株価
日東工業とは

日東工業株式会社は、電設資材分野における分電盤・キャビネットの大手メーカーであり、特にキャビネットでは国内トップシェアを持つ企業である。本社は愛知県長久手市に所在し、1944年創業という長い歴史を持つ電気機器メーカーである。分電盤や配電盤を中心とした電力インフラ関連製品を主力とし、製造から販売までを自社で一貫して手がける製販一貫体制を構築している点が特徴である。
同社の事業は、分電盤、高圧受電設備、各種ブレーカー、キャビネットといった電設資材を中心に構成されている。分電盤やキャビネットは、工場、ビル、公共施設、商業施設など幅広い建築物で使用されており、社会インフラに近い需要構造を持つ製品群である。2009年には豊田自動織機とハイブリッド車向け充電スタンドを共同開発するなど、電動化や次世代インフラ分野への取り組みも行ってきた。
製造拠点は愛知県、静岡県、岐阜県、佐賀県、栃木県など全国各地に分散しており、瀬戸、菊川、磐田、掛川、中津川、唐津、栃木野木といった複数の工場を有している。加えて、研究開発センターやラボラトリーを設け、製品開発や生産技術の高度化を進めている。営業所は全国に約45か所あり、地域密着型の営業体制を構築している。
日東工業を代表する製品の一つがキャビネットである。サイズや形状が異なる多彩な標準品を揃え、先端の自動化ラインを活用することで効率的な量産体制を構築している。標準品はあらかじめ在庫として保有されており、即納体制を整えている点が特徴である。工程を跨いだ一貫生産により、品質の均一化と標準化を進めながら、安定供給を実現している。
一方で、標準品だけでなく特注品への対応力も同社の強みである。顧客ごとの要望に応じた個別品生産においては、現場力とITを組み合わせた独自システムを活用している。見積、自動製図、受注、設計、手配、生産、出荷までを一貫して管理する仕組みを構築しており、最短3日で設計から出荷までを行う短納期対応を可能にしている。この人とITを融合させた体制は、他社との差別化要因となっている。
物流面でもIT活用が進んでいる。倉庫内の在庫品搬出を自動管理するシステムや、受注・出荷管理の自動化を進め、日本全国に張り巡らされた物流ネットワークと組み合わせることで、迅速かつ確実な納品体制を整えている。製品を作るだけでなく、いかに早く安全に顧客へ届けるかという点までを事業の一部として捉えている。
グループ会社には、北川工業、東北日東工業、新愛知電機製作所、大洋電機製作所、サンテレホン、ECADソリューションズ、南海電設などがあり、製造、設計、通信、ソフトウェアなど周辺領域を含めた事業基盤を形成している。近年は情報通信関連分野への注力も進めており、電設資材にとどまらない事業領域の拡張を図っている。
全体として日東工業は、電設資材という景気変動の影響を比較的受けにくい分野を主軸に、標準品の即納体制と特注品の短納期対応という両立を実現している企業である。製販一貫体制、ITを活用した生産・物流、全国展開の営業網を組み合わせることで、安定供給と現場対応力を重視した事業構造を築いている点が特徴といえる。
日東工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益EPS(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3 | 137,902 | 12,333 | 12,660 | 8,827 | 218.2 | 66 |
| 連22.3 | 132,735 | 8,637 | 9,412 | 6,607 | 164.8 | 50 |
| 連23.3 | 146,698 | 8,172 | 9,056 | 5,476 | 144.4 | 145 |
| 連24.3 | 160,709 | 11,967 | 12,566 | 8,715 | 229.8 | 230 |
| 連25.3 | 184,683 | 13,432 | 13,516 | 12,097 | 318.9 | 160 |
| 連26.3予 | 192,000 | 13,600 | 13,600 | 9,400 | 247.8 | 124 |
| 連27.3予 | 200,000 | 14,500 | 14,500 | 9,600 | 253.0 | 124〜126 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 決算期 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 連23.3 | 3,751 | -13,899 | 1,449 |
| 連24.3 | 12,321 | -14,429 | 6,929 |
| 連25.3 | 18,637 | -12,450 | 974 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率(%) | ROE(%) | ROA(%) | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 5.5 | 5.4 | 4.0 | — | — |
| 2024年 | 7.4 | 8.0 | 5.3 | — | — |
| 2025年 | 7.2 | 10.5 | 6.5 | 9.9〜17.8 | 1.40 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
まず数値を億円ベースで整理する。連24.3の売上高は1,607億円、営業利益は119億円、経常利益は125億円、純利益は87億円である。連25.3は売上高1,846億円、営業利益134億円、経常利益135億円、純利益120億円となっている。連26.3予では売上高1,920億円、営業利益136億円、経常利益136億円、純利益94億円という見通しが示されている。
売上高は24.3から26.3予にかけて一貫して増加しており、事業規模は拡大基調にある。特に24.3から25.3にかけての増加幅は大きく、需要環境や受注状況が比較的良好であったことがうかがえる。一方で、営業利益と経常利益は25.3で一段上がった後、26.3予では伸びが鈍化しており、売上の伸びほど利益が拡大していない。利益面では成長局面から安定局面へ移行しつつあるような数値の並びになっている。
純利益については24.3の87億円から25.3で120億円へ大きく増加しているが、26.3予では94億円と減少する見通しになっている。最終利益はピークアウトを前提とした計画になっており、利益が直線的に伸び続ける前提ではないことが数値から読み取れる。
収益性を見ると、営業利益率は2023年5.5%、2024年7.4%、2025年7.2%となっている。23年から24年にかけて大きく改善し、その後は7%台前半で横ばいに近い動きである。収益体質は一段改善したが、さらに上振れを続けている段階ではなく、改善後の水準を維持している局面と整理できる。
資本効率の指標では、ROEが2023年5.4%、2024年8.0%、2025年10.5%と3年連続で上昇している。ROAも2023年4.0%、2024年5.3%、2025年6.5%と同様に改善している。利益率の改善に加え、資産や自己資本の使い方が徐々に効率化してきたことが確認できる。ただし、水準としては非常に高いというより、改善途上から一段上がった段階に位置づけられる。
株価評価を見ると、2025年の実績PERは安値平均9.9倍から高値平均17.8倍まで幅があり、市場の見方が一様ではないことが分かる。PBRは1.40倍で、純資産に対して一定の評価は付いているが、過度な期待が織り込まれている水準とも言い切れない。
これらの数値だけから投資判断を整理すると、売上規模は着実に拡大し、利益率と資本効率は数年かけて明確に改善してきた一方で、直近予想では利益成長が踊り場に入る想定となっている。評価面でも、低PERで割安感が強い局面から、改善を一定程度織り込んだ水準へ移行しつつある状態にある。
そのため、この銘柄は急成長を前提に評価が大きく切り上がる局面というより、改善した収益性と効率性がどの程度持続するかを見極めながら評価される段階にあると整理できる。売上拡大と利益体質の改善は確認できるものの、今後は成長スピードよりも安定性や維持力が問われる局面に入っていると数値上は読み取れる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは連26.3、連27.3ともに2.93%と、ほぼ3%に近い水準にある。日本株全体で見れば、配当利回りが2%未満の企業も多いため、平均よりはやや高めの位置づけになるが、いわゆる高配当株と呼ばれる4%以上の水準には届いていない。
過去の配当実績を見ると、連21.3は66円、連22.3は50円と一時的に減配しているが、連23.3では145円、連24.3では230円と大きく増配している。その後、連25.3は160円、連26.3予は124円、連27.3予も124〜126円と、配当水準は高いレンジを維持しつつも、ピーク時からは抑えた水準で計画されている。利益の振れを踏まえ、配当を上下させながら調整している様子が数値から読み取れる。
利益面では、連25.3に純利益が120億円と高水準に達した後、連26.3予では94億円へ減少する見通しとなっている。この利益見通しと整合的に、配当もピーク時からは引き下げられており、無理に高い配当を維持する姿勢ではないことがうかがえる。一方で、配当を大きく切り詰める計画にもなっておらず、一定水準を安定的に出す方針が感じられる。
キャッシュフローを見ると、営業CFは2023年から2025年にかけて着実に増加しており、配当原資を内部から生み出せている。一方で、投資CFは大きなマイナスが続いており、設備投資や事業基盤への投資も並行して行われている。財務CFは年によってプラスとマイナスが混在しており、配当を最優先にしているというより、投資と株主還元のバランスを取りながら資金配分をしている構造といえる。
これらの数値から配当目的として整理すると、配当利回りの高さだけを最優先に狙う銘柄ではないが、業績に応じて配当水準を調整しつつ、3%前後の利回りを安定的に受け取ることを想定する銘柄と位置づけられる。高配当を固定的に出し続けるタイプというより、業績連動型で、利益水準が維持される限り一定の配当を期待するスタンスに向いた銘柄と読み取れる。
今後の値動き予想!!(5年間)
日東工業株式会社の現在値は4,230.0円である。電設資材のキャビネットで国内トップシェアを持ち、分電盤・配電盤でも大手の位置づけにある。同社は製販一貫体制と即納・短納期対応を強みとし、直近数年で売上規模を拡大させるとともに、営業利益率やROE、ROAといった指標も改善してきた。一方で、直近予想では純利益がやや減少する想定となっており、成長の勢いはやや落ち着きつつある点が、現在の株価水準を考える前提条件となる。
良い場合は、建設・設備投資需要が底堅く推移し、キャビネットや分電盤の需要が安定的に積み上がるシナリオである。情報通信関連分野や周辺事業の寄与も加わり、売上高は年率数%の成長を維持する。営業利益率は7%台前半を維持し、ROEは10%前後で定着する。この場合、市場は安定成長型の電設資材メーカーとして評価を強め、PERは14〜16倍程度が許容されると仮定すると、5年後の株価は5,500円〜6,500円程度まで上昇する展開が想定される。
中間の場合は、主力の電設資材は堅調に推移するものの、大きな需要拡大は見られず、全体としては緩やかな成長にとどまるシナリオである。売上高は横ばいから微増、営業利益は130億円前後で推移し、営業利益率は7%前後で安定する。ROEも10%前後で頭打ちとなり、市場評価はPER11〜13倍程度に収れんする。この場合、5年後の株価は3,800円〜4,800円程度となり、現在値近辺を中心としたレンジ推移が想定される。
悪い場合は、建設投資の減速や設備投資需要の鈍化が続き、電設資材の出荷が伸び悩むシナリオである。売上高は横ばいから減少に転じ、営業利益率は6%前後まで低下する。純利益も100億円を下回る水準にとどまり、ROEは一桁台に低下する。この場合、市場は慎重姿勢を強め、PERは9〜10倍程度まで切り下がると想定すると、5年後の株価は2,800円〜3,400円程度まで調整する展開も考えられる。
総合すると、日東工業の株価は現在値4,230.0円において、業績拡大と収益性改善を一定程度織り込んだ水準にある。今後5年間の値動きは、改善した利益率と資本効率をどこまで維持できるか、そして建設・設備投資需要が安定的に続くかが最大の分岐点となる。急成長型ではないが、事業の安定性を背景に上振れ余地と下振れリスクの両方を併せ持つ銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月4日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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