株価
オイレス工業とは

オイレス工業は、無給油軸受(オイレスベアリング)で国内トップシェアを持つ日本の機械メーカーであり、免震・制震装置分野でも高いシェアを誇る企業である。本店・本社は神奈川県藤沢市に置き、産業機器と建築・土木分野の両方に強みを持つ点が大きな特徴となっている。
同社の祖業であり中核事業は、オイルレスベアリングに代表される無給油軸受である。自動車、FA・OA・AV機器、産業機械など幅広い分野で採用されており、国内では約5割という圧倒的なシェアを持つ無給油軸受メーカー最大手である。給油不要、または給油量・給油回数を大幅に減らせるという特性から、省メンテナンス性や環境性能に優れ、脱炭素や省エネルギーの流れとも親和性が高い製品群となっている。
オイレス工業の競争力の源泉は、長年にわたり蓄積してきたトライボロジー技術と特許戦略にある。現在1800件以上の特許を保有しており、売上高の約60%を特許製品が占める構造になっている。このため、価格競争に巻き込まれにくく、為替や景気変動の影響を相対的に受けにくい体質を持つ点が特徴である。日本初の技術や製品も多く、自動車排気管用無給油球面シール軸受や鉛プラグ入り積層天然ゴム免震装置など、業界の標準となる製品を数多く生み出してきた。
構造機器分野では、免震・制震装置が主力となっている。無給油軸受で培った摩擦制御技術を応用し、建築物やインフラを地震から守る装置を開発・製造している。免震装置分野では国内首位クラスの地位を確立しており、東京スカイツリーをはじめ、オフィスビル、商業施設、公共施設、文化財など数多くの実績を持つ。制震装置も競馬場や超高層ビルなどに採用されており、安全性と信頼性の高さが評価されている。
さらに建築機器分野では、「オイレスECO」ブランドを通じて、自然の風や光を活かした換気・開閉・制御機器などを展開している。快適性、安全性、省エネルギーを同時に実現する建築機器として、環境配慮型建築の需要拡大とともに存在感を高めている。
拠点面では、藤沢本社を中心に、東京本社、生産拠点として藤沢事業場、足利事業場、滋賀工場を有し、国内で一貫した研究開発・製造体制を構築している。自動車、産業機械、建築・土木という複数分野にまたがる事業ポートフォリオを持つことで、特定業界への依存度を抑えた安定性も備えている。
総じてオイレス工業は、無給油軸受というニッチだが不可欠な分野で圧倒的な技術力と特許資産を築き上げ、そこから免震・制震装置や建築機器へと技術を横展開してきた企業である。高い参入障壁と長期的な需要が見込める事業構造を持ち、景気循環の中でも比較的安定した競争力を発揮できる点が、この企業の本質的な強みと言える。
オイレス工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021/3 | 52,977 | 3,138 | 3,762 | 2,525 | 80.6 | 40 |
| 2022/3 | 59,853 | 5,861 | 6,514 | 4,325 | 137.6 | 55 |
| 2023/3 | 62,882 | 5,056 | 5,730 | 4,132 | 132.4 | 55 |
| 2024/3 | 68,765 | 7,291 | 7,791 | 5,476 | 177.8 | 75 |
| 2025/3 | 67,604 | 6,942 | 7,381 | 6,308 | 208.4 | 85 |
| 2026/3(予) | 67,500 | 5,600 | 5,800 | 4,100 | 140.8 | 85 |
| 2027/3(予) | 74,000 | 7,400 | 7,700 | 5,400 | 185.4 | 85〜90 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023/3 | 7,987 | -2,200 | -4,071 |
| 2024/3 | 7,196 | -1,172 | -4,312 |
| 2025/3 | 8,773 | -2,447 | -6,893 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023/3 | 8.0 | 5.9 | 4.7 | – | – |
| 2024/3 | 10.6 | 7.3 | 5.7 | – | – |
| 2025/3 | 10.2 | 8.2 | 6.7 |
12.8(高) 9.7(安) |
0.96 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績水準を見ると、2024年3月期は売上高687億円、営業利益72億円、経常利益77億円、純利益54億円である。2025年3月期は売上高676億円とやや減少したものの、営業利益69億円、経常利益73億円、純利益63億円と、利益水準は高位を維持し、純利益はむしろ増加している。2026年3月期予想では売上高675億円、営業利益56億円、経常利益58億円、純利益41億円と減益が見込まれており、短期的には調整局面に入る前提となっている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年8.0%、2024年10.6%、2025年10.2%と、直近は2桁水準で安定している。無給油軸受や免震・制震装置といった高付加価値・特許製品が収益を下支えしており、製造業としては比較的高い利益率を維持している点は評価できる。急成長ではないものの、安定的に稼げる事業構造が数字に表れている。
一方、資本効率はやや控えめである。ROEは2023年5.9%、2024年7.3%、2025年8.2%と改善傾向にあるものの、依然として1桁台後半にとどまる。ROAも4.7%から5.7%、6.7%へと上昇しており、効率性は徐々に高まっているが、爆発力のある水準ではない。これは自己資本が厚く、財務の安定性を重視してきた企業体質の裏返しと見ることができる。
バリュエーション面では、2025年実績PERは高値平均12.8倍、安値平均9.7倍と、成長株というよりは安定株としての評価水準にある。PBRは0.9倍と1倍を下回っており、資産価値ベースでは割高感はなく、むしろ控えめな評価が付いている。高収益成長を織り込む株価ではなく、安定収益を前提とした現実的な評価と言える。
これらの数値を総合すると、オイレス工業は売上・利益ともに大きな成長は見込みにくいが、営業利益率10%前後を安定して確保できる堅実な企業である。2026年予想では減益となっているものの、構造的な競争力が崩れているわけではなく、一時的な調整と捉える余地がある。
結論として、数値だけで判断すればオイレス工業は高成長株ではなく、安定収益・低変動型の企業である。ROEは高くないが、PBR1倍割れ、PERも10倍前後という水準を考えると、過度に割高ではなく、下値リスクは比較的限定的である。一方で、業績の急拡大による株価の大化けを期待するタイプの銘柄ではなく、中長期で安定した利益と一定の評価修復を狙う投資に向いた銘柄という位置付けになる。
配当目的とかどうなの?
オイレス工業を配当目的で見ると、結論から言えば「配当目的として十分に検討できる銘柄」である。予想配当利回りは2026年3月期、2027年3月期ともに3.33%と、インカムゲイン狙いとして一つの目安になる水準をしっかり超えている。製造業でありながら3%台の利回りが見込める点は評価しやすく、高配当株とまでは言わないが、安定配当株のゾーンに入っている。
これまでの業績を見ると、売上や利益は景気や設備投資動向の影響を受けるものの、営業利益率は10%前後を維持しており、特許製品比率が高いことから価格競争に巻き込まれにくい体質を持っている。営業キャッシュフローも安定してプラスを確保しており、配当の原資となるキャッシュ創出力には大きな不安はない。
また、PBRが1倍を下回る水準で推移していることから、株価は成長期待を過度に織り込んでおらず、配当利回りが相対的に高く見えやすい構造になっている。ROEは8%前後と突出して高くはないが、自己資本が厚く財務が健全であるため、無理のない範囲で安定した配当を継続できる企業と捉えられる。
一方で注意点として、オイレス工業は急成長企業ではないため、配当が毎年大きく増えていくタイプではない。業績が横ばいから微減となる局面では、配当も据え置き中心になりやすく、インフレ率を大きく上回るような増配を期待するのは現実的ではない。
総合すると、オイレス工業は「配当を主目的に、中長期で安定的に保有する」スタンスに向いた銘柄である。大きな値上がり益を狙う銘柄ではないが、比較的安定した業績、健全な財務、3%台の利回りを組み合わせたインカム投資先としては、安心感のある部類に入ると言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
オイレス工業の現在値は2,546円である。この水準を起点に今後5年間の値動きを考えると、同社の株価は景気循環よりも「事業の安定性」「特許に裏付けられた競争力」「配当水準」をどう評価され続けるかが最大のポイントになる。
オイレス工業の事業構造は、短期的な市況変動に大きく左右されるタイプではない。無給油軸受は自動車、産業機械、FA機器など幅広い分野に使われ、設備が存在する限り一定の需要が発生する。加えて免震・制震装置は、地震大国である日本において中長期的に不可欠な分野であり、景気が多少悪化しても完全に止まる需要ではない。このため、業績の振れ幅は比較的限定されやすく、急成長はしないが急落もしにくい企業体質といえる。
良い場合は、無給油軸受事業が自動車のEV化や産業機械の更新需要を背景に安定成長を続け、免震・制震装置も都市再開発、老朽建築物の耐震化、インフラ更新の流れに乗って受注が堅調に推移するシナリオである。この場合、売上は年率で緩やかに拡大し、営業利益率は10%前後を維持、ROEも8%台から9%台へとじりじり改善していく可能性がある。市場では「高成長ではないが、特許に守られた安定収益+配当3%超」という評価が強まり、PERは過去の高めのレンジである13倍〜15倍程度まで許容される展開が想定される。これが続けば、5年後の株価は3,200円〜3,800円前後まで上昇し、配当を含めたトータルリターンはかなり堅実なものになる。
中間のケースは、無給油軸受は底堅い一方で、免震・制震装置の大型案件が年度ごとに増減し、全体としては横ばいに近い業績推移となるシナリオである。この場合、売上・利益は大きく伸びないが、大きく崩れもしない。営業利益率は10%前後、ROEは7〜8%台で安定し、市場の評価は「守りの銘柄」として落ち着く可能性が高い。PERは10倍〜12倍程度で推移し、株価は2,300円〜2,800円程度のレンジでの値動きが中心になると考えられる。この局面では株価の値上がり益は限定的だが、毎年の配当を受け取りながら長期保有する投資スタンスが報われやすい。
悪い場合は、自動車生産の停滞や産業機械投資の抑制により無給油軸受の数量が伸び悩み、免震・制震装置も大型案件の遅延や先送りが重なるシナリオである。この場合、売上は横ばいから微減、営業利益率も1桁台後半まで低下する可能性がある。市場の評価は慎重になり、PERは過去の低位水準である8倍〜9倍程度まで切り下げられることも考えられる。その結果、5年後の株価は1,800円〜2,200円程度まで下落するリスクがある。ただし、財務体質は健全で、有利子負債に過度に依存していない点や、配当維持への意識が高い点から、急落後は下値が固まりやすい傾向も想定される。
総合的に見ると、オイレス工業は5年間で株価が倍になるような成長株ではない。一方で、特許に支えられたニッチトップ事業を複数持ち、業績の下振れリスクが比較的限定されていること、そして3%台の配当利回りが見込めることから、「守りを重視した中長期投資」に適した銘柄である。現在値2,546円は、成長期待を過度に織り込んでいない現実的な水準であり、大きな上昇余地は限定的でも、大きな崩れにくさと安定したインカムを同時に狙える位置づけといえる。
この記事の最終更新日:2026年1月17日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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