株価
新晃工業とは

新晃工業株式会社は、セントラル空調機器を主力とする業務用空調機メーカーであり、大阪市北区に本社を置く。国内のセントラル空調機器分野ではシェア4割弱を占めるトップメーカーで、業務用空調機全体では中堅クラスに位置付けられる。あべのハルカスや東京スカイツリーなど、国内を代表する大型建築物への導入実績を多数持ち、社会インフラを支える空調分野で高い認知度と信頼性を築いている。東京証券取引所プライム市場に上場しており、JPX日経中小型株指数の構成銘柄でもある。
事業の中心は、ビルや工場、病院、商業施設、公共施設向けのセントラル空調機器の製造・販売である。主力製品はエアハンドリングユニットをはじめ、ヒートポンプ空調機、デシカント空調機・除湿機、ファンコイルユニット、ユニットヒータ、エアターミナルユニットなど多岐にわたる。建物の用途や規模、求められる空気質に応じて個別設計する能力に強みがあり、特に大規模・高機能建築向けで競争力を持つ。省エネルギー性や環境性能への要求が高まる中、カーボンニュートラル時代を見据えた高効率空調や健康空調といった分野にも注力している。
沿革を見ると、1950年に業務用冷暖房機器の製造販売を目的として設立され、その後、神奈川・岡山に生産拠点を整備しながら事業基盤を拡大してきた。1980年代には海外展開にも着手し、中国やタイに生産・販売拠点を持つことでアジア市場への対応力を高めている。近年ではダイキン工業と資本業務提携を結び、ヒートポンプ空調機の共同開発を行うなど、技術面での連携も進めている。
特徴的なのは、空調機器の製造販売にとどまらず、ビル管理会社をグループ内に併営している点である。千代田ビル管財を連結子会社とし、設備の運用・管理まで含めたサービスを提供することで、顧客との長期的な関係構築とストック型収益の確保につなげている。これにより、単なる機器メーカーではなく、空調・建物環境全体を支える総合的な事業モデルを形成している。
同社は自社の強みを「総合力」と位置付けており、組織力、技術力、品質力の3つが掛け合わさることで競争優位性を生み出している。神奈川県の研究開発拠点を中心に、主要デバイスや先端技術、カーボンニュートラル対応技術の開発を進める一方、神奈川工場と岡山工場が生産・品質の中核を担い、グローバル生産体制を支えている。DX戦略として「SSA」を掲げ、設計・生産・品質管理の高度化にも取り組んでいる。
品質・信頼性の面では、AIを活用した品質管理支援を進めている点も特徴である。過去のクレームや不具合データをAIで分析し、製造現場にフィードバックする仕組みを構築することで、作業員の経験に依存しない品質確保を目指している。こうした取り組みは、社会インフラであるセントラル空調の信頼性を支える基盤となっている。
総じて、新晃工業はセントラル空調機器で圧倒的な国内シェアを持ち、製造・販売からビル管理までを含めた総合力を武器に、安定した事業基盤を築いている企業である。公共性の高い建築需要に支えられ、業績は受注のタイミングで振れやすいものの、中長期的には更新需要と環境対応ニーズを背景に、堅実な成長が期待される事業構造を持っている。
新晃工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益 EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 39,177 | 6,565 | 6,997 | 5,021 | 64.8 | 16.7 |
| 連22.3 | 41,964 | 5,712 | 6,048 | 4,097 | 53.0 | 16.7 |
| 連23.3 | 44,805 | 5,998 | 6,540 | 4,514 | 59.5 | 19 |
| 連24.3 | 51,943 | 8,627 | 9,120 | 6,580 | 88.4 | 35 |
| 連25.3 | 57,005 | 9,986 | 10,615 | 7,829 | 107.7 | 50 |
| 連26.3予 | 58,000 | 10,100 | 10,700 | 7,400 | 108.8 | 50 |
| 連27.3予 | 60,000 | 10,000 | 10,600 | 7,400 | 108.8 | 50 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 4,090 | -1,653 | -2,293 |
| 連24.3 | 8,911 | -2,228 | -3,353 |
| 連25.3 | 5,740 | 261 | -8,151 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 13.3 | 8.1 | 5.8 | – | – |
| 連24.3 | 16.6 | 10.7 | 7.4 | – | – |
| 連25.3 | 17.5 | 12.8 | 9.2 | 7.8〜13.3 | 1.69 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模を見ると、24.3期は売上高519億円、営業利益86億円、経常利益91億円、純利益65億円である。25.3期は売上高570億円、営業利益99億円、経常利益106億円、純利益78億円と、売上・利益ともに明確な拡大が見られる。26.3期予想では売上高580億円、営業利益101億円、経常利益107億円、純利益74億円となっており、増収を維持しつつ利益は高水準で横ばいという前提になっている。急成長というより、利益水準が一段上がった後の安定フェーズに入った印象が強い。
収益性を見ると、営業利益率は23年13.3%、24年16.6%、25年17.5%と3年連続で改善しており、業務用空調機メーカーとしてはかなり高い水準まで来ている。ROEも8.1%から10.7%、12.8%へと着実に上昇し、資本効率が明確に改善している。ROAも5.8%、7.4%、9.2%と右肩上がりで、事業そのものの稼ぐ力が強まっていることが読み取れる。
評価面では、25年時点の実績PERは7.8倍から13.3倍、PBRは1.7倍である。ROE12.8%という数字を前提にすると、PBR1.69倍は割高とは言えず、収益性の改善を素直に織り込んだ水準と考えられる。PERも高値側で13倍程度であり、成長期待を過度に織り込んだ評価ではない。
これらを総合すると、新晃工業は利益率の改善と資本効率の向上がはっきり数字に表れており、事業の質が一段階上がった状態にある。24年、25年の好業績は一過性というより、営業利益率17%台、ROE10%超を安定して狙える体質に近づいていることを示している。一方で26年予想では純利益がやや減少しており、高成長が続く前提ではなく、成熟した高収益企業として見られ始めている段階でもある。
この数値だけで判断すれば、新晃工業は成長株というより、収益力の質を評価して中長期で保有するタイプの銘柄と位置付けられる。PER・PBRに強い割安感はないが、営業利益率やROEの水準を踏まえると妥当な評価範囲にあり、業績の安定性と利益率を重視する投資家に向いた銘柄だと判断できる。
配当目的とかどうなの?
新晃工業株式会社を配当目的でどうか、という視点で見ると、この銘柄はかなり相性が良い部類に入る。予想配当利回りは26.3期、27.3期ともに3.30%と、インフラ関連・機械セクターの中でははっきり高めの水準にある。いわゆる高配当株ほどではないものの、安定配当を狙う投資家にとっては十分に魅力的な利回りと言える。
利益水準との関係を見ると、25.3期の純利益は78億円、26.3期予想でも74億円と高水準を維持している。EPSは25年107円、26年予想108円台で、配当は50円が続く前提となっており、配当性向はおおむね45%前後になる。無理に利益を吐き出している水準ではなく、利益が多少上下しても配当を維持できる余力はある。
キャッシュフロー面でも、営業CFは安定してプラスを確保しており、配当原資は本業で十分に賄えている。25年は財務CFのマイナスが大きいが、これは配当還元や内部資本政策を進めた結果と見られ、配当の裏付けとしてはむしろ健全な動きと言える。
評価面ではPBR1.69倍とすでに一定の評価は受けているものの、PERは7.8〜13.3倍のレンジで、配当利回り3.3%を打ち消すほど割高な水準ではない。株価が大きく上昇しなくても、利回りを安定して受け取れる構造になっている。
総合すると、新晃工業は配当目的として「短期で利回りだけを取りに行く銘柄」ではなく、「業績と利益率の改善を背景に、安定配当を中長期で受け取り続ける銘柄」として評価できる。減配リスクは相対的に低く、公共性の高い建築・インフラ需要に支えられた事業内容を考えると、配当目的での長期保有には十分に向いた銘柄だと判断できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
新晃工業株式会社の現在値1,514.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社はセントラル空調機器で国内シェア4割弱を握るトップメーカーであり、業務用空調機分野では中堅ながら、技術力と収益力の高さで存在感を持つ企業である。主な納入先は大型ビル、病院、工場、公共施設などで、建設投資や更新需要の影響は受けるものの、空調という社会インフラを支える事業特性から、需要の底堅さが特徴となっている。近年は営業利益率やROEが着実に改善しており、事業の質が一段階上がった局面にある。
良い場合は、ビル更新需要や省エネ・環境対応型空調への投資が安定的に続き、受注環境が堅調に推移するシナリオである。営業利益率は17%前後で定着し、ROEも12%前後を維持する。純利益は70億円台後半から80億円規模で安定し、EPSは110円前後で推移する。この場合、市場からは「高収益体質を確立した業務用空調メーカー」として評価されやすくなり、PERは高値側の12〜14倍程度が許容される。EPS110円×PER13倍を前提にすると、5年後の株価は1,900円〜2,200円程度まで切り上がる展開が想定される。配当利回り3%台が下支えとなり、緩やかな上昇基調が続く可能性が高い。
中間のケースでは、空調需要は安定するものの、受注の山谷により成長感は限定的となる。営業利益率は15〜17%程度、ROEは10〜11%前後で落ち着き、業績は横ばいに近い推移となる。市場評価はPER9〜11倍程度に収まり、現在水準と大きな乖離は生じにくい。この場合、株価は1,400円〜1,700円程度のレンジでの推移が中心となり、値上がり益よりも配当を含めたトータルリターンを重視する展開になりやすい。
悪い場合は、建設投資の一服や大型案件の受注遅れが重なり、業績が一時的に低迷するシナリオである。営業利益率は13%前後まで低下し、ROEも一桁台前半にとどまる。純利益は60億円規模まで縮小し、EPSは100円前後に低下する。市場は成長期待を引き下げ、PERは安値側の7〜8倍程度まで切り下がる可能性がある。この場合、株価は1,100円〜1,300円程度まで調整する展開も想定される。ただし、配当は維持される可能性が高く、下値では利回りが上昇するため、急落後は下げ渋りやすい。
総合すると、新晃工業の株価は現在値1,514.0円において、業績改善と高い収益性をある程度織り込んだ水準にある。今後5年間は急成長による大化けを狙う銘柄というより、営業利益率の高さと配当を下支えに、安定した収益力をどこまで維持できるかが評価の軸となる。配当を受け取りながら、業績の持続性を確認して中長期で保有するスタンスに適した銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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