株価
日本金銭機械とは

日本金銭機械は、紙幣識鑑別機や硬貨計数機などの貨幣処理機器を主力とする専業メーカーであり、欧米市場を中心にグローバル展開する業界大手である。特に米国カジノ市場向けの紙幣識別機では高いシェアを持ち、アミューズメント分野に強みを有する点が同社の大きな特徴となっている。
1955年の設立以来、貨幣処理というニッチかつ高度な技術分野に特化して事業を拡大してきた。1980年代に紙幣鑑別機の製造販売を開始して以降、遊技場向け機器を軸に成長し、1990年代以降は上場を通じて事業基盤を強化してきた。2000年代以降は関連会社の取得や事業再編を進め、国内営業や販売・保守機能を子会社に分担させることで、グループとしての効率的な事業運営体制を構築している。
事業内容は、紙幣識別機ユニット、硬貨計数機、紙幣搬送・集積ユニットなどの開発・製造・販売が中核であり、これらはATM、券売機、精算機、自動販売機、納金機、各種キオスク端末、遊技機などに組み込まれて使用されている。完成品メーカーというよりも、装置メーカー向けに組み込み用ユニットを提供する比重が高く、顧客の仕様に応じたカスタマイズ対応力も同社の競争力の一つとなっている。
技術面では、世界140を超える国・地域の貨幣に対応可能な鑑別・識別技術を有しており、偽造・変造情報を含む膨大な貨幣データを基にした独自アルゴリズムが中核を成している。紙幣の素材や印刷技法、使用環境の違いに対応するため、センシング技術、画像処理技術、メカトロニクス技術を融合させた設計が行われており、ソフトウエアの変更のみで多様な貨幣に対応できる柔軟性も強みである。
また、カジノや遊技場など過酷な使用環境を想定した高耐久設計にも注力しており、静電気、温度・湿度変化、埃、長時間稼働といった条件下でも安定動作する信頼性が評価され、欧米市場での採用実績につながっている。こうした高耐久・高信頼性は、金融機関や公共インフラ用途でも評価されている。
キャッシュレス化の進展という構造的逆風はあるものの、現金流通が依然として重要な役割を持つ地域や業態は多く、特に海外市場では貨幣処理の省力化・高セキュリティ化ニーズが根強い。日本金銭機械は、世界中の貨幣の真偽識別を得意とする専門メーカーとして、現金社会を支えるインフラ技術を提供し続けるグローバル企業を目指して事業を展開している。
日本金銭機械 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 17,010 | -2,589 | -2,902 | -7,558 | -254.8 | 0 |
| 連22.3 | 20,040 | 568 | 1,384 | 605 | 20.4 | 5 |
| 連23.3 | 25,258 | 622 | 1,267 | 3,146 | 106.2 | 10 |
| 連24.3 | 31,610 | 2,839 | 3,568 | 3,281 | 112.6 | 26 |
| 連25.3 | 37,815 | 4,910 | 4,676 | 3,810 | 141.0 | 50記 |
| 連26.3予 | 31,000 | 1,400 | 1,700 | 3,700 | 136.4 | 40 |
| 連27.3予 | 32,000 | 2,000 | 2,250 | 1,550 | 57.1 | 40 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | -799 | 522 | -1,422 |
| 連24.3 | -4,925 | -402 | 4,116 |
| 連25.3 | 7,637 | -390 | -2,789 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 2.4 | 11.5 | 8.1 | – | – |
| 連24.3 | 8.9 | 11.4 | 6.8 | – | – |
| 連25.3 | 12.9 | 11.8 | 7.7 | 6.8〜12.8 | 0.83 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上高は2024年3月期が316億、2025年3月期が378億と増加した後、2026年3月期予想では310億と再び縮小する見通しとなっている。売上規模は拡大と縮小を繰り返しており、右肩上がりで安定的に伸びている状態ではない。
営業利益は2024年3月期が28億、2025年3月期が49億まで拡大したが、2026年3月期予想では14億へ大きく減少する計画となっている。これに伴い、営業利益率は2023年の2.4%から2024年8.9%、2025年12.9%へと改善してきたものの、2026年は再び低下する可能性を示唆する数字構成になっている。
経常利益は2024年が35億、2025年が46億と増加した後、2026年予想では17億に縮小する見通しであり、本業・非本業を含めた収益力も年度ごとの振れが大きい。純利益については2024年が32億、2025年が38億と増加し、2026年予想でも37億と高水準を維持する計画になっている点が特徴的で、営業利益の落ち込みに対して純利益は相対的に下支えされている。
資本効率を見ると、ROEは2023年11.5%、2024年11.4%、2025年11.8%と3年間を通じてほぼ横ばいで推移しており、利益水準の変動に比べて自己資本効率は大きく崩れていない。ROAも2023年8.1%、2024年6.8%、2025年7.7%と一時低下後に持ち直しているが、高水準で安定しているとは言い切れない。
バリュエーション面では、2025年時点の実績PERは安値平均6.8倍から高値平均12.8倍のレンジで推移しており、利益水準に対する市場評価には幅がある。実績PBRは0.8倍と1倍を下回っており、純資産に対する株価評価は抑制された水準にとどまっている。
全体として、売上・営業利益は年度ごとの変動が大きく、営業利益率は改善局面にあるものの持続性は未確認の段階にある。一方でROEは安定して推移しており、PBRは低位にとどまっていることから、収益の安定度よりも業績サイクルと評価水準のバランスが投資判断の軸になりやすい数値構成といえる。
配当目的とかどうなの?
日本金銭機械を配当目的で見ると、表面上の利回り水準は比較的高めに見える構成になっている。連26.3および連27.3ともに予想配当利回りは3.86%とされており、株価水準に対するインカムの即効性は一定程度ある。
実績面を見ると、2024年3月期の一株配当は26円、2025年3月期は50円と増配が行われており、直近では配当額そのものは引き上げられている。一方で、2026年3月期予想では40円と減配計画となっており、配当は業績に応じて増減する性格が強いことが読み取れる。安定配当というより、利益水準に連動して調整される配当方針に近い。
利益との関係では、2026年3月期は営業利益が14億まで落ち込む見通しである一方、純利益は37億と高水準を維持する計画になっている。このため、配当原資は確保されているものの、営業面での収益力低下が長引いた場合には、将来的な配当水準の維持には不確実性が残る。
PBRは0.8倍台と純資産に対して株価が低めに評価されている水準にあり、配当利回りと組み合わせると「資産+配当」を意識した保有には一定の合理性がある。一方で、ROEは11%前後で横ばい、売上や営業利益は年度ごとの振れが大きく、業績の安定性を前提とした長期インカム向きとは言い切れない。
まとめると、日本金銭機械は高配当を継続的に積み上げる銘柄というより、業績が良い局面では利回りが高く見え、業績が弱含むと配当が調整されるタイプである。配当を「毎年安定して受け取る目的」で保有するよりも、業績サイクルと配当水準を見ながら受け取る中期的なインカム銘柄としての位置付けになりやすい。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本金銭機械の現在値1,035.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は紙幣識別機や硬貨処理機などの貨幣処理機器を主力とするメーカーであり、特に欧米市場、とりわけ米国のカジノ向け機器で高いシェアを持つ点が特徴である。ATM、券売機、精算機、自動販売機向けなど幅広い用途を持つ一方、業績は顧客の設備投資動向や為替、地域別需要の変動を受けやすい構造にある。
直近数年では売上高は拡大傾向にあり、営業利益率も低水準から改善してきた。ただし、売上・利益ともに年度ごとの振れは大きく、安定成長というよりは回復局面にある段階と位置付けられる。ROEはおおむね10%前後で推移しており、極端に悪化しているわけではないが、継続的な改善が確認できる段階には至っていない。株価水準も高成長を前提とした評価ではなく、低PBRと配当利回りを意識した水準にとどまっている。
良い場合は、欧米市場、とくに米国カジノ向けの更新需要が底堅く推移し、貨幣処理機の需要が継続的に積み上がるシナリオである。営業利益率の改善が一定水準で定着し、業績の振れ幅が縮小すれば、市場からは「業績回復が一巡し安定局面に入ったメーカー」としての見方が強まりやすい。この場合、PBRは0.8倍前後から1.1〜1.3倍程度まで見直される余地があり、5年後の株価は1,400円〜1,700円程度まで切り上がる展開も考えられる。配当を受け取りながら、緩やかな株価上昇が重なる形となる。
中間のケースは、欧米向け需要は一定水準を維持するものの、大きな成長にはつながらず、売上・利益が増減を繰り返すシナリオである。営業利益は黒字を確保するが水準は安定せず、ROE・ROAも横ばい推移となる。この場合、市場評価は大きく変化せず、PBRは0.7〜0.9倍程度にとどまりやすい。株価は現在値を中心としたレンジ推移となり、5年後の株価水準は900円〜1,200円程度に収れんしやすい。リターンの中心は引き続き配当となる。
悪い場合は、欧米市場での設備投資が減速し、カジノ向けや業務用機器の更新需要が細るシナリオである。売上高が縮小し、営業利益率も再び低下すれば、業績の不安定さが強く意識されやすくなる。この場合、PBRは0.5倍前後まで低下する可能性があり、5年後の株価は700円〜900円程度まで下振れする展開も想定される。配当も業績連動で調整され、インカム面での魅力は低下するリスクを抱える。
総合すると、日本金銭機械の株価は現在値1,035.0円において、高成長期待を織り込む段階ではなく、欧米需要の持続性と利益水準の安定度を見極める局面にあると考えられる。今後5年間は、業績の振れ幅が評価の中心となりやすく、上方向・横ばい・下方向のいずれにも振れやすい時間帯にある。投資スタンスとしては、キャピタルゲイン狙いというより、業績動向を見極めつつ配当を受け取る中期目線の銘柄として位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月24日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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