株価
ダイヘンとは

ダイヘンは、大阪府大阪市淀川区と東京都千代田区に本社を置く電機メーカーで、1919年創業の重電・産業機械分野の老舗企業である。日立製作所、東芝、三菱電機、富士電機、明電舎、日新電機、東光高岳と並ぶ「重電8社」の一角を占めており、2024年には東京本社を設置して二本社制に移行した。
同社は、変圧器を中心とする電力機器、溶接機・切断機、半導体製造装置向け電源を中核事業としつつ、EMS(エネルギーマネジメントシステム)、FAロボット、クリーン搬送ロボット、EV充電システムなどへ事業領域を広げ、多角化を進めている。法人向け比率が高く、社会インフラ、製造業、先端半導体分野まで幅広い産業を顧客としている点が特徴である。
電力機器分野では、柱上変圧器に端を発し、受変電システム、パワーコンディショナ、エネルギーマネジメントシステム、EV充電システムなどを展開している。電力向け小型変圧器では国内シェアトップを持ち、再生可能エネルギーや電力の効率利用に関連する製品群を提供している。
溶接・切断分野では、CO2/MAG溶接機、TIG溶接機、MIG溶接機、プラズマ溶接機などの溶接電源に加え、アーク溶接ロボットや協働ロボット、ハンドリングロボットを手がけている。1930年代に溶接機事業を開始して以降、変圧器技術を応用した電源技術を基盤に事業を拡大し、アーク溶接機やアーク溶接ロボットでは国内トップクラス、世界的にも有力なメーカーとして位置付けられている。
半導体・電子分野では、溶接機電源のインバータ技術を応用し、プラズマエッチング向けの高周波電源、マイクロ波電源、自動整合器などを展開している。これらは半導体製造装置向けに供給されており、設備投資動向の影響を受けやすい一方で、高度な電源制御技術が求められる分野となっている。また、アーク溶接ロボットの技術を転用する形で、シリコンウエハーやフラットパネル向けのクリーン搬送ロボット事業も育成してきた。
製品開発の面では、創業当初の柱上変圧器に始まり、1923年の関東大震災を契機とした大量供給によって変圧器メーカーとしての地位を確立した。その後、溶接機事業、アーク溶接ロボット、クリーン搬送ロボット、半導体用電源、太陽光発電用パワーコンディショナへと技術応用を重ね、事業領域を段階的に拡大してきた。2012年以降は「ならでは製品開発」を掲げ、ワイヤレス給電システム、AI搬送ロボット、高効率溶接システム、異材接合技術などの開発を進めている。
近年は、中期経営計画において「Green Solutions」「Tailored Solutions」を重点領域に位置付け、脱炭素社会に対応したエネルギーマネジメントシステムや、生産自動化・省人化に資するファクトリーオートメーション製品、多様な材料加工に対応するマテリアルプロセシング分野の強化を進めている。2023年には事業セグメントを「エネルギーマネジメント」「ファクトリーオートメーション」「マテリアルプロセシング」に再編し、技術ドメインと事業構造の整合を図っている。
事業所は大阪・神戸・三重などに主要拠点を構え、国内では電力会社との共同出資会社を含む複数の関連会社を通じて製造・供給体制を構築している。全体として、ダイヘンは重電技術を基盤に、電力インフラ、製造装置、先端半導体、FA分野へと事業を広げてきた電機メーカーであり、設備投資動向やエネルギー・産業構造の変化と密接に連動する事業構成となっている。
ダイヘン 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
経常利益 (百万円) |
純利益 (百万円) |
1株益 (円) |
1株配当 (円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 145,144 | 12,183 | 13,762 | 9,411 | 381.3 | 90 |
| 連22.3 | 160,618 | 14,191 | 15,790 | 10,985 | 445.3 | 110 |
| 連23.3 | 185,288 | 16,568 | 17,660 | 13,193 | 537.7 | 162 |
| 連24.3 | 188,571 | 15,145 | 16,082 | 16,494 | 673.2 | 165 |
| 連25.3 | 226,375 | 16,174 | 17,182 | 11,961 | 493.3 | 165 |
| 連26.3予 | 237,000 | 19,000 | 19,500 | 14,400 | 602.3 | 176〜180 |
| 連27.3予 | 250,000 | 20,000 | 20,500 | 15,100 | 631.6 | 176〜189 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF (百万円) |
投資CF (百万円) |
財務CF (百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | -7,233 | -4,717 | 1,895 |
| 連24.3 | -8,993 | -10,564 | 25,954 |
| 連25.3 | 24,010 | -9,601 | -5,981 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 (%) |
ROA (%) |
ROE (%) |
PER (倍) |
PBR (倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 連23.3 | 8.9 | 6.2 | 11.5 | – | – |
| 連24.3 | 8.0 | 5.9 | 12.2 | – | – |
| 連25.3 | 7.1 | 4.1 | 8.6 | 8.8〜15.3 | 1.93 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず業績の推移を見る。2024年3月期の売上高は1,885億円、営業利益は151億円、経常利益は160億円、純利益は164億円である。2025年3月期は売上高が2,263億円に拡大し、営業利益は161億円、経常利益は171億円と増加した一方、純利益は119億円に減少している。2026年3月期予想では売上高は2,370億円、営業利益は190億円、経常利益は195億円、純利益は144億円と、利益面で再び拡大が見込まれている。売上高は一貫して増加基調にあり、営業利益・経常利益も緩やかながら増勢を維持している。
次に収益性指標を見る。営業利益率は2023年8.9%、2024年8.0%、2025年7.1%と低下傾向にある。ROEは2023年11.5%、2024年12.2%から2025年は8.6%へ低下し、ROAも2023年6.2%、2024年5.9%、2025年4.1%と下落している。売上規模は拡大しているものの、利益率や資本効率は直近にかけて低下しており、利益の伸びが売上増に十分追いついていない状況が数値から読み取れる。
株価指標を見ると、2025年実績PERは安値平均8.8倍、高値平均15.3倍であり、実績PBRは1.9倍である。PERは業績水準に対して極端に高い水準ではなく、PBRも1倍台後半にとどまっていることから、市場評価は成長期待と安定性をある程度織り込んだ水準にあると整理できる。
以上を総合すると、売上高と営業利益・経常利益は中期的に拡大基調にあり、事業規模の成長は確認できる。一方で、営業利益率、ROE、ROAはいずれも低下しており、収益性や資本効率はやや弱含んでいる。PERは8倍台から15倍台、PBRは約1.9倍と、過度な割高感は見られないものの、高い成長を前提とした評価とも言い切れない。
数値だけで判断すると、本銘柄は売上成長と利益額の拡大が続く一方、収益性の低下が課題として残る状態にあり、安定成長型としての評価が中心となる。高い利益率や急成長を期待する投資よりも、設備投資循環の中での堅調な業績推移を前提とした判断になりやすい銘柄と整理できる。
配当目的とかどうなの?
配当目的としては「可もなく不可もなく、主目的にはなりにくい」水準といえる。連26.3、連27.3ともに予想配当利回りは1.5%とされており、日本株全体で見れば低配当ではないが、高配当と呼べる水準ではない。インカムゲインを主目的にする投資スタイルでは、利回り面での魅力は限定的である。
一方で、直近数年の業績を見ると売上高は拡大基調にあり、営業利益・経常利益も中期的には増加している。営業キャッシュフローは年によって振れがあるものの、2025年には大きく改善しており、配当の原資となるキャッシュ創出力は一定程度確認できる。無理に配当を削っている状態ではなく、利益水準とバランスを取りながら安定的に配当を出している構造と読み取れる。
ROEは2025年で8.6%、ROAは4.1%と突出して高い水準ではないが、赤字や急悪化といった状況ではなく、配当継続に対する耐性はある程度ある。PBRは約1.9倍で、配当利回りの高さよりも事業の安定性や成長性を重視した評価が中心となっている。
以上の数値を踏まえると、この銘柄は高配当を狙って買う銘柄ではないが、業績の安定を前提に配当を受け取りつつ中長期で保有する分には成立する水準と整理できる。配当を主目的に据えるよりも、事業成長や業績推移を主軸にし、配当は副次的な位置付けで考える投資判断が合いやすい。
今後の値動き予想!!(5年間)
ダイヘンの現在値11,690.0円を基準に、今後5年間の株価の値動きを考える。同社は変圧器、溶接機、半導体製造装置向け電源を中核とする重電・産業機械メーカーであり、電力インフラ、製造業、半導体設備投資の動向に業績が左右されやすい事業構造を持つ。直近では売上高は拡大基調にある一方、営業利益率、ROE、ROAは低下傾向にあり、株価は成長と安定性を織り込んだ水準にあることが前提条件となる。
良い場合は、電力インフラ投資、FA・ロボット需要、半導体関連設備投資が同時に堅調に推移するシナリオである。売上高は年率数%成長を維持し、営業利益も200億円規模まで拡大、営業利益率は7%台後半から8%台で下げ止まる。ROEは10%前後まで回復し、市場評価は安定成長企業としてPER15倍前後が維持される。この場合、5年後の株価は16,000円〜20,000円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、電力機器や溶接分野は底堅く推移するものの、半導体設備投資は循環的な調整を繰り返すシナリオである。売上高は緩やかな増加にとどまり、営業利益は横ばい圏で推移、営業利益率は7%前後で安定する。ROE、ROAの改善は限定的となり、市場評価はPER10〜13倍程度に収れんする。この場合、5年後の株価は10,000円〜14,000円程度となり、現在値を中心としたレンジ内での推移が想定される。
悪い場合は、半導体設備投資の低迷が長期化し、FA・ロボット分野の需要も伸び悩むシナリオである。売上高の伸びは止まり、営業利益は減少、営業利益率は6%台まで低下する。ROE、ROAも低下し、市場評価は防御的な水準へ切り下がる。この場合、PERは8〜9倍程度まで低下すると仮定すると、5年後の株価は7,000円〜9,000円程度まで下落する展開も想定される。
総合すると、ダイヘンの株価は現在値11,690.0円において、事業の安定性と中期的な成長期待を織り込んだ水準にある。今後5年間の値動きは、半導体・FA分野の設備投資サイクルと、利益率をどこまで維持・改善できるかが最大の分岐点となる。堅調な業績推移が続けば緩やかな上昇余地がある一方、収益性が低下すれば調整局面に入る可能性もある銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月3日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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