株価
キッツとは

株式会社キッツは、国内首位の総合バルブメーカーであり、建築設備向け、石油化学・プラント向けを中心に幅広い分野で高いシェアを持つ流体制御機器メーカーである。本社は東京都港区に置き、東京証券取引所プライム市場に上場している。水・蒸気・ガス・薬液といった流体を制御するバルブは、社会インフラや産業設備に不可欠な基幹部品であり、キッツはその分野で国内トップの地位を築いてきた。
同社の源流は1951年に設立された北澤製作所にあり、その後、北澤バルブ、北沢バルブを経て、1978年に現在のコーポレートブランドである「KITZ(キッツ)」へと改称した。1984年に東証一部へ上場し、2022年の市場再編によりプライム市場へ移行している。2023年には本社を東京・汐留へ移転し、2025年には東洋バルヴを吸収合併するなど、事業基盤の再編と強化を継続している。
事業の中核はバルブ事業である。キッツは、青銅・黄銅、ステンレス鋼、鋳鉄、鋳鋼など多様な材質と形状のバルブを手掛け、建築設備、上下水道、石油化学、発電、半導体、食品、医薬品など、生活空間から最先端産業まで幅広い分野に製品を供給している。多くのバルブメーカーが特定分野や限定された材質に特化する中で、総合バルブメーカーとして網羅的な製品ラインアップを持つ点が同社の最大の強みである。
バルブ製品には、主に流体のオン・オフに適したゲートバルブや、流量調整とオン・オフの両方に対応できるグローブバルブなどがあり、圧力・温度条件の幅広さや信頼性が求められる産業用途で強みを発揮している。特に建築設備向けでは安定した需要を背景に収益基盤を形成し、石油化学やプラント向けでは高付加価値製品が収益を支えている。
また、キッツグループは海外展開にも積極的で、アジア、北米、欧州に生産・販売拠点を持ち、グローバルに事業を拡大している。近年は半導体製造装置向けバルブや関連機器にも注力しており、産業の高度化に対応した製品開発を進めている。
バルブ事業に加え、伸銅品事業も重要な柱である。グループ会社のキッツメタルワークスを中心に、黄銅棒および黄銅加工品の製造・販売を行っており、黄銅製バルブの素材供給だけでなく、水栓金具、ガス機器、家電製品、自動車部品など幅広い用途向けに高品質な素材を提供している。この分野でも国内上位の地位を持ち、グループ全体の収益安定化に寄与している。
さらに、事業規模は小さいもののホテル事業も展開している。長野県諏訪市を中心にリゾートホテル「ホテル紅や」や高速道路のサービスエリア運営を手掛けており、売上高に占める比率は約1.5%と限定的ながら、地域との結び付きや多角化の一端を担っている。
総じて株式会社キッツは、国内首位の総合バルブメーカーとしての安定した基盤を持ち、建築設備・石油化学といった伝統的分野に加え、海外展開や半導体関連分野を取り込むことで事業の幅を広げている。バルブ事業を軸に、伸銅品という素材分野まで内製化した強固な事業構造を持つ点が、同社の大きな特徴である。
キッツ 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連22.12 | 159,914 | 11,051 | 12,045 | 8,549 | 95.4 | 33 |
| 連23.12 | 166,941 | 13,687 | 14,452 | 10,591 | 118.1 | 41 |
| 連24.12 | 172,042 | 14,220 | 15,276 | 11,824 | 132.6 | 46 |
| 連25.12予 | 180,000 | 16,000 | 16,600 | 11,900 | 136.8 | 48 |
| 連26.12予 | 190,000 | 17,000 | 17,600 | 12,600 | 144.9 | 50〜51 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連22.12 | 8,541 | -7,471 | -5,567 |
| 連23.12 | 16,007 | -7,407 | -5,189 |
| 連24.12 | 18,559 | -7,836 | -9,907 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.12 | 8.1 | 10.4 | 6.3 | – | – |
| 連24.12 | 8.2 | 10.9 | 6.8 | 10.1(高値) 6.5(安値) |
1.52 |
| 連25.12予 | 8.8 | 10.9 | 6.9 | 14.4 | – |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模を見ると、売上高は2023年1669億円、2024年1720億円、2025年予想1800億円、2026年予想1900億円と、年率数%ながら着実な増収基調にある。営業利益は2023年136億円、2024年142億円、2025年予想160億円、2026年予想170億円と拡大が続き、経常利益、純利益も同様に増加傾向にある。純利益は2023年105億円から2024年118億円、2025年予想119億円、2026年予想126億円へと緩やかだが安定的に積み上がっている。
収益性を見ると、営業利益率は2023年8.1%、2024年8.2%、2025年8.8%と緩やかに改善している。製造業としては突出した水準ではないものの、総合バルブメーカーとしては安定感のある利益率といえる。ROEは10.4%から10.9%へ上昇し、2025年も10.9%を維持する見通しで、資本効率はおおむね合格点にある。ROAも6.3%から6.9%へ改善しており、資産を活用した収益力も底上げされている。
一株益は2023年118円、2024年132円、2025年予想136円、2026年予想144円と増加基調で、配当も41円、46円、48円、50円台と段階的な増配が示されている。利益成長と連動した配当拡大が続いており、無理のない株主還元姿勢が読み取れる。
バリュエーション面では、2024年実績PERは高値平均10.1倍、安値平均6.5倍と低位で推移していた。これに対し、2025年予想PERは14.4倍まで上昇しており、業績の安定成長を前提に評価が切り上がってきている状況である。PBRは1.5倍で、ROE10%台前半を踏まえると、割高感は強くないが、明確な割安とも言い切れない中立的水準にある。
以上を踏まえると、キッツは「高成長株」ではなく、「安定成長・インフラ型メーカー」として評価すべき銘柄である。売上・利益ともに着実な拡大が続き、営業利益率やROEも緩やかに改善している点は好材料である。一方で、2025年時点のPERは過去レンジより高く、すでに業績の安定成長を一定程度織り込んだ水準にある。
投資判断としては、急激な株価上昇を狙う局面ではないが、業績の持続性と増配を前提に中長期で保有するには適した銘柄といえる。現在水準では「割安放置」ではなく、「適正評価に近い安定株」と整理でき、押し目や市場全体の調整局面でのエントリーがより望ましいと判断される。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りは、連25.12で2.43%、連26.12で2.54%と、全体としては中程度の水準である。高配当株と呼べる水準ではないが、製造業の中では安定感のある利回りといえる。
配当の中身を見ると、一株当たり配当は2023年41円、2024年46円、2025年予想48円、2026年予想50円台と段階的な増配が続いている。利益の拡大と歩調を合わせた増配であり、無理に配当を引き上げている印象はない。営業利益、純利益ともに増加基調にあることを踏まえると、短期的に減配リスクが高い状況ではないと判断できる。
収益性の面では、営業利益率は8%台で安定し、ROEも10%前後を維持している。突出した高収益ではないが、事業の性質上、急激に利益が崩れにくい点は配当投資にとってプラス材料である。PBRは1.5倍と過度な割高感はなく、配当利回りと組み合わせると、極端に不利な水準ではない。
一方で、予想配当利回りが2.5%前後という水準を考えると、「配当だけを目的に積極的に買い進む」銘柄ではない。3.5%以上の高配当を狙う投資家にとっては、利回り面で見劣りする。ただし、業績の安定成長と緩やかな増配を前提に、「配当を受け取りながら長期保有する」スタンスには向いている。
総合すると、キッツは配当目的に向かないわけではないが、主役級ではない。高利回りを狙う配当株というより、安定収益と増配傾向を評価し、値動きと配当の両方をバランスよく取りにいく中長期向け銘柄と位置付けられる。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社キッツの現在値1,968.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は総合バルブメーカーとして国内首位の地位を持ち、建築設備、上下水道、石油化学、プラント、半導体、食品・医薬品など、幅広い産業分野を支える流体制御機器メーカーである。バルブは水・蒸気・ガス・薬液の流れを制御する社会インフラ・産業設備に不可欠な基幹部品であり、キッツは多様な材質・形状を網羅する総合力を強みとしている。景気変動の影響は受けるものの、建築設備向けの安定需要と産業向けの底堅さを併せ持つ点が同社の特徴である。
良い場合は、国内外の建築設備需要が堅調に推移し、石油化学・プラント向けに加え、半導体関連や海外市場の成長が上乗せされるシナリオである。連25.12期以降の増収増益計画が着実に進み、営業利益率は8%台後半で安定、純利益は120億円台を確保、EPSは140円前後まで伸びる。この場合、市場からは「安定成長型のインフラ・産業機械メーカー」として評価され、PERは高値平均に近い13〜14倍が許容されやすくなる。EPS145円×PER14倍を前提にすると、5年後の株価は2,700円〜3,200円程度まで切り上がる展開が想定される。増配基調が続けば、配当利回りも下支えとなり、緩やかな右肩上がりの推移が期待される。
中間のケースでは、建築設備・プラント向け需要は安定するものの、成長分野の伸びは限定的となり、業績は緩やかな増収増益、もしくは横ばいに近い推移となる。営業利益率は8%前後、ROEは10%前後で落ち着き、事業の安定性は保たれるが、成長性は目立たない。この場合、市場評価はPER10〜12倍程度に収まり、現在水準と大きな乖離は生じにくい。株価は1,900円〜2,400円程度のレンジでの推移が中心となり、値上がり益よりも配当利回り2%台後半を含めたトータルリターン重視の展開になりやすい。
悪い場合は、国内外で設備投資の先送りが広がり、建築設備やプラント向け需要が鈍化するシナリオである。原材料コストの上昇なども重なり、営業利益率は7%台まで低下、純利益は100億円前後にとどまり、EPSは120円程度にとどまる。この場合、市場は成長期待を引き下げ、PERは安値平均に近い8〜9倍まで低下する可能性がある。EPS120円×PER9倍を前提にすると、株価は1,100円〜1,500円程度まで調整する展開も想定される。配当は維持される可能性が高いものの、株価回復には時間を要する。
総合すると、キッツの株価は現在値1,968.0円において、安定した業績と増配傾向をある程度織り込んだ水準にある。今後5年間は高成長による大化けを狙う銘柄というより、建築設備・インフラを支える安定収益と着実な株主還元を背景に、業績の持続性を確認しながら中長期で保有するスタンスに適した銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月26日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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