株価
新東工業とは

新東工業株式会社は、鋳造機械の製造分野で国内首位級の地位を持つ大手鋳造設備メーカーである。本社は愛知県名古屋市中村区に置かれており、鋳物生産に必要な設備・装置を中心に事業を展開している。鋳造設備分野では自動車向けの比重が高く、自動車部品メーカーを主要な顧客として長年にわたり実績を積み重ねてきた。
主力の鋳造装置では、造型機や砂処理設備など鋳物生産工程の中核となる設備を幅広く手がけている。これに加え、ショットブラスト装置などの表面処理装置も重要な事業分野となっており、自動車分野だけでなく、造船や建設機械向けなどにも展開している。表面処理技術は部品の耐久性向上や品質安定に寄与する工程として位置づけられている。
近年は環境関連分野の育成にも力を入れており、集塵装置や粉粒体処理装置など、製造現場の環境負荷低減や作業環境改善を目的とした設備を展開している。鋳造分野で培った技術を応用し、粉体処理や排気・集塵といった周辺分野へ事業領域を広げている点が特徴である。
製品群としては、鋳造装置、表面処理装置、環境関連装置、粉粒体処理装置、メカトロ関連装置、成形装置、投射材・研磨材、検査装置など多岐にわたり、単体機械の供給にとどまらず、工場全体の生産システムを構成する装置群を一括して提供できる体制を持つ。
国内の主な事業所としては、本社のほか、豊川製作所、新城製作所、九州事業所、幸田事業所、西春事業所、大治事業所、大崎事業所、一宮事業所などがあり、生産・開発・エンジニアリング機能を分散配置している。これらの拠点は、旧グループ会社や事業部門を引き継いだ形で展開されてきた経緯がある。
グループ会社については、国内に株式会社メイキコウ、新東エンジニアリング株式会社、東寿興産株式会社、新東情報システム株式会社、新東ブイセラックス株式会社、新東Sプレジション株式会社、藤和電気株式会社、株式会社シーエフエスなどを擁しており、設備製造、エンジニアリング、情報システム、部品製造などの分野を分担している。
全体として、新東工業は鋳造設備を中核に、表面処理、環境・粉体処理分野まで含めた幅広い製品・技術を展開し、自動車産業を中心とした製造業の生産基盤を支える企業として事業を構成している。
新東工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度(連結) | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当たり配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 82,544 | 1,718 | 3,070 | 606 | 11.4 | 24 |
| 連22.3 | 99,247 | 2,606 | 4,478 | 2,835 | 53.3 | 26 |
| 連23.3 | 106,381 | 2,242 | 3,951 | 6,187 | 117.9 | 36 |
| 連24.3 | 115,495 | 5,409 | 7,510 | 8,706 | 166.2 | 44 |
| 連25.3 | 150,224 | 3,004 | 3,226 | 2,757 | 52.6 | 44 |
| 連26.3予 | 170,000 | 4,800 | 5,000 | 3,000 | 57.1 | 44 |
| 連27.3予 | 175,000 | 5,000 | 5,200 | 3,120 | 59.4 | 44 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 5,491 | -1,623 | -7,092 |
| 2024 | 5,937 | -744 | -3,025 |
| 2025 | 2,352 | -30,326 | 15,267 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 2.1 | 5.8 | 3.6 | – | – |
| 2024 | 4.6 | 7.2 | 4.6 | – | – |
| 2025 | 1.9 | 2.3 | 1.1 | 25.9(高)/15.8(安) | 0.49 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
新東工業株式会社の業績を見ると、売上高は連24.3期に1,154億円、連25.3期に1,502億円、連26.3期予想で1,700億円と増加している。売上規模はこの3年間で拡大しており、事業規模自体は拡大傾向にあることが数値から確認できる。
一方、営業利益は連24.3期が54億円、連25.3期が30億円、連26.3期予想が48億円となっており、売上の伸びに対して利益は大きく変動している。経常利益も連24.3期75億円から連25.3期32億円へ減少し、連26.3期予想では50億円と回復を見込んでいる。純利益についても、連24.3期87億円、連25.3期27億円、連26.3期予想30億円と、利益水準は年度ごとの振れが大きい。
利益率の推移を見ると、営業利益率は2023年が2.1%、2024年が4.6%、2025年が1.9%となっており、24年に一時的に高まった後、25年には低下している。ROEは2023年5.8%、2024年7.2%、2025年2.3%と低下しており、ROAも2023年3.6%、2024年4.6%、2025年1.1%と同様の動きになっている。収益性指標は直近年度で弱含んでいることが読み取れる。
2025年の実績PERは、高値平均で25.9倍、安値平均で15.8倍となっており、株価水準によって評価倍率に大きな幅がある。PBRは0.4倍で、帳簿価額に対しては低い水準に位置している。これらの数値を総合すると、売上高は拡大基調にある一方で、営業利益・経常利益・純利益はいずれも安定的とは言い切れず、利益率やROE・ROAも直近では低下している。業績は売上成長と利益変動が同時に存在する構造となっており、収益性の安定度よりも年度ごとの業績振れが大きい点が、数値上の特徴として確認できる。
配当目的とかどうなの?
新東工業株式会社を配当目的の観点から数値だけで整理すると、まず配当水準は連25.3期で1株当たり44円となっており、連26.3期、連27.3期ともに同額の配当が予想されている。株価水準を前提とした予想配当利回りは、連26.3期で3.84%、連27.3期でも3.84%とされており、利回り自体は一定水準を維持する想定になっている。
一方で、利益との関係を見ると、連25.3期の純利益は27億円、一株益は52.6円であり、配当44円は利益に対する比率が高い水準となっている。連26.3期予想では純利益30億円、一株益57.1円とやや改善が見込まれているものの、配当額は据え置き前提となっており、利益水準の変動が配当余力に影響しやすい構造であることが数値から読み取れる。
また、過去の推移を見ると、同社の営業利益や純利益は年度ごとの振れが大きく、利益率やROE、ROAも直近では低下している。こうした収益性指標の動きからは、配当額が安定して増加していくというより、一定額を維持する形になりやすいことが示唆される。
以上を踏まえると、予想配当利回りは3%台後半で推移している一方、配当は業績変動の影響を受けやすく、利益水準によっては余裕度が上下しやすい。数値上は、高成長による増配期待よりも、現行水準の配当を維持できるかどうかがポイントになりやすい構造と整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
新東工業株式会社の現在値1,143.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は鋳造設備で国内首位級の地位を持ち、自動車部品向けを中心に、鋳造装置・表面処理装置・環境関連設備を展開する産業機械メーカーである。事業特性としては、設備投資サイクルの影響を受けやすく、年度ごとに業績の振れが出やすい一方、鋳造・表面処理・環境といった基盤技術はニッチ性が高く、製造業の裾野を支える立場にある。急成長株というよりは、設備投資局面で業績が跳ね、調整局面で利益が縮む循環型の性格が強い銘柄である。
良い場合は、自動車向け鋳造設備の更新需要が想定以上に積み上がり、EV・電動化対応の投資が追い風となるシナリオである。加えて、表面処理装置が造船・建機向けで回復し、集塵・粉体処理など環境分野が安定的に伸びることで、売上規模の拡大と利益水準の持ち直しが同時に進む。この場合、営業利益率は再び4%台前後まで回復し、ROEも中期的に5%台まで戻る展開が想定される。市場では業績回復局面として評価されやすく、PERは15倍前後まで許容される可能性がある。5年後の株価は1,700円〜2,100円程度まで水準を切り上げる展開が考えられる。配当は現行水準を維持しつつ、業績回復に応じた緩やかな増配が意識される局面となる。
中間のケースは、鋳造設備の更新需要が一定水準で推移し、環境関連分野が下支えとなる一方で、大きな成長ドライバーが見当たらないシナリオである。売上は緩やかに増えるものの、利益率は2〜3%台にとどまり、ROE・ROAも低位で安定する。市場評価は現状から大きく変わらず、PERは12〜14倍程度に収れんしやすい。この場合、株価は大きなトレンドを描かず、1,000円〜1,400円程度のレンジで推移し、5年後は1,200円前後に落ち着く可能性が高い。配当利回りが一定の下支え要因となるものの、株価上昇の主因にはなりにくい。
悪い場合は、自動車生産の低迷や設備投資の先送りが長期化し、鋳造・表面処理装置の受注が伸び悩むシナリオである。環境分野が一定の下支えをするものの、全体の売上・利益を補うには至らず、営業利益率は1%台まで低下する可能性がある。ROE・ROAも低迷し、市場からは成長力の乏しい産業機械株として評価を切り下げられやすくなる。この場合、PERは10倍前後まで低下し、配当利回りが下値を支えるものの、株価の戻りは鈍い。5年後の株価は700円〜900円程度まで下落し、その後も緩やかな回復にとどまる展開が想定される。
総合すると、新東工業の株価は、構造成長で大きく跳ねるタイプではなく、設備投資サイクルと受注環境によって上下する循環型の値動きになりやすい。現在値1,143円は、好況局面を織り込んだ水準ではなく、かといって明確な割安感を主張できる局面とも言い切れない位置にある。5年間という時間軸では、業績回復が進めば上方向の余地はあるものの、基本的には配当を受け取りながら業績サイクルを待つ中長期向けの銘柄として位置づけられる。
この記事の最終更新日:2026年1月20日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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