株価
澁谷工業とは

澁谷工業株式会社は、石川県金沢市に本社を置く産業機械メーカーであり、飲料用充填装置を中核とするボトリングシステム分野で国内最大手の地位を持つ企業である。飲料、調味料、医薬品、化粧品などの液体製品向け充填・包装システムを幅広く手がけており、国内のみならずアジア、北米、欧州を中心にグローバルに事業を展開している。
同社の前身は1931年創業の「澁谷商店」で、酒造工程で使われる麻布を扱う商店からスタートした。1953年には二連式瓶洗機を開発し、当時手作業が主流だった中小酒造メーカーの省力化に貢献した。この瓶洗機は後に「いしかわモノづくり産業遺産」にも認定されている。1955年に本格的にボトリングシステム市場へ参入し、多品種・小ロットの瓶にも対応できる装置を開発したことで、中小酒造メーカーを中心に採用が広がった。
1970年代後半以降、消費者ニーズの多様化により容器形状が多様化すると、1台で複数種類の瓶に対応できる柔軟性が評価され、国内シェアを拡大した。1980年頃には国内トップシェアを確立し、レーザーによる製造年月印字などの技術導入によって他社との差別化も進めてきた。1993年には医薬品向けで培った無菌充填技術を応用し、ペットボトル用の無菌ボトリング装置を開発し、加熱殺菌不要による軽量ボトル化とコスト削減を実現した。この分野では非常に高いシェアを持ち、ボトリング関連事業は現在でも同社売上の中核を占めている。
事業構成としては、ボトリングシステムを中心とするパッケージング関連事業に加え、メカトロシステム事業も展開している。メカトロシステム事業では、半導体、電子部品、電池関連分野向けの製造装置や自動化・検査・搬送システムを手がけており、精密制御や自動化技術を強みとしている。これらの装置は飲料分野以外の産業用途でも活用されている。
さらに、澁谷工業は医療・バイオ分野への展開も進めている。1980年代以降、医療機器分野への取り組みを始め、人工透析器のOEM供給などで実績を積んだ後、再生医療分野へ本格参入した。無菌充填やアイソレーター技術を応用し、細胞培養装置や閉鎖型細胞培養システム、バイオ3Dプリンターなどを開発している。iPS細胞を用いた再生医療向け装置では、世界初となる技術をいくつか実用化しており、研究機関や医療機関、関連ベンチャーとの共同開発も行っている。金沢テクノパーク内には再生医療分野に特化した専門工場も設置している。
事業所は本社および金沢市周辺に集約されており、本社工場をはじめ、森本工場群、能美ハイテクプラント、津幡工場、進和工場、医療機器専用工場など複数の生産拠点を持つ。これにより、飲料・食品向け量産設備から高付加価値な医療・バイオ装置まで幅広い製品を製造できる体制を構築している。
全体として、澁谷工業は飲料用充填装置を軸としたボトリングシステムで安定した収益基盤を持ちつつ、メカトロシステムや再生医療関連装置といった分野へ事業領域を広げてきた企業であり、装置産業としての技術蓄積とニッチ分野への展開を両立している点が特徴である。
澁谷工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度(連結) | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当たり配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連23.6 | 97,842 | 8,039 | 8,171 | 5,928 | 214.3 | 70 |
| 連24.6 | 115,434 | 13,382 | 13,559 | 9,781 | 353.5 | 90 |
| 連25.6 | 129,017 | 13,749 | 13,773 | 10,052 | 363.3 | 95 |
| 連26.6予 | 133,000 | 13,000 | 13,200 | 9,300 | 336.1 | 95〜100 |
| 連27.6予 | 135,000 | 14,000 | 14,200 | 9,800 | 354.2 | 95〜100 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 4,854 | -5,328 | 1,215 |
| 2024 | 10,432 | -3,447 | -3,044 |
| 2025 | 9,069 | -6,619 | -3,812 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 8.2 | 6.5 | 4.1 | – | – |
| 2024 | 11.5 | 9.6 | 6.0 | – | – |
| 2025 | 10.6 | 9.3 | 6.3 | 12.0(高)/8.1(安) | 0.90 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の規模感を見ると、売上高は連24.6期が約1,154億円、連25.6期が約1,290億円、連26.6期予想が約1,330億円となっており、売上規模は緩やかに拡大している。営業利益は連24.6期が約133億円、連25.6期が約137億円、連26.6期予想が約130億円で、売上の伸びに対して利益は高水準を維持しつつ、直近予想ではやや減少する見通しとなっている。
経常利益は連24.6期が約135億円、連25.6期が約137億円、連26.6期予想が約132億円で、営業利益と同様に高水準ながら横ばい圏の推移である。純利益は連24.6期が約97億円、連25.6期が約100億円、連26.6期予想が約93億円で、利益水準は大きく崩れてはいないが、増益基調が続いているわけではない。
利益率を見ると、営業利益率は2023年が8.2%、2024年が11.5%、2025年が10.6%であり、10%前後の水準を維持している。製造装置メーカーとしては相対的に高い利益率で推移しており、売上拡大と同時に一定の収益性が確保されていることが数値から確認できる。ROEは2023年6.5%、2024年9.6%、2025年9.3%と改善後に横ばい圏となっており、自己資本に対する利益効率は1桁後半で安定している。ROAは2023年4.1%、2024年6.0%、2025年6.3%と上昇しており、総資産に対する収益性は改善傾向にある。
株価指標については、2025年実績PERが高値平均で12.0倍、安値平均で8.1倍とされており、株価水準によって評価倍率に一定の幅がある。PBRは0.9倍で、純資産に対してはほぼ1倍に近い水準に位置している。
これらの数値を総合すると、売上高は拡大基調にあり、営業利益・経常利益・純利益はいずれも100億円規模を維持している。営業利益率は2桁前後、ROE・ROAも中期的に改善しており、収益性は比較的安定している。一方で、利益額そのものは急拡大しているわけではなく、直近予想ではやや調整を含んでいる。株価指標はPERが1桁後半から10倍前後、PBRが1倍弱と、業績の安定性を反映した水準に収れんしている構造と整理できる。
配当目的とかどうなの?
まず配当水準を見ると、連25.6期の1株当たり配当は95円で、連26.6期および連27.6期も95〜100円程度が予想されている。これを前提とした予想配当利回りは、連26.6期で2.69%、連27.6期でも2.69%となっており、利回りはおおむね2%台後半で安定する想定になっている。
利益との関係では、連25.6期の純利益は約100億円、一株益は363円であり、配当95円は利益の範囲内に十分収まっている。連26.6期予想では純利益が約93億円、一株益が336円とやや低下する見通しだが、配当額は据え置き水準であり、数値上は利益による配当カバー力は維持されている状態といえる。
また、営業利益率は直近3年で8%台から11%台、10%台と高い水準で推移しており、ROEも9%前後、ROAも6%前後と、収益性指標は比較的安定している。これらの数値からは、急激な業績悪化が起きない限り、配当が短期間で大きく削減される構造にはなりにくいことが読み取れる。
一方で、配当利回り自体は3%を下回る水準であり、利回りの高さを主目的とする高配当株とは性格が異なる。配当額も大きな増配を前提とした水準ではなく、業績に応じて緩やかに維持・微調整される形になりやすい。
以上を踏まえると、澁谷工業は数値上、配当の安定性は一定程度確認できるものの、配当利回りで強く訴求するタイプではない。配当目的で見る場合は、高利回りを狙うというより、業績の安定性を背景にした継続的な配当を受け取る位置づけとして整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
澁谷工業株式会社の現在値3,530.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は飲料用充填装置で国内最大手の地位を持ち、飲料・食品・調味料・医薬品・化粧品向けなどのボトリングシステムを中核とする装置メーカーである。これに加えて、半導体・電池関連などを対象としたメカトロシステム事業、再生医療・バイオ分野向け装置も展開しており、装置産業としては比較的高い利益率と安定した収益基盤を持つ。一方で、事業の性格は急成長型というより、設備更新需要と技術優位性を背景に着実に利益を積み上げるタイプの銘柄といえる。
良い場合は、飲料メーカー向けの設備更新需要が国内外で堅調に推移し、無菌充填装置や高付加価値ラインの比率が高まるシナリオである。加えて、メカトロシステム事業が半導体や二次電池関連投資の回復を取り込み、再生医療分野でも装置販売が徐々に収益寄与する形になれば、売上と利益が安定的に拡大する。営業利益率が10%前後を維持し、ROEも1桁後半で安定すれば、市場からは「高収益な装置メーカー」として評価されやすくなる。この場合、PERは12〜15倍程度まで許容され、5年後の株価は4,800円〜6,000円程度まで切り上がる可能性がある。配当も安定的に支払われ、インカムを伴った緩やかな株価上昇が意識される展開となる。
中間のケースは、飲料向けボトリング装置の更新需要が安定的に続く一方、メカトロ・再生医療分野が横ばいにとどまるシナリオである。売上は緩やかに増加するものの、利益は大きく伸びず、営業利益率は9〜10%前後で推移する。ROE・ROAも現状水準で安定し、市場評価は大きく変化しにくい。この場合、PERは10〜12倍程度に収れんしやすく、株価は3,200円〜4,200円程度のレンジで推移し、5年後は3,700円前後に落ち着く可能性が高い。配当は維持・微増が期待されるが、株価を大きく押し上げる材料にはなりにくい。
悪い場合は、飲料・食品メーカーの設備投資が抑制され、受注が一時的に減速するシナリオである。メカトロシステム事業や再生医療分野が十分な下支えにならない場合、売上・利益は横ばいから減少に転じ、営業利益率も8%前後まで低下する可能性がある。ROE・ROAも低下し、市場からは成長性に乏しい装置メーカーとして評価を引き下げられやすくなる。この場合、PERは8〜9倍程度まで低下し、配当利回りが下値を支えるものの、株価の回復は緩慢となる。5年後の株価は2,500円〜3,000円程度にとどまる展開が想定される。
総合すると、澁谷工業の株価は、テーマ性で急騰するタイプではなく、飲料用充填装置を中心とした高収益・安定型ビジネスが評価軸となる銘柄である。現在値3,530円は、収益力を踏まえると極端な割高感はない一方、強い成長期待を織り込んだ水準とも言い切れない位置にある。5年間という時間軸では、業績の安定性を背景に緩やかな評価修正が進む可能性はあるものの、大きな値幅を狙うより、配当を受け取りながら中長期で保有するスタンスに向いた銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年1月20日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す