に転じる前提がなければ割高感が否めない銘柄と判断できる。誘導加熱という独自技術や事業の安定性は評価できるものの、提示された数値だけで見る限り、現状は「業績改善期待先行型」であり、収益性が実際に大きく改善しない限り、株価の上値余地は限定的となりやすい。一方で、利益が底堅く推移する限り下値も限定される可能性はあり、成長期待をどこまで信じるかが投資判断の分かれ目となる銘柄である。
配当目的とかどうなの?
ネツレンを配当目的で見ると、数字上は魅力がある一方で前提条件の確認が重要な銘柄といえる。まず、予想配当利回りは2026年3月期、2027年3月期ともに5.13%と高水準で、インカム狙いの投資対象としては十分な水準にある。市場全体と比べても見劣りせず、配当収入を重視する投資家にとって目を引く利回りである。
一方で、業績面を見ると営業利益は年16億円前後、営業利益率は2.8%と低く、ROEも3%前後にとどまっている。利益成長によって配当が押し上げられている状況ではなく、あくまで安定配当を重視した株主還元姿勢によって成り立っている配当と考えられる。
キャッシュフローを見ると、営業CFは40億円前後で安定しており、投資CFを差し引いた後も、現時点では配当を賄える資金余力は確保されている。配当性向は高めだが、直ちに無理が生じている状態ではなく、稼いだ範囲で配当を出している構造といえる。
ただし注意点として、PERは30〜40倍台と高く、株価はすでに業績回復期待をかなり織り込んでいる。営業利益率が低いため、景気後退や設備投資需要の減速が起きた場合、利益が振れやすく、配当維持に対する余裕は大きくない。
総合すると、ネツレンは値上がり益を狙う成長株ではないが、現行の業績水準が維持される限り、配当目的としては成立する銘柄といえる。ただし、高配当の安心感を過信するタイプではなく、業績が横ばいから緩やかな回復を続けることが前提となる。そのため、配当狙いでは主力級よりも、分散投資の一部として配当収入を積み上げる位置付けが適している。
今後の値動き予想!!(5年間)
ネツレンは、誘導加熱による鋼材焼入れというニッチだが不可欠な技術を強みに、自動車部品や建設機械向けを中心に安定した事業を展開しているメーカーである。売上規模は570億円前後で大きな成長はないものの、需要が急減しにくい分野を主戦場としており、業績は比較的安定して推移している。一方で、営業利益率は3%前後、ROEも3%程度と収益性は低く、高付加価値企業というよりは薄利安定型のビジネスモデルである。設備投資や研究開発を続けながら、利益を積み上げていくというより、事業を維持しつつ堅実に回す企業という位置付けになる。今後の値動きについて、現在値は1,306.0円である。この水準を起点に、今後5年間の値動きを考える。
良い場合は、自動車部品や建設機械向けの需要が底堅く推移し、誘導加熱加工の受託や鋼材製品が安定的に伸びるシナリオである。営業利益率は現状の2%台後半から3%台半ば程度まで改善し、ROEも4%前後まで上昇する。市場はネツレンを「低収益だが安定して稼ぐ高配当銘柄」として再評価し、PERは15〜18倍程度まで切り下がる形で評価が落ち着く。この場合、5年後の株価は1,700円〜2,000円程度が視野に入る。
中間の場合は、業績が会社計画どおりに推移し、売上・利益ともに大きな成長も悪化もなく横ばいで進むケースである。営業利益率は2%台後半、ROEは3%前後にとどまり、市場評価も大きくは変わらない。高配当が下値を支える一方で、上値も限定され、PERは20倍前後、PBRは0.7倍前後で推移する。この場合、5年後の株価は1,300円〜1,500円程度となり、現在値1,306.0円近辺を中心としたレンジ相場が想定される。
悪い場合は、景気後退や設備投資需要の減速によって、受託加工や設備販売が弱含むシナリオである。営業利益率は2%を割り込み、ROEも再び低迷する。配当維持への警戒感が強まると、高配当期待が剥落し、評価は大きく切り下がる可能性がある。この場合、PERは10〜12倍程度、PBRは0.6倍割れまで低下し、5年後の株価は900円〜1,100円程度まで調整するリスクが考えられる。
総合すると、ネツレンは急成長を狙う銘柄ではなく、高配当を軸にしながら安定推移を狙うタイプの銘柄である。5年間では中間シナリオが最も現実的で、配当を受け取りつつ横ばいから緩やかな値動きを想定する投資スタイルに向く。一方で、利益率改善が進めば上振れ余地もあり、逆に業績が崩れれば高配当期待の剥落による下押しリスクも併せ持つ、やや癖のある高配当銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月11日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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