株価
THKとは

THK株式会社は、工作機械や半導体製造装置などに用いられる直動案内機器で世界トップシェアを持つ、日本を代表する機械要素部品メーカーである。1971年に世界で初めて「LMガイド(Linear Motion Guide)」を実用化し、現在では日本国内で約70%、世界でも60%を超える高いシェアを占めている。このLMガイドを中核とし、ボールねじやクロスローラーリングなどの直線運動関連製品を強みとして事業を拡大してきた。
同社の売上構成は機械要素部品事業がほぼ100%を占めており、主な顧客分野は工作機械、半導体製造装置、液晶・有機EL製造装置、一般産業機器である。これらの分野では装置の高精度化・高速化・高剛性化が求められており、THKの高精度な直動案内技術が不可欠な存在となっている。また、生産ラインの自動化や省人化ニーズの高まりを背景に、産業用ロボット向け部品の需要も拡大している。
近年は従来の機械要素部品の供給にとどまらず、「ものづくりサービス業」をビジョンに掲げ、製品とサービスを融合したソリューション提供にも注力している。機械要素部品を組み合わせたモジュール製品やアクチュエータ製品に加え、輸送機器向け、医療機器向け、免震装置向けなど用途分野を広げている点も特徴である。ビルなどの大規模建築物向け免震装置では多数の実績を持ち、近年は一般戸建て住宅向けの免震機構も開発しており、社会インフラ分野への展開も進んでいる。
また、AIやIoT、ロボット技術の進展を背景に、製造業向けIoTサービス「OMNIedge」を展開している。これは部品にセンサーを取り付けて稼働状態を見える化し、保全業務の効率化や設備稼働率の向上、在庫管理コストの削減などを支援するサービスであり、単なる部品供給から設備全体の最適化を支える役割を担っている。
産業用ロボット分野では、これまで培った機械要素技術を生かし、搬送ロボットや協働ロボットなどのソリューション提供にも踏み込んでいる。製造現場だけでなく、物流やサービス分野での省人化ニーズを取り込み、成長分野への布石を打っている点も注目される。
総合すると、THKはLMガイドを核とする世界トップクラスの技術力を基盤に、工作機械・半導体製造装置といった景気循環型分野を主戦場としつつ、ロボット、IoT、免震装置など新たな付加価値領域へ事業を拡張している企業である。設備投資動向の影響を受けやすい一方で、産業の自動化・省人化という長期トレンドを背景に、技術力を武器とした中長期的な成長余地を持つメーカーと位置付けられる。
THK 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◇22.12 | 393,687 | 34,460 | 35,596 | 21,198 | 172.7 | 87 |
| ◇23.12 | 351,939 | 23,707 | 25,289 | 18,398 | 150.1 | 46 |
| ◇24.12 | 352,759 | 17,349 | 18,782 | 10,439 | 85.2 | 146.5 |
| ◇25.12予 | 360,000 | 16,000 | 16,200 | 10,000 | 89.3 | 246 |
| ◇26.12予 | 380,000 | 24,000 | 25,000 | 15,500 | 138.4 | 246 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| ◇22.12 | 37,561 | -30,081 | -3,649 |
| ◇23.12 | 39,332 | -27,094 | -24,266 |
| ◇24.12 | 28,412 | -34,223 | -22,652 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 6.7 | 5.1 | 3.3 | – | – |
| 2024 | 4.9 | 2.7 | 1.8 | 18.0〜28.0 | 1.54 |
| 2025 | 4.4 | 2.6 | 1.7 | 52.07 | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず利益水準の推移を見ると、23.12は営業利益237億、経常利益252億、純利益183億と高水準であった。24.12は営業利益173億、経常利益187億、純利益104億へ大きく減少している。25.12予では営業利益160億、経常利益162億、純利益100億と低位横ばいに近い水準が想定されている。一方、26.12予では営業利益240億、経常利益250億、純利益155億と再び回復する計画となっている。利益は景気や設備投資動向に左右されやすく、年ごとの振れが大きい構造がはっきりしている。
次に収益性を見ると、営業利益率は2023年6.7%、2024年4.9%、2025年4.4%と3年連続で低下している。ROEも5.1%から2.7%、2.6%へ低下し、ROAも3.3%から1.8%、1.7%へ落ち込んでいる。売上規模は大きいものの、利益率と資本効率の両面で明確な悪化傾向が出ており、稼ぐ力が弱まっている状態といえる。
バリュエーション面では、2024年実績PERは18.0倍〜28.0倍、PBRは1.5倍台である。ROEが3%前後にとどまっているにもかかわらずPBRが1倍を大きく上回っている点は、収益力に対して株価評価がやや先行している印象を与える。さらに2025年予想PERは52.1倍と非常に高く、利益回復を強く織り込んだ水準になっている。
これらを総合すると、THKは世界トップシェアの技術力を背景に売上規模と回復力はあるものの、直近数年では営業利益率、ROE、ROAが揃って低下しており、収益性の弱さが株価評価の足かせになりやすい局面にある。26年予想では利益回復が見込まれているが、その前段階でPERが50倍超まで上昇している点を考えると、数値面では回復期待をかなり先取りした評価といえる。
上記数値だけで判断すると、現状は割安というより「回復前提で評価されている状態」であり、積極的に強気になれる局面ではない。業績回復が実際に数字として確認できるまでは、慎重寄り、もしくは様子見に近い投資判断が妥当と考えられる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは25.12、26.12ともに5.62%と高水準で、機械セクターの中では明確にインカム狙いに入る水準である。これは株価が利益低迷局面を織り込んで調整している一方で、配当額を比較的高く維持しているために生じている利回りであり、単純な数字だけ見れば配当妙味は強い。
ただし、収益力とのバランスを見る必要がある。営業利益率は6.7%→4.9%→4.4%、ROEは5.1%→2.7%→2.6%と低下しており、資本効率は決して高くない。2025年予想PERも50倍超と高く、利益水準そのものはまだ弱い。この状況で高配当を維持しているため、配当は「余裕のある増配」ではなく、「業績回復を前提とした維持色の強い配当」と読み取れる。
26.12予では純利益155億まで回復する想定が示されているため、この回復が実現すれば配当の持続性は高まる。一方で、回復が遅れたり再び設備投資需要が冷え込むと、配当性向の高さが意識されやすく、将来的な減配リスクはゼロではない。
総合すると、THKは値上がり益狙いよりも「高利回りを享受しながら回復を待つ」タイプの配当銘柄としては成立している。ただし、安定配当を最優先するディフェンシブ銘柄とは性格が異なり、業績の振れを許容できる配当目的の中級者向け銘柄、という位置付けになる。
今後の値動き予想!!(5年間)
THKの現在値4,374.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は直動案内機器(LMガイド)で世界シェアトップクラスを誇る機械要素部品メーカーであり、工作機械、半導体製造装置、一般産業機械、自動車分野まで幅広い産業を顧客に持つ。設備投資動向の影響を受けやすい一方で、基幹部品としての不可欠性が高く、世界的な自動化・省人化の流れに長期的には組み込まれている企業である点が特徴である。
良い場合は、世界的な設備投資が本格的に回復し、半導体製造装置や工作機械向け需要が再び力強く伸びるシナリオである。生産稼働率の改善により営業利益率は6〜7%水準まで回復し、ROEも5〜6%程度まで持ち直す。純利益は150億円前後まで回復し、EPSは130円台後半から140円程度で安定推移する。この場合、市場からは「設備投資回復局面の主役級銘柄」として評価されやすくなり、PERは過去の高値圏に近い18〜20倍が許容される。EPS140円×PER20倍を前提にすると、5年後の株価は5,500円〜6,500円程度まで切り上がる展開が想定される。高水準の配当も下支えとなり、業績回復とともに評価の切り上がりが進む可能性がある。
中間のケースでは、設備投資は緩やかに回復するものの、力強さに欠け、業績は低水準からの持ち直しにとどまる。営業利益率は4〜5%程度、ROEは3%前後で落ち着き、利益成長は限定的となる。市場評価はPER14〜16倍程度に収まり、現在水準と大きな乖離は生じにくい。この場合、株価は4,000円〜4,800円程度のレンジで推移し、値上がり益よりも配当利回りを含めた安定的なトータルリターンを狙う展開になりやすい。
悪い場合は、半導体投資や工作機械需要の低迷が長期化し、設備投資の回復が想定以上に遅れるシナリオである。営業利益率は3%前後にとどまり、ROEも2%台と低水準が続く。純利益は100億円を下回り、EPSは90円前後まで低下する。市場は成長期待を引き下げ、PERは安値圏の12倍前後まで低下する可能性がある。この場合、株価は3,000円〜3,600円程度まで調整する展開も想定される。配当利回りは高水準となるものの、株価の本格回復には設備投資環境の改善を待つ必要がある。
総合すると、THKの株価は現在値4,374.0円において、業績低迷からの回復期待と高配当利回りをある程度織り込んだ水準にある。今後5年間は急成長による大化けを狙う銘柄というより、世界的な設備投資循環の回復局面でどこまで利益水準を戻せるかが評価の軸となる。配当を下支えにしつつ、設備投資サイクルの回復を見極めながら中長期で保有するスタンスに適した銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月25日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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