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三浦工業とは

三浦工業は、産業用小型ボイラーを中核とする国内有数の産業機器メーカーであり、とくに小型貫流式蒸気ボイラー分野では国内シェア5割超を占める圧倒的なトップ企業である。多くの工場や事業所で必要不可欠な「蒸気」を安定的かつ効率的に供給することを事業の根幹としており、省力化・省エネルギー・安全性を高次元で両立した製品力が長年の競争優位となっている。
同社の特徴は、単なるボイラーメーカーではなく、ボイラーを軸に「熱・水・環境」をトータルで提供する点にある。ボイラー本体の販売に加え、水処理機器、排ガス・廃熱回収ボイラー、舶用補助ボイラー、食品加工機器、蒸気滅菌機器などへ事業を広げ、工場全体のエネルギー効率や生産性向上に貢献する総合提案型のビジネスを展開している。これにより、顧客との関係は単発の設備投資で終わらず、長期的な取引へとつながりやすい構造になっている。
ビジネスモデルの大きな強みとして、保守・メンテナンス事業の存在が挙げられる。三浦工業は自社製品の定期点検、部品交換、遠隔監視などを含むメンテナンス体制を全国規模で整備しており、機器導入後も継続的に収益が積み上がるストック型収益を確保している。ボイラーは安全性と安定稼働が極めて重要な設備であるため、顧客がメーカー純正の保守を選好しやすく、この点が同社の収益安定性を支えている。
歴史を振り返ると、1927年に精麦・精米機メーカーとして創業し、1960年に小型貫流ボイラーの製造を開始したことが現在の事業の原点となっている。以降、日本国内での省エネ需要や省人化ニーズを背景に急成長し、産業用ボイラーの標準的存在としての地位を確立してきた。現在では食品、化学、医薬、繊維、半導体関連など幅広い業種で同社のボイラーが使われており、特定業界に依存し過ぎない分散された顧客基盤も特徴のひとつである。
環境対応への意識も非常に強く、脱炭素社会への対応は中長期の成長テーマとなっている。2017年には運転時にCO2を排出しない水素燃料貫流蒸気ボイラーを発売し、2021年には東京都の低NOx・低CO2小規模燃焼機器認定を取得するなど、環境規制を先取りする形で技術開発を進めている。また、量子水素エネルギーの実用化を目指す企業との共同開発にも取り組んでおり、将来的には従来の化石燃料依存からの脱却を図る次世代ボイラーの実用化が期待されている。
海外展開も近年の大きな成長ドライバーである。もともと国内市場で高いシェアを持つ一方、日本は設備投資の成熟市場でもあるため、同社は早くから海外市場を重視してきた。近年はM&Aを積極化しており、2024年にはドイツのCERTUSS社、米国のCleaver-Brooks社をグループに迎え入れ、欧米市場での製品ラインアップと販売網を一気に強化した。現在では世界50以上の国と地域に事業を展開しており、地域特性や法規制、エネルギー事情に合わせた製品・サービスを提供する「熱のプロバイダー」として存在感を高めている。
事業内容は、小型貫流ボイラー、舶用補助ボイラー、排ガス・廃熱ボイラー、水処理機器、食品機器、滅菌器、関連薬品の製造販売に加え、メンテナンスサービス、環境計量証明業など多岐にわたる。製品販売によるフロー収益と、保守・サービスによるストック収益を組み合わせた事業構造により、景気変動を受けやすい製造業の中でも比較的安定した収益基盤を持つ点が投資面でも評価されやすい。
総じて三浦工業は、産業インフラを支える必需性の高い製品を扱いながら、省エネ・省人化・脱炭素という時代の要請を取り込み、国内外で着実に成長を続ける企業である。安定性と成長性を併せ持つビジネスモデルを構築しており、中長期視点での企業価値向上が期待される企業といえる。
三浦工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 134,732 | 17,858 | 18,165 | 12,695 | 112.6 | 35 |
| 22.3 | 143,543 | 19,441 | 20,421 | 14,415 | 127.7 | 39 |
| 23.3 | 158,377 | 21,928 | 23,467 | 16,876 | 149.5 | 45 |
| 24.3 | 159,695 | 23,061 | 26,789 | 19,368 | 175.0 | 53 |
| 25.3 | 251,341 | 25,324 | 29,629 | 23,312 | 206.4 | 61 |
| 26.3予 | 268,000 | 32,000 | 36,300 | 26,300 | 227.3 | 67 |
| 27.3予 | 290,000 | 35,000 | 39,500 | 28,500 | 246.3 | 67〜73 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 23.3 | 17,844 | -12,535 | -13,766 |
| 24.3 | 20,810 | -1,270 | -15,403 |
| 25.3 | 34,119 | -134,627 | 119,703 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 23.3 | 13.8% | 7.3% | 10.0% | – | – |
| 24.3 | 14.4% | 8.0% | 10.7% | – | – |
| 25.3 | 10.0% | 5.3% | 11.4% | 14.5〜22.1倍 | 1.69倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず規模と成長を見ると、24.3期は売上高約1,596億円、営業利益約230億円、経常利益約267億円、純利益約193億円。25.3期は売上高約2,513億円、営業利益約253億円、経常利益約296億円、純利益約233億円と、売上が一気に拡大している。26.3期予想では売上高約2,680億円、営業利益約320億円、経常利益約363億円、純利益約263億円とされており、増収増益基調が続く前提になっている。事業規模の拡大という点では非常に分かりやすく、トップラインも利益額も右肩上がりで、成長企業であること自体は数字からはっきり読み取れる。
一方で収益性を見ると少し印象が変わる。営業利益率は23.3期13.8%、24.3期14.4%と高水準だったが、25.3期は10.0%まで低下している。売上が急拡大した一方で利益率が下がっているため、量は伸びているが質はやや落ちている局面といえる。規模拡大や海外展開、投資負担を伴う成長フェーズではありがちな動きだが、今後もこの水準が続くのか、それとも回復するのかは注視点になる。
資本効率では、ROEは23.3期10.0%、24.3期10.7%、25.3期11.4%と緩やかに改善しており、株主資本に対する利益創出力は着実に高まっている。一方ROAは23.3期7.3%、24.3期8.0%から25.3期5.3%へ低下している。これは資産が増えた割に利益効率が下がったことを意味しており、M&Aや設備投資などで資産を積み増している最中であることを示す数字といえる。
市場評価を見ると、25.3期の実績PERは14.5倍から22.1倍のレンジ、PBRは1.69倍である。ROEが11%台であることを考えると、PBR1.69倍は安いとは言えないが、成長性を加味すれば極端な割高感もない。PERも、成長が続く前提であれば許容されやすい水準だが、すでに将来の成長をある程度織り込んだ評価になっている印象はある。
これらを総合すると、三浦工業は売上・利益ともに拡大を続ける成長企業で、ROEも2桁を維持しており事業の競争力は高い。一方で、直近では営業利益率とROAが低下しており、効率面は一時的に悪化している。評価指標も「明確に割安」と言える水準ではなく、「成長を前提にした妥当〜やや高め」のゾーンにある。
この数字だけで判断するなら、安定性と中長期成長を重視して腰を据えて持つ対象としては納得感があるが、短期での割安是正や急騰を狙う銘柄ではない。業績拡大が続くか、利益率が再び改善してくるかを確認しながら、押し目や調整局面でのエントリーを考えたいタイプの銘柄、という評価になる。
配当目的とかどうなの?
配当目的で見ると、三浦工業は「高配当株」ではなく、「安定配当を積み上げていくタイプ」の銘柄といえる。提示された予想配当利回りは、26.3期2.11%、27.3期も2.11%と、利回り水準そのものは市場平均と同程度か、やや低めである。この数字だけを見ると、配当利回りを最優先にする投資家にとっては物足りなさは否めない。
ただし、業績面を踏まえると評価は少し変わる。売上高、営業利益、純利益はいずれも拡大基調で、26.3期予想でも増益が続く前提になっている。配当額も、25.3期実績61円から26.3期予想67円、27.3期は67〜73円と増配基調にあり、配当の「安定性」と「成長性」は高い。無理に利回りを引き上げるのではなく、利益成長に合わせて着実に配当を伸ばす姿勢が数字から読み取れる。
財務面でも、ROEは11%台とまずまずの水準を維持しており、利益創出力に大きな不安はない。一方でROAや営業利益率が直近で低下している点から、成長投資や海外展開を優先している局面と考えられ、会社としては高配当よりも内部成長を重視している段階といえる。
このため配当目的での位置づけは、今すぐ高い配当収入を得たい人向けではなく、業績成長とともに配当が少しずつ増えていくことを期待する「中長期の安定配当枠」に近い。インカム狙い単独で買うよりも、事業の強さや成長性を評価したうえで、配当も付いてくると考えるスタンスが合う銘柄である。
結論として、配当利回り2.11%という数字だけを見る限り、配当目的の主力銘柄にはなりにくいが、減配リスクが低く、将来的な増配余地も見込めるため、長期保有で配当を積み上げたい投資家には相性の良い銘柄といえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
三浦工業は、産業用小型貫流ボイラーというニッチだが不可欠な分野で圧倒的な国内シェアを持ち、ボイラー本体の販売に加えて保守・メンテナンスを安定収益源とするビジネスモデルを確立しているメーカーである。売上規模は直近で2,500億円を超え、海外M&Aやグローバル展開の進展によって事業規模は拡大局面にある。
一方で、事業の性格上、爆発的な成長というよりは、設備投資需要を着実に取り込みながら積み上げていくタイプの企業といえる。営業利益率は10〜14%と産業機械メーカーとしては高水準だが、直近では10%まで低下しており、成長投資の影響が数字に表れている。ROEは11%前後と安定しており、収益力そのものは依然として高い。現在値は3,173.0円であり、この水準を起点に今後5年間の値動きを考える。
良い場合は、国内外での設備投資が底堅く推移し、海外子会社の寄与やM&A効果が本格的に業績に反映されるシナリオである。売上は緩やかに拡大を続け、営業利益率も再び12%前後まで回復、ROEは12%台に乗せる。市場からは「安定成長型の優良グローバル企業」として評価され、PERは20倍前後で安定的に受け入れられる。この場合、配当も増配基調が続く前提となり、5年後の株価は4,800円〜6,200円程度が視野に入る。
中間の場合は、業績が会社想定どおりに推移し、売上・利益ともに堅調だが大きなサプライズはないケースである。営業利益率は10%前後で横ばい、ROEも11%前後にとどまり、市場評価も現状水準を大きく上回らない。PERは15〜18倍程度、PBRは1.5倍前後で安定し、配当は着実に増えるものの利回りは2%前後に収まる。この場合、5年後の株価は3,800円〜4,800円程度となり、現在値からは緩やかな上昇にとどまる展開が想定される。
悪い場合は、世界景気の後退や企業の設備投資抑制が長引き、海外展開やM&Aの効果が十分に発揮されないシナリオである。売上成長が鈍化し、営業利益率は10%を下回る水準で低迷、ROAやROEも悪化する。成長期待が後退すると市場評価は切り下がり、PERは12〜14倍程度まで低下する可能性がある。この場合、5年後の株価は2,300円〜3,500円程度まで調整するリスクが考えられる。
総合すると、三浦工業は急騰を狙うテーマ株ではなく、産業インフラを支える必需性の高い製品と安定したストック収益を武器に、中長期で価値を積み上げていくタイプの銘柄である。5年間では中間シナリオが最も現実的で、緩やかな株価上昇と増配を同時に狙う投資スタイルに向く。一方で、海外事業や利益率の改善が進めば上振れ余地もあり、逆に成長投資が重荷になれば評価調整を受ける可能性もある、安定感と成長期待が同居した優良株といえる。
この記事の最終更新日:2026年1月11日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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