株価
日阪製作所とは

日阪製作所は、プレート式熱交換器と染色機械で国内首位のシェアを持つ産業機械メーカーである。本社は大阪府大阪市北区曾根崎に所在し、熱・流体・プロセス制御を核とした高付加価値機器を、食品、医薬、化学、繊維、環境分野など幅広い産業に提供している。
同社は各種産業機械の製造販売を行う中で、特にプレート式熱交換器をコア技術とした熱ソリューションに強みを持つ。省エネルギー性、コンパクト性、カスタマイズ性に優れた熱交換器は、食品・飲料、化学、医薬、エネルギー分野などで幅広く採用されており、プロセス全体を最適化するエンジニアリング力も競争力の源泉となっている。
食品分野では「食の安心・安全」への要求の高まりを背景に、殺菌・加熱・冷却装置を中心とした生活産業機器を強化している。1975年に誕生したレトルト殺菌装置は、国内外で2,700台以上の納入実績を持ち、店頭に並ぶレトルト食品の70%以上の調理殺菌に使用されている。飲料分野でも、ビール冷却を起点に、清酒、醤油、味醂、ソフトドリンク、野菜系飲料まで用途を拡大してきた。
医薬分野では、食品向け殺菌技術を応用した医薬品滅菌装置や各種システムを展開し、輸液バッグ、ボトル、PFSなどの滅菌用途で国内外に実績を持つ。さらに、漢方エキスなどの薬品溶液向け蒸発濃縮装置や、抽出・分離から殺菌・乾燥まで一貫したプラントエンジニアリングも行っており、今後は経腸栄養剤や医療用流動食といった新分野への展開も進めている。
バルブ事業では、環境安全性に配慮した高性能ボールバルブを手掛け、特殊条件下でも高い信頼性を発揮する製品として存在感を示している。プラントや産業設備向けに欠かせない要素部品として、熱交換器やプロセス装置との組み合わせ提案が可能な点も強みである。
染色機械分野では、1970年代に開発された液流染色機「Circular」を主力製品とし、長年にわたり世界中で使用されてきた。大量の水を使用する染色工程において、環境負荷低減を目指し、排水を出さない超臨界CO2染色処理装置の開発にも取り組んでいる。衣料用途にとどまらず、カーシートやインテリアなどの産業資材分野でも、高温・高圧・真空・乾燥技術を活かした装置・プラントを提供している。
生産拠点としては、長年にわたり大阪府東大阪市に鴻池事業所を構え、熱交換器、食品機器、医薬機器、染色仕上機器、ボールバルブなどを製造している。海外では中国・常熟に100%子会社を設立し、グローバル供給体制を整えている。
総合すると、日阪製作所はプレート式熱交換器と染色機械という国内首位のコア製品を基盤に、食品・医薬といった生活必需分野を強化しつつ、特殊バルブや環境対応技術でも存在感を発揮する産業機械メーカーである。省エネ、環境、安全といった中長期テーマに沿った事業構造を持ち、専門性と安定性を併せ持つ企業だと言える。
日阪製作所 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株配当(DPS) (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 28,437 | 1,409 | 1,765 | 1,212 | 43.1 | 30 |
| 連22.3 | 30,085 | 1,819 | 2,270 | 2,058 | 73.2 | 30 |
| 連23.3 | 34,074 | 1,912 | 2,392 | 2,040 | 72.5 | 40 |
| 連24.3 | 34,180 | 2,457 | 2,896 | 2,420 | 85.8 | 42 |
| 連25.3 | 38,353 | 2,930 | 3,391 | 3,782 | 135.8 | 45 |
| 連26.3予 | 44,000 | 3,000 | 3,350 | 2,700 | 102.7 | 55 |
| 連27.3予 | 44,500 | 3,000 | 3,400 | 2,750 | 104.6 | 55 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 1,485 | -2,812 | -1,001 |
| 連24.3 | -461 | -3,822 | 3,828 |
| 連25.3 | 4,720 | -3,299 | -2,396 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 5.6% | 3.6% | 2.8% | – | – |
| 連24.3 | 7.1% | 4.0% | 2.9% | – | – |
| 連25.3 | 7.6% | 6.3% | 4.5% | 13.2倍 ~10.1倍 |
0.70倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
日阪製作所の直近業績を見ると、2024年3月期の売上は341億円、営業利益は24億円、経常利益は28億円、純利益は24億円である。2025年3月期には売上が383億円、営業利益29億円、経常利益33億円、純利益37億円と大きく伸びており、利益面の改善がはっきりと確認できる。2026年3月期予想では売上440億円、営業利益30億円、経常利益33億円、純利益27億円と、純利益は一服するものの、全体としては高水準を維持する見通しとなっている。
収益性の面では、営業利益率が2023年の5.6%から2024年に7.1%、2025年には7.6%まで着実に改善している。急成長型ではないが、事業の質が徐々に良くなっていることが数字に表れており、安定型の産業機械メーカーとしては堅実な水準と言える。
一方で資本効率を見ると、ROEは3.6%から4.0%、6.3%、ROAは2.8%から2.9%、4.5%と改善傾向にはあるものの、依然として高水準とは言えない。利益は伸びているが、資本を効率良く回して大きく稼ぐ企業というより、財務的に慎重で安定志向の経営スタイルであることがうかがえる。
株価評価の面では、2025年の実績PERが安値平均10.1倍、高値平均13.2倍と低めで、利益成長を考慮すると割高感はない。PBRは0.7倍と明確な割安水準にあり、資産価値に対して株価はかなり抑えられている状態である。収益性やROEが突出していないため市場評価が低くなっているが、数字だけを見る限り過度に売られている印象も受ける。
これらの数値だけで判断すると、日阪製作所は売上・利益ともに着実に伸び、営業利益率も改善している堅実成長型の企業である。一方でROE・ROAは低く、成長期待で高い評価を受けるタイプではない。しかしPERは低水準、PBRは明確な割安圏にあり、業績に対して株価が慎重に評価されている状態だと言える。
総合すると、日阪製作所は派手さはないが、業績の安定性と割安感が同時に存在する銘柄であり、成長株というよりは「業績を積み上げることで評価の修正を待つタイプ」の投資対象である。短期で大きな値上がりを狙う銘柄ではないが、業績が崩れない前提であれば、中長期でじわじわと評価が見直される余地を持つ銘柄だと、この数値からは判断できる。
配当目的とかどうなの?
日阪製作所を配当目的で見ると、立ち位置はかなりはっきりしていて「高配当寄りの安定株」と評価できる。連26.3、連27.3ともに予想配当利回りは3.43%と、製造業の中では十分に高い水準であり、配当を主目的に検討する価値はある水準にある。
業績の裏付けを見ると、営業利益は2024年の24億円から2025年に29億円、2026年予想でも30億円と高水準を維持しており、営業利益率も5.6%から7.6%へと着実に改善している。急成長企業ではないが、利益が安定して積み上がる構造になっており、配当原資の面で大きな不安は感じにくい。
資本効率はROE6.3%、ROA4.5%と高いとは言えないが、これは裏を返せば内部留保を厚く持つ保守的な財務体質を示しているとも言える。無理にレバレッジをかけて配当を出す企業ではなく、稼いだ利益の範囲で配当を行うタイプであり、減配リスクは相対的に低い。
株価評価の面ではPER10倍台前半、PBR0.7倍と明確な割安水準にあり、株価が低めに抑えられていることが配当利回り3.4%台を実現している要因でもある。株価が大きく上昇すれば利回りは低下するが、現時点では「利回りを取りに行く投資」として成立している水準だと感じる。
総合すると、日阪製作所は高成長は期待しにくいものの、業績の安定性、改善傾向にある利益率、割安な株価水準を背景に、配当目的との相性は良い銘柄である。値上がり益を狙うより、配当を受け取りながら中長期で保有するスタンスに向いており、高配当戦略の中核というよりは、安定枠としてポートフォリオに組み込みやすい銘柄だと、この数値からは判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
日阪製作所の現在値は1,603円である。この水準を起点に今後5年間の値動きを考えると、同社は急成長株というよりも、業績を積み上げながら徐々に評価が修正されていくタイプの銘柄であり、値動きは業績の安定性と市場が許容する評価倍率の変化に左右されやすい。プレート式熱交換器や染色機器で国内首位という確固たる地位を持ち、食品・医薬といった生活必需分野を強化している点から、業績が急落しにくい一方、爆発的な成長も起こりにくいという性格を持つ。
良い場合は、食品・医薬向け装置の需要が想定以上に拡大し、既存の熱交換器や殺菌装置に加えて、高付加価値案件の比率が高まるケースである。この場合、売上は400億円台後半から500億円規模へと伸び、営業利益率も現在の7%台から9〜10%程度まで改善する可能性がある。ROEやROAも着実に上昇し、市場からは「安定成長だが収益性も改善した産業機械メーカー」として評価されやすくなる。PERは現在の10倍台前半から15倍前後まで切り上がる余地があり、5年後の株価は2,300円から2,800円程度まで上昇する展開が考えられる。配当は増配基調を維持しつつ、値上がり益と配当の両立が期待できるシナリオである。
中間のケースは、売上・利益ともに緩やかな成長を続けるものの、営業利益率は7%前後で横ばいとなるシナリオである。食品・医薬分野は堅調だが、設備投資全体が大きく拡大する局面には至らず、受注は安定推移にとどまる。この場合、市場評価は大きく変わらず、PERは10〜12倍程度で推移しやすい。株価は1,500円から1,900円前後のレンジ内で上下し、現在値付近を中心とした比較的落ち着いた値動きになる可能性が高い。配当利回りは3%台を維持しやすく、インカムゲインを重視する投資家にとっては安心感のある展開となる。
悪い場合は、設備投資サイクルの停滞や価格競争の激化により、利益率の改善が止まり、再び5%台まで低下するケースである。特に海外市場での競争が厳しくなった場合や、為替環境が不利に働いた場合には、利益の伸び悩みが顕在化しやすい。この場合、市場評価は一段と慎重になり、PERは8〜9倍程度まで低下する可能性がある。業績自体は赤字にはならないものの、成長期待が後退し、株価は1,100円から1,300円近辺まで下落するリスクがある。配当利回りは相対的に高くなるが、株価下落を補えるほどではなく、評価の調整局面となる。
総合すると、日阪製作所は下値が比較的限定されやすい一方で、上値も業績の積み上げ次第という、典型的な堅実型産業機械メーカーである。現在値1,603円は、中間シナリオのやや下寄りから中央付近に位置している印象で、割高感はないが、大きな割安とも言い切れない水準である。短期的な値幅を狙う銘柄ではなく、業績と配当を確認しながら中長期で付き合い、評価がじわじわと修正される過程を取りに行く投資スタンスが最も合っている銘柄だと感じる。
この記事の最終更新日:2026年1月17日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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