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KOKUSAI ELECTRICとは

KOKUSAI ELECTRICは、半導体製造における成膜プロセス装置に特化した日本の大手半導体製造装置メーカーであり、本社は東京都千代田区大手町に置く。旧日立国際電気の半導体製造装置部門を母体としており、日立製作所グループの事業再編を背景に独立した企業である。2023年10月に東京証券取引所プライム市場に上場した。
同社の源流は1949年設立の国際電気にまで遡り、1950年代から半導体製造装置事業に参入している。2000年に日立国際電気となり、その後2017年に成膜プロセスソリューション事業の売却先として米国投資ファンドKKRが選定された。KKRは特別目的会社HKEホールディングスを設立し、2018年に日立国際電気の成膜プロセスソリューション事業を会社分割で承継、同年に株式会社KOKUSAI ELECTRICへ商号変更した。2019年には米アプライド・マテリアルズへの全株式売却が計画されたが、中国規制当局の承認が得られず中止となり、その後IPOによる独立路線が選択された。
事業内容は、半導体前工程における成膜プロセス装置および関連装置の開発・製造・販売に特化している。主力は縦型バッチ式成膜装置であり、ウェーハ上にナノレベルの薄膜を形成する工程を担う。半導体デバイスの微細化や三次元化が進む中で、複雑な形状に対して均一かつ高品質な成膜を行う技術力が求められており、同社はこの分野で高い評価を受けている。
成膜プロセス装置では、LP-CVD技術、酸化技術、低温・高温アニール技術、拡散技術、ALD技術に対応しており、メモリ半導体やロジック半導体向けに幅広く採用されている。特に量産工程での生産性、膜厚均一性、歩留まり改善に強みを持つ点が特徴である。
また、形成した薄膜の品質を高めるトリートメント(膜質改善)プロセス装置も重要な製品群となっている。プラズマや熱処理によって不純物を除去し、膜の安定性を高める装置であり、半導体の微細化・低温プロセス化の進展に伴い需要が拡大している。窒化、酸化、キュア、アニールなどに対応した装置を提供している。
このほか、子会社を通じて超音波発振器や測定器の製造も行っており、装置導入後の保守・メンテナンス、改造、部品供給といったサービス事業も展開している。装置販売に比べて景気変動の影響を受けにくい収益源として、サービス比率の拡大も事業の一部となっている。
生産・開発拠点としては富山工場を中心に、2024年以降は神奈川県横浜市に研究開発拠点を新設し、先端プロセス対応力の強化を進めている。2024年から2025年にかけては富山県砺波市に新工場を建設・稼働させ、生産能力の拡充も進めている。
海外では韓国、中国、台湾、シンガポール、米国、欧州などにグループ会社を展開しており、売上の大半は海外半導体メーカー向けである。メモリ、ロジック、先端プロセスから成熟プロセスまで幅広い顧客層を持ち、特定分野への依存度を分散した事業構造となっている。
全体としてKOKUSAI ELECTRICは、半導体製造装置の中でも成膜・膜質改善という特定工程に深く特化し、量産ライン向けの高付加価値装置で競争力を持つ企業である。半導体設備投資の循環の影響は受けるものの、長年培ったプロセス技術とグローバルな顧客基盤を背景に、前工程装置メーカーとして独自のポジションを築いている。
KOKUSAI ELECTRIC 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 決算期 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株当り配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ◇22.3 | 245,425 | 70,652 | 69,264 | 51,339 | 222.8 | 0 |
| ◇23.3 | 245,721 | 56,064 | 55,895 | 40,305 | 174.9 | 0 |
| ◇24.3 | 180,838 | 30,745 | 29,757 | 22,374 | 96.8 | 11 |
| ◇25.3 | 238,933 | 51,320 | 50,789 | 36,004 | 154.6 | 37 |
| ◇26.3予 | 230,000 | 38,800 | 37,600 | 27,900 | 119.5 | 36 |
| ◇27.3予 | 255,000 | 50,000 | 48,800 | 36,000 | 154.2 | 36〜46 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期(百万円) | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| ◇23.3 | 29,993 | -7,825 | -25,113 |
| ◇24.3 | 2,942 | -11,950 | -6,312 |
| ◇25.3 | 38,477 | -27,706 | -58,106 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年 | 営業利益率 | ROE | ROA | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 22.8% | 25.0% | 10.8% | – | – |
| 2024 | 17.0% | 11.9% | 5.9% | – | – |
| 2025 | 21.4% | 18.3% | 10.5% | 46.2倍(高値平均)/17.6倍(安値平均) | 7.57倍 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
連24.3期は売上高が1,808億円、営業利益が307億円、経常利益が297億円、純利益が223億円となっている。売上規模はこの時点では抑えめだが、営業利益率は17.0%と2桁を維持しており、収益性自体は一定水準にあったことが分かる。ただし、前年と比べると利益率や効率性指標は低下しており、市況の影響を受けた局面であったことが読み取れる。
連25.3期になると、売上高は2,389億円まで拡大し、営業利益は513億円、経常利益は507億円、純利益は360億円と大きく増加している。売上の増加以上に利益の伸びが大きく、営業利益率は21.4%まで回復している。ROEは18.3%、ROAは10.5%と、資本効率・資産効率も高い水準に戻っており、この期は収益性・効率性ともに強い数字が並んでいる。
一方、連26.3期予想では、売上高は2,300億円と25.3期からやや減少する想定となっており、営業利益は388億円、経常利益は376億円、純利益は279億円と、利益面でも調整が入る前提になっている。黒字は維持するものの、25.3期がピークで、その後はいったん落ち着く想定であることが数値から分かる。
収益性指標を3年間で見ると、営業利益率は2023年22.8%、2024年17.0%、2025年21.4%と推移しており、高水準ではあるものの、市況によって大きく上下している。ROEも25.0%から11.9%、18.3%と振れ幅が大きく、ROAも10.8%、5.9%、10.5%と同様の動きをしている。いずれも水準自体は高いが、安定して右肩上がりという形ではなく、循環性の強さが表れている。
バリュエーションを見ると、2025年実績ベースのPERは高値平均で46.2倍、安値平均でも17.6倍となっている。利益水準が高い局面では評価が大きく引き上げられてきた一方で、調整局面では評価倍率が大きく切り下がる傾向があることが分かる。PBRは7.5倍と高く、純資産に対しては高い期待が織り込まれている状態にある。
これらの数値を総合すると、KOKUSAI ELECTRICは売上・利益ともに拡大局面では非常に高い収益性と効率性を示す一方で、市況の影響を強く受け、業績の振れが大きい企業であることが数字からはっきり分かる。25.3期は高収益局面のピークに近く、26.3期はその反動を織り込んだ減益予想となっている。
評価面では、PBRが7倍台、PERも高値では40倍超と、現在の株価は高い収益性が今後も続くことを前提とした水準にある。一方で、過去の数字を見る限り、利益水準と評価倍率はいずれも変動が大きく、業績が下向く局面では株価の調整幅も大きくなりやすい構造である。
数値だけから判断すると、安定的に緩やかに成長するタイプというより、高い収益力と強い循環性を併せ持ち、好況期と調整期の差がはっきり出る企業、という位置づけになる。今後5年間を見る上でも、業績の水準そのもの以上に、市況による上下動と、それに伴う評価倍率の変化が株価を左右しやすい銘柄であることが読み取れる。
配当目的とかどうなの?
一株当たり配当は、◇25.3で37円、◇26.3予で36円、◇27.3予では36〜46円とされているが、現在の株価水準に対する予想配当利回りは◇26.3、◇27.3ともに0.53%にとどまっている。この水準は、インカム収入を主目的とする投資ではかなり低い部類に入る。
利益水準を見ると、◇25.3は純利益360億円と高水準で、◇26.3予でも純利益279億円を見込んでいる。一方で配当は利益水準に比べて抑えられており、利益成長を株主還元よりも内部留保や成長投資に回す姿勢が数値上は明確に表れている。配当性向という観点では低めで、安定的な増配を積み上げるタイプではない。
キャッシュフローを見ると、営業CFは◇25.3で384億円と大きく、投資CFも大きなマイナスとなっている。設備投資や成長投資への資金配分が優先されており、財務CFも大きなマイナスが続いていることから、配当よりも事業拡大・体力強化を重視している構造が読み取れる。
総合すると、予想配当利回り0.53%という数字から見て、KOKUSAI ELECTRICは配当目的で保有する銘柄ではない。高配当や安定インカムを期待する投資先ではなく、配当はあくまで補助的な位置づけであり、投資判断の軸は業績拡大や市況回復時の利益成長と株価変動に置かれるタイプの銘柄と整理できる。配当狙いというより、値動きや業績サイクルを前提に考える銘柄である。
今後の値動き予想!!(5年間)
KOKUSAI ELECTRICの現在値6,760.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は半導体製造装置の中でも成膜・膜質改善プロセス装置に特化したメーカーであり、前工程の量産ライン向け装置を主力としている。メモリ、ロジック双方に関与しつつも、業績は半導体設備投資サイクルの影響を強く受ける特徴がある。足元では25.3期に高収益を記録した後、26.3期は減益予想となっており、現在はピークアウト後の調整局面に差し掛かっている段階といえる。
良い場合は、世界的な半導体設備投資が再び本格回復し、先端ロジックやメモリの微細化・多層化を背景に成膜プロセスへの需要が拡大するシナリオである。量産工程向けの縦型成膜装置の受注が増え、売上・利益ともに再び成長軌道に乗る。営業利益率は20%台前半から中盤で安定し、純利益は350億円〜400億円規模、EPSは300円前後で推移する。この場合、市場からは「高収益な前工程装置メーカー」としての評価が維持されやすく、PERは高値平均に近い30倍前後まで許容される可能性がある。EPS300円×PER30倍を前提にすると、5年後の株価は9,000円〜10,000円程度まで上昇する展開が想定される。
中間のケースでは、半導体設備投資は底打ちするものの、急回復には至らず、業績は横ばいから緩やかな回復にとどまる。売上高は2,300億円〜2,600億円程度、営業利益率は18%〜20%前後、純利益は250億円〜300億円規模、EPSは200円〜250円程度で安定する。この場合、市場評価はPER20倍前後に落ち着きやすく、株価は5,500円〜7,500円程度のレンジ内での推移が中心となる。値上がり余地は限定的で、設備投資動向を見極めながらのレンジ相場になりやすい。
悪い場合は、半導体市況の回復が遅れ、設備投資が想定以上に低迷するシナリオである。受注が伸びず、営業利益率は15%前後まで低下し、純利益は200億円を下回る水準、EPSは150円前後にとどまる。この場合、市場は業績の循環性を強く意識し、評価倍率はPER10倍〜15倍程度まで切り下がる可能性がある。EPS150円×PER12倍を前提にすると、株価は3,500円〜4,500円程度まで調整する展開も想定される。
総合すると、KOKUSAI ELECTRICの株価は現在値6,760.0円において、25.3期の高収益を一定程度織り込みつつも、今後の設備投資回復を見極める段階の評価水準にある。今後5年間は高配当を狙う銘柄というよりも、半導体設備投資サイクルの回復局面で業績と評価がどこまで再加速するかを見据え、中長期での値動きを狙うスタンスに適した銘柄と位置付けられる。
この記事の最終更新日:2026年1月27日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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