株価
グローリーとは

グローリー株式会社は、貨幣処理・決済機器の分野で世界最大級の規模を持つメーカーであり、兵庫県姫路市下手野に本社を構える。国内では銀行を中心とした金融機関向け通貨処理機器で圧倒的な実績と信頼を築いており、海外では小売業向けを中心に事業を急速に拡大している。1918年創業の長い歴史を持ち、通貨処理機器においては日本の現金インフラを支えてきた代表的企業の一つである。
事業の中核は、金融機関向けの現金入出金機、両替機、窓口用通貨処理機、情報処理機器の開発・製造・販売およびメンテナンスである。1950年に大蔵省造幣局向けに国産初の硬貨計数機を開発して以降、銀行向け硬貨計算機、紙幣両替機、循環式入出金システムなど数多くの国産第一号製品を世に送り出してきた。国内の貨幣処理機市場では約7割という高いシェアを持ち、金融機関向け現金入出金機では事実上の標準的存在となっている。
流通・小売・サービス分野向けには、レジつり銭機、売上金管理機、自動精算機、券売機、コインロッカーなどを展開しており、人手不足対策や現金管理の効率化ニーズを背景に導入が進んでいる。病院向け診療費支払機や公共施設向け証明書発行機など、社会インフラに近い分野への展開も特徴である。また、たばこ自動販売機や商品券処理機など、現金と密接に関わる周辺機器も幅広く手掛けてきた。
海外事業では、欧州を中心に同業企業のM&Aを積極的に進め、事業基盤を急速に拡大してきた。特に金融機関向け貨幣入出金機で世界シェア約4割を持つタラリスを買収したことで、同分野の世界シェアは約6割に達し、名実ともにグローバルリーダーの地位を確立している。現在は21カ国100拠点以上に事業拠点を持ち、北米、欧州、アジアで小売向け現金管理ソリューションの拡販を進めている。
技術面では、貨幣識別で培った画像認識技術やセキュリティ技術を応用し、生体認証分野にも注力している。顔認証技術では、マスク着用時でも認証可能な改良を行うなど、社会環境の変化に対応した開発力を示している。ICカード事業や電子マネー関連機器、選挙用投票用紙分類機を含む選挙システムなど、通貨処理の枠を超えた分野にも事業領域を広げている。
グループとしては、製造、販売、保守を担う多数の国内子会社を持ち、全国規模でのサポート体制を構築している。また、子会社を通じてパチンコ・パチスロ関連事業にも参入しており、パチンコ店向けプリペイドカード事業では業界上位の地位を占めている。
収益構造の特徴として、機器販売に加え、保守・メンテナンスや消耗品供給といったストック型収益の比重が高い点が挙げられる。キャッシュレス化が進む一方でも、現金流通が一定規模で残ることを前提に、現金とデジタル決済を融合したソリューション提供を進めており、安定性と成長性を併せ持つ事業モデルを志向している。
グローリー 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 217,423 | 14,201 | 14,137 | 5,705 | 94.4 | 66 |
| 連22.3 | 226,562 | 10,297 | 10,507 | 6,509 | 107.7 | 68 |
| 連23.3 | 255,857 | 522 | -2,720 | -9,538 | -167.0 | 68 |
| 連24.3 | 372,478 | 51,276 | 48,438 | 29,674 | 533.6 | 106 |
| 連25.3 | 369,017 | 35,173 | 28,414 | 16,053 | 287.8 | 108 |
| 連26.3予 | 340,000 | 29,500 | 29,500 | 17,500 | 316.8 | 112 |
| 連27.3予 | 350,000 | 34,000 | 34,000 | 20,500 | 395.8 | 112〜120 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | -16,486 | -9,364 | 8,526 |
| 連24.3 | 41,854 | -33,577 | -13,957 |
| 連25.3 | 45,752 | -7,911 | -21,275 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 0.2 | -5.0 | -2.6 | – | – |
| 連24.3 | 13.7 | 13.0 | 6.3 | – | – |
| 連25.3 | 9.5 | 6.8 | 3.6 | 6.3〜8.1 | 0.98 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の流れを見ると、23年は営業利益率0.2%、ROE-5.0%、ROA-2.6%と収益性が大きく落ち込んでおり、事業としてはかなり厳しい状態にあったことが分かる。ほぼ利益が出ていない水準で、自己資本効率も資産効率もマイナスに沈んでいた年と言える。そこから24年にかけては一転して回復が鮮明で、営業利益率は13.7%、ROEは13.0%、ROAは6.3%まで急上昇している。営業利益は512億円、純利益は296億円と利益規模も大きく、23年が底、24年がピークという形で非常に分かりやすいV字回復を描いている。
25年になると、売上高は3690億円とほぼ横ばいながら、営業利益は351億円、純利益は160億円へと減少し、営業利益率も9.5%、ROE6.8%、ROA3.6%まで低下している。24年の高水準と比べると明らかに一服感があり、利益の勢いは落ち着いたフェーズに入ったと見るのが自然だ。ただし23年のような極端な低収益状態に逆戻りしているわけではなく、利益率は一定水準を保っている。
26年予想では売上高3400億円、営業利益295億円、純利益175億円と、規模はやや縮小するものの、利益は安定して確保される見通しになっている。EPSも316円と25年実績の287円からは回復する想定で、業績は急成長でも急悪化でもない、安定水準に落ち着く前提が置かれている。
評価面を見ると、25年時点の実績PERは6.3〜8.1倍、PBRは0.9倍となっている。ROE6.8%という収益性を前提にすると、PBR1倍割れはほぼ妥当か、やや割安寄りの水準と言える。高い成長を織り込んだ評価ではなく、利益がこの水準で維持できるかどうかを慎重に見られている株価水準だ。
配当は106円、108円、112円予と緩やかな増配が続いており、EPS287円に対して配当108円なので配当性向は4割弱にとどまる。利益を圧迫するような無理な還元ではなく、業績が大きく崩れなければ配当は維持・微増されやすい構造に見える。
これらの数値だけを基に判断すると、この銘柄は24年の好業績を起点にさらに伸びていく成長株というよりも、23年の底打ち後に業績が正常化し、25年以降は安定期に入った回復型の成熟銘柄という位置づけになる。PERは1桁、PBRは1倍割れ、配当は安定しており、株価は成長期待よりも安全性と還元を重視した評価に近い。短期での急騰を狙うタイプではないが、業績が大きく崩れない前提であれば、配当を受け取りながら中長期で保有する選択肢としては十分に成立する水準だと判断できる。
配当目的とかどうなの?
配当目的でどうか、という視点で見ると、この銘柄は「高配当株」ではないが、「安定配当を軸にした中配当バリュー株」としては十分に成り立つ、という位置づけになる。予想配当利回りは26.3期、27.3期ともに2.70%。数字だけを見ると突出して高い水準ではなく、利回りだけを最優先する投資家にとってはやや物足りない。一方で、業績の振れ幅が大きかった過去を経て、現在は配当を下げずに緩やかに積み上げていく姿勢がはっきりしている点は評価できる。
25年のEPSは287円、配当は108円で配当性向は4割弱。26年予想EPS316円に対して配当112円でも、配当性向はおおむね3割台後半に収まる。利益水準から見て無理のない配当であり、業績が多少ぶれても減配に直結しにくい余地がある。23年のような厳しい局面でも配当を維持してきた実績を踏まえると、配当の安定性に対する意識は高い会社と言える。
PERは6倍台から8倍台、PBRは0.9倍と株価水準は低めで、配当利回りが2.7%でも「株価が割高だから利回りが低い」という状態ではない。むしろ、評価が抑えられた状態で一定の配当を受け取れる構造になっている。株価が大きく上がらなくても、配当を積み上げていく前提であれば納得感はある。
総合すると、この銘柄は配当目的として「利回り重視の即効性タイプ」ではないが、「減配リスクが比較的低く、評価も低めな中で安定した配当を受け取りたい人」には向いている。値上がり益を強く期待するより、業績が落ち着いた後の回復企業を配当込みでじっくり保有する、というスタンスなら配当目的でも十分に検討対象になる、という判断になる。
今後の値動き予想!!(5年間)
グローリー株式会社の現在値4,135.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は貨幣処理・決済機器の分野で世界トップクラスのシェアを持ち、国内では金融機関向けで圧倒的な地位を築いているほか、海外では小売向け現金管理システムを中心に事業を拡大してきた。
銀行・流通・公共分野といった社会インフラに近い顧客を多く持つため、景気変動の影響は相対的に受けにくい一方、設備投資や更新需要のタイミングによって業績が大きく振れる特徴がある。直近では23年を底に24年で急回復し、25年以降は落ち着いた利益水準に移行する局面にある。
良い場合は、国内金融機関向けの更新需要が底堅く推移し、海外小売向けの現金管理ソリューションも安定成長を続けるシナリオである。営業利益率は9〜10%前後で定着し、純利益は170〜200億円規模を安定的に確保する。ROEも7〜9%程度まで回復し、市場からは「回復一巡後も収益力を維持できるインフラ型メーカー」として再評価されやすくなる。この場合、PERは現在の6〜8倍から8〜10倍程度まで見直され、PBRも1倍をやや上回る水準が許容される。EPS300円前後を前提にすると、5年後の株価は5,000円〜6,000円程度までの緩やかな上昇が想定される。配当の安定増加も下支えとなり、じり高基調が続く展開になる。
中間のケースでは、国内外の更新需要は一定程度維持されるものの、大型案件の反動や投資タイミングのズレにより成長感は乏しい。営業利益率は8〜9%程度、純利益は150〜180億円規模で横ばい推移となる。市場評価は現状と大きく変わらず、PERは6〜8倍、PBRは0.9〜1.0倍近辺にとどまる。この場合、株価は4,000円前後を中心に、3,500円〜4,800円程度のレンジで上下する展開が想定される。値上がり益は限定的だが、配当利回り2%台後半を積み上げることで、トータルリターンは安定したものになりやすい。
悪い場合は、金融機関や小売業の設備投資抑制が重なり、海外事業の伸びも鈍化するシナリオである。営業利益率は7%台以下まで低下し、純利益は120億円前後まで縮小、ROEも5%前後にとどまる。市場は24年の急回復を一時的なものと捉え、評価を引き下げる可能性がある。この場合、PERは5倍前後、PBRは0.7〜0.8倍まで低下し、株価は3,000円前後、状況次第では2,500円近辺まで調整する展開も想定される。ただし、事業基盤が揺らぐわけではなく、配当は維持されやすい点が下値の歯止めとなる。
総合すると、グローリーの株価は現在値4,135.0円において、業績回復後の安定局面を前提とした慎重な評価水準にある。今後5年間で急成長による大化けを狙う銘柄ではないが、社会インフラを支える事業特性と低い評価倍率を背景に、悪い場合の下値は比較的限定的になりやすい。一方で、収益力の安定が確認されれば中間から良い場合に寄りやすく、配当を受け取りながら中長期でじっくり保有するスタンスに適した銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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