株価
日本トムソンとは

日本トムソン株式会社は、日本を代表するベアリング・直動案内機器メーカーであり、商標「IKO」ブランドで世界的に知られている。国内で初めて針状ころ軸受、いわゆるニードルベアリングを自社技術で開発した企業で、精密機械分野におけるパイオニア的存在である。
同社の主力事業は、ニードルベアリング、直動案内機器、精密位置決めテーブルなどの精密機械要素部品の開発・製造・販売である。特に半導体製造装置やディスプレイ製造装置向けの直動案内機器は中核分野となっており、高精度・高剛性・高信頼性が要求される装置に数多く採用されている。電子部品実装機や検査装置など、エレクトロニクス分野でも重要な役割を担っている。
ニードルベアリング分野では、薄肉構造でありながら高い耐荷重性能を持つ製品を強みとし、省スペース化が求められる自動車、二輪車、産業機械などで広く使われている。特に二輪車向けニードル軸受では長年の実績を持ち、安定した需要基盤を形成している。
また、日本トムソンの特徴的な製品として、独自潤滑技術を用いた「Cルーブ・メンテナンスフリー」シリーズがある。これはベアリングや直動案内機器に潤滑油を長期間供給できる構造を組み込んだ製品で、装置のメンテナンス負荷低減や稼働率向上に大きく貢献している。半導体製造装置や自動化設備など、停止が許されない分野で高く評価されている。
IKOというブランド名には、Innovation、Know-how、Originalityの頭文字が込められており、技術革新、高度なノウハウ、独創性を重視する姿勢を象徴している。同社は「社会に貢献する技術開発型企業」を理念とし、単なる部品供給にとどまらず、顧客の装置性能向上に直結する技術提案を強みとしている。
生産体制は岐阜県を中心とした国内工場群に加え、メカトロ製品の拠点や研究開発機能を備えた施設を有しており、高度な品質管理と一貫生産体制を構築している。主な製造拠点として、岐阜製作所の極楽寺地区、笠神地区、武芸川地区の各工場、土岐メカトロセンター、鎌倉工場などがあり、用途別・製品別に最適化された生産が行われている。本社は東京都港区高輪に置かれている。
製品の用途は非常に幅広く、半導体・電子部品関連装置、研究機関や病院で使われる医療・計測機器、ロボットや建設機械などの産業用機械、旋盤やマシニングセンタといった工作機械、自動車・オートバイ・鉄道・航空機などの輸送機器分野まで多岐にわたる。高精度と信頼性が要求される分野ほど、同社製品の存在感は大きい。
総じて日本トムソンは、ニードルベアリングと直動案内機器という専門性の高い分野で技術力を磨き続け、半導体製造装置や自動化設備といった中長期成長分野を支える基盤部品メーカーとして位置付けられる企業である。景気変動の影響は受けやすいものの、独自技術とブランド力を背景に、精密機械産業の高度化を下支えする存在となっている。
日本トムソン 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 44,342 | -559 | 225 | 215 | 3.0 | 8 |
| 連22.3 | 62,284 | 5,898 | 7,488 | 4,134 | 58.3 | 13 |
| 連23.3 | 68,260 | 9,459 | 10,479 | 7,469 | 104.9 | 19 |
| 連24.3 | 55,048 | 3,164 | 4,525 | 2,674 | 37.8 | 19 |
| 連25.3 | 54,384 | 1,592 | 1,841 | 978 | 14.2 | 19 |
| 連26.3予 | 60,500 | 3,100 | 3,200 | 2,900 | 41.1 | 28 |
| 連27.3予 | 63,000 | 6,500 | 6,600 | 5,600 | 79.4 | 30〜40 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 6,398 | -2,702 | -3,351 |
| 連24.3 | -2,488 | -5,304 | 7,566 |
| 連25.3 | 6,449 | -3,435 | 912 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 13.8% | 10.4% | 6.5% | – | – |
| 2024 | 5.7% | 3.5% | 2.2% | – | – |
| 2025 | 2.9% | 1.2% | 0.8% | 16.8〜23.6倍 | 0.81倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益水準の推移を見ると、連24.3は営業利益31億、経常利益45億、純利益26億であった。これが連25.3では営業利益15億、経常利益18億、純利益9億まで大きく落ち込んでいる。連26.3予では営業利益31億、経常利益32億、純利益29億と回復が見込まれているが、3年間を通してみると安定成長というより、業績の振れがかなり大きい企業という印象が強い。
次に収益性を見ると、営業利益率は2023年13.8%、2024年5.7%、2025年2.9%と年々低下している。ROEも10.4%から3.5%、さらに1.2%まで落ち込み、ROAも6.5%から2.2%、0.8%へと急低下している。利益水準だけでなく、資本効率や資産効率の面でも明確に悪化しており、事業環境の厳しさや固定費負担の重さが数字にそのまま表れている。
バリュエーション面では、2025年実績PERは16.8倍から23.6倍のレンジ、PBRは0.8倍台である。PBRだけを見ると1倍割れで割安に見えるが、ROEが1%台まで低下していることを考えると、低評価は妥当とも言える。PERも利益水準が落ち込んだ状態では決して低いとは言えず、回復を前提にした評価になっている。
以上を総合すると、日本トムソンは、利益が年度ごとに大きく変動しやすく、営業利益率・ROE・ROAはいずれも明確な低下トレンドにある。PBRは低いが、それは高い収益力を前提とした割安さではなく、低ROEに対するディスカウントと見るのが自然である。26年予想では利益回復が示されているものの、収益性指標の改善が伴わない限り評価が切り上がりにくい局面にあり、現時点では業績回復の持続性を見極める段階といえる。積極的に強気になる材料は乏しく、数値ベースでは慎重寄りの投資判断が妥当である。
配当目的とかどうなの?
配当目的という観点で見ると、数値上は一定の魅力はあるが、安定性には注意が必要という評価になる。予想配当利回りは連26.3で3.05%、連27.3で3.27%と、利回り水準だけを見ると市場平均と比べても見劣りしない。株価水準に対しては、インカム狙いの投資家が関心を持ちやすいレンジに入っているのは事実である。
ただし、これまでの業績推移を見ると、純利益は24年26億から25年9億へ急減しており、配当の原資となる利益の変動が大きい点は無視できない。26年以降は利益回復が想定されているものの、営業利益率やROEは低下傾向にあり、収益力そのものが弱まっている状況である。ROEが1%台まで落ち込んでいる中で3%超の配当利回りを維持する場合、内部留保の取り崩しや配当性向の上昇に依存する形になりやすい。
そのため、日本トムソンの配当は「業績が計画どおり回復すること」を前提にした配当であり、ディフェンシブに長期で安定配当を受け取り続けるタイプとは言いにくい。短期的には利回り狙いで成立しても、業績が再び下振れした場合には減配リスクが意識されやすい。総合すると、現状の配当水準は魅力はあるが、あくまで業績回復を信じる中での条件付きの配当目的向き銘柄であり、配当の安定性を最重視する投資スタンスにはやや不向きと言える。
今後の値動き予想!!(5年間)
日本トムソンの現在値916.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社はニードルベアリングと直動案内機器を主力とする精密機械部品メーカーであり、半導体製造装置や工作機械、産業用ロボット向けなど、設備投資動向に左右されやすい事業構造を持つ。一方で、直動案内機器では高い技術力と実績を有し、ブランド「IKO」は業界内で一定の信頼を確立している。業績は景気循環の影響を受けやすく、安定型というよりは回復局面をどう評価するかが株価の焦点になりやすい企業である。
良い場合は、半導体製造装置やFA関連の需要が本格回復し、直動案内機器の受注が想定以上に伸びるシナリオである。営業利益率は再び10%前後まで改善し、ROEも5〜8%程度まで回復する。利益水準が安定すれば、市場は「景気回復局面での業績回復銘柄」として評価を引き上げ、PBRは1倍近辺、PERも20倍前後が許容されやすくなる。この場合、EPSは70〜80円程度が視野に入り、5年後の株価は1,300円〜1,600円程度まで切り上がる展開が想定される。配当利回り3%前後が維持されれば、上昇局面でも下値は比較的堅くなりやすい。
中間のケースでは、設備投資は緩やかに回復するものの力強さに欠け、業績は回復と調整を繰り返しながら横ばいに近い推移となる。営業利益率は5〜7%程度、ROEは3〜4%前後で落ち着き、大きな成長期待は持たれにくい。市場評価はPBR0.8倍前後、PER15〜18倍程度に収まり、現在水準から大きな評価変化は起きにくい。この場合、株価は800円〜1,100円程度のレンジで推移し、値上がり益よりも配当を含めたトータルリターン重視の展開になりやすい。
悪い場合は、半導体やFA投資の回復が遅れ、利益改善が計画どおり進まないシナリオである。営業利益率は3%前後に低迷し、ROEも1〜2%台にとどまる。業績の先行き不透明感が強まり、配当維持に対する警戒感も高まる。この場合、市場は低収益体質を厳しく評価し、PBRは0.6倍前後まで低下する可能性がある。株価は600円〜750円程度まで調整する展開も想定され、回復期待が再び高まるまで時間を要する。
総合すると、日本トムソンの株価は現在値916.0円において、業績回復への期待と低収益への警戒が拮抗している水準にある。今後5年間は高成長による大化けを狙う銘柄というより、設備投資サイクルの回復度合いを見極めながら、配当を下支えに中期的な回復を待つ銘柄と位置付けるのが現実的である。
この記事の最終更新日:2026年1月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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