株価
日本電波工業とは

日本電波工業株式会社は、水晶デバイスを中核とする電子部品メーカーで、電子機器の動作タイミングや通信の基準信号を生み出す周波数制御部品を世界規模で供給している企業である。本社は東京都渋谷区にあり、東証プライム市場に上場している。人工水晶の育成から加工、組立、評価までを自社で行う垂直統合型メーカーであり、材料段階から品質を作り込める点を強みとしている。生産は日本の開発拠点を中核に、中国やマレーシアを中心とした海外量産体制を組み合わせ、車載用途を主体にグローバル供給網を構築している。
同社の主力は水晶振動子、水晶発振器、水晶フィルタなどの水晶デバイスで、電子回路のクロック信号源としてあらゆる電子機器に組み込まれる基盤部品である。周波数の安定性が機器性能に直結するため、高精度・高信頼性が要求される用途で採用されることが多く、通信機器、車載電子機器、産業機器、医療機器、宇宙機器など幅広い分野で使われている。製品にはSPXO、TCXO、VCXO、OCXOなどの発振器のほか、周波数シンセサイザ、信号発生器、ミリ波コンバータ、光学フィルタ、QCMセンサ、アウトガス分析装置、超音波プローブなど応用機器も含まれる。
車載分野では自動車の電子制御化が始まった1970年代から参入しており、ADASや電動化の進展に伴って需要が拡大している。カメラ、レーダー、通信モジュール、制御ECUなどの同期制御に用いられ、振動や温度変化の大きい環境でも安定動作する耐環境性能を強みとする。安全機能の高度化に伴い水晶デバイスの搭載数が増加する傾向にあり、車載用途が事業の中心領域となっている。
通信分野では5GスマートフォンやIoT機器向けに小型・高周波対応製品を供給し、基地局向けには恒温槽付水晶発振器など高精度タイミングデバイスを展開している。AIサーバーやデータセンターでは高速通信に必要な低ジッタ特性が求められ、通信インフラ分野での採用が拡大している。民生機器ではPC、テレビ、ゲーム機、カメラ、家電など大量生産製品向けに安定供給を行っている。
また医療分野では超音波診断装置用の超音波探触子を製造し、宇宙・防衛分野では人工衛星搭載機器向け製品を供給するなど高信頼性領域にも展開している。半導体製造プロセス監視用途ではQCMセンサを活用するなどセンシング分野への応用も進めている。埼玉の事業所には大型オートクレーブを備え人工水晶を育成し、同一品質の結晶から大量のデバイスを生産できる体制を整えている。
水晶デバイスは電子機器の基準信号を担う不可欠な部品であり、通信高速化、車載電子化、センシング技術の高度化とともに用途が拡大している。同社は車載を軸に通信インフラ、産業、医療、宇宙分野へ展開することで周波数制御技術の供給を行う電子部品メーカーとして事業を運営している。
日本電波工業 公式サイトはこちら直近の業績・指標
| 年 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 税前利益(百万円) | 純利益(百万円) | 1株益(円) | 1株配(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 21.3 | 39,195 | 2,844 | 2,592 | 1,976 | 100.7 | 0 |
| 22.3 | 45,408 | 5,180 | 4,920 | 5,455 | 278.0 | 5 |
| 23.3 | 52,508 | 8,327 | 7,450 | 6,123 | 266.2 | 20 |
| 24.3 | 50,309 | 4,344 | 3,129 | 2,334 | 101.1 | 25 |
| 25.3 | 53,064 | 4,622 | 2,955 | 1,792 | 77.8 | 30 |
| 26.3予 | 55,000 | 3,500 | 2,600 | 1,900 | 82.6 | 30 |
| 27.3予 | 58,000 | 4,200 | 3,300 | 2,300 | 100.0 | 30 |
出典元:四季報オンライン
キャッシュフロー
| 年 | 営業CF(百万円) | 投資CF(百万円) | 財務CF(百万円) |
|---|---|---|---|
| 2023 | 6,564 | -3,234 | -3,519 |
| 2024 | 8,528 | -3,807 | -2,953 |
| 2025 | 6,109 | -4,453 | 1,912 |
出典元:四季報オンライン
バリュエーション
| 年度 | 営業利益率 | ROA | ROE | PER(倍) | PBR(倍) |
|---|---|---|---|---|---|
| 2023 | 15.8% | 9.5% | 25.5% | – | – |
| 2024 | 8.6% | 3.5% | 8.5% | – | – |
| 2025 | 8.7% | 2.5% | 6.1% | 8.3〜14.4 | 0.80 |
出典元:四季報オンライン
投資判断
売上は503億円から530億円、550億円予想へと緩やかな増収が続いている。一方で営業利益は43億円から46億円の後に35億円予想へ減益見込みとなっており、規模は拡大しているが収益性は低下している。純利益も23億円から17億円へ減少し、19億円予想と回復幅は限定的で利益の伸びは弱い。
営業利益率は15.8%から8.6%から8.7%へ大きく低下しており、収益のピークアウト後に低水準で安定する局面に入っている。ROEも25.5%から8.5%から6.1%へ低下、ROAも9.5%から3.5%から2.5%へ下がっており、資本効率は急激に悪化している。利益の減少以上に効率性が落ちているため、企業の稼ぐ力は弱まっている状態にある。
PERは8.3倍から14.4倍のレンジ、PBRは0.8倍であり、評価は割安圏に位置している。ただし低評価は成長期待が低いことを反映している可能性が高く、単純な割安株というより収益力低下を織り込んだ評価水準と読み取れる。
総合すると、増収だが減益かつ資本効率低下という構造で、成長株から市況敏感株へ移行した局面にある。株価は利益回復が確認されない限り評価拡大は起きにくく、低PBRによる下値余地の限定と、低収益による上値の重さの両方が存在する状態と整理できる。現状は割安感だけで上昇する局面ではなく、収益性の回復が投資判断の前提となる銘柄と判断できる。
配当目的とかどうなの?
26,27年度の予想配当利回りは2.84%で配当株としては中間水準にとどまる。3〜5%台の高配当帯ほどの下値支持力は期待しにくく、配当だけを目的に長期保有する銘柄とは言いにくい。純利益は23億円から17億円へ減少し19億円予想と回復も限定的で、営業利益も35億円予想と低下している。営業利益率は15.8%から8.6%から8.7%へ低下しROEも25.5%から6.1%まで落ちているため、企業の稼ぐ力は弱まっている局面にある。この状態では大きな増配余力は生まれにくく、配当は維持型の性格が強くなる。
配当額も0円から5円、20円、25円、30円と段階的に増えてきたが直近は30円で据え置き見込みとなり、増配局面から安定維持局面へ移行していると読み取れる。ROE6%台という水準では内部成長によって配当原資が増え続ける構造にもなっておらず、利益は市況の影響を受けやすいため将来の配当も景気に左右されやすい性格になる。PBRは0.8倍で資産面の下支えは意識されるが、利回りが高いわけではないため配当目的の資金が集まりやすい条件とは言いにくい。
総合すると配当を主目的に保有する銘柄ではなく、低評価帯で保有している間に受け取る副次的なリターンに近い位置付けになる。投資の主役は配当ではなく業績回復による株価変動であり、インカム狙いより景気循環に合わせたキャピタルゲインを意識するタイプの銘柄と整理できる。
今後の値動き予想!!(5年間)
現在値1,055円を前提にすると、日本電波工業は売上503億円から530億円、550億円予想へと緩やかな増収が続いているが、営業利益は43億円から46億円の後に35億円予想へ減少見込みとなっている。営業利益率は15.8%から8.6%から8.7%へ低下し、ROEも25.5%から6.1%まで落ちており、過去の高収益局面から通常収益水準へ戻った状態にある。
PBRは0.8倍と低く資産面では割安圏だが、低評価は収益性低下を織り込んだもので、株価はテーマで動くタイプではなく業績の底打ち確認を待つ性格が強い。配当利回りも2%台で下値はある程度支えられるが、強い上昇要因にはなりにくい位置にある。
良い場合は、車載・通信向け需要の回復により利益率が10%前後まで戻るシナリオである。ROEが10〜12%台へ改善すると評価はPBR1.0倍から1.2倍程度まで見直されやすく、利益回復と評価修正が同時に進む。この場合5年後の株価は1,500円から2,000円程度まで上昇する可能性がある。急騰ではなく決算ごとに切り上がる右肩上がりの上昇になりやすく、回復型の長期上昇パターンに近い動きになる。
中間の場合は、利益が横ばい圏で推移し収益性が大きく改善しないシナリオである。営業利益率は8%前後、ROE6〜8%程度にとどまり評価はPBR0.7倍から0.9倍の範囲に収まる。この場合5年後の株価は900円から1,200円程度のレンジで推移しやすく、景気に応じて上下するボックス相場になりやすい。配当利回りが意識されることで大きく崩れにくいが、明確な上昇トレンドも出にくい。
悪い場合は、電子部品市況の悪化により利益率が6%台まで低下しROEも5%前後へ低下するシナリオである。評価がPBR0.5倍から0.7倍へ縮小すると、5年後の株価は600円から900円程度まで下落する可能性がある。赤字転落の可能性は高くないが、評価縮小による緩やかな下落が続きやすい。
総合すると現在値1,055円は成長期待を織り込んだ価格ではなく、回復期待と低評価が混在する位置にある。上昇余地は利益率の回復に依存し、急騰よりも時間をかけた評価修正型の値動きになりやすい一方、収益性が戻らなければ長期横ばい圏に留まりやすい。株価は短期材料より半導体・電子部品市況に連動しやすく、循環的に水準を変えていくタイプの銘柄と整理できる。
この記事の最終更新日:2026年2月7日
※本記事は最新の株価データに基づいて作成しています。

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