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バリューHRとは

バリューHRは、企業および健康保険組合を主要顧客とし、健康管理業務をITとBPOの両面から支援するヘルスケアサービス企業である。本社は東京都渋谷区千駄ヶ谷にあり、自社ビルを拠点として事業を展開している。
同社の事業は、2001年に健康保険組合の設立支援と、組合員の健康保持・増進を目的とした業務依頼を受けたことを起点としている。以来、健康情報を単に管理するだけでなく、データを活用して人の行動変容や健康意識の向上につなげることを理念として事業を拡大してきた。この創業時からの考え方はクレドとして定着しており、現在のサービス設計や運営思想の根幹となっている。
事業の中核を担うのが、自社開発のバリューカフェテリア®システムである。このシステムは、健診予約、健診結果管理、特定保健指導、福利厚生制度であるカフェテリアプランなど、企業と健康保険組合に必要な健康関連機能を一元的に管理できるプラットフォームとして提供されている。単なるシステム提供にとどまらず、健診事務の代行、結果データの集約・分析、課題抽出、改善施策の実行支援や効果検証までを含めたワンストップ型サービスである点が大きな特徴である。
また、健康経営やデータヘルス、コラボヘルスといった国の政策と親和性の高い分野を主戦場としており、企業の人事部門と健康保険組合の双方を支援できる立場にある。健康保険組合の新規設立支援や、設立後の事務運営を受託するBPOサービスも展開しており、制度設計から日常運営までをカバーできる実務力を強みとしている。
健診体制においては、全国4,000件以上の健診機関と提携し、毎年全国2,000カ所以上で巡回健診を実施できるネットワークを構築している。これにより、地域差のある健診環境にも柔軟に対応でき、被扶養者を含めた受診率向上にも貢献している。企業や健保の規模、業種、制度設計に応じて、システム機能や運用方法をフルカスタマイズできる点も、長期契約につながりやすい要因となっている。
グループ会社には、福利厚生代行サービスを担うバリューネットワークス、ヘルスケア関連サービスを提供するバリューヘルスケア、ベンチャー投資や事業開発支援を行うバリューHRベンチャーズ、健診予約業務に特化した健診予約.comなどがあり、周辺領域を含めた包括的なヘルスケア支援体制を形成している。これにより、既存顧客に対してサービスを横展開しやすい構造となっている。
全体として、バリューHRはシステム会社でも単なるアウトソーサーでもなく、健康保険制度、健診実務、データ活用を横断的に理解し、実行まで担える点に競争優位性を持つ企業である。健康経営の普及や医療費適正化といった中長期トレンドを背景に、ストック型収益を積み上げやすい事業構造を有しており、派手さはないものの、制度と社会構造に根差した安定性の高いビジネスを展開していると言える。
バリューHR 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 6,168 | 1,194 | 1,312 | 880 | 33.6 | 18 |
| 連23.12 | 7,100 | 1,385 | 1,459 | 970 | 37.0 | 24 |
| 連24.12 | 8,376 | 1,117 | 1,181 | 791 | 29.6 | 25 |
| 連25.12予 | 10,000 | 1,000 | 1,040 | 630 | 23.6 | 26 |
| 連26.12予 | 11,500 | 1,600 | 1,600 | 1,000 | 37.4 | 26〜28 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2022.12 | 1,864 | -1,119 | -1,011 |
| 2023.12 | 1,346 | -179 | -894 |
| 2024.12 | 2,020 | -713 | -1,218 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 19.5% | 15.4% | 5.6% | – | – |
| 2024 | 13.3% | 11.8% | 4.4% | 35.8〜56.1倍 | 6.00倍 |
| 2025 | 10.0% | 9.4% | 3.5% | 62.47倍(予想) | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模を億円換算で見ると、売上高は2023年が約71億円、2024年が約83億円、2025年予想で100億円、2026年予想で115億円と、売上自体は着実に拡大している。一方で営業利益は2023年が約13億円、2024年が約11億円、2025年予想で10億円と減少し、2026年予想で16億円と回復見込みとなっている。経常利益・純利益も同様に、2023年をピークに2024〜2025年は利益水準が低下し、その後の回復を見込む形だ。
収益性を見ると、営業利益率は2023年19.5%から2024年13.3%、2025年10.0%へと明確な低下トレンドにある。ROEも15.4%→11.8%→9.4%、ROAも5.6%→4.4%→3.5%と、資本効率・資産効率はいずれも年々低下している。売上拡大に対して利益の伸びが追いついておらず、成長フェーズでのコスト増や投資負担が利益率を圧迫している状態と読み取れる。
評価面では、2024年実績PERは35.8倍〜56.1倍、実績PBRは6.0倍とかなり高水準である。さらに2025年予想PERは62.5倍と、利益成長を強く織り込んだ水準になっている。ROEが1桁台に低下しているにもかかわらず、このPER・PBR水準が許容されるためには、今後数年で再び高い利益成長と利益率改善が実現することが前提になる。
総合すると、バリューHRは売上成長は安定しているものの、足元では利益率と資本効率が低下しており、数字だけを見る限り「成長の質」はやや弱含んでいる。その一方で株価の評価は非常に高く、すでに将来の成長を先取りしている状態だ。現状の数値だけで判断すると、割安感はなく、むしろ成長が計画どおり進かなかった場合の下振れリスクが意識されやすい局面にある。
結論として、この銘柄は安定成長+高収益を前提にした成長株評価を受けているが、現時点の利益率低下を考えると、慎重寄りの判断が妥当である。今後の利益率回復とROEの再上昇が確認できない限り、積極的に買いに行くよりも、成長の実現度合いを見極める段階にある銘柄と言える。
配当目的とかどうなの?
バリューHRを配当目的で見ると、結論はかなり分かりやすく「配当重視向きの銘柄ではない」という評価になる。予想配当利回りは連25.12・連26.12ともに1.80%と、東証全体で見ても低い水準にある。数値だけを見れば、インカム狙いとしての魅力は限定的で、同じ利回り帯ならより安定した業種や成熟企業が多数存在する。配当水準自体は年々少しずつ増えているものの、利回りという観点では株価水準が高いため、配当の恩恵を感じにくい。
事業特性として、バリューHRは健康経営やデータヘルスといった中長期テーマを背景に、成長投資を優先するフェーズにある企業である。売上は拡大している一方で、営業利益率やROE、ROAは2023年以降低下傾向にあり、内部留保や投資資金を成長に回している状態だ。このため、会社の資金配分としても「配当を厚くする」より「事業拡大・体制強化」を優先していると読み取れる。
また、PERは実績・予想ともに非常に高く、株価は将来成長を前提に評価されている。そのため、配当利回りを目的に買う場合、株価変動リスクに対して得られるインカムが小さく、リスクとリターンが見合いにくい。仮に業績が計画どおり進まなければ、株価調整によって利回り以上の含み損を被る可能性もある。
総合すると、バリューHRは配当を主目的に保有する銘柄ではなく、あくまで成長ストーリーを評価する株である。配当は「おまけ程度」と割り切り、値上がり益や中長期の事業成長を狙う投資家向けだ。安定した配当収入を目的とする投資スタイルには不向きで、インカム狙いなら他銘柄を選んだ方が合理的だと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
バリューHRは、企業や健康保険組合向けに健診予約、健診結果管理、特定保健指導、福利厚生までを一体で提供する健康管理DXサービスを中核とする企業である。自社開発のバリューカフェテリア®システムを軸に、健康情報のデジタル化やBPOサービスをワンストップで提供できる点が強みで、健康経営やデータヘルスといった社会的テーマと強く結びついた事業構造を持つ。
売上規模は100億円前後と中堅規模だが、契約型・継続型ビジネスが中心で、顧客基盤は比較的安定している。一方で、近年は売上成長に対して利益率が低下しており、高成長企業というよりは成長と安定の中間に位置する銘柄といえる。現在値は1,437.0円であり、この水準を起点に今後5年間の値動きを考える。
良い場合は、健康経営やデータヘルスの重要性がさらに高まり、企業・健康保険組合による投資が継続的に拡大するシナリオである。バリューHRのシステムは既に多くの健保・企業に導入されており、既存顧客からの利用拡大と新規導入が同時に進むことで、売上は年率10%前後の成長を維持する。コスト構造の見直しやシステム効率化が進めば、営業利益率は一時的に低下した水準から持ち直し、ROEも10%前後まで回復する可能性がある。市場は同社を「健康管理DXの成長企業」として評価し直し、PERは30〜40倍程度で安定する。この場合、5年後の株価は2,100円〜2,600円程度が視野に入る。
中間の場合は、健康管理ニーズは底堅いものの、競争環境の激化や人件費増加により利益率の改善が進まないケースである。売上は着実に伸びるが、営業利益率は10%前後にとどまり、ROEも一桁後半から10%程度で推移する。市場評価は現在と大きく変わらず、PERは25倍前後、PBRは3倍前後で落ち着く。この場合、5年後の株価は1,500円〜1,900円程度となり、現在値1,437円近辺を中心に緩やかな上昇を伴うレンジ相場が想定される。配当利回りは2%弱と低いため、値上がり益を主目的とした投資になる。
悪い場合は、景気後退や企業のコスト削減圧力が強まり、健康経営関連投資が抑制されるシナリオである。健診業務やデータ分析サービスの価格競争が激化し、営業利益率はさらに低下、ROEも一段と鈍化する。成長期待が後退すると、高めに設定されていた評価倍率が見直され、PERは20倍を下回り、PBRも2倍前後まで低下する可能性がある。この場合、5年後の株価は1,000円〜1,300円程度まで調整するリスクが考えられる。配当利回りが低いため、下値は業績次第で不安定になりやすい。
総合すると、バリューHRは急成長を狙うハイリスク銘柄ではないが、健康経営という長期テーマに支えられた中成長型の企業である。5年間では中間シナリオが最も現実的で、緩やかな成長を背景にした値上がりを狙う投資スタイルに向く。一方で、利益率の改善が進めば評価の上振れ余地もあり、逆に成長鈍化が鮮明になれば高めの評価が調整されるリスクも併せ持つ、成長期待と割高感が同居した銘柄だといえる。
この記事の最終更新日:2026年1月12日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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