株価
明電舎とは

株式会社明電舎は、1897年創業の老舗重電メーカーであり、日立製作所、東芝、三菱電機、富士電機と並ぶ「重電5社」の一角を占める企業である。本社は東京都品川区大崎に置き、住友グループ広報委員会に参加するなど、財界的にも一定の位置付けを持つ。日本の電力インフラ整備とともに成長してきた企業で、発電・変電・配電・制御といった電力系中核分野を長年手掛けている点が特徴である。
同社の事業は、電力・エネルギーシステム、水インフラシステム、産業システム・コンポーネント、自動車関連、ICT・サービスまで非常に幅広い。電力・エネルギー分野では、変電・配電システムや各種開閉装置、変圧器、避雷器、発電設備、非常用発電装置、再生可能エネルギー設備、蓄電池システム、UPS、EMSなどを展開し、電力の安定供給と分散電源化を支えている。公共性が高く、更新需要が継続的に発生する分野であることから、業績の下支えとなる安定事業と位置付けられる。
水インフラシステムは明電舎の大きな強みの一つであり、上下水道システム、排水処理設備、水道事業の維持管理、水クラウド関連などを手掛けている。自治体向け案件が中心で、老朽化インフラの更新需要や防災・環境対策の強化を背景に、中長期的に安定した需要が見込まれる分野である。
鉄道分野では、交流・直流き電システム、電力補償装置、回生失効対策装置、架線検測装置、パンタグラフ監視装置などを展開し、電鉄インフラの安全性・効率性向上に貢献している。これらも公共投資色が強く、景気変動の影響を比較的受けにくい。
産業用コンポーネント分野では、モータ・インバータ、真空コンデンサ、パルス電源、産業用コントローラ、通信機器などを幅広く手掛けている。半導体や液晶パネル、太陽光パネル製造装置向けの部品、EUV光源やプラズマ装置向け電源など、高度な電力制御技術が求められる分野にも対応している点が特徴である。
自動車関連では、EV・PHEV向けの駆動用モータ、インバータ、ジェネレータなどを展開するほか、自動車開発用試験装置では国内首位の地位を持つ。ダイナモメータや試験システム、計測装置などを通じて、自動車メーカーや部品メーカーの研究開発を支えており、EV化の進展を追い風とする分野である。
さらに、無人搬送車システムなどの産業物流製品、AIやIoTを活用した運転管理・監視・保守のクラウドサービス、国内外のプラント建設工事やフルターンキー工事、保守・メンテナンス事業まで含め、ハードとサービスを組み合わせた総合力を持っている。
総じて明電舎は、派手な成長株というよりも、電力・水・交通といった社会インフラを支える重電メーカーとしての安定性を軸に、EVや再生可能エネルギー、ICTといった成長分野を徐々に取り込む事業構造を持つ企業である。公共性の高い分野を基盤としつつ、技術の裾野が広い点が同社の最大の特徴といえる。
明電舎 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
一株益 (円) |
一株当り配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 231,254 | 8,384 | 8,465 | 7,303 | 161.0 | 48 |
| 連22.3 | 255,046 | 9,468 | 10,206 | 6,733 | 148.4 | 50 |
| 連23.3 | 272,578 | 8,539 | 8,823 | 7,128 | 157.1 | 50 |
| 連24.3 | 287,880 | 12,731 | 13,385 | 11,205 | 247.0 | 75 |
| 連25.3 | 301,101 | 21,512 | 21,192 | 18,487 | 407.5 | 123 |
| 連26.3予 | 330,000 | 22,500 | 22,500 | 16,500 | 363.7 | 108〜123 |
| 連27.3予 | 340,000 | 23,000 | 23,000 | 17,000 | 374.7 | 112〜123 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 (単位:百万円) |
営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 13,742 | -10,506 | -2,685 |
| 連24.3 | 8,968 | -7,553 | 749 |
| 連25.3 | 35,454 | -9,065 | -14,536 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 決算期 | 営業利益率 (%) |
ROE (%) |
ROA (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 3.1 | 6.6 | 2.3 | – | – |
| 連24.3 | 4.4 | 8.8 | 3.3 | – | – |
| 連25.3 | 7.1 | 13.3 | 5.4 | 13.4(高値) 8.4(安値) |
1.92 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績規模を見ると、売上高は2024年2878億円、2025年3011億円、2026年予想3300億円と、着実な増収基調にある。営業利益は2024年127億円から2025年215億円へ大きく拡大し、2026年予想も225億円と高水準を維持する見通しである。経常利益も2024年133億円、2025年211億円、2026年予想225億円と同様に拡大している。純利益は2024年112億円から2025年184億円へ大きく伸び、2026年予想では165億円とやや調整するが、過去と比べれば高い水準にある。
収益性を見ると、営業利益率は2023年3.1%、2024年4.4%、2025年7.1%と、3年間で明確な改善が見られる。重電・インフラ企業としては利益率の底上げがはっきりしており、収益構造が一段階引き上がった印象を受ける。ROEも6.6%から8.8%、13.3%へと上昇し、資本効率は大きく改善している。ROAも2.3%から5.4%まで高まり、資産を使った利益創出力が強まっていることが分かる。
バリュエーション面では、2025年実績PERは高値平均13.4倍、安値平均8.4倍とレンジが広いものの、収益改善を背景に評価水準が切り上がっている。PBRは1.9倍で、ROE13%台を踏まえると極端な割高感はなく、収益改善が続けば許容されやすい水準といえる。
以上を踏まえると、明電舎は「低収益期を脱し、利益率と資本効率が改善局面に入ったインフラ型重電メーカー」と整理できる。売上は大きく伸びないものの、利益の伸びがそれを上回っており、収益性改善のフェーズにある点は評価できる。一方で、PERはすでに改善期待を一定程度織り込んでおり、過去の低収益期と同じ感覚での割安判断は難しい。
投資判断としては、高成長株ではないが、利益体質が改善した重電・インフラ企業として中長期で安定的に評価されやすい銘柄といえる。今後は営業利益率やROEがこの水準を維持できるかが株価の方向性を左右する局面であり、改善トレンドが続く限り、評価の下支えは比較的強いと判断される。
配当目的とかどうなの?
まず予想配当利回りは、連26.3で1.78%、連27.3で1.84%と、利回り水準としては低めである。一般的に配当目的で積極的に選好される水準である2.5〜3%以上には届いておらず、インカムゲインを主目的とする投資には物足りない。
配当額自体を見ると、直近数年で大きく引き上げられており、利益拡大に応じて配当を増やす姿勢は明確である。ただし、株価水準の上昇も同時に進んでいるため、結果として利回りは1%台後半にとどまっている。これは同社が「高配当株」を目指しているというより、業績改善に合わせて還元水準を調整するスタンスであることを示している。
収益面では営業利益率、ROE、ROAが3年間で大きく改善しており、配当の原資となる利益体質は明らかに強くなっている。一方で、PBRは1.9倍と、配当利回りで評価される水準ではなく、株価は収益改善期待を背景に形成されているといえる。
以上を踏まえると、明電舎は配当目的の主力銘柄には向かない。配当は安定して受け取れるものの、利回りは低く、インカム狙いで積極的に保有するタイプではない。一方で、利益体質改善と増配の流れを背景に、「株価の安定+控えめな配当」を受け取りながら中長期で保有する分には適した銘柄であり、キャピタルゲインと配当をバランスよく狙う投資家向けと位置付けられる。
今後の値動き予想!!(5年間)
株式会社明電舎の現在値6,060.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は1897年創業の老舗重電メーカーで、発電・変電・配電・制御装置を中核に、水処理関連設備や電鉄向け電力システムなど社会インフラ分野に強みを持つ企業である。近年はEV向けモーターや自動車開発用試験装置、再生可能エネルギー関連にも展開を広げており、公共インフラと成長分野を併せ持つ事業構造が特徴である。公共投資色が強く、景気変動の影響を受けにくい一方で、業績は大型案件の進捗によって年度ごとの振れが出やすい性格を持つ。
良い場合は、電力・水インフラ更新需要が堅調に続き、再生可能エネルギーやEV関連の取り組みが収益に寄与するシナリオである。営業利益率は7%前後で定着し、純利益は160億円〜180億円規模を安定的に確保、EPSは350円〜400円前後で推移する。この場合、市場からは「利益体質が改善したインフラ重電メーカー」として評価されやすくなり、PERは高値平均に近い12〜13倍が許容される。EPS380円×PER13倍を前提にすると、5年後の株価は9,000円〜11,000円程度まで切り上がる展開が想定される。増配基調が続けば、配当も株価の下支えとなり、緩やかな上昇トレンドが形成されやすい。
中間のケースでは、インフラ需要は安定するものの、利益率のさらなる改善は限定的となる。営業利益率は5〜6%台、ROEは9〜10%程度で落ち着き、業績は緩やかな増益もしくは横ばいに近い推移となる。この場合、市場評価はPER9〜11倍程度に収まり、現在水準から大きな乖離は生じにくい。株価は6,000円〜8,000円程度のレンジで推移し、値上がり益よりも配当と業績安定性を評価する展開になりやすい。
悪い場合は、国内外で設備投資や公共投資の先送りが進み、大型案件の遅延や採算悪化が重なるシナリオである。営業利益率は4%台まで低下し、純利益は100億円前後に縮小、EPSは250円〜300円程度にとどまる。この場合、市場は成長期待を引き下げ、PERは安値平均に近い8倍前後まで低下する可能性がある。EPS280円×PER8倍を前提にすると、株価は4,500円〜5,500円程度まで調整する展開も想定される。配当は維持される可能性が高いものの、株価の回復には業績改善の確認が必要となる。
総合すると、明電舎の株価は現在値6,060.0円において、足元の業績改善を一定程度織り込みつつも、まだ成長余地を残した水準にある。今後5年間は高成長による急騰を狙う銘柄というより、社会インフラを支える安定事業を基盤に、利益体質改善と緩やかな成長を確認しながら中長期で保有するスタンスに適した銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月26日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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