株価
アネスト岩田とは

アネスト岩田株式会社は、塗装機器および空気圧縮機を中心とする産業機器メーカーであり、塗装機分野では国内シェア7割超を誇るトップ企業である。本社は神奈川県横浜市港北区に置き、創業から95年以上の歴史を持つ老舗メーカーとして、国内外の製造業を支えてきた。海外展開にも積極的で、欧米・アジアを中心に20カ国以上、30拠点超のグローバルネットワークを構築している。
同社の事業は大きく「エアエナジー事業」と「コーティング事業」の2本柱で構成されている。エアエナジー事業では、各種空気圧縮機、真空機器を通じて、空圧・膨張・真空といった産業に不可欠なエネルギーを効率的かつ安定的に供給している。特にオイルを使用しないオイルフリー圧縮技術に強みを持ち、クリーンな圧縮エアが求められる電子部品、食品、医薬品分野などで高い評価を得ている。世界で初めて空冷式オイルフリースクロール圧縮機を開発・製品化した実績を持ち、省エネルギー性と静音性を両立した技術力が同社の競争力の源泉となっている。国内の小形圧縮機市場では高いシェアを有し、当日受注・当日出荷が可能な供給体制や、自動組立ラインを活用した安定した生産能力も特徴である。
一方、コーティング事業では、スプレーガンを中心とした塗装機器・塗装設備を手掛けており、単なる機器販売にとどまらず、塗装方法や塗布技術といったソフト面も含めた総合的な提案を行っている。国産第1号のハンドスプレーガンを開発した企業として長年培った技術とノウハウを持ち、均一で高品質な塗膜を実現する技術力に定評がある。ハンドスプレーガン市場では国内シェア70%以上を占め、海外でも高いブランド力を有している。環境規制が厳しい欧米市場に対応した環境配慮型製品の開発にも注力しており、省塗料化、作業環境改善、環境負荷低減といった付加価値の高い技術を提供している。
生産拠点としては、秋田工場、福島工場を構え、本社と連携しながら高品質な製品の安定供給体制を構築している。人と自動化を融合させた生産体制により、品質の均一化と量産性を両立している点も特徴である。
総じてアネスト岩田は、空気エネルギーと塗装という産業の基盤分野において、オイルフリー技術や塗膜形成技術といった独自のコア技術を軸に、国内トップクラスのシェアとグローバル展開を両立してきた企業である。成長分野への派手な投資よりも、技術力と信頼性を背景に、世界の製造現場を支える堅実な事業展開を続けている点が同社の本質的な特徴といえる。
アネスト岩田 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 35,588 | 3,444 | 4,253 | 2,623 | 63.3 | 24 |
| 連22.3 | 42,337 | 4,780 | 5,572 | 3,541 | 86.3 | 30 |
| 連23.3 | 48,515 | 5,838 | 7,043 | 4,381 | 108.3 | 38 |
| 連24.3 | 53,425 | 6,176 | 7,986 | 4,931 | 122.1 | 49 |
| 連25.3 | 54,411 | 5,903 | 7,139 | 4,276 | 108.2 | 45 |
| 連26.3予 | 56,200 | 5,200 | 6,700 | 4,200 | 106.6 | 83 |
| 連27.3予 | 58,000 | 5,500 | 7,000 | 4,400 | 111.7 | 83〜85 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 4,329 | -3,323 | -2,357 |
| 2024 | 6,770 | -1,260 | -3,584 |
| 2025 | 9,746 | -3,255 | -3,932 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率(%) | ROA(%) | ROE(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 12.0 | 7.2 | 10.9 | ― | ― |
| 2024 | 11.5 | 7.4 | 11.1 | ― | ― |
| 2025 | 10.8 | 6.1 | 9.1 | 12.2(高)/8.6(安) | 1.41 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず規模感として、売上高は連24.3で約534億円、連25.3で約544億円、連26.3予で約562億円と、緩やかな増収基調が続いている。一方、営業利益は連24.3で約61億円、連25.3で約59億円、連26.3予で約52億円と、売上は伸びているものの利益はやや減少する見通しとなっている。経常利益も同様に、連24.3で約79億円から連26.3予で約67億円へと低下傾向にある。純利益についても、連24.3の約49億円から連26.3予では約42億円まで縮小する見込みであり、利益面ではピークアウト感が出ている。
収益性指標を見ると、営業利益率は2023年12.0%、2024年11.5%、2025年10.8%と、依然として2桁水準を維持しているものの、年々低下している。ROEも10.9%、11.1%、9.1%と、直近では1桁台に下がる見通しで、資本効率はやや弱含んでいる。ROAも7.2%から6.1%へと低下しており、資産を使った利益創出力も緩やかに落ちていることが読み取れる。
評価面では、2025年の実績PERは高値平均12.2倍、安値平均8.6倍、PBRは1.4倍程度である。営業利益率が10%超、ROEが9%前後という水準を考えると、PBR1倍割れの割安株というほどではないが、成長期待が高く織り込まれている水準でもない。市場は、同社を高成長企業というより、安定収益型の産業機器メーカーとして評価していると考えられる。
総合すると、売上は堅調に拡大しているものの、利益はやや頭打ちとなり、営業利益率・ROE・ROAはいずれも緩やかな低下傾向にある。PERは一桁後半から10倍前後で推移しやすい水準で、現在の利益水準を前提とすると大きな割安感はない一方、過度な割高感もない。投資判断としては、業績の安定性と一定水準の収益性を評価する銘柄であり、急成長を期待する局面ではなく、利益の維持・回復が確認できるかが今後の評価の分かれ目になるといえる。
配当目的とかどうなの?
配当目的という視点でアネスト岩田を見ていくと、現時点では数字の見え方はかなり良い部類に入る。連26.3および連27.3の予想配当利回りはいずれも4.86%と、製造業としては明確に高配当水準であり、インカム狙いの投資家から見れば素直に魅力を感じやすい水準である。株価が大きく上昇しなくても、保有しているだけで一定の現金収入が期待できる点は強みといえる。
ただし、その中身を冷静に見る必要はある。売上高は連24.3から連26.3予にかけて緩やかに増加しているものの、営業利益、経常利益、純利益はいずれもピークアウトしており、営業利益率も12.0%から10.8%へと低下している。ROEやROAも同様にやや弱含んでおり、企業としては成長局面というより、利益が一服している段階にある。つまり、現在の高い配当利回りは、業績が力強く伸びた結果というより、利益が横ばいからやや減少する中で配当水準を引き上げていることによって生じている面が大きい。
このため、配当の安定性という観点では、絶対的に安全とは言い切れない。今後も現在の利益水準を維持できれば配当は継続可能だが、もし利益の低下が続けば、将来的に配当性向が高まり過ぎるリスクも出てくる。いわゆる長期の連続増配株や、景気に左右されにくいディフェンシブ高配当株と比べると、やや注意が必要なタイプである。
総合すると、アネスト岩田は、短期から中期で高い配当利回りを取りに行くという目的には十分に適した銘柄である一方、何十年も安定配当を期待するコア銘柄として見るには、今後の利益動向を確認しながら判断したい位置付けになる。配当目的であれば、業績が底打ちし、利益が再び安定して推移する兆しが見えた段階で評価が一段と高まりやすい銘柄だといえる。
今後の値動き予想!!(5年間)
アネスト岩田の現在値1,705.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は塗装機器で国内トップクラスのシェアを持ち、コンプレッサなどの空気圧縮機も展開する産業機器メーカーである。売上は緩やかな増加基調にある一方、直近では営業利益率やROEがやや低下しており、高成長企業というよりは、安定収益と配当を重視されやすい性格の銘柄といえる。現在の株価水準は、高配当を織り込みつつも、将来の大きな成長までは織り込んでいない中庸な評価にある。
良い場合は、海外を中心とした製造業の設備投資が回復し、塗装機器・圧縮機ともに需要が安定的に拡大するシナリオである。収益性の改善が進み、営業利益率が再び11〜12%台へ持ち直し、ROEも10%前後を維持できれば、市場からの評価は徐々に改善しやすい。この場合、PERは12〜15倍程度まで許容され、配当利回りを維持しながら株価は緩やかに切り上がる展開が想定される。5年後の株価水準は2,200円〜2,600円程度と、現在値から1.3〜1.5倍前後まで上昇する可能性がある。リターンの中心は配当と緩やかなキャピタルゲインの組み合わせになる。
中間のケースは、売上は緩やかに増えるものの、利益率の低下傾向が止まり、横ばい圏で推移するシナリオである。業績に大きな悪化はないが、成長性も限定的となり、市場評価は現状水準に近いままとなる。この場合、PERは10倍前後、PBRも1倍台前半で落ち着きやすく、株価は配当利回りを意識したレンジ推移になる。5年後の株価は1,600円〜2,000円程度で、現在値近辺を中心とした動きにとどまる可能性が高い。
悪い場合は、世界的な景気後退や製造業の設備投資減速により、塗装機器・圧縮機の需要が想定以上に落ち込むシナリオである。売上の伸びが止まり、利益がさらに縮小すれば、営業利益率やROEは一段と低下する。この場合、市場評価は慎重になり、PERは8倍前後まで低下する可能性がある。配当利回りは高水準でも、減配懸念が意識される局面では株価の下支えは限定的となる。5年後の株価は1,200円〜1,500円程度まで下振れする展開も想定される。
総合すると、アネスト岩田の株価は、急成長を前提とする銘柄ではなく、安定した事業基盤と高めの配当利回りを軸に評価されやすい。今後5年間は、業績が大きく崩れなければ下値は限定的だが、上値も緩やかになりやすく、配当を取りながら中長期で値動きを見るタイプの銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

コメントを残す