株価
日工とは

日工株式会社は、兵庫県明石市に本社を置く土木用プラントメーカーであり、アスファルトプラント分野では国内首位の地位を確立している老舗の産業機械メーカーである。アスファルトプラントや生コンクリートプラントといった大型土木用プラントを中核に、コンベヤなどの産業機械、破砕機、仮設足場、防水板、ショベル類まで幅広い製品群を展開している。
同社の前身は、1919年に設立された日本工具製作株式会社であり、鈴木商店工事部門関係者を中心に創業された。形式上は鈴木商店からの出資は受けていないものの、創業時の経営陣や株主構成は鈴木商店と極めて関係が深く、実質的には分社化に近い形でスタートした企業である。創業当初は神戸市栄町に本社を構え、明石に工場を設けて事業を開始した。1968年に現在の日工株式会社へと社名を変更し、以降は建設機械・プラントメーカーとして事業を拡大してきた。
事業の出発点は、トンボ印ショベルやスコップ、ツルハシといった土農工具や建築用金物の製造であったが、その後、建設機械分野へ進出し、現在ではアスファルトプラントおよび生コンクリートプラントといった土木用大型プラントの製造・販売が主力事業となっている。道路舗装工事に不可欠なアスファルト合材プラントでは、長年にわたる技術蓄積と実績を背景に、官公庁や大手道路会社から高い信頼を獲得している。
また、単なるプラント製造にとどまらず、環境対応分野にも積極的に取り組んでいる点が同社の特徴である。再生アスファルトへの対応、省エネルギー型プラント、排熱エネルギー活用装置など、環境負荷低減を意識した装置開発を進めており、循環型社会や脱炭素の流れに沿った製品群を拡充している。破砕機やリサイクル関連設備なども手がけ、環境機械メーカーとしての側面も強めている。
さらに、プラント納入後の保守・点検・改修・部品供給といったアフターサービス事業も重要な収益源となっている。プラント設備は耐用年数が長く、更新・メンテナンス需要が継続的に発生するため、ストック型の安定収益を生み出す構造を持っている。海外展開にも注力しており、中国やタイに拠点を構え、アジアを中心としたインフラ整備需要の取り込みを図っている。国内市場が公共投資動向に左右されやすい一方で、海外展開によって需要の分散と成長機会の確保を進めている点も特徴である。
総じて日工株式会社は、アスファルトプラントを中核とする土木用大型プラントメーカーとして、国内トップクラスの地位と長年の実績を持つ安定型企業である。インフラ更新需要、環境対応技術、アフターサービス、海外展開を組み合わせた堅実な事業構造が同社の強みとなっている。
日工 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益(EPS) (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 37,866 | 2,302 | 2,973 | 2,082 | 54.3 | 33 |
| 連22.3 | 38,846 | 2,053 | 2,274 | 1,649 | 43.2 | 30 |
| 連23.3 | 39,665 | 1,028 | 1,255 | 1,020 | 26.7 | 30 |
| 連24.3 | 44,097 | 1,968 | 2,144 | 1,312 | 34.3 | 30 |
| 連25.3 | 49,162 | 2,766 | 3,071 | 2,009 | 52.3 | 32 |
| 連26.3予 | 51,000 | 3,000 | 3,100 | 2,100 | 54.5 | 34 |
| 連27.3予 | 55,000 | 4,000 | 4,100 | 2,700 | 70.1 | 42 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2023 | -1,644 | -1,226 | 710 |
| 2024 | 4,332 | -2,333 | 3,185 |
| 2025 | 2,994 | -2,805 | -1,749 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 2.5% | 1.9% | 3.2% | — | — |
| 2024 | 4.4% | 2.1% | 3.9% | — | — |
| 2025 | 5.6% | 3.1% | 5.8% |
21.3(高値平均) 17.7(安値平均) |
0.90 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
直近の業績を見ると、日工は売上・利益ともに着実な回復基調にある。連24.3は売上440億円、営業利益19億円、経常利益21億円、純利益13億円であったが、連25.3には売上491億円、営業利益27億円、経常利益30億円、純利益20億円まで拡大している。連26.3予では売上510億円、営業利益30億円、経常利益31億円、純利益21億円と、緩やかながら増益基調が続く見通しとなっている。
収益性の面では、営業利益率が2023年2.5%、2024年4.4%、2025年5.6%と3年連続で改善しており、プラント更新需要や採算改善の成果が数字に表れている。依然として高収益企業と呼べる水準ではないが、底打ちからの回復トレンドは明確である。
資本効率を見ると、ROEは2023年3.2%、2024年3.9%、2025年5.8%と上昇しており、ROAも1.9%、2.1%、3.1%と改善している。いずれも水準自体は高くないものの、低収益体質からの脱却が進んでいることは評価できる。
株価評価面では、2025年実績ベースのPERは高値平均21.3倍、安値平均17.7倍と、業績回復を織り込んだ水準にある。一方、PBRは0.9倍と1倍を下回っており、資産価値面からは過度な割高感はない。ROEがまだ一桁台であることを踏まえると、現在の評価は「成長期待を控えめに織り込んだ妥当水準」と言える。
以上を総合すると、日工は業績・収益性・資本効率のいずれもが改善局面にあり、数字だけで判断すれば明確な悪化要因は見当たらない。一方で、ROEや営業利益率はまだ中途半端な水準であり、高成長株や高収益株として評価する段階には至っていない。PBR1倍割れという点から見ると下値は比較的限定的と考えられ、投資判断としては「安定回復を前提とした中長期の堅実型銘柄」であり、急激な値上がりを狙うよりも、業績改善の持続性を確認しながら保有を検討するスタンスが妥当と評価できる。
配当目的とかどうなの?
日工を配当目的で見ると、装置メーカーの中では比較的魅力のある水準に入りつつあり、安定寄りの配当株として検討余地がある銘柄と言える。まず配当利回りを見ると、連26.3で4.07%、連27.3では5.03%と、建設機械・プラント系企業としては高めの水準である。特に連27.3の5%超という利回りは、インカム目的の投資家にとって十分に意識される水準であり、表面的な利回りの魅力は大きい。
業績との関係を見ると、連25.3以降は売上・利益ともに回復基調にあり、純利益は20億円前後、連26.3予でも21億円規模が見込まれている。営業利益率も2.5%から5.6%へと改善しており、配当原資となる利益創出力は明確に底打ちして回復している段階にある。この点は、配当の持続性という観点ではプラス材料である。
資本効率はROE5.8%、ROA3.1%とまだ高水準とは言えないが、改善トレンドにあることは評価できる。PBRが0.9倍と1倍を下回っていることを踏まえると、配当利回り5%前後は無理に背伸びした水準ではなく、一定の余裕を持った配当水準と見ることができる。
一方で注意点もある。日工の主力であるアスファルトプラントは、公共投資やインフラ更新需要に左右されやすく、業績は景気や政策動向の影響を受けやすい。高成長を前提に毎年増配が続くタイプではなく、あくまで業績回復局面での「厚めの配当」という位置付けになる。
総合すると、日工は配当目的で見た場合、高配当を最優先する投資家にとって十分検討に値する銘柄であり、特にPBR1倍割れ・業績回復・利回り4〜5%という組み合わせは魅力的である。一方で、景気変動に強いディフェンシブ銘柄とは異なるため、配当の安定性を最重視する場合は、業績動向を定期的に確認しながらの保有が前提となる。安定回復型の高配当株として、中長期で配当を受け取りつつ保有するスタンスに向いた銘柄と評価できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
日工の現在値は834.0円である。この水準を起点に今後5年間の値動きを考える。日工はアスファルトプラント・生コンクリートプラントといった土木用大型プラントを主力とするメーカーであり、道路インフラ関連の設備需要や環境対応装置の導入が業績・株価を左右する典型的な設備投資型銘柄である。建設投資や公共事業予算、再生アスファルト需要などに業績が影響を受けるが、中長期的なインフラ更新ニーズを背景に一定の収益基盤がある。
良い場合は、国内外でインフラ更新・整備投資が活発化し、アスファルトプラントや生コンプラント等の新設・更新需要が継続的に増加するシナリオである。足元の営業利益率・ROE・ROAの改善傾向が持続し、安定的な収益力が評価されれば、PERが過去の高値圏に近い20倍台まで許容される可能性がある。この場合、配当利回りの魅力も相まって、5年後の株価は1,200円〜1,600円程度まで上昇する余地がある。特に環境配慮型プラントや輸出需要、新興国のインフラ需要が寄与すれば、さらなる上方余地も期待できる。
中間のケースは、公共事業・建設投資は堅調だが大きな拡大はなく、アスファルトプラント需要は緩やかな回復基調にとどまるシナリオである。この場合、売上・利益は横ばいから緩やかな増加となり、営業利益率は5〜6%台、ROEは5%前後で推移する可能性が高い。PERは17倍前後、PBRは1倍弱付近で推移し、株価は800円〜1,000円程度のレンジでの値動きが想定される。配当利回りが4〜5%の高水準を維持すれば、配当込みで横ばい〜微増というトータルリターンとなる。
悪い場合は、公共投資の抑制や建設機械・プラント需要の停滞、受注タイミングの偏重などにより、業績が低迷するシナリオである。この場合、売上・利益は伸び悩み、営業利益率が5%を下回る状態が続き、ROE・ROAも低水準で停滞する可能性がある。市場評価は慎重となり、PERは15倍以下、PBRも1倍を割れる水準まで低下しうる。この場合、5年後の株価は600円〜750円程度まで下振れするリスクがある。配当利回りは相対的に高く見えるものの、株価下落を補うほどの魅力にはなりにくい。
総合すると、日工は現在値834円という水準において、インフラ関連需要の回復を前提に押し目買いの余地がある一方、景気・投資サイクルの変動に影響されやすい銘柄である。良いシナリオでは堅調な上昇余地があり、中間シナリオでは配当込みの安定推移、悪いシナリオでは一定の下振れリスクが想定される。今後5年間は、インフラ投資動向と収益性の改善持続が株価の方向性を決める重要な要素となる。
この記事の最終更新日:2026年1月18日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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