株価
フジテックとは

フジテックは、滋賀県彦根市に本社を置くエレベーター・エスカレーターなど昇降機専業の大手メーカーである。1948年創業で、日本国内ではエレベーターでシェア4位、エスカレーターで5位に位置し、近畿・西日本に本社を置く昇降機メーカーとしては最大手の立場にある。駅や公共施設、大型商業施設、商業ビル、集合住宅などでの採用実績が多く、特に西日本を中心に強い販売基盤を持つ。
事業の大きな特徴は、早くから海外展開を進めてきた点にある。現在ではアジアを中心に海外売上比率が高く、シンガポールや香港などでは高い市場シェアを確保している。生産拠点も国内外に分散しており、日本では滋賀県彦根市にエレベーター工場、兵庫県豊岡市にエスカレーター工場を持つ。海外ではアメリカ、インド、中国、台湾、香港、韓国などにエレベーター工場を配置し、中国・上海にはエスカレーター工場を構えている。内外に生産・供給体制を持つことで、各地域の需要に応じた柔軟な供給を可能にしている。
製品面では、標準型からオーダー型まで幅広いエレベーターを展開しており、時代ごとに主力機種を進化させてきた。過去にはスーパーダイン、エクセルダイン、エリシオといった機種を展開し、1990年代以降はマイコン制御やVVVF制御、LED表示などを順次導入してきた。2000年代以降は機械室レスエレベーターを本格展開し、2008年以降の主力製品であるXIORシリーズでは、安全機能の強化、省エネ化、デザイン性の向上を進めている。近年では非接触ボタンや多言語アナウンス、エレベーター専用クーラーなどを標準装備し、インバウンドや感染症対策といった新たなニーズにも対応している。2025年には新たな標準型マシンルームレスエレベーターを投入予定で、防災・浸水対策も強化している。
エスカレーターについても、1980年代からグローバルスタンダード機を展開し、現在は省スペース型や業界最小寸法をうたうモデル、動く歩道など多様な製品を手掛けている。駅や大型商業施設向けの需要が中心で、公共インフラとの結びつきが強い分野である。
事業構造としては、新設工事に加えて、保守・点検・リニューアルといったストック型ビジネスが重要な柱となっている。エレベーターやエスカレーターは長期間使用される設備であり、安全基準の高度化や老朽化対応を背景に、制御装置更新や安全対策パッケージなどの需要が継続的に発生する。この保守・更新分野は景気変動の影響を相対的に受けにくく、同社の収益の安定化に寄与している。
企業面では、創業家が長く経営を担ってきたが、近年は株主構成やガバナンス面で大きな変化があり、海外投資ファンドであるEQTによるTOBが実施され、経営体制の転換期にある点も特徴的である。これにより、今後は資本効率や収益性の改善、事業ポートフォリオの見直しが一段と進む可能性がある。
全体としてフジテックは、昇降機専業メーカーとしての技術力と、国内外に広がる生産・保守ネットワークを強みに、特にアジア市場で稼ぐ構造を持つ企業である。一方で、国内外の建設需要や更新需要に業績が左右される側面もあり、安定したストック収益と新設需要のバランスをどう高めていくかが中長期の課題となっている。
フジテック 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 169,573 | 13,288 | 14,633 | 9,287 | 114.5 | 60 |
| 連22.3 | 187,018 | 13,777 | 15,713 | 10,835 | 133.4 | 70 |
| 連23.3 | 207,589 | 11,619 | 13,332 | 8,433 | 106.7 | 75記 |
| 連24.3 | 229,401 | 14,571 | 18,717 | 17,830 | 228.6 | 155特 |
| 連25.3 | 241,253 | 16,171 | 18,866 | 14,514 | 186.0 | 165 |
| 連26.3予 | 244,000 | 22,900 | 23,800 | 17,000 | 217.8 | 0 |
| 連27.3予 | 250,000 | 24,500 | 25,400 | 18,300 | 234.5 | 0 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | -2,346 | 1,949 | -10,670 |
| 連24.3 | 17,498 | 433 | -12,104 |
| 連25.3 | 15,402 | 16,514 | -19,270 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 5.5 | 6.5 | 3.6 | – | – |
| 2024 | 6.3 | 12.0 | 6.9 | – | – |
| 2025 | 6.7 | 9.3 | 5.5 | 18.3〜28.1 | 2.89 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益水準の推移を見る。連24.3は売上高2,294億、営業利益145億、経常利益187億、純利益178億である。連25.3は売上高2,412億、営業利益161億、経常利益188億、純利益145億となっており、売上と営業利益は増加している一方、純利益は減少している。連26.3予では売上高2,440億、営業利益229億、経常利益238億、純利益170億と、営業・経常利益は大きく伸び、純利益も24.3水準に近いところまで回復する見通しとなっている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年5.5%、2024年6.3%、2025年6.7%と3年間で着実に改善している。昇降機専業としては中程度の水準だが、方向性としては一貫して上向いている。ROEは2023年6.5%、2024年12.0%、2025年9.3%で、2024年に二桁まで上昇した後、2025年はやや低下するものの依然として一桁後半を維持している。ROAも2023年3.6%、2024年6.9%、2025年5.5%と、資産効率は2024年に大きく改善し、その後も比較的高い水準にある。
株価指標を見ると、2025年の実績PERは安値平均18.3倍から高値平均28.1倍と幅があり、市場が成長性と安定性の両面を織り込みながら評価していることが分かる。実績PBRは2.8倍と高く、純資産に対してはすでに割高な水準で評価されている。
これらの数値を総合すると、フジテックは売上規模が安定的に拡大し、営業利益率やROE・ROAも改善傾向にあり、事業の収益性と効率性は数値上かなり整ってきている。一方で、PBRが2倍台後半、PERも20倍前後から上振れ余地を含む水準にあり、株価はすでに業績改善を織り込んだ状態にあるといえる。
数値だけで判断すると、業績の質は良好で安定性も高まりつつあるが、評価面では割安感はなく、今後は成長の継続性がそのまま株価に反映される局面にある。大きな業績失速がなければ高評価は維持されやすい一方、成長が鈍化した場合には評価調整が起きやすい水準にある銘柄、という位置付けになる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは、連26.3が―、連27.3が0.0%となっており、少なくとも今後2年間は配当が見込まれていない前提になっている。過去には配当実績があり、特別配当も含めて株主還元を行ってきたが、現時点の予想を見る限り、配当を継続的に受け取る前提の銘柄とは言いにくい。
これまでの業績数値を見ると、営業利益率は改善傾向にあり、ROE・ROAも一時は二桁近くまで上昇している。収益性や効率性そのものは悪くないが、その成果が配当という形で還元される設計にはなっていない。PBRは2.8倍台と高く、株価は資産価値よりも成長性や将来収益を強く織り込んだ水準にある。
このため、数値だけで判断すると、フジテックはインカム目的の投資先ではなく、配当を期待して保有する銘柄ではない。配当はゼロを前提とし、その分を事業成長や資本政策に振り向ける段階にある企業と位置付けられる。
配当目的という観点では優先度は低く、投資スタンスとしては、あくまで業績の拡大や評価水準の変化によるキャピタルゲインを狙うタイプの銘柄であり、安定配当や高配当を求める投資家には適さない、という評価になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
フジテックの現在値5,664.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社はエレベーター・エスカレーターを主力とする昇降機専業メーカーで、国内ではシェア4位に位置し、特にアジア市場での存在感が大きい。新設工事に加え、保守・リニューアルを含むストック型ビジネスを持つ点が特徴で、建設需要に左右されつつも、単発型の建設機械メーカーに比べると事業の継続性は高い構造にある。
良い場合は、アジアを中心とした都市化・高層化需要が持続し、新設エレベーターの受注が堅調に推移するシナリオである。これに加えて、既設設備の保守・更新需要が安定的に積み上がり、営業利益率は6%台後半で定着する。ROEも一桁後半から10%前後を維持できれば、市場からは「成長と安定性を兼ね備えたインフラ関連企業」として評価が続く。この場合、高めの評価倍率が維持され、5年後の株価は7,000円〜8,500円程度まで切り上がる展開が考えられる。
中間のケースでは、アジア市場の成長は続くもののペースは緩やかで、利益率の改善も一服する。営業利益率は6%前後、ROEは一桁後半で推移し、業績は安定するが大きな上振れはない。この場合、評価倍率は現在水準近辺で落ち着き、株価は大きなトレンドを作らず、5,000円〜6,500円程度のレンジでの推移が中心となる。リターンはキャピタルゲイン中心だが、値幅は限定的になりやすい。
悪い場合は、アジア市場の成長鈍化や価格競争の激化により、新設案件の採算が悪化するシナリオである。保守・更新事業が下支えとなるものの、全体の成長力は低下し、営業利益率は5%台前半まで低下する。ROE・ROAも悪化し、市場は成長期待を引き下げる。この場合、これまで織り込まれてきた高評価が調整され、PERは15倍前後、PBRも2倍程度まで低下する可能性がある。5年後の株価は3,800円〜4,800円程度まで下振れする展開も想定される。
総合すると、フジテックの株価は現在値5,664.0円において、すでに業績改善と成長期待をかなり織り込んだ水準にある。今後5年間は、配当を軸にした銘柄というより、アジア市場を中心とした成長がどこまで続くかが最大の評価軸となる。成長が持続すれば高値圏を維持・更新する余地がある一方、成長鈍化が見えた場合には評価調整が起きやすい。投資スタンスとしては、安定配当を期待するよりも、事業成長と評価水準の変化を見極める中長期目線の銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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