株価
エレコムとは

エレコム株式会社は大阪市中央区に本社を置くコンピュータ周辺機器メーカーで、1986年創業、東証プライム市場に上場している。バッファローやアイ・オー・データ機器と並ぶ国内IT周辺機器大手の一社であり、マウス・キーボード・スマートフォンアクセサリなど多数のカテゴリでトップクラスのシェアを持つ。
創業者は製材業の倒産を経験した後に起業しており、需要の変化に合わせて商品を入れ替え続ける事業思想が経営の特徴となっている。現在は個人向け中心のビジネスから法人向けへと重心を移しており、M&Aを活用しながらBtoB市場の拡大を進めている。中国や東南アジアを中心に海外販売も拡大している。
同社は自社工場を持たないファブレスメーカーであり、企画・設計・品質管理・ブランド・販売を担い、生産は海外委託が中心となる。国内外から約7,000点以上の製品を調達し、販売型番数は約1万7,000点に及ぶ。年間4,200〜4,300点の新製品を投入し、3〜4年でほぼすべての商品が入れ替わる高速回転型の商品戦略を採用している。単一製品への依存度が低く、市場の変化に合わせて売れる商品へ切り替え続けることで在庫リスクと流行リスクを分散している。品質基準を厳しく設定し、低価格帯中心ながら一定品質を維持することで量販店での棚占有率を確保している。直営店「Elecom Design Shop」も国内主要都市に展開しブランド認知を高めている。
事業はPC関連、スマートフォン関連、ネットワーク機器、AV・生活関連の周辺機器分野で構成される。PC関連ではマウス、キーボード、USBハブ、メモリ、外付けストレージ、LANケーブルなどを扱い、同社の中核事業となっている。低価格帯から高機能モデルまで幅広い価格帯を揃え、量販店での定番商品として販売される比率が高い。入力機器では独自形状や省電力設計など差別化商品も投入している。
スマートフォン関連では充電器、モバイルバッテリー、ケース、保護フィルム、Bluetoothキーボードなどを展開し、スマートフォン普及とともに拡大した分野で現在はPC関連に並ぶ柱となっている。短い製品ライフサイクルへの対応力が強みで、新機種発売に合わせて周辺アクセサリを迅速に投入する体制を取っている。
ネットワーク機器ではWi-Fiルーターや無線LAN中継器、有線LAN機器などを扱い、家庭用だけでなく小規模オフィスや法人用途にも対応する。近年は法人向けアクセスポイントや管理機能付き機器などBtoB商材の拡充を進めている。
その他、ヘッドホン・スピーカーなどのAV機器、PCバッグやデスクなどのファニチャ、ヘルスケア機器、詰め替えインクやリサイクルトナーなどの消耗品も展開し、周辺機器全体を網羅する総合アクセサリメーカーとなっている。子会社ロジテックの製品も含め幅広いカテゴリを取り扱う。
ビジネスモデルは単価の低いアクセサリを多品種展開し、回転率と棚シェアで売上を積み上げる量販型モデルである。家電量販店・EC・法人販売を組み合わせた流通網を持ち、景気変動の影響を受けにくい消耗品需要を取り込む構造となっている。製品ごとの技術優位性よりも商品企画力、供給速度、SKU数、販売網の強さが競争力の源泉となっている企業である。
エレコム 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年度 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 経常利益(百万円) | 純利益(百万円) | 一株益(円) | 一株配当(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 連21.3* | 108,053 | 15,942 | 15,207 | 10,752 | 119.6 | 34.5 |
| 連22.3 | 107,358 | 13,945 | 14,398 | 10,398 | 114.9 | 37 |
| 連23.3 | 103,727 | 11,305 | 11,376 | 8,129 | 95.3 | 40 |
| 連24.3 | 110,169 | 12,380 | 13,360 | 9,985 | 119.9 | 44 |
| 連25.3 | 118,007 | 13,531 | 13,190 | 9,300 | 119.2 | 48 |
| 連26.3予 | 125,000 | 14,500 | 14,400 | 13,500 | 165.5 | 52〜56 |
| 連27.3予 | 130,000 | 16,000 | 15,900 | 11,000 | 134.8 | 56〜60 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年度 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 9,161 | -7,110 | -3,255 |
| 2024 | 9,669 | -2,428 | -8,169 |
| 2025 | 17,354 | -4,419 | -10,642 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 10.8% | 7.6% | 10.0% | – | – |
| 2024 | 11.2% | 8.5% | 11.5% | – | – |
| 2025 | 11.4% | 8.1% | 11.2% | 11.4〜16.2 | 1.49 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上規模は2024年1,101億円から2025年1,180億円、2026年予想1,250億円と緩やかな増収傾向にある。営業利益は123億円から135億円、145億円予想と増益基調を維持しており、利益水準自体は大きな変動がなく安定して推移している。一方で純利益は99億円から93億円と一度減少した後、2026年は135億円予想と回復幅が大きくなっている。
営業利益率は10.8%から11.2%、11.4%とわずかに上昇しており、収益構造は急改善ではないが安定的に維持されている状態といえる。ROEは10.0%から11.5%、11.2%、ROAは7.6%から8.5%、8.1%で推移しており、資本効率は改善と低下を繰り返しながらも概ね横ばい圏に収まっている。大きく伸びているわけではなく、成熟企業型の収益性に近いレンジにある数値となっている。
評価面では実績PERはおおむね11.4倍から16.2倍のレンジで推移し、PBRは1.4倍台である。営業利益率とROEの水準を踏まえると、成長期待というより安定収益企業としての平均評価帯に位置していると読み取れる。ROEが10%前後の企業では評価倍率が急拡大しにくく、株価は利益水準の増減に連動しやすい傾向になりやすい。
また利益成長率を見ると、売上の伸びに対して利益の伸びは大きくないため、事業自体は拡大型というより回転型のビジネスに近い。営業利益率が11%前後で固定化していることから、景気悪化時には利益が下振れしやすい一方、好況でも急激な利益拡大にはつながりにくい構造が読み取れる。
以上の数値だけから整理すると、利益率・資本効率ともに安定しているが伸びは小さく、株価は成長期待ではなく安定性評価で形成されるタイプの銘柄と考えられる。評価レンジも既に平均域にあり、業績が大きく変化しない限りPERの切り上げ余地は限定的で、今後の株価は利益推移に沿った緩やかな動きになりやすい性格と読み取れる。
配当目的とかどうなの?
予想配当利回りは2026年3.14%、2027年3.38%であり、日本株全体の中ではやや高めの中配当水準に位置する。極端な高配当ではないが、銀行預金やインデックス平均と比較するとインカム収入としての意味は出てくる水準といえる。
利益面を見ると営業利益率は10%台前半で安定、ROEは10%前後で推移しており、急成長型ではない代わりに利益のブレも比較的小さいタイプの収益構造となっている。このタイプは配当の原資となる利益が大きく崩れにくく、配当の継続性は比較的読みやすい部類に入る。一方で利益成長率は大きくないため、配当が急増していくタイプでもない。
またPERは11倍から16倍程度のレンジ、PBR1.4倍台という評価は「安定企業としての平均的評価」に近く、株価上昇によるトータルリターンよりも配当を含めた緩やかなリターンを前提に評価されやすい位置にある。株価の値上がり益を主目的にする銘柄というより、価格変動を抑えつつ一定の利回りを得る性格に寄りやすい。
以上から、配当目的としては「高配当株」ではなく「安定配当株」に分類される水準で、インカム補助としてポートフォリオに組み込むタイプの位置付けになりやすい。一方で大幅な増配期待や高利回り狙いには向きにくく、株価上昇と配当の両取りを強く期待する銘柄ではないと整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在値1,655円を前提にすると、エレコムは売上1,101億円から1,180億円、1,250億円予想へと緩やかな増収が続き、営業利益も123億円から135億円、145億円予想へ拡大している。営業利益率は10.8%から11.2%、11.4%へ小幅に上昇し、ROEも10.0%から11.5%、11.2%と安定圏で推移しているため、典型的な高成長企業ではなく安定収益型のまま収益性がやや改善している局面にある。
売上拡大に対して利益の伸びは大きくなく、ビジネスとしては急拡大型ではなく回転型に近い性格となっている。一方でPERはおおむね11倍から16倍程度、PBR1.4倍台と平均的な評価帯にあり、成長株として評価されている状態ではない。そのため株価は材料で急騰するタイプではなく、利益の積み上がりに合わせてゆっくり評価が変わる性格が強い。
良い場合は、法人向け販売の拡大や製品構成の改善により利益率が12%台へ上昇しROEが12%台後半へ改善するシナリオである。安定成長株として評価がやや上方へ移りPER15倍から17倍程度が許容されやすくなる。この場合は利益増加と評価修正が同時に進み、5年後の株価は2,200円から2,600円程度まで上昇する可能性がある。値動きは急騰型ではなく、決算ごとに緩やかに切り上がる右肩上がりの推移になりやすい。
中間の場合は、売上と利益が緩やかに増減しながら横ばい成長にとどまるシナリオである。営業利益率は11%前後、ROEは10%台前半で安定し、評価はPER12倍から14倍の範囲に収まる。この場合5年後の株価は1,500円から2,000円程度のレンジで推移しやすい。配当利回りは中程度のため一定の下値はあるが、株価の方向性は出にくくボックス圏の長期推移になりやすい。
悪い場合は、価格競争や需要減速で利益率が10%を下回りROEも9%台へ低下するシナリオである。安定株としての評価が弱まりPER10倍前後へ縮小すると、5年後の株価は1,100円から1,400円程度まで下落する可能性がある。急落は起こりにくいが、評価縮小によるじわじわした下げになりやすい。
総合すると現在値1,655円は成長期待を強く織り込んだ価格ではなく、安定企業としての評価帯にある。上昇余地は利益率の改善に依存し、急騰よりも時間をかけた上昇になりやすい一方、大幅な崩れも起こりにくい。株価は短期材料より収益性の変化に反応しやすく、長期では横ばいを挟みながら緩やかに切り上がるタイプの値動きの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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