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東洋エンジニアリングとは

東洋エンジニアリング株式会社は、三井グループに属する総合エンジニアリング会社であり、日揮、千代田化工建設と並んで国内エンジニアリング専業三社、いわゆる「エンジニアリング御三家」の一角を占める企業である。本社は千葉県千葉市美浜区に置き、東京証券取引所プライム市場に上場している。1961年に三井化学のプラント部門が独立する形で創業された経緯から、三井系企業との関係が深く、石油化学分野を中心に事業基盤を築いてきた。
同社の中核事業は、各種産業プラントおよびインフラ設備のEPC事業である。EPCとは、設計、調達、建設を一括して請け負うビジネスモデルであり、東洋エンジニアリングは石油精製、石油・天然ガス、石油化学、一般化学、肥料、発電、水処理など幅広い分野で実績を有している。とりわけ、エチレンプラントや肥料プラントに強みを持つ点は同社の大きな特徴であり、これは創業のルーツである三井化学の技術的蓄積が現在も活かされているためである。
また、陸上プラントにとどまらず、船上プラントであるFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)などの洋上設備分野にも関与している。三井海洋開発との合弁を通じて海洋資源開発分野に参画しており、海洋設備という高度な技術とプロジェクト管理が求められる分野での経験も積み重ねている。
地域的には海外案件の比率が高く、中東、アジア、インド、アフリカなどを中心に大型プロジェクトを多数手掛けてきた。受注金額は数百億円から数千億円規模に及ぶことも多く、プロジェクト単位で業績が大きく変動する構造を持つ。大型案件では利益が一気に膨らむ可能性がある一方、工期遅延、コスト超過、為替変動、地政学リスクなどが顕在化すると損失が発生しやすく、業績の振れ幅が大きい点もこのビジネスの特徴である。
技術面では、自社で培ったプロセス技術やノウハウを活かし、プラント建設だけでなく、技術供与やライセンス供与といったビジネスも展開している。これにより、建設工事に比べてリスクの低い収益機会を確保できる点は、事業ポートフォリオ上の強みとなっている。近年は、環境規制や脱炭素の流れを背景に、水処理、環境関連プラント、資源循環、バイオ、医薬、ファインケミカル、さらには人工知能を活用した高度生産システムなど、対象分野を広げている。
組織規模としては、連結従業員数が6,000人を超える体制を持ち、国内外に拠点を展開している。千葉の本社に加え、東京都港区には東京本社を構え、営業機能やプロジェクト管理機能を分担している。長年にわたって培われた国際的な調達ネットワークと施工管理能力は、同社の競争力の源泉となっている。
総合的に見ると、東洋エンジニアリングは、三井系という強固なバックグラウンドと、石油化学・肥料分野を中心とした高い技術力を武器に、世界各地で大型プラントを手掛けてきた国際的エンジニアリング企業である。一方で、業績は受注環境や個別プロジェクトの成否に大きく左右されやすく、安定成長というよりも案件ベースでの収益変動が大きい企業という性格を持つ。そのため、事業の質は高いが、収益の安定性よりもリスクとリターンの振れ幅を理解した上で評価されるべき企業だと言える。
東洋エンジニアリング 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 184,000 | 1,615 | 2,781 | 814 | 13.9 | 0 |
| 連22.3 | 202,986 | 2,963 | 3,126 | 1,620 | 27.7 | 0 |
| 連23.3 | 192,908 | 4,764 | 3,888 | 1,647 | 28.1 | 0 |
| 連24.3 | 260,825 | 6,712 | 6,995 | 9,821 | 167.6 | 12 |
| 連25.3 | 278,091 | 2,591 | 6,459 | 2,020 | 34.5 | 25 |
| 連26.3予 | 200,000 | 1,500 | 6,500 | 5,000 | 85.3 | 25 |
| 連27.3予 | 250,000 | 3,500 | 8,500 | 6,500 | 110.9 | 25〜35 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 15,591 | -9,469 | -1,574 |
| 2024 | 6,001 | 7,338 | -1,059 |
| 2025 | -23,094 | -19,772 | 674 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 2.4 | 3.3 | 0.6 | — | — |
| 2024 | 2.5 | 15.3 | 3.4 | — | — |
| 2025 | 0.9 | 3.3 | 0.7 | 高値平均28.5 / 安値平均17.4 | 6.54 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益水準を見ると、連24.3では営業利益67億、経常利益69億、純利益98億と、この年は利益が大きく跳ねている。一方で連25.3になると営業利益は25億まで急減し、経常利益は64億と高水準を維持するものの、純利益は20億まで大きく落ち込んでいる。連26.3予では営業利益15億、経常利益65億、純利益50億と予想されており、営業利益は低水準のまま、経常利益や純利益だけが相対的に大きく見える構造になっている。これらの数字からは、営業段階での稼ぐ力が弱く、利益が特定要因に左右されやすい不安定な収益構造であることが読み取れる。
次に収益性を見ると、営業利益率は2023年2.4%、2024年2.5%、2025年0.9%と一貫して低く、2025年には1%を下回る水準まで悪化している。ROEは3.3%、15.3%、3.3%と大きく振れており、2024年の15.3%は一時的な利益要因による押し上げと考えるのが自然で、安定的に高い水準とは言えない。ROAも0.6%、3.4%、0.7%と低水準で推移しており、資産を使って利益を生み出す力はかなり弱い。収益力という観点では、構造的な課題を抱えている状態と言える。
バリュエーションを見ると、2025年の実績PERは高値平均28.5倍、安値平均17.4倍と高く、足元の利益水準や安定性を踏まえると割高感が強い。PBRは6.5倍と非常に高水準であり、ROEが3%台にとどまっている点を考えると、株価評価と実力の間に大きな乖離がある。市場は将来の大型案件や一時的な利益を強く織り込んでいるが、現状の収益性とは整合的とは言いにくい。
以上の数値だけで総合判断すると、東洋エンジニアリングは売上規模は大きいものの、営業利益率、ROE、ROAはいずれも低く、収益構造は極めて不安定である。特定年度で純利益が大きく出ることはあるが、継続的に高収益を生み出せる体質とは言い難い。その一方で、PERやPBRは高く、市場評価は業績実力を先取りし過ぎている印象が強い。
投資判断としては、安定成長株や高収益株として長期保有する段階にはなく、現状では割高リスクが大きい。上記数値だけで判断するなら、長期投資には不向きで、業績の振れやテーマ性を理解したうえで短期的な値動きを狙う投機的な銘柄に近い、という評価になる。
配当目的とかどうなの?
まず数字を見ると、連26.3、連27.3ともに予想配当利回りは0.37%にとどまっている。この水準は日本株全体で見ても極めて低く、配当目的の投資対象としてはほぼ魅力がない水準である。インカムゲインを期待する投資家にとっては、選択肢になりにくい。
利益構造を見ると、営業利益率は1%前後と低く、ROEやROAも安定して高いとは言えない。年度によって純利益が大きく振れる一方、営業段階の収益力が弱いため、安定的に配当原資を積み上げる体質ではないことが数字から読み取れる。こうした状況では、会社としても配当を積極的に増やす余地は小さく、配当水準は抑制的にならざるを得ない。
また、PBRは6倍超、PERも高めの水準にあり、株価は配当利回りではなく将来の大型案件やテーマ性を前提に評価されている状態である。利回り0.37%では、株価下落時の下値支持力もほとんど期待できない。
以上を踏まえると、東洋エンジニアリングは配当目的で保有する銘柄ではなく、配当は実質的に「おまけ」に近い位置付けである。インカム狙いには明確に不向きであり、この銘柄に投資するのであれば、配当ではなく大型案件の進捗や業績回復による株価変動を狙うキャピタルゲイン志向に限定される。配当目的という観点では、現時点では選ぶ合理性は低い、という結論になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
東洋エンジニアリング株式会社の現在値6,630.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。東洋エンジニアリングは三井系の総合エンジニアリング会社であり、石油化学、肥料、エチレンプラントを中心に、海外向け大型EPC案件を主力とする企業である。売上規模は大きい一方で、業績は案件単位で大きく振れやすく、営業利益率は低位で不安定という特徴を持つ。株価は安定成長株というより、特定年度の利益跳ねや大型受注を材料に動きやすい性格が強い。
良い場合は、海外の大型プラント案件が順調に進捗し、追加受注も重なって利益の見通しが改善するシナリオである。不採算案件が顕在化せず、為替や資材価格も安定すれば、営業利益率は1%未満の低水準から2%台前半まで回復し、ROEも2桁近辺まで改善する可能性がある。こうした局面では、市場は「業績底打ちからの回復局面」と評価しやすく、PERは20倍前後まで許容される余地がある。5年スパンでは、利益回復期待とテーマ性が重なり、株価は9,000円〜11,000円程度まで上昇する可能性がある。ただし、この上昇は持続的成長というより、案件進展に伴う評価の跳ねに依存する展開となる。
中間のケースは、売上は一定規模を維持するものの、営業利益率は1%前後にとどまり、業績は横ばいから緩やかな回復にとどまるシナリオである。経常利益や純利益は一時的な要因で上下するが、安定的に積み上がる状態にはならない。この場合、市場評価は冷静になり、PERは15倍前後に収れんしやすい。株価は5,500円〜7,500円程度のレンジで推移し、5年後も6,000円台後半から7,000円前後に落ち着く可能性が高い。配当利回りが0.4%前後と低いため、保有中のインカムはほとんど期待できず、値動きも方向感に欠けやすい。
悪い場合は、大型案件でのコスト超過や工期遅延が発生し、営業赤字に近い水準が続くシナリオである。営業利益率は1%を下回り、ROE・ROAも低迷し、利益の振れがさらに大きくなる。この場合、市場の評価は急速に厳しくなり、PERは10倍前後まで切り下げられる可能性がある。配当利回りが極めて低いため下値の支えは弱く、株価は3,500円〜4,500円程度まで下落し、その後も回復に時間を要する展開となるリスクがある。
総合すると、東洋エンジニアリングの株価は、事業の安定成長や配当を軸に評価されるタイプではなく、大型案件の成否や一時的な利益変動によって大きく動く銘柄である。現在値6,630円は、すでに一定の回復期待を織り込んだ水準と見られ、明確な割安感はない。一方で、好材料が出れば上にも下にも振れやすく、5年間という時間軸ではシナリオによる結果の差が非常に大きい。投資対象としては、安定志向よりも、業績の振れを理解したうえでテーマ性や案件進展を狙う投機寄りのスタンスが前提となる銘柄だと言える。
この記事の最終更新日:2026年1月19日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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