株価
やまびことは

やまびこは、屋外作業機械分野において国内首位、米州でも上位シェアを持つメーカーである。本社は東京都青梅市に所在し、林業、農業、造園、建設、防災といった現場作業を支えるプロ向け機械を主力としている。2008年に共立と新ダイワ工業が経営統合して誕生した企業であり、両社が長年培ってきた小型エンジン技術と業務用機械のノウハウを統合した点が競争力の源泉となっている。
やまびこの最大の特徴は、一般消費者向けよりもプロユーザー向けに軸足を置いた製品構成である。チェーンソー、刈払機、エンジンブロワ、ヘッジトリマー、動力散布機、動力噴霧機といった林業・農業・緑地管理向け製品に加え、乗用管理機やスピードスプレーヤなど中大型機械まで幅広く展開している。これらの製品は耐久性や作業効率が重視され、価格競争に陥りにくい市場で評価されている。
産業機械分野では、溶接機や発電機、投光機などを手掛け、建設現場や災害時の非常用電源としての需要を取り込んでいる。特に発電機は、防災意識の高まりや自然災害の増加を背景に、自治体や企業からの需要が底堅い分野である。屋外作業機械と産業機械の両輪を持つことで、用途や需要の分散が図られている点も事業構造上の強みと言える。
地域別では、国内市場に加えて北米を中心とした米州で高い存在感を持っており、海外売上比率が高いグローバルメーカーである点も特徴である。一方で、季節性の影響を受けやすく、草刈りや林業作業が活発になる時期に需要が集中するため、利益は上期偏重になりやすい傾向がある。この季節性を前提とした生産・在庫管理や販売戦略が、業績安定の鍵となっている。
事業拠点としては、本社および中央センターを東京都青梅市に構え、研究開発や中核機能を集約しているほか、横須賀事業所での製造機能、大塚オフィスを含む営業・管理拠点を全国に配置している。国内外に販売・サービス網を持ち、プロユーザーの現場を支える体制を整えている。
総合すると、やまびこは屋外作業機械というニッチだが安定需要のある分野で、国内トップ、海外でも競争力を持つメーカーである。共立と新ダイワ工業の統合による技術力とブランド力を背景に、プロ向け市場と海外展開を軸とした堅実な成長を志向する企業であり、派手さはないものの、事業の実態は極めて実直で底堅いと言える。
やまびこ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 156,159 | 8,688 | 9,217 | 6,299 | 151.5 | 52 |
| 連23.12 | 151,400 | 14,230 | 14,066 | 9,097 | 219.0 | 55 |
| 連24.12 | 164,838 | 19,637 | 20,899 | 15,889 | 386.2 | 90 |
| 連25.12予 | 176,000 | 19,300 | 18,600 | 13,800 | 337.3 | 90〜95 |
| 連26.12予 | 183,000 | 19,900 | 19,800 | 14,600 | 356.9 | 90〜100 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連22.12 | -5,150 | -3,753 | 10,546 |
| 連23.12 | 19,255 | -3,646 | -17,958 |
| 連24.12 | 14,033 | -3,432 | -7,570 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.12 | 9.3% | 10.3% | 6.7% | – | – |
| 連24.12 | 11.9% | 14.8% | 10.1% | 8.2倍 ~5.1倍 |
1.21倍 |
| 連25.12予 | 10.9% | 12.8% | 8.8% | 10.64倍 | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
やまびこの直近業績を見ると、2023年12月期の売上は1,514億円、営業利益は142億円、経常利益は140億円、純利益は90億円であった。2024年12月期には売上が1,648億円、営業利益196億円、経常利益208億円、純利益158億円と大きく伸びており、収益力が一段と強化されたことが分かる。2025年12月期予想では売上1,760億円、営業利益193億円、経常利益186億円、純利益138億円と、2024年のピークからはやや減益予想だが、それでも高水準を維持する見通しとなっている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年の9.3%から2024年に11.9%へ大きく改善し、2025年予想でも10.9%と2桁水準を維持している。屋外作業機械メーカーとしては非常に高い水準であり、価格競争に陥りにくいプロ向け製品構成と海外比率の高さが、利益率にしっかり反映されている。
資本効率の面では、ROEは10.3%から14.8%、12.8%、ROAは6.7%から10.1%、8.8%と、いずれも高水準で推移している。2024年に効率がピークを迎え、2025年はやや低下する予想だが、それでも製造業としては十分に優秀な数値であり、稼ぐ力と資本の使い方のバランスが取れた企業だと評価できる。
株価評価を見ると、2024年実績PERは安値平均5.1倍、高値平均8.2倍と非常に低く、2025年予想PERでも10.6倍にとどまっている。PBRは1.2倍で、ROE水準を考慮すると過度な割高感はない。高い利益率と資本効率を持ちながら、評価倍率は控えめで、市場は業績の持続性をやや慎重に見ている状態だと考えられる。
これらの数値だけで判断すると、やまびこは売上規模が着実に拡大し、高い営業利益率とROE・ROAを兼ね備えた、収益力の強い企業である。一方で2025年以降は成長が緩やかになる見通しで、急成長株としての評価は付きにくい。そのためPERは低位に抑えられているが、これは業績悪化懸念というより、成熟企業としての安定評価に近い。
総合すると、やまびこは「稼ぐ力は強いが、期待は控えめに見られている」銘柄であり、数値だけを見る限り割高感はなく、むしろ堅実さに対して評価が低めにとどまっている印象を受ける。急騰を狙う銘柄ではないが、高い収益性と安定した利益水準を背景に、配当を受け取りながら中長期で評価の修正を待つ投資には適した銘柄だと、この数値からは判断できる。
配当目的とかどうなの?
やまびこを配当目的で見ると、位置づけは「高配当株ではないが、安定配当+業績裏付け型の銘柄」と言える。連25.12、連26.12ともに予想配当利回りは2.70%で、数字だけを見ると高配当とは言えないが、製造業としては無理のない水準であり、配当の持続性という点では評価しやすい。
配当の裏付けとなる業績を見ると、営業利益は2023年の142億円から2024年に196億円まで拡大し、2025年以降も190億円台を維持する見通しとなっている。営業利益率は10%前後、ROEも10%以上を維持しており、本業の稼ぐ力は非常に強い。配当が一時的な利益や借入に依存しているわけではなく、営業CFが安定してプラスである点は、配当目的で見る場合の大きな安心材料になる。
一方で、配当利回りが3%を超えない理由は、会社が高配当を最優先にしていない点にある。やまびこは、配当を抑えながらも、設備投資や在庫、海外事業の安定運営に資金を回す経営スタイルであり、配当性向を急激に引き上げる可能性は高くない。そのため、今後も配当は増配余地を残しつつ、緩やかに積み上げていくタイプと考えられる。
株価評価の面ではPERが1桁台から10倍前後と低く、株価が大きく上昇しなければ利回り2.7%は維持されやすい。一方で、株価が評価修正で上がった場合には利回りは低下するため、インカムゲインを最大化する銘柄というより、業績と配当の両立を狙う位置づけになる。
総合すると、やまびこは配当だけを目的に買う銘柄ではないが、業績の安定性と高い収益力を背景に、安心して配当を受け取れる銘柄である。高配当戦略の主力というよりは、配当と業績のバランスを重視したポートフォリオの中核や補完として適しており、値上がり益と配当を両立させたい投資家向けの銘柄だと、この数字からは判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
やまびこの現在値は3,330円である。この水準を起点に今後5年間の値動きを考えると、同社は高成長株というより「高収益・成熟型メーカー」であり、業績の安定性と市場が許容する評価倍率の変化が株価を左右する銘柄である。屋外作業機械で国内首位、米州でも上位という地位を持ち、営業利益率10%前後、ROEも2桁水準と製造業としては非常に優秀な数値を出している一方、利益は上期偏重で季節性が強く、景気や為替の影響も受けやすいという特性を併せ持つ。
良い場合は、北米を中心とした海外市場での需要が想定以上に堅調に推移し、為替も円安基調が続くケースである。プロ向け製品中心のため価格競争に陥りにくく、営業利益率は10%超を維持したまま、売上は1,900億円から2,100億円規模へ拡大する可能性がある。この場合、利益の安定性が市場に評価され、これまで低位に抑えられてきたPERが15倍前後まで切り上がる展開が考えられる。そうなれば5年後の株価は4,500円から5,000円程度まで上昇する余地があり、配当を受け取りながら値上がり益も狙える理想的なシナリオとなる。
中間のケースは、業績は堅調だが成長率は落ち着き、営業利益率は9〜10%前後で横ばいが続くシナリオである。屋外作業機械の需要は安定しているものの、急拡大する局面にはならず、市場評価も過去のレンジ内にとどまる。この場合、PERは9〜11倍程度で推移しやすく、株価は3,000円から3,800円前後のレンジで上下する可能性が高い。現在値3,330円はこの中間シナリオの中心付近にあり、配当利回り2.7%前後を享受しながら、緩やかな値動きをする展開が想定される。
悪い場合は、北米市場の減速や原材料コスト上昇、為替の円高進行などが重なり、利益率が8%台まで低下するケースである。業績自体は赤字になる可能性は低いが、成長期待が後退することで市場評価はさらに慎重になり、PERは7〜8倍程度まで低下する恐れがある。この場合、5年後の株価は2,300円から2,700円近辺まで下落するリスクがあり、配当利回りは上昇するものの、株価下落を完全には補えない展開となる。
総合すると、やまびこは下値が比較的限定されやすい一方で、株価が大きく跳ねるには「業績の持続性に対する市場の信頼」がもう一段高まる必要がある銘柄である。現在値3,330円は割高ではないが、明確な割安とも言い切れず、中間シナリオを前提に配当と安定収益を取りつつ、業績と評価倍率の変化を見守る局面にあると感じる。短期の値幅取りよりも、収益力の強さを信じて中長期で付き合う投資スタンスが最も合っている銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月17日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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